公開日:2025-01-31
民泊リノベーションの費用相場&施工事例|物件選びや補助金で費用を抑えるコツも
近年、賃貸経営や不動産投資の選択肢として民泊が注目されています。
観光・宿泊需要が大きく伸びているエリアでは、一般的なアパートやマンションを民泊施設にリノベーションする動きも増えています。
特に東京都内などホテルや旅館が不足している地域では、民泊を開業することで大きな収益が期待できる状況です。
しかし、実際に民泊リノベーションを検討する際、いくらぐらい費用がかかるのか、どこに相談すれば良いのか分からない方も少なくありません。
そこでこの記事では、民泊リノベーションにかかる費用相場、実際の施工事例をご紹介します。
補助金や物件選びで民泊リノベーションの費用を抑える方法、宿泊客に選ばれる施設づくりのポイントなども解説しますので、ぜひ参考にしてください。
・民泊リノベーションの費用相場は1室あたり311~740万円が目安です。
・実際に民泊リノベーションを計画する際は、費用だけでなく宿泊客に選ばれる施設づくりをする必要があります。
目次
■民泊リノベーション前に確認すべきポイント
民泊はホテルや旅館など「旅館業法」より開業のハードルが低いのがメリットですが、最低限確認しておくべきポイントがあります。
お手持ちの賃貸物件や中古アパート・マンションを民泊施設にリノベーションする前に、確認すべきポイントを把握しておきましょう。
関連法規や開業に必要な申請手続き
具体的に民泊リノベーション計画を立てる前に、まずは関連法規や基本的な手続きについて把握しておきましょう。
民泊の開業や運営は「住宅宿泊事業法(民泊新法)」によってルールが定められていて、「旅館業法」の管轄であるホテルや旅館、簡易宿所とは要件や申請方法が異なります。
民泊(住宅宿泊事業法) | 簡易宿所(旅館業法) | ホテル・旅館(旅館業法) | |
管轄 | 国土交通省
厚生労働省 観光庁 |
厚生労働省 | 厚生労働省 |
許認可 | 届出 | 営業許可 | 営業許可 |
営業日数 | 年間180日以内
(特区民泊は2泊3日以上で上限なし) |
制限なし | 制限なし |
住居専用地域での営業 | 可能 | 不可 | 不可 |
最低床面積 | 3.3㎡/人 | 33㎡/人
(宿泊者数10人未満の場合3.3㎡/人) |
ホテル:9㎡/室
旅館:7㎡/室 |
玄関帳場(フロント)の設置義務 | なし | なし | あり |
住宅宿泊事業法の管轄となる民泊は、営業許可が不要で、ホテルや旅館をつくれない住居専用地域でも営業できるなど、開業のハードルが低いのが特徴です。
都道府県知事への届出で開業でき、申請手続きも「民泊制度運営システム」にてオンライン上で完結するためハードルは低いです。
民泊も最低限の建物の要件はありますが、玄関帳場や建物の用途変更が不要なため、一般的なアパートやマンションの構造を大きく変更する必要はありません。
アパートやマンションの間取りを活かしてリノベーションできるため、工期や費用のハードルもホテルや旅館より抑えられます。
ただし住宅宿泊事業法による民泊は特区民泊を除き、営業日数が年間180日以下に制限されています。
年間180日以上営業したい場合は、旅館業法による簡易宿所やホテル・旅館営業の検討が必要で、営業許可や建物の要件も変わるため注意しましょう。
民泊禁止区域や営業制限の確認
民泊リノベーションの前に、所有するアパートやマンション、購入する中古物件が禁止区域や営業制限に該当していないか確認するのも重要なポイントです。
住宅宿泊事業法による民泊施設は、工業専用地域以外の用途地域なら営業できますが、自治体によって制限されていることもあります。
例えば、東京都中央区全域では、月曜日の正午から土曜日の正午までは民泊営業できません。
ほかにも、住居専用地域や学校の近くでは、平日の民泊営業を禁止している自治体が多いです。
確認せずに民泊リノベーションを進めてしまうと、後で思ったように営業できず経営が失敗する可能性が考えられます。
特に、中古アパートやマンションをリノベーションして民泊開業を検討する際は、自治体の禁止区域や営業制限を必ずチェックしましょう。
参照:観光庁 民泊の実施制限に関する地方公共団体の条例のとりまとめについて
リノベーションプランとかかる費用
民泊リノベーションにかかる費用は、プラン内容や建物の規模・状態によって大きく変動します。
どれくらいの費用がかかるのか把握しておかないと、予算オーバーや投資回収にかかる期間で経営が失敗するリスクがあります。
特に、これから中古アパートやマンションを購入する場合は、リノベーション費用も踏まえて資金計画を立てることが大切です。
次の章から、民泊リノベーションの費用相場を詳しくチェックしていきましょう。
■民泊リノベーションの費用相場
民泊施設はホテルや旅館のように特別な設備が必要ないため、リノベーション費用相場は一般的な賃貸アパートやマンションと同じです。
リノベーション内容 | 費用相場 |
ユニットバス交換 | 50~100万円 |
トイレ交換 | 20~100万円 |
洗面化粧台の交換 | 20~50万円 |
壁クロスの貼り替え | 6~30万円 |
畳⇒フローリングへの交換 | 15~60万円 |
リビングの改修 | 200~400万円 |
合計 | 311~740万円 |
参照:国土交通省 リフォームの内容と価格について
賃貸アパート・マンションを民泊施設にリノベーションするために必要な項目をピックアップすると、費用相場は1室あたり311~740万円となります。
費用相場に幅があるのは、施工業者や設備・建材のグレード、建物の状態などによって変動するためです。
民泊施設の場合、一般住宅のようにグレードの高い設備や建材を使う必要はないため、費用を抑えれば1室あたり300万円~でリノベーションを検討できそうですね。
仮に6室のアパートを民泊施設にフルリノベーションする場合、内装と水回りの改修で1,800万円程度が費用相場になります。
ただし、実際のリノベーション費用は、前述したようにさまざまな要素で変動しますので、こちらのコラムでさらに詳しい内容をチェックしてみてください。
〈関連コラム〉
■民泊リノベーションの費用を抑えるポイント
民泊リノベーションでは、物件選びや補助金の活用などの工夫で費用を抑えることもできます。
予算内でクオリティが高い民泊施設をつくるために、費用を抑えるコツを覚えておきましょう。
しっかりメンテナンスされている物件を選ぶ
これから中古物件を購入して民泊施設をつくる場合は、しっかりメンテナンスされていて状態の良い建物を選ぶのが費用を抑えるコツです。
例えば、外壁や屋根の塗装など定期メンテナンスが行き届いている物件を選べば、余計なリノベーション費用がかかるのを防ぐことができます。
逆に、空き家期間が長くメンテナンスされていなかった物件は、雨漏りやシロアリ被害など予期せぬトラブルで追加費用が掛かるリスクが高くなります。
空き家状態の中古アパートはもちろん、オーナーチェンジ物件でも、メンテナンス履歴はしっかり確認すべきポイントです。
最近は、築年数が古い一戸建てや古民家を民泊施設にリノベーションするケースもありますが、特に注意が必要です。
補助金を活用
民泊事業が対象になる補助金制度を活用するのも、リノベーションや開業にかかる費用を抑えるコツです。
補助金名 | 補助金額 |
小規模事業者持続化補助金 | 補助率2/3 通常枠:上限50万円
※条件によって引き上げあり |
宿泊施設サステナビリティ強化支援事業 | 補助率1/2 上限1,000万円 |
事業再構築補助金 | 1/2~3/4 上限1,000万~
※類型や事業規模によって変動 |
上記のように補助金額は制度によって異なりますが、融資と違い、原則返済の必要がないのが大きなメリットです。
補助金額が大きいものは申請や採択率のハードルが高めですが、活用できれば開業資金をかなり抑えられる可能性があります。
また、民泊を開業する地域の自治体が用意する補助金を利用できるケースもあるため、計画前にチェックしてみましょう。
■おしゃれな民泊リノベーション施工事例
実際にリノベーションでつくった、おしゃれな民泊施設の施工事例をご紹介します。
築32年、19戸の鉄骨ALC物件を、7種類のおしゃれな内装の部屋にリノベーションしました。
こちらはパイレーツというコンセプトで、ワクワクするようなイメージに仕上げたお部屋です。
海外からのゲストをターゲットに、畳や木の自然素材を取り入れた和モダンテイストのお部屋も。
内装のテーマに合わせて小物類もトータルコーディネートすることで、よりクオリティが高く魅力的な民泊施設に仕上がっています。
ほかのテーマの部屋の写真もありますので、ぜひ民泊リノベーションの参考にしてみてください。
■宿泊客に選ばれる民泊リノベーションのポイント
実際に民泊リノベーションを計画するときは、ただ内装や設備を新しくするだけでなく、ユーザー目線で魅力的な施設をつくる必要があります。
リノベーションで宿泊客に選ばれる民泊施設をつくるためのポイントをチェックしておきましょう。
ターゲットユーザーとコンセプト
具体的なリノベーション計画を立てる前に、まずは地域特性を踏まえたターゲットユーザーを想定し、施設のコンセプトを考えましょう。
例えば、外国人観光客が多い地域なら、事例でご紹介したような和モダンテイストなど、海外の方に魅力的なコンセプトで民泊施設をつくる必要があります。
また、一人旅やファミリーなど、ユーザーの人数によっても客室の広さや必要な設備などが変わります。
競合物件と似たようなコンセプトだと価格競争になりやすいため、オリジナリティのあるデザインや設備を導入することも大切です。
おしゃれな内装とクオリティの高い写真
民泊で安定した集客をするためには、おしゃれな内装とクオリティの高い写真も必要です。
リノベーションでどんなにおしゃれな内装の部屋をつくっても、写真のクオリティが低いとユーザーに選んでもらうのは難しいです。
ユーザーは予約サイトやSNSなどで民泊施設を探すため、前述したコンセプトや施設の魅力が伝わるような写真を用意しましょう。
物件写真はカメラやレンズの性能、ライティングなどの差が出やすいため、できればプロのカメラマンに撮影してもらうのが理想的です。
また、リノベーション計画の時点で、物件の売りになる写真撮影ポイントをつくっておくことも大切です。
■まとめ
観光・宿泊需要が大きく伸びている現在、民泊には大きなビジネスチャンスがあります。
しかし、ただアパートやマンションをキレイにリノベーションするだけではなく、集客力を高めるデザインや工夫も必要です。
物件選びや費用なども含めて、なるべく早い段階からリノベーションのプロに相談するのがおすすめです。
私たちSHUKEN Reは、多くのリノベーションを手掛けてきた実績を活かし、お客様に合わせた民泊施設づくりをお手伝いします。
物件探し、リノベーション費用の見積もり、資金計画など、どんなこともお気軽にご相談ください。