公開日:2025-01-29
社員寮一棟貸しのメリットや始め方、新築・リノベーションの費用相場を比較
近年、賃貸経営の選択肢の1つとして、社員寮の一棟貸しが注目されています。
社員寮は賃貸アパートより安定した収入が期待でき、エリアによっては大きなビジネスチャンスがあります。
そこでこの記事では、社員寮の一棟貸しを利用する企業にとってのメリット、経営者として貸し出す側のメリットについて詳しく解説。
また、実際に社員寮一棟貸しサービスを始める方法や費用相場も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
・安定した収入や近隣トラブルリスクの少なさなど、社員寮を一棟貸しするオーナー側にもさまざまなメリットがあります。
・社員寮一棟貸しを始める場合の、新築・リノベーションの費用相場を比較しましょう。
■社員寮一棟貸しとは?
社員寮一棟貸しは、アパートやマンションなどの賃貸物件を、社宅や社員寮を探している企業に丸ごと一棟貸し出すサービスのことです。
一般的な借上げ社宅は1部屋単位で貸し出すケースもありますが、一棟貸しは文字通り建物すべてを丸ごと賃貸する形になります。
一昔前までは自社で社宅や独身寮などを保有している企業が多かったですが、最近は建物の老朽化や働き方の変化などさまざまな理由で、社有社宅を廃止するケースが増えています。
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しかし、社員寮が従業員にとって重要な福利厚生であることには変わりませんので、社有社宅を廃止して借上げ社宅に切り替えるケースが増加しており、需要が高まっているのです。
また、社員寮の一棟貸しには、部屋ごとに契約する借上げ社宅にはないさまざまなメリットもあります。
次の章から、社員寮一棟貸しを利用する企業側、貸し出すオーナー側それぞれのメリットについて見ていきましょう。
■社員寮一棟貸しを利用する企業側のメリット
まずは、社員寮一棟貸しを利用する企業にとってどのようなメリットがあるのか把握しましょう。
利用者目線でのメリットを理解することでどんなニーズがあるのか把握でき、魅力的な社員寮づくりや安定した経営に役立ちます。
公平な福利厚生を提供できる
一棟丸ごと社員寮を借りることで、従業員に対し公平な福利厚生を提供できるのは大きなメリットです。
複数の社員寮や借上げ社宅を従業員に提供している場合、物件の立地や広さなどの条件によって不公平感が生まれてしまうことが多いです。
社員寮の一棟貸しならどの部屋でも条件をそろえられるため、従業員同士の不公平感をなくし、結果的にエンゲージメントを高めることにつながります。
採用や人材確保で有利
社員寮を一棟借りて用意することで、採用や人材確保面でのメリットも生まれます。
従業員ごとに1部屋ずつアパートやマンションを借りる方法もありますが、一棟まるごと社宅を用意することで、福利厚生に力を入れていることが伝わりやすくなります。
特に、卒業後に初めて1人暮らしをする新卒者にとって、しっかり社宅を整備している印象はプラスになる可能性が高いです。
採用ページや条件に社宅の情報を記載することで応募者の目に留まりやすくなり、採用率アップが期待できます。
維持管理コストの削減
一棟貸し社宅は、社有社宅より維持管理にかかる手間やコストを削減できるのも、利用する企業側にとってのメリットになります。
基本的に一棟貸し社宅の清掃やメンテナンスは、オーナーや管理会社が担当するため、借りる企業側は維持管理の手間がかかりません。
また、借上げ社宅の場合でも、複数の物件を契約していると更新や状況の把握など管理コストがかかりますが、一棟貸しなら一元化できるので効率的です。
運営のカスタマイズ性が高い
1部屋ごとに借りる社宅より、運営方法のカスタマイズ性が高いのも一棟貸し社宅のメリットです。
例えば、賃貸物件の一部を社宅として借りる場合は、駐車場や駐輪場が足りないとほかを探さなければいけません。
しかし、一棟貸し社宅の場合、オーナーの意向や敷地の状況によっては、駐車場や駐輪場を拡大して対応してもらえる可能性もあります。
また、ロビーやキッチンなどの共有スペースを活用できるのも、一棟貸し社宅ならではのメリットです。
運営方法の選択肢が広がるため、従業員の数やライフスタイルに合わせて福利厚生を提供でき、結果的に満足度を高めることにつながります。
従業員同士のコミュニケーション促進
社員寮を一棟丸ごと借りることで、そこに住む従業員同士のコミュニケーションが生まれるのもメリットの1つです。
社員寮を1部屋ごとに借りる場合だと、従業員が自分で賃貸物件を借りるのとあまり変わりません。
しかし、社員寮の一棟貸しなら共用スペースを活用できるため、キッチンや共用リビングなどで従業員同士の交流を深めることができます。
仕事終わりなどに従業員同士でコミュニケーションを取りやすくなり、離職率の低下や業務効率アップなど副次的な効果も期待できます。
共有スペースで社内イベントや仕事の打ち上げを開催するなど、社員寮を利用していない従業員とのコミュニケーション活性化にも活用可能です。
■社員寮一棟貸しするオーナー側のメリット
社員寮を一棟貸しするオーナー側にも、さまざまなメリットがあります。
安定した収入が見込める
社員寮を一棟貸しすることで、一般的な賃貸物件より安定した家賃収入が期待できるのは大きなメリットです。
一棟丸ごと企業と契約すれば、空室リスクを抱えずに毎月安定した収入が入ります。
また、賃貸アパートやマンションは空室が出たら次の入居者を探すための広告活動が必要ですが、社員寮なら契約している企業が次の従業員を探してくれます。
家賃滞納や近隣トラブルのリスクが少ない
企業に対して社員寮を一棟丸ごと貸し出す場合、家賃滞納や入居者同士のトラブルリスクが少ないのも魅力的なポイントです。
日本の賃貸契約では借家人の権利が強いため、家賃滞納や騒音トラブルがあっても入居者を退去させるのは困難で、オーナーが泣き寝入りするケースが少なくありません。
しかし、社員同士ならトラブルの心配が少なく、企業との契約なので家賃滞納のリスクも抑えられます。
状況に応じてコンバージョンも可能
経営方針に合わせて、社員寮から一般の賃貸物件・シェアハウスなどの用途にコンバージョンできるのもメリットの1つです。
企業の撤退や社員寮の需要減少などの状況が発生しても、ほかの用途にコンバージョンすれば対応できます。
共有スペースを活かしてシェアハウスにしたり、部屋数を増やして賃貸物件として収益を上げたり、大規模な改修をしなくても状況に合わせて経営を続けられます。
■社員寮一棟貸しをする方法と費用相場
実際に社員寮一棟貸しサービスを始める方法は、新築と中古物件を購入してリノベーションの2パターンが考えられます。
それぞれのメリット・デメリットや費用相場を比較してみましょう。
それぞれの費用相場は、1人暮らし向けの1K×10戸+共有スペースの、延床面積300㎡の社員寮でシミュレーションしてみます。
なお、新築の土地取得費用や中古購入費用はエリアや物件によって大きく変動するため、今回は建築費用とリノベーション費用を比較します。
社員寮を新築する
社員寮の新築は、現代のライフスタイルに合わせた魅力的な物件をつくりやすいのが大きなメリットです。
各個室や共有スペースの広さ・レイアウトを自由に決めることができ、社員寮を探している企業のニーズに合わせて調整することも可能です。
一方、社員寮を新築するための土地取得費用や建築費用が多めにかかるため、投資回収には長めの時間がかかります。
構造 | 1㎡あたりの平均工事単価 | 300㎡の建築費用相場 |
木造 | 20.69万円 | 6,207万円 |
鉄骨造 | 29.47万円 | 8,841万円 |
鉄筋コンクリート造 | 30.33万円 | 9,099万円 |
〈出典〉2023年度建築着工統計調査 A居住専用住宅の工事費予定額と床面積を参照
構造別の平均工事単価をもとに、300㎡の社員寮を新築する建築費用相場を計算すると上記のようになります。
さらに、土地取得費用や申請費用などがかかるため、構造や規模によってはかなりの初期費用がかかりますね。
社員寮の新築は、ある程度の初期費用をかけることができ、長期間安定した経営を考えている方に向いている方法と言えるでしょう。
中古アパートやマンションをリノベーションする 3,000~4,500万円
一般的な中古アパートやマンションを購入し、社員寮にリノベーションする方法は、新築より費用を抑えられるのが大きなメリットです。
ベースとなる中古物件をもとにリノベーションプランを立てられるため、短期間で魅力的な社員寮をつくることも可能です。
一方、中古は建物の状態や構造によって費用が変動するため、物件選びの見極めが重要になります。
アパートやマンションなど賃貸物件のリノベーション費用相場は、1㎡あたり10~15万円が目安です。
300㎡の中古アパートを社宅にリノベーションする場合、費用相場は3,000~4,500万円程度が目安となります。
新築の建築費用と比べるとかなりリーズナブルで、中古物件の購入費用を入れても初期費用をかなり抑えられそうですね。
こちらのコラムでアパートリノベーションの費用相場について詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
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■まとめ
近年は社有社宅を廃止する企業が増えていますが、借り上げ社宅や社員寮の一棟貸しの需要は高まっている傾向があります。
社員寮の一棟貸しには企業側、オーナー側それぞれにメリットがありますので、賃貸経営や投資の選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。
社員寮の一棟貸しを検討するなら、社宅や賃貸物件のリノベーションを得意とするSHUKEN Reにご相談下さい。
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