公開日:2024-10-30 更新日:2024-11-01
耐震リフォームの相場と2024年に使える補助金制度の条件、申請方法を解説|減税措置の内容もチェック
ご家族の暮らしや財産を守るマイホームも年数の経過とともに老朽化し、耐久性や耐震性が低下していきます。
近年も頻繁に発生する地震にも耐える強い家にするためには、耐震診断の結果に応じた適切なリフォーム・リノベーションがおすすめです。
今回は、耐震リフォームに必要な費用の相場や、知っておくと便利な2024年に利用できる補助金制度について解説します。
スムーズにリノベーションを進めるための改修ポイントや、減税措置の活用方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね♪
・耐震リフォームの費用は、建物の構造や築年数、改修規模によって異なり、耐震診断ではリフォームに必要な箇所や費用の目安が分かります。
・2024年に利用できる耐震リフォームの補助金制度は、自治体ごとに対象工事の内容や要件、補助額が異なります。
・スムーズな補助金申請のためには、計画的な準備が大切です。リノベーションの施工実績豊富なSHUKEN Reでは、資金計画の相談も受け付けています。
目次
■耐震リフォームに適切なタイミングと費用相場
戸建てリノベーションの事例を見る:Case181「Backyard」
耐震リフォームは、将来起こりうる地震に対して住まいの安全性を高めておくための措置です。
そこでまずは、耐震リフォームを考えるべきタイミングや条件、費用に関する情報を押さえておきましょう。
耐震リフォームは「建築年」を目安に考える
耐震リフォームを検討する目安として、まずは住まいの「耐震基準」が挙げられます。
耐震基準は、建物がどれほどの地震に耐えられるかを判断するための基準で、以下のように分かれています。
- ・1981年(昭和56年)5月31日以前:「旧耐震基準」
- ・1981年(昭和56年)6月1日以降:「新耐震基準」
- ・2000年(平成12年)6月1日以降:「2000年基準」
日本では、「新耐震基準」や「2000年基準」にもとづき、耐震性のある住まいが設計されるため、現行基準でない家の場合、地震の揺れによる倒壊や崩壊のリスクが高まると言われています。
「建築確認申請」の発行日が分かる場合は、対象物件がどの耐震基準に該当しているか確認してみましょう。
「耐震基準」とは?
耐震基準が分からない築年数の古い物件や、小さな揺れや台風などでも不安を感じるような老朽化が進む住宅は、地震に対する備えが不十分である可能性が高いです。
- ・旧耐震基準: 「震度5強程度の中規模地震で建物が倒壊・崩壊しない」ことが基準
- ・新耐震基準: 「震度6強~7程度の大規模地震で建物が倒壊・崩壊しない」ことが基準
- ・2000年基準: 「地盤に応じた基礎設計や接合金物の使用、耐力壁のバランス配置」を強化
そのため特に、1981年以前に建てられた住宅の場合は「耐震診断」を実施し、「耐震性能」の評価に応じた耐震改修や建替えが必要です。
「耐震診断」とは?
また、中古物件を購入してリノベーションする際はもちろん、実家を譲り受けた場合など、将来的にも安全で快適な家に住み続けるためにも、耐震診断は欠かせません。
耐震診断では、「耐震診断資格」を持つ建築の専門家が、以下のようなポイントを総合的に調査・評価します。
・「予備調査」: 設計図や計算書を準備して診断方法を決めるための調査
・「現地調査」: 基礎や地盤、建物の劣化状況などを調査 など
・「第一次診断」: 柱や壁の断面積から構造の耐震指標を評価 など
・「第二次診断」: 柱や壁の断面積+鉄筋の影響を考慮した構造の耐震性能を評価 など
・「第三次診断」: 柱や壁の断面積+鉄筋+梁の影響を考慮した建物の保有水平耐力を診断 など
(参考)一般社団法人|日本耐震診断協会
オンラインで築年数などの物件情報を入力して、耐震リフォームの必要性を診断するツールもありますので、ぜひ活用してみてください♪
耐震リフォームにかかる費用の目安
耐震診断の結果、耐震リフォームが必要になった場合、どれくらいの工事費用を確保しておけばいいのでしょうか?
まず一般的な木造2階建ての耐震診断で、10万円~40万円程度の費用がかかります。
また、耐震診断の評価によって、耐震補強に必要な規模や予算が変わってきますが、旧耐震基準の住まいを新耐震基準に適合させるための工事では、100万円~150万円前後が相場となっています。
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■2024年に使える耐震リフォームの補助金制度
戸建てリノベーションの事例を見る:Case99「レトロカフェ」
2024年の耐震リフォームに利用できる補助金制度は、全国一律ではなく自治体ごとに適用条件や補助金額が異なります。
リノベーション時の経済的な負担を抑えながら、安全で快適な住まいを実現させるために、事前に補助金制度の活用を視野に入れた計画を立てておきましょう。
補助金の対象となる耐震リフォーム
耐震リフォームの補助金対象になる物件の多くは、1981年以前の旧耐震基準で建てられた2階建て以下の木造住宅です。
また、所有者が耐震診断を受けることが条件になるため、居住を目的とした戸建て住宅が主な対象物件となります。
「耐震診断」も補助の対象になる?
各自治体の要件にもよりますが、耐震リフォームだけでなく、耐震診断に対しても補助金制度が適用される場合があります。
耐震診断は、耐震改修をご検討の際に必要で、一般的に10万円~40万円程度の費用がかかるため、お住まいの自治体が提供する補助金を事前に確認しておくことで、トータル費用が抑えられます。
耐震リフォーム補助金の相場
耐震リフォームの補助金は、限度額が定められていることが多く、建物の築年数や構造、耐震診断、改修条件などによって補助率が異なるのが一般的です。
例えば、耐震リフォームに150万円のコストがかかる場合、補助率5割の自治体では、75万円の支援が受けられます。
【東京都渋谷区の例】
「条件」
- ・所有者が居住する木造住宅
- ・渋谷区実施の耐震診断で1.0未満の評点判定
- ・渋谷区が派遣する耐震診断コンサルタントが補強設計および工事を管理すること
「補助率」
- 耐震改修(簡易)工事費の5割
「限度額」
- ・高齢者等の住宅:150万円
- ・高齢者等の住宅以外(木造住宅):100万円
「施工業者」
- 要件なし
2024年に使える補助金制度の調べ方
お住まいの地域で実施している耐震リフォーム補助金の内容を知るためには、お近くの市役所や区役所の窓口で確認するほか、各自治体のHPで最新情報をチェックする方法があります。
また、一般社団法人住宅リフォーム推進協議会が運営する「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」では、お住まいの市区町村や制度の分類ごとに絞り込んだ内容で検索も可能です。
リノベーションを依頼する業者が決まっている場合は、申請手続きをスムーズに進めるためにも、できるだけ早めに補助金活用の希望を伝えておきましょう。
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■耐震リフォーム補助金の申請方法
耐震リフォームの補助金を受けるためには、以下のような手順で申請&受け取りを進めます。
①耐震診断を受ける
まずは有資格者に耐震診断を依頼し、建物の状態を評価してもらいます。
↓
②耐震リフォームの見積りを提示してもらう
診断結果をもとに、改修工事の見積りを依頼します。
↓
③耐震リフォームの設計・計画書を作成
診断と見積りをもとに、具体的な設計図や計画書を作成します。
↓
④自治体に補助金申請する
申請に必要な診断報告書や工事計画書などの書類を準備し、お住まいの自治体に提出します。
↓
⑤交付決定が出てから改修工事契約を結ぶ
補助金の交付決定が出た後に、工事契約を結びます。
↓
⑥着工
工事は計画に沿って、進捗状況を確認しながら進めます。
↓
⑦工事完了後に補助金を受け取る
工事が完了したら、必要な書類を提出し補助金を受け取ります。
東京・千葉・神奈川で「補助金を活用したリノベーションについて知りたい」という方向けの相談会も実施しております。
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■耐震リフォームに適用される「減税措置」について
戸建てリノベーションの事例を見る:Case65「じっくり こっくり 味わい深く」
耐震リフォームでは、自治体の補助金制度だけでなく、所得税や固定資産税に対する減税措置も受けられる可能性があります。
所得税の減税制度
所得税の特別控除には「リフォーム促進税制(耐震リフォーム)」があり、住宅ローンを利用する場合には「住宅ローン減税」との併用も可能です。
リフォーム促進税制(耐震リフォーム)
- ・適用期限:~2025年(令和7年)12月31日
- ・控除期間:1年
- ・控除額上限:250万円
- ・控除率:10%
住宅ローン減税
- ・控除期間:10年(10年以上のローン)
- ・控除額:年末ローン残高(リフォーム費用相当分)の0.7%の所得税が控除される
(参考)国土交通省|住宅ローン減税
固定資産税の減税制度
耐震リフォーム後は、翌年度の固定資産税が1/2減額される特例措置もあります。
適用条件は以下の通りです。
- ・1982年1月1日以前に建てられた住宅である
- ・耐震リフォーム費用が50万円(税込)を超える
- ・新耐震基準に適合している
固定資産税の減税措置を受けるためには、工事完了後3ヵ月以内に自治体へ申請する必要があります。
(参考)国土交通省|耐震リフォームで固定資産税の減額を考えられている方へ
その他税金の減税制度
耐震リフォームでは、所得税や固定資産税の減税制度のほかにも、以下のような特別措置があります。
- ・贈与税: 一定額までの贈与税が非課税になる
- ・登録免許税: 改修工事をした中古物件を購入して居住する場合、税率0.3%軽減される
- ・不動産取得税: 改修工事をした中古物件を譲渡する場合、宅地建物取引業者に課される税金が減額される
具体的な適用条件や申請手続きについては、専門家に相談することをおすすめします。
■まとめ:耐震リフォームの補助金利用にはスムーズな準備が大切
地震の多い日本において、特に築年数の経った住宅活用をお考えの際や、将来実家を住み継ぐことに安全面での不安がある場合は、耐震リフォームが必要になるかもしれません。
耐震診断やリノベーションには、経済的な負担を大幅に軽減できる支援制度もあるため、事前に最新情報を集めた上で準備を進めておきましょう。
補助金や減税制度をうまく活用して、計画的な家づくりプランを実現させましょう。
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