公開日:2024-08-30
マンションと一軒家、購入するならどっち?メリット・デメリットの比較と判断ポイント
マイホームの購入を検討する際、マンションと一軒家のどっちにするか決められないと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
このコラムでは、マンションと一軒家のメリット・デメリットを、費用や資産価値、生活利便性、安全性、住み心地などさまざまな視点から比較して紹介します。
マンションと一軒家のどちらが適しているか判断する際の参考にしてくださいね。
・一軒家とマンションはどちらにもメリット・デメリットがあるため、現在の状況や将来のライフプランを踏まえて総合的に検討していくことが重要になります。
・利便性やセキュリティ、維持管理の手間の少なさ、住み替えしやすさを重視する方はマンションが向いています。
・プライバシーを気にせず暮らせるゆとりある住環境を重視する方や、家を長く資産として継いでいきたいという方は一軒家が向いています。
目次
■マンションと一軒家、初期コストはどっちが高い?
物件価格
2023年の首都圏のマンションと一軒家(戸建て)の平均物件価格は以下のようになっています。
都県/地域 | 中古マンション | 中古戸建住宅 | 新築戸建住宅 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
平均成約価格(万円) | 面積(㎡) | 平均成約価格(万円) | 面積(㎡) | 平均成約価格(万円) | 面積(㎡) | |
東京都 | 5,678 | 59.53 | 5,338 | 99.45 | 5,065 | 95.36 |
都区部 | 6,126 | 57.95 | 6,475 | 98.00 | 6,086 | 96.49 |
多摩 | 3,495 | 67.26 | 3,869 | 101.33 | 4,329 | 94.55 |
埼玉県 | 2,872 | 68.08 | 2,607 | 102.84 | 3,544 | 102.36 |
千葉県 | 2,762 | 72.64 | 2,545 | 109.28 | 3,583 | 100.44 |
神奈川県 | 3,711 | 66.55 | 4,101 | 105.99 | 4,037 | 97.64 |
横浜川崎 | 4,060 | 66.21 | 4,650 | 105.84 | 4,934 | 98.18 |
神奈川他 | 2,795 | 67.44 | 3,430 | 106.18 | 3,615 | 97.38 |
首都圏 | 4,575 | 63.63 | 3,848 | 103.96 | 4,070 | 98.83 |
(参考)公益財団法人東日本不動産流通機構|レインズデータライブラリー|マーケットデータ(2023年)
上記のように、首都圏全体の2023年の中古マンションと中古・新築戸建ての成約状況を比較すると、平均価格は中古マンションの方が高くなっています。
ただし、東京都区部や神奈川県では中古戸建てが中古マンション・新築戸建てよりも価格が高い傾向にあることが分かります。
また、エリアによってマンション・戸建ての流通量も変わってきます。
予算内で希望の物件が購入しやすいかどうかは、選ぶエリアによっても異なるため、住みたいエリアの物件の特徴を把握した上で検討しましょう。
購入時の諸費用
住宅の購入には物件価格以外に諸費用がかかります。
一般的に諸費用は物件価格の5~10%が目安ですが、マンションと一軒家、また新築と中古では以下のように諸費用の目安が異なります。
〈マンション・一軒家購入時の諸費用の目安〉
新築分譲マンション | 物件価格の3~6%前後 |
---|---|
中古マンション | 物件価格の6~10%前後 |
中古一戸建て | 物件価格の7〜10%前後 |
新築一戸建て(建売・分譲住宅) | 物件価格の7〜10%前後 |
新築一戸建て(注文住宅) | 建築工事費の5%以上 |
一軒家を購入する場合、所有している土地に建てられるなら土地分の諸費用を抑えられます。
■マンションと一軒家、資産価値はどっちが高い?
マンションは資産価値の下落が緩やか
RC造やSRC造が多いマンションは法定耐用年数(税法上の減価償却期間)が長いため、資産価値の減少率が木造の一軒家よりも穏やかです。
〈住宅用建物の法定耐用年数〉
木造 | 22年 |
---|---|
RC造・SRC造 | 47年 |
S造(鉄骨造) | 19~34年 |
(参考)国税庁ホームページ|No.2100 減価償却のあらまし
例えば、築20年で売却を考える場合、木造一軒家は法定耐用年数である22年に近いため、建物の資産価値はほぼゼロに近くなってしまいます。
一方でRC造のマンションは20年経っても法定耐用年数にはまだ余裕があるため、資産価値が高いと判断され、一定の価格で売却しやすいと言えるでしょう。
ただし、区分所有の分譲マンションは一軒家よりも不動産における土地の割合が少ないため、法定耐用年数に近づくと、資産価値がほとんどゼロに近くなってしまう点に注意が必要です。
築年数の古いマンションを将来の売却まで見据えて購入するなら、住宅需要が高い立地で検討することが基本になるでしょう。
長く住むなら土地の価値が残る一軒家の方が資産価値は有利
一軒家は、区分所有の分譲マンションよりも不動産における土地の割合が高いため、法定耐用年数を超えて長期間住むなら、資産価値は一軒家の方が最終的に高くなると言えます。
つまり、同じ立地の場合築浅のうちはマンション、年数が経ってくると一軒家の方が、より高値で売却しやすくなる可能性が高いと言えます。
マンションと一軒家の資産価値を比較する場合、どれくらいの期間住むのか、自分たちが亡くなった後、誰にどのように引き継ぐのか(子どもに相続など)を踏まえて検討することが重要です。
■マンションと一軒家、ランニングコストはどっちが高い?
マンションと一軒家でかかる税金や火災保険料、メンテナンス費用などのランニングコストについて比較してみます。
固定資産税・都市計画税
マンションと一軒家では、それぞれ土地と建物にかかる固定資産税や都市計画税が異なります。
住宅用の土地と建物には、それぞれに固定資産税の軽減措置があるため、どの特例が適用できるかによって税負担が変わってきます。
一軒家は土地の割合が大きい分、基本的にはマンションよりも土地の固定資産税が高く計算されます。
ただし、一軒家の固定資産税は「小規模住宅用地の特例」が適用できれば、大幅に減税されるケースがあります。
(参考)東京都主税局HP|固定資産税・都市計画税(土地・家屋)(【土地】2住宅用地及びその特例措置について)
一方、建物にかかる税金は、RC造やSRC造が多いマンションの方が高くなる傾向にありますが、新築の場合は、マンションの方が一軒家よりも2年間長く家屋部分の固定資産税軽減を受けられます。
(参考)東京都主税局HP|固定資産税・都市計画税(土地・家屋)(【家屋】5 新築住宅の減額は)
住宅が戸建てかマンションかだけでなく、土地面積や新築/中古の違いによっても税額や受けられる軽減措置が変わってきます。
購入するマイホームの具体的な税金のシミュレーションについては、エリアの不動産事情や中古住宅の資産価値に詳しい専門家に相談するのがおすすめです。
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火災保険料
火災保険料は、保険会社や補償内容、建物構造、面積、耐震性能、加入時期、支払い方法などさまざまな要素で変動するため、マンションと一軒家のどちらが高いとは一概に言えません。
ただし、一般的にマンションは一軒家より床面積が少なく、頑丈で燃えにくい構造であることから、木造一軒家よりも火災保険料・地震保険料は安くなる傾向にあります。
例として、築20年の木造非耐火建築の一戸建てで、保険金額1,500万円で家財補償付き、地震保険付きの場合、年間の火災保険料相場は10万円前後になります。
一方、築20年のRC造中古マンションで、専有面積70㎡、家財補償付き、地震保険付きの場合、年間の火災保険料相場は5万円前後になります。
維持・メンテナンス費用
一軒家の場合
一軒家はマンションのように毎月管理費の支払いはありませんが、必要に応じてまとまった額の修繕・メンテナンス費用がかかることがあります。
一軒家は一般的に築10年を過ぎた頃から壁紙、水回り、外壁・屋根塗装などの細かな修繕が必要になってきます。
築20年頃になるとフローリングの貼り替え、屋根の葺き替え、水回り設備の交換など大がかりなメンテナンスも発生します。
〈一軒家のメンテナンス時期と費用目安の一例〉
場所 | 修繕・交換時期 | 修繕・交換費用目安 |
外壁 | 10~20年ごと | 約60~250万円 |
屋根 | 10~20年ごと | 約60~180万円 |
フローリング | 15~20年ごと | 約10~20万円(8畳の場合) |
壁紙 | 10~15年ごと | 約50万円~100万円(一軒家全体で) |
キッチン・浴室・トイレ・洗面台 | 10~20年ごと | 約10~300万円/か所 |
給湯器 | 10~15年ごと | 約30~70万円 |
シロアリ対策 | 5~10年ごと | 約15~30万円/1回 |
一軒家のメンテナンス費用は定期的に必要なものと、突発的に発生するものがあるので、計画的に貯蓄して準備しておく必要があります。
マンション
マンションでは外壁や屋根などの共有部分を自分で修繕する必要はありませんが、代わりに毎月管理費や修繕積立金を支払う必要があります。
東日本不動産流通機構の調査によると、首都圏の中古マンションの月額管理費は1戸あたり平均12,831円、修繕積立金は11,907円という結果でした。
(参考)公益財団法人東日本不動産流通機構|レインズデータライブラリー|首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金(2023年度)
管理費と修繕積立金の合計で毎月24,738円、1年では29万6,856円、20年では593万7,120円になります。
また、マイカーを所有する場合は駐車場代もかかってきます。
駐車場代は首都圏なら月々数千円~数万円が相場です。
仮に月8,000円とすると1年で9万6,000円、20年では192万円になります。
修繕費用だけを考えると、マンションの方が一軒家よりも負担額の見通しが立てやすいというメリットがあります。
ただし、マンションは自分の意志だけで修繕できず、管理費や修繕積立金が値上がりする可能性もある点は理解しておきましょう。
■マンションと一軒家、日常生活の利便性はどっちが良い?
マンションと一軒家で、普段の生活の利便性に違いがあるかを比較してみます。
立地
エリアによっても変わってきますが、通勤通学に便利な駅周辺には徒歩5~10分圏内にマンションが建つ傾向があります。
また、再開発が進む地域で新築分譲マンションが建設される場合、住民向けに商業施設や医療施設、公共施設なども併せて建設されるため、生活利便性が高くなります。
一方で、駅から少し離れたエリアは、一軒家や団地が多い傾向があります。
昔から住宅街として知られるエリアであれば、中古物件も豊富で選択肢が多い点がメリットです。
ただし、駅から徒歩10~20分以上の物件も多くなるため、できるだけ駅の近くが良い場合はマンションの方が適しているかもしれません。
サービス
大規模なタワーマンションなどでは、コンシェルジュが常駐していてさまざまなサービスが充実している物件もあります。
〈マンションのサービスの例〉
- ・24時間ゴミ捨てOK
- ・書留OKの宅配ボックス完備
- ・コンシェルジュでの宅配便・郵便サービス
- ・ディスポーザーなどの家電が標準 など
一軒家では個別に設置費用がかかるものでも、マンションなら便利なサービスや設備を自由に使い続けられます。
ただし、サービスが充実している分、物件価格や管理費が高くなる傾向にあります。
検討しているマンションのサービス内容を事前に確認しておかないと、自分には不要な設備のために高額な管理費を支払い続けることになってしまう点に注意が必要です。
■マンションと一軒家、安全性はどっちが高い?
防犯(セキュリティ)
警察庁の調査によると、令和5年の侵入窃盗の発生場所で最も多かったのは「戸建住宅(30.5%)」という統計が出ています。次いで「一般事務所(9.7%)」「共同住宅の3階以下(7.3%)」となっています。
オートロックや監視カメラ付きで管理人が常駐していることも多い高層・大規模マンションの場合は、侵入窃盗のリスクをより抑えられます。
一軒家に住む場合は、防犯カメラや防犯ガラス、鍵付きの雨戸を設置するなど、自分自身でセキュリティ対策をする必要があります。
プライバシー・防音
マンションでは、同じ建物内に住人がいるため、上階の足音や隣の部屋の生活音などが気になる可能性があります。
また、マンションごとに洗濯機の使用時間帯や楽器演奏等の可否など、騒音への配慮に関するルールが定められていることもあります。
一軒家の場合、周辺の家と一定の距離があるため、マンションのように音に気を使うシーンは少ないと言えるでしょう。ただし、家の外につながる窓が多いため、立地や方位によっては騒音を防ぐ対策が必要になる可能性があります。
■マンションと一軒家、住み心地はどっちが良い?
床面積の広さ
住宅の床面積は、一般的に一軒家の方がマンションよりも広い傾向にあります。
ただし、マンションは廊下や階段などのスペースが少ない分、生活動線の良い間取りが多いというメリットもあります。
また、コンパクトなマンションは目が行き届きやすく、基本的に平面なので掃除やメンテナンスのしやすさでも有利と言えるでしょう。
マンションと一軒家は単純に床面積の広さで比較するよりも、空間の使い方や暮らしにあった間取りかどうかを重視して検討するのがおすすめです。
リノベーションで自分好みのデザインや間取りに変更すれば、さらに暮らしやすい住まいが手に入ります。
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【予算1,000万円以内】一戸建てリノベーション実例9選を紹介
日当たり・風通し
一軒家は窓を全ての外壁面に設置できるため、日当たりや風通しの良い住まいを作りやすくなっています。
また、日当たりを確保しにくい立地でも、ハイサイドライトや中庭などプランニングの工夫で通風・採光を確保できます。
一方、マンションは太陽光の向きや角度を踏まえて、各部屋で採光が取りやすいよう工夫されています。
ただし、マンションで両隣に住戸がある中部屋は角部屋と比べて採光・通風が少なくなりがちなため、事前に住環境をしっかり確認する必要があります。
屋外空間
プライベートな庭や駐車場が欲しい方は、一軒家の方が向いています。
庭はお子さまやペットの遊び場、ガーデニング、家庭菜園、BBQなどさまざまな楽しみ方ができます。
さらに、隣家と適度に距離ができてプライバシーを保てる、日あたりや風通しを確保できるなど住み心地を良くすることもできます。
また、一軒家で敷地内にガレージやカーポートがあれば月々の駐車場代は不要で、マンションのように駐車場まで歩く必要もありません。
ペット
一軒家では基本的にペットを飼うのは自由ですが、マンションでは規約で飼えないケースもあります。
また、庭がある一軒家はペットにとって遊び場が多く、玄関からすぐに屋外(散歩)へも行きやすい点もメリットです。
ただし、近年マンションでペットを飼うケースも増えています。
大型犬を飼う場合など、一軒家の方がより適しているケースもありますが、猫や小型犬はマンションでもリノベーションすれば快適にペットとの暮らしを楽しめます。
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ペットと暮らす家のリノベーションのポイントもまとめていますので、以下のコラムも参考にしてくださいね。
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リフォームの自由度
一軒家は内装のリフォームだけでなく、外観を含めたスケルトンリノベーションや増築が自由にできるというメリットもあります。
一方マンションは、リフォーム時は管理組合の許可が必要なケースが多く、玄関ドアや外壁側の窓など共用部分は変更できないため、一軒家より自由度は低めです。
家族人数やライフスタイルの変化に合わせて増築、減築で床面積自体を変更して住み継ぎたい場合は一軒家の方が適していると言えます。
マンションと一軒家は、それぞれにメリット・デメリットがあるため、どちらが良いか一概に決めることはできません。
現在の状況や将来の希望を踏まえて、予算や住環境、売却しやすさなど住まいの条件に優先条件を付けて検討するのがおすすめです。
■老後に住むならマンションと一軒家どっちがおすすめ?
老後の暮らしやすさという視点では、マンションは住戸内に段差が少ないため移動が楽で、管理の負担も少ないというメリットがあります。
また、マンションは駅や商業施設が近いなど生活利便性の高い物件の選択肢が多いのも魅力です。
ただし高層階に住む場合はエレベーターの利用が必須で、災害時の避難しやすさなども事前にしっかり確認しておく必要があります。
一軒家は間取りの自由度が高く、個人の事情に合わせた介護リフォームも実現しやすいのがメリットです。
一方で、一軒家で住宅や庭が広すぎる、部屋が余っている家は掃除やメンテナンスの負担が増え、管理しきれないと老朽化を早める可能性もあります。
持ち家が二階建てなら、老後はお子さまが独立した後に平屋に減築リフォームするのも1つの手段です。また、一軒家を売却して立地の良いマンションに住み替える方法もあります。
老後を見据えて住まいを購入・リフォームするなら、将来どのような生活を送りたいのか、また、家という資産をどのように継いでいきたいのかを検討した上で選びましょう。
■まとめ
一軒家とマンションはどちらにもメリット・デメリットがあるため、現在の状況や将来のライフプランを踏まえて総合的に検討していくことが重要になります。
利便性やセキュリティ、維持管理の手間の少なさ、住み替えしやすさを重視する方はマンションが向いています。
一方で、プライバシーを気にせず暮らせるゆとりある住環境を重視する方や、家を長く資産として継いでいきたいという方は一軒家が向いていると言えるでしょう。
初めてのマイホーム購入でマンションと一軒家のどちらを選べばいいか分からないという方は、資金計画から物件選び、リノベーション工事までワンストップで対応できる会社に相談するのがおすすめです。
SHUKEN Reは、東京・千葉・神奈川で8,000件を超えるリノベーションを手がけてきた実績があります。
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