公開日:2024-01-31 更新日:2024-07-04
新築アパート投資の失敗パターンと対策|中古アパート+リノベーションでリスク回避
不動産投資や相続した土地活用で根強い人気を持つ新築アパート投資。
新築アパートは入居率や家賃収入の高さが魅力ですが、初期費用が高額になり資産価値の下落幅が大きいといった失敗リスクもあります。
この記事では、新築アパート投資の失敗リスクと具体的なパターン、対策をセットで分かりやすく解説します。
また、新築アパートのリスク対策が難しい場合の中古アパート投資についても解説しますので、これから不動産投資を始める方はぜひ参考にしてください。
・入居率低下や金利上昇など、新築アパートの失敗の原因になることが多いポイントを把握しましょう。
■新築アパート投資は失敗リスクが高い?
新築アパート投資は安定した収益が期待できる一方、中古物件より失敗リスクが大きいポイントもあります。
特に失敗リスクとして挙げられることが多い、3つのポイントを詳しくチェックしましょう。
失敗リスク① 初期費用が高額で回収に時間がかかる
新築アパートは中古物件より初期費用が高額になり、利回りが低いため投資回収までに長い時間がかかる傾向があります。
初期費用が高額になると月々のローン返済負担が大きくなり、ちょっとしたトラブルや予期せぬ出費でキャッシュフローが悪化して経営に行き詰まるリスクが高くなります。
また、投資回収までの期間が長くなると、築年数による建物の劣化や家賃相場下落、地域全体の賃貸需要低下などの失敗リスクも発生します。
失敗リスク② 過去の経営データがない
中古アパートと異なり、新築アパートは過去の経営データを物件選びの参考にできないのも失敗リスクの1つです。
中古アパートはレントロール(家賃明細表)で、現在の入居率や賃料収入などのデータを見て収益性を確認できます。
しかし新築アパートは過去の経営データがないため、収益性についての判断が難しい傾向にあります。
新築アパートは入居者の目に留まりやすいものの、地域の需要や賃料相場を正しく把握しないと確実に収益を上げられるとは限りません。
失敗リスク③ 資産価値・家賃の下落幅が大きい
新築物件は資産価値や家賃相場の下落幅が大きく、経営計画や出口戦略が難しい点にも注意が必要です。
アパートの資産価値や家賃相場は築年数とともに下落していきますが、特に築10年頃までの期間は下落幅が大きいと言われています。
参照:三井住友トラスト基礎研究所 経年劣化が住宅賃料に与える影響とその理由
資産価値が大きく下落すると、売却益で投資回収するのが難しくなり、出口戦略の選択肢が狭くなります。
また、経営を続けるにあたっても、家賃収入が減少するためキャッシュフローが悪化する恐れがあるのです。
■新築アパート投資の失敗パターン
続いて、新築アパート投資における代表的な失敗パターンをチェックしてみましょう。
利回り通りの収益を得られない
利回りは新築アパートの収益性を判断する重要な指標ですが、表面的な数字だけで判断すると想定していた収益を得られず失敗するリスクがあります。
アパートの表面利回りは、「年間家賃収入÷建築費(取得費用)」で求められます。
しかし、新築アパートは過去の経営データがないため、想定通りにいかない可能性も考えられます。
また、新築として扱われる期間が終了すると、入居率や家賃相場が低下していくため、経営も厳しくなる可能性が高いです。
賃貸需要が変化して入居率低下
投資回収期間が長くなる新築アパートは、企業の撤退や閉校など、地域の賃貸需要が変化して失敗するケースも考えられます。
初期費用が高額な新築アパートは数十年単位のローンを組む場合が多く、経営中に地域の賃貸需要が変化する可能性は高くなります。
特に、少子高齢化が進み人口が減少しつつあるこれからの日本では、経営期間が長くなるほどリスクも大きくなるでしょう。
入居者トラブルや家賃滞納で収入減少
ローン返済の負担が大きい新築アパートは、入居者同士のトラブルによる退去や家賃滞納による収入減少も失敗の原因になりかねません。
マナーの悪い入居者が1人でも居ると、退去が重なり一気に家賃収入が減少してしまう可能性があります。
家賃滞納も長期間続くと大きな負担になり、強制退去の難易度も高いため経営悪化の原因になります。
金利上昇でローン返済が圧迫
変動金利でローンを組んで新築アパート投資をした場合、金利上昇で返済負担が大きくなり、経営失敗するリスクもあります。
- 借入金額:5,000万円
- 変動金利:5%
- 返済期間20年間
- 元利均等
- ボーナス返済なし
上記の条件でアパートローンを組んだ場合、総返済額は57,905,341円ですが、仮に10年後に金利が1%上昇した場合、総返済額は59,349,375円に増加します。
借入金額や返済期間が長くなるほど、金利上昇の影響は大きくなるため、経営悪化リスクも高くなるのです。
節税目的で投資して経営難
相続税・所得税・固定資産税などの節税目的で新築アパート投資する場合、肝心の経営計画がおろそかになり失敗するケースが多いので要注意。
新築アパートは現金より相続税を抑えられ、建築費用も減価償却費として経費計上できるため大きな節税効果が期待できます。
しかし、経営計画が甘く赤字を出してしまうと、トータルではマイナスになる可能性も考えられます。
また、減価償却期間が過ぎると節税効果が無くなり、税額が元に戻るため赤字に転落するリスクも。
サブリース契約で収益低下し赤字
一括借上げによる家賃保証を受けられるサブリース契約を結び、保証額を下げられたり打ち切られたりして赤字になり失敗するケースも。
サブリース契約では、ずっと同じ家賃が保証される契約を結ぶケースは少なく、入居状況に合わせて数年ごとに見直されるのが一般的です。
契約内容を誤認させてサブリース契約を結び、オーナーとトラブルになる事例も報告されています。
参考:消費者庁 サブリース契約に関するトラブルにご注意ください!
築年数が経ち修繕費が増加
新築アパートの修繕費は時間とともに増加していくため、見積もりが甘いと資金が足りなくなり経営失敗する可能性が高いです。
新築のうちは高額な修繕費用はかかりませんが、築10年前後で外壁塗装、20年前後で水まわり設備の交換など、徐々に増加していきます。
築年数が経つほど雨漏りや給湯器の故障など突発的な修理も増えるため、キャッシュフローが悪化するリスクが高くなります。
■新築アパート投資の失敗を防ぐ対策
前述した新築アパート投資の失敗を防ぐために、計画段階から次のような対策を取りましょう。
無理のない資金計画を立てる
新築アパート投資の失敗を防ぐためには、まず無理のない資金計画を立てることが大切です。
新築のうちは安定した家賃収入が期待できますが、突発的な支出が発生する可能性はあります。
返済がギリギリのローンを組んだり、頭金を入れすぎたりすると、予想外の出費が発生したとき運転資金がショートしてしまいます。
新築アパートだとどうしても資金計画が厳しい場合は、次の章で紹介する中古アパート+リノベーションで初期費用を抑えることも検討してみてください。
長期の修繕計画を立て費用を把握
ローン返済期間と所有期間が長くなる新築アパートは、長期修繕計画を立てて費用も経営計画に組み込みましょう。
外壁・屋根塗装、雨どい交換、内装の原状回復、水回り設備交換など、どのタイミングでいくら費用がかかるのか把握すれば、運転資金が足りなくなるリスクを回避できます。
建物の保守管理に詳しい施工会社や管理会社に相談して、なるべく詳細な修繕計画と費用を把握してください。
不動産投資やアパート経営の基礎知識を学ぶ
新築アパートに限った話ではありませんが、不動産投資やアパート経営に関する基礎知識をしっかり勉強することも大切です。
利回り・立地・ローン計画、新築アパート経営にはさまざまな知識が求められます。
不動産会社や建築会社のアドバイスも重要ですが、最終的な判断や責任はご自身にゆだねられます。
なるべく多くの知識を学ぶことで、適切な判断ができる可能性が高くなり、失敗の回避につながるのです。
地域の賃貸需要をしっかり調査する
物件選びの際に、対象地域の賃貸需要をご自身でしっかり調査することも重要な対策の1つです。
エリア内の人口や家族構成などを把握して需要にマッチする新築アパートを選べば、空室リスクを下げることにつながります。
自治体の人口データを見たり、jSTAT MAPのようなシステムで統計情報をチェックしたりするのが効果的です。
また、周辺の競合物件や企業・学校などをチェックしたり、最寄り駅の再開発計画を調べたり、将来的な需要の変化も確認したいポイント。
不動産会社や施工会社まかせにせず、必ずご自身の目で需要の有無を確認しましょう。
■中古アパート+リノベーションも検討しよう
ここまでご紹介した内容を見ても新築アパート投資に不安を感じる方は、中古アパートのリノベーションも検討してみてください。
コストパフォーマンスが高い中古アパートを選べば、フルリノベーションで新築同様に仕上げても初期費用を抑えられる可能性が高いです。
頭金やローン返済額を抑えて新築アパートと同じ水準の家賃収入を狙えるので、資金計画に余裕があり失敗リスクも軽減できます。
〈関連コラム〉
私たちSHUKEN Reは、中古アパート選びから一棟リノベーションまでワンストップ体制でサポートする専門店です。
多くの住宅改修で培ったノウハウを活かし、物件の状態や経営方針に合わせたリノベーション計画をご提案。
新築同様の仕上がりはもちろん、トレンドを採り入れた集客力の高いアパートづくりもお任せください。