公開日:2023-12-31 更新日:2024-07-08
寺リノベーションとは?改修や建て替えとの違い、費用の考え方やアイデアを解説
近年、老朽化した寺院の建て替えを検討する際、檀家さんの減少等により寄付金集めに難航するケースが増えているようです。
仏教徒・檀家数は年々減少傾向にあり、数億円規模となる本堂や関連施設の建て替え費用が大きな負担になっているのです。
そこで注目されているのが、既存の構造を活かして寺の付加価値や魅力を高めるリノベーション。
寺リノベーションは建て替えより費用を抑えつつ、ただの改修とは異なる付加価値をプラスできるのが大きなメリットです。
今回は、寺リノベーションの基本的な内容や費用相場、具体的なアイデアについてチェックしてみましょう。
・ライトアップやカフェ併設、学童開業など、お寺の魅力や価値を高めるリノベーションアイデアをご紹介します。
■寺リノベーションとは?
最近住宅業界で多いリノベーションとは、既存建物の性能や価値を高めることを意味します。
ただの改修で新築時の性能を取り戻すだけでなく、リノベーションによってさらに魅力的な建物に生まれ変わるのが大きな特徴です。
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お寺リノベーションも基本的な考え方は一般住宅と同じで、元々の建物を活かしつつ、現代のライフスタイルや信仰に合わせるのが主な目的です。
リノベーションは、改修や建て替えではできない付加価値や魅力を引き出せる可能性を秘めており、老朽化したお寺の新たな選択肢として注目を集めています。
■寺リノベーションのメリット
お寺リノベーションならではの魅力やメリットを具体的にご紹介します。
寺の歴史と魅力を後世に残せる
柱や梁などの構造物を活かせるリノベーションは、お寺が積み上げてきた歴史や建物の魅力を損なわず、後世に残せるのが大きなメリットです。
建て替えはお寺が丸ごと新しくなる半面、伝統や歴史を残すために現状維持してほしいという意見が檀家さんから出ることも少なくありません。
寺リノベーションなら、工事内容やデザインを調整して魅力を損なうことなくリフレッシュすることができます。
改修にはない付加価値や魅力をプラス
一般的な改修でもお寺の歴史や伝統を伝えることはできますが、あくまで新築時の状態に戻すのが目的となります。
一方、リノベーションなら付加価値をプラスして、よりお寺の魅力を引き上げることができます。
近年は寺と檀家さんの関係性や存在意義も変化しているため、リノベーションで新たな魅力や活用方法をプラスすることで活性化が期待できるかもしれません。
リノベーションでお寺の魅力を高めるアイデアは後半で紹介しますので、ぜひそちらも参考にしてみてください。
檀家さんの負担を軽減
葬儀やお参りの際の檀家さんの負担を軽減できるのも、寺リノベーションのメリットの1つ。
例えば、断熱性が低く天井が高いお寺の本堂は一般住宅と比べると寒いため、高齢の檀家さんにとって大きな負担となる可能性があります。
また、最近はお寺でもバリアフリーや車いす対応の需要が高まっています。
寺リノベーションで断熱改修やバリアフリー対応に取り組むことで、檀家さんの負担が減り離壇を防ぐことにもつながるかもしれません。
建て替えより費用を抑えられる
既存の構造を活かせるリノベーションは、建て替えより費用を抑えられるのも大きなメリットです。
本堂の建て替えとなると1億円前後の費用がかかるケースが多く、檀家さんからの寄付金を集めるのは簡単ではありません。
リノベーションなら既存建物の解体費用や材料費を抑えられるため、資金調達のハードルを下げられる可能性が高いです。
寺リノベーションと建て替えの費用相場は次の章で詳しく解説します。
火災や災害リスクに対策
築年数の古い寺を丸ごとリノベーションすることで、火災や地震による倒壊などのリスク対策になるのも意外なメリットです。
寺は木造建築物で火を扱うことも多く、古い電気配線が原因で火災が発生するケースも。
リノベーションで電気設備や配線を一新することで、老朽化による火災リスク軽減につながるのです。
また、リノベーションと同時に耐震補強工事をすることで、大きな地震が発生した際の破損・倒壊リスクを下げることができます。
最近はお寺を避難場所として活用する自治体が増えており、耐震補強工事によって災害時の拠点として地域貢献にもつながります。
■寺リノベーションと建て替えの費用について
お寺のリノベーション・建て替えを比較検討する際、一番気になるのは費用面ですよね。
リノベーション・建て替えどちらもお寺の規模や工事内容によって費用は変わりますが、基本的な傾向を解説します。
寺建て替えの費用
お寺の建築に対応できる職人や工務店は限られ、建て替え費用も一般的な木造住宅より高額になることがほとんどです。
建物の規模にもよりますが、本堂の建て替えとなると1億円以上の費用がかかるのが一般的。
仮に1億円の建て替え費用を100軒の檀家さんからの寄付でまかなうとすると、1軒あたりの金額は100万円と大きな負担になります。
檀家さんの数が多ければ金額は小さくなるものの、負担に感じて離檀の原因となるケースもあるようです。
寺リノベーションの費用
リノベーションでは既存建物を解体する必要がなく、土台や柱などの構造体を活かせるため、建て替えより費用を抑えることができます。
またリノベーションは、工事の内容や範囲を変えられるため、檀家さんの数や経営状況に合わせてプランと費用を調整しやすいのも大きなメリットです。
下記のコラムでは、アパートの場合を例に挙げてリノベーションと建て替えの費用相場を比較しているので参考にしてみてください。
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■寺リノベーションのアイデア
全国のお寺で採用されている、魅力的なリノベーションのアイデアをご紹介します。
新しいアイデアを盛り込むことで、今までにないお寺の利用方法が広がり、活性化が期待できます。
ライトアップ
桜や紅葉の時期などに本堂や庭園をライトアップしてお寺を利用する人を増やし、活性化につなげる事例が増えています。
リノベーションプランに照明計画を盛り込むことで、さらに建物や庭園の魅力を引き立てる効果も期待できそうですね。
サウナ
近年大きなブームが続いているサウナを採り入れるお寺も増えおり、「寺サウナ」として注目を集めています。
お寺の静謐な雰囲気とサウナは相性が良く、瞑想や座禅体験と組み合わせて仏教に触れる機会をつくっているケースも多いです。
境内にテントサウナを設置するケースが多いようですが、リノベーションで専用スペースをつくれば天候に左右されずいつでも利用できます。
敷地内に滝があるお寺なら、冷水浴として滝行を組み合わせるのも良いかもしれません。
店舗のような大型サウナではなく、家庭用サウナなら費用を抑えてリノベーションに組み込むことも可能です。
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学童保育
共働きにより放課後の子どもを預かってほしいという需要が増え、お寺が学童保育の場として活用される事例も多くなっています。
学童保育をきっかけに保護者の方とお寺のつながりができれば、法事やお墓の購入などのご縁を結ぶきっかけになるかもしれません。
学童は保育園や幼稚園より施設のハードルが低く、地域貢献にもつながるためリノベーションで対応する意義は大きいでしょう。
カフェ
リノベーションでカフェスペースをつくり、お寺の利用客を増やして活性化する事例も増えています。
住職がオーナーとしてカフェを直営したり、共同事業者を募ったり、運営方法もさまざま。
一杯のコーヒーがきっかけになり、お寺や仏教に興味を持つ方が増える可能性もあるかもしれません。
■まとめ
お寺の改修や建て替えには多額の費用がかかり、住職さんはもちろん、檀家さんにとっても大きな負担になります。
お寺のこれからについて考える際は、リノベーションでこれまでにない魅力や活用方法を付加することも大切です。
多くの人にとって魅力的なお寺のプランを考えることができれば、檀家さんからの寄付だけでなくクラウドファンディングで資金を募るなどの可能性も広がります。
リノベーションで魅力的なお寺をつくるためには、さまざまな建物の改修ノウハウを持つ施工会社に相談することが重要です。
私たちSHUKEN Reは、これまで多くの建築物の改修で得たノウハウを活かし、寺院のリノベーションにも柔軟に対応しております。
東京都の寺院や一般住宅はもちろん、店舗・オフィス・古民家など、幅広い分野の実績がございますので、どんなお寺リノベーションもお任せください。