公開日:2022-10-02  更新日:2024-07-04

リノベーションのプランニングで“できること”と”できないこと”は?

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図面

 

最近中古物件の人気がどんどん高まっている中、それらを購入・フルリノベーションし、まるで新築のような住まいにしたいという方が増えています。

 

確かに、関連雑誌やインターネットで様々な事例を見ると、新築と比べても遜色ない素敵なお部屋がたくさん出てくるでしょう。

 

しかし、一方でいざリノベーションをして「理想のプランにならなかった」と実感する方がいるのも事実です。

 

そこで、今回はリノベーションのプランニングで実現できることとできないことを解説します。

 

この記事のポイント
・リノベーションをする際には、新築とは異なり「できる工事」と「できない工事」があります。
・建物種別や工事内容によっては、リノベーション時にも確認申請が必要です。
・SHUKEN Reでは、東京・千葉・神奈川を中心に、物件選びからローン相談、プランニング、施工、アフターサービスまで丸ごとサポートさせていただきます。

 

 

 

■ マンションリノベーションでどこまで変えられる?

 

ヨーロピアンなマンションリノベ

 

リノベーションは、好立地の住まいが新築と比べて低コストで手に入れられる点がメリットですが、リノベーションをして「理想の住まい」に近づけたいという方も多いです。

 

ところが、一般の方の中には「果たしてどこまでリノベーションで変えられるのか」を知らない方も少なくありません。

 

まず、知っておかなくてはいけないのが、マンションの区分所有者がリノベーションで手をつけられるのは「専有部分」のみという点です。

 

専有部分とは、マンションの構造体であるコンクリート躯体の内側を指します。

 

ですから、天井・壁・床の“仕上げ材”およびその“下地”、“設備機器”などが該当します。

 

また、隠蔽されている電気配線・設備配管も専有部分となるため、それらの移動ややりかえは区分所有者が行います。

 

これを踏まえて、マンションリノベーションでは次のようなプランニングが可能です。

 

 

・ 間仕切り壁の撤去や移動

 

まず、コンクリート躯体に関わらない室内の間仕切り壁は撤去・移動が可能です。

 

ただし、古いマンションで「壁式構造」の場合は、間仕切り壁の一部もコンクリート躯体となっており共有部分として見なされる場合があります。

 

その場合は、手を付けることはできませんので、必ず施工会社に事前調査してもらいましょう。

 

 

・設備機器の取り替えや多少の移動

 

キッチンや浴室、トイレなどの設備機器は、取り替えることはもちろん、多少の移動なら可能です。

 

ただし、床スラブ(コンクリート躯体)から立ち上がっている大元の配管は移動できませんし、部屋の中にある柱型のパイプスペース(パイプシャフト)は共有部なので工事できません。

 

そのため、いくら移動ができると言っても、大幅な位置変更は難しいのです。

 

 

・床や天井の高さの変更

 

床スラブや天井スラブに傷をつけない限り、専有部内の床や天井の高さを変えることは自由です。

 

つまり、建築基準法に則っていれば床を土間にすることもできますし、スキップフロアを取り入れることも可能となります。

 

ただし、ここで忘れてはいけないのが「マンション管理規約」。

 

規約内では、床の遮音性を確保するために、床材の性能を制限したり、施工方法まで定めているところも少なくありません。

 

規約に違反すると、万が一それが露呈した際には是正工事を余儀なくされますので、きちんと遵守するようにしましょう。

 

 

・  壁・床下・天井裏の断熱性向上

 

スケルトンリノベーションで躯体が露わになった場合には、壁・床下・天井裏の断熱材を取り替えたり追加することもできます。

 

ただし、コンクリート躯体に穴を開けたり何かをビスで固定することは許されないため、工法は限られます。

 

しかし、古いマンションで角部屋もしくは1階の部屋の場合には、大きな効果が得られる場合も少なくありません。

 

気になる方は、フルリノベーションと合わせて断熱リノベーションを検討してみてください。

 

 

・ 電気配線・設備配管のやりかえ

 

専有部内であれば、電気配線や設備配管を全てやりかえることは可能です。

 

通常、マンション共有部の給排水管は20〜25年で大規模修繕工事の一環として更新されますが、専有部分の配管はその工事対象に含まれません。

 

また、電気配線も20〜30年で寿命を迎えますし、電話配線については古いケーブルのままですとインターネット速度に影響がでます。

 

スケルトン状態にせずに部分解体でも取り替えができますので、もし竣工当時から手付かずの状態であれば、やりかえることをおすすめします。

 

 

・ 内装のやりかえ

 

皆さんもご存知の通り、天井・壁のクロス張り替えや床材の張り替えなどの内装工事もできます。

 

ただし、先ほどもお話しした通りフローリングを張り替える際には、管理規約を守らなくてはいけませんし、躯体に直接壁紙が貼っている場合には、決して躯体を傷つけることがあってはいけません。

 

 

■ 戸建リノベーションってどこまで変えられる?

 

ダイナミックな吹き抜けにある明るいロフト

 

戸建住宅の場合には、専有部分・共有部分という概念がないため、耐震上問題がなく建築基準法に抵触しない限り、大抵のリノベーションが可能です。

 

 

・ 間仕切り壁の撤去や移動

 

木造住宅の場合、多少の間仕切り壁撤去や、移動、追加は可能です。

 

ただし、その際には必ず耐震性に問題がないか診断をしなくてはいけません。

 

また、必要に応じて梁や耐震壁の追加など耐震補強をする必要もあります。

 

ここで気をつけなくてはいけないのが、木造でも間仕切り壁を変えられない場合があるという点です。

 

ツー・バイ・フォー(壁式構造)の住宅は、間仕切り壁を含んだ壁そのもので耐力を保っているため、肝心の壁を減らしたり移動してしまうと耐震性能に影響を及ぼします。

 

 

・ 設備機器の取り替えや移動

 

戸建住宅においては敷地内の給排水管全てに手を付けることができるため、浴室を1階から2階に移すような大幅な変更も可能です。

 

ただし、動力を電気からガス、もしくは、ガスから電気に変える場合は付帯工事が発生する場合もありますので、その点についても予算を確保しなくてはいけません。

 

 

・ 床や天井の高さの変更

 

戸建住宅の場合も床や天井の高さは変更できますが、床組みや天井組みを大幅に変えなくてはいけない場合もあるため、大規模なリノベーションとなる可能性が高いです。

 

しかし、一方でマンションよりも可変性が高いため、吹き抜けやロフトを作ったり、屋根裏に収納部屋も作れます。

 

フルリノベーションを検討する際は、間取りを平面的に考えるのではなく、上下の空間関連性も見ながらプランニングするのもおすすめです。

 

 

・ 壁・床下・天井裏・開口部・屋根の断熱性向上

 

戸建の場合は、壁・床下・天井裏だけではなく、窓サッシや玄関ドアなどの開口部や、屋根の断熱性を向上することも可能です。

 

特に、屋根の断熱リノベーションをすることで、屋根裏の温度が安定し室内空間への熱伝導を食い止められるため、天井裏断熱よりも効果が高いことが分かっています。

 

遮熱塗料を塗る方法や、断熱材付きの屋根材を既存屋根の上から重ね葺きする方法など、比較的短期間でできるものもあるので、ぜひ合わせて検討してみてください。

 

 

・ 電気配線・設備配管のやりかえ

 

戸建住宅の場合も、リノベーションに合わせて電気配線や設備配管のやりかえを検討することをおすすめします。

 

特に、築年数の古い住宅の場合は、寿命が短い鉄製や鉛製の配管が残っている可能性も否定できません。

 

鉄製・鉛製配管の寿命は15〜20年、その後普及したステンレス鋼製配管の寿命も30〜40年ほどです。

 

古い配管を放置したままでリノベーション工事を進めると、後から漏水したり水質汚染する可能性が残ってしまいます。

 

電気配線についても同様で、古い配線を残しておけば漏電事故のリスクが高まります。

 

 

・ 内装のやりかえ

 

マンションと違って規約に縛られることはないため、基本的には思い通りにリノベーションできます。

 

ただし、近い将来キッチンやトイレ、洗面台などの設備機器の取り替えを予定している場合は、その際にも取り合い部分の内装補修が発生するため、その際に合わせてクロスや床材の張り替えをすると良いでしょう。

 

 

■ マンションリノベーションでできないことはある?

 

カフェスタイルのマンションリノベ

 

ここまでリノベーションのプランニングで実現可能な工事を紹介してきましたが、一方でどうしても新築とは異なり、施工不可能なものがあるのも事実です。

 

以下の工事を検討する場合は、管理規約に抵触する可能性が高いため、かなり注意が必要です。

 

 

・ オール電化

 

既存がガスと電気の併用である場合、オール電化にすることが難しい場合が多いです。

まず、最も難点となるのが「給湯器の設置場所」。

 

マンションの場合は、パイプスペース(パイプシャフト内)やベランダ壁面に給湯器が設置されているのが一般的ですが、電気式給湯器はガス給湯器よりも大型になるため、そもそも設置ができません。

 

また、オール電化にして電気容量を上げなくてはいけなくなっても、マンション全体の容量が決まっているため、各戸の都合でそれぞれが決められた容量を超えて契約することは許されないのが通常です。

 

 

・ ベランダ内の改修

 

「ベランダを人工芝敷きにして、テーブルセットを置いてくつろぎたい」などと思い描く方も多いですが、マンションのベランダは共有部なので一切の工事はできません。

 

床にタイルや人工芝を貼ったり、物干しを追加したり、物置を置いたり、壁を好きな色に塗り替えたり…、これら全てが管理規約違反になってしまう可能性があります。

 

ただし、すぐに移動できる物を置く分には許可されることもありますので、必ず管理規約を確認してください。

 

 

・ 大幅な水廻りの移動

 

そもそもマンションの場合は、大元の給排水管取り込み位置を変えられないため、あまり大幅な水回りの移動はできません。

 

万が一、建築的な条件をクリアして移動可能となった場合でも、管理規約で移動を禁止している場合もあります。

 

 

・ 換気設備の新設・追加

 

現行の建築基準法では、マンション・戸建問わず「24時間換気システム」の導入が義務付けられていますが、中古マンションの場合は新規で外壁に穴を開けて換気口を取り付けることはできません。

 

また、キッチンフード(換気扇)の位置が変わったことでダクト(空気を外に逃すための配管)が梁をまたぐようになった場合も、梁に穴を開けて貫通させることは禁止されています。

 

 

・ 光回線の引き込み

 

現代社会には欠かせないインターネット回線ですが、マンション全体で光回線の引き込みをしていなければ、各戸への導入はできません。

 

ですから、インターネットを利用する際は、既存の電話回線やケーブル配線を利用することになります。

 

インターネット速度にこだわる方は、事前に管理組合へ光回線が導入されているか確認しましょう。

 

 

・ 窓・玄関ドアの取り替え

 

窓サッシや玄関ドアも共有部であるため、個人での取り替えはできません。

 

ですから、断熱を目的とする場合は、既存サッシに干渉しないインナーサッシ(内窓)をつける方法がおすすめです。

 

ただし、大規模改修に伴って、管理組合として全戸の窓や玄関ドアを取り替えるケースはあります。

 

 

■ 戸建リノベーションでできないことはある?

 

構造体を残した戸建リノベ

 

戸建の場合はマンションと比べるとできる工事が多く、管理規約のような制限はありません。

 

ただし、大規模なリノベーションをする場合は、耐震性に配慮する必要があります。

 

また、建築基準法をより意識したプランニングも必要です。

 

下記の工事を希望する際は、設計者や施工会社にその可否を確認しましょう。

 

  • ● 大幅な増築
  • ● ベランダの追加や新設
  • ● 物置小屋の新設
  • ● 梁や柱の撤去を伴う間取り変更
  • ● 開口部の追加
  • ● 屋根材の変更 …

 

大幅な増築は、その建物の建蔽(けんぺい)率や容積率が変わってしまううため、法で規定された割合を超えてしまうような工事はできません。

 

庭に大きな物置小屋を建てる場合や、広々としたベランダを設置する場合、吹き抜け部を部屋にする場合も同様の問題にぶち当たる可能性があります。

 

そして、大規模な間取り変更に伴って、重要な柱や梁を撤去することは耐震性能上難しいため、慎重になる必要があります。

 

また、大きな開口部を追加したり、屋根材を重いものにやりかえようとする場合も、建物の耐震性能を落とす可能性があるため、事前の構造計算は欠かせません。

 

このように、建築基準法や家の耐震性に関わる制限があるため、それらを回避しながらリノベーションのプランニングすることが重要なのです。

 

 

■ リノベーションに“建築確認申請”は必要?

 

建築確認申請

 

まず、大前提としてマンションの専有部分をリノベーションする場合は、特に確認申請は必要ありません。

 

戸建住宅については、建物の規模や工事内容によって確認申請が必要となります。

 

主に申請が必要となるケースは以下の5つです。

 

① 3階建て以上・延べ床面積500㎡以下・高さ13m以下・軒の高さ9m以下の木造建築物における主要構造物の改修
② 2階建て以上・延べ床面積200㎡以下の“非”木造建築物における改修
③ ①に該当しない木造建築物における10㎡を超える増築
④ ①に該当しない木造建築物における10㎡を超える建物の新設
⑤ 延べ床面積200㎡以上のスペースの特殊建築物への用途変更

 

分かりやすく説明すると、以下のようになります。

 

  • ● 3階建て以上で大きい木造建築物の改修には申請が必要
  • ● 木造でない場合も、2階建て以上の大きい建物の改修には申請が必要
  • ● 2階建て以下の木造建築物の場合、10㎡を超える増築をする場合は申請が必要
  • ● 2階建て以下の木造建築物の場合、10㎡を超える建物を敷地内に新設する場合は申請が必要
  • ● 全ての建物に置いて、住宅の一部(200㎡以上)を特殊建築物に目的を変更する場合は申請が必要

 

(用語の定義)
第二条
(中略)
二 特殊建築物 学校(専修学校及び各種学校を含む。以下同様とする。)、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、市場、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、旅館、共同住宅、寄宿舎、下宿、工場、倉庫、自動車車庫、危険物の貯蔵場、と畜場、火葬場、汚物処理場その他これらに類する用途に供する建築物をいう。

 

つまり、一般的な2階建て木造住宅においては、大幅な増築などをしない限り確認申請は必要ありません。

 

ただし、だからと言って一般の方が「申請しない」という決断をすることは危険ですので、必ず設計士などに詳細を確認しましょう。

 

 

■ 理想の“ゴール”をイメージしながら物件を探すことも重要

 

リビング続きの開放的なベッドルーム

 

まっさらな状態にイチから建設する新築とは異なり、リノベーションにはどうしても工事内容に制限ができてしまいます。

 

ですから、頭の中で理想の住まいをイメージしていても、それが全て叶うとは限りません。

 

だからこそ、どんな住まいにしたいかという“ゴール”を見据えた中古物件探しが重要なのです。

 

しかし、リノベーションのプランニングまで見据えて物件選びをサポートできる不動産仲介業者はそれほど多くありません。

 

私たちSHUKEN Reでは、物件選びからローン相談、リノベーションの設計・施工、アフターメンテナンスまでを丸ごとサポートする「ワンストップ・リノベ」サービスをご用意しております。

 

東京・千葉・神奈川で中古住宅のリノベーションをご検討中の方は、ぜひご検討ください。

 

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■まとめ:できること・できないことを理解して物件探しをしましょう

 

リノベーションのプランニングでは、どうしてもできることとできないことがあります。

 

しかし、それらを前もって知っておくことで、より理想に近い住まいを実現することができるでしょう。

 

ポイントとなるのが、「物件選び」と「会社選び」。

 

イメージするマイホームを実現できそうな物件を選び、確かなプランニング力や施工技術のある会社に任せることが重要です。

 

SHUKEN Reの施工事例では、戸建住宅・マンション問わずフルリノベーションした事例を多数ご覧いただけます。

 

 

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