公開日:2022-03-08 更新日:2024-07-04
“24時間換気システム”とは?リノベーションで後付けできる?メリットから気になる注意点まで解説
突然ですが、真夏や真冬に窓の結露が気になったことはありませんか?また、「なんか空気がこもっている」「ペットの臭いが不快…」と感じたことのある人は少なくないでしょう。
そのようなお宅の場合は、部屋の“換気”が十分ではないかもしれません。
近年、これらの問題を解決するために導入されているのが「24時間換気システム」です。
今回は、24時間換気システムの概要やメリット、気になる疑問について解説します。
ご自宅のリノベーションについて検討している方は、今回紹介する内容を踏まえて、ぜひ24時間換気システムを取り入れてみてください。
目次
■ そもそも「24時間換気システム」とはどんなもの?メリットは?
「24時間換気システム」とは、窓を開け閉めしなくても常に室内の空気が換気される仕組みのことです。
主に下の機器を家の各所に設置します。
- ●常時給排気換気扇
- ●局所換気扇
- ●給排気グリル(給排気口)
まず、常時給排気換気扇とは、機器が強制的に常に給気と排気を行い、部屋の空気を入れ替える設備です。
窓を閉めた状態でも換気できるため、住宅密集地や都市部のマンション・戸建てにお勧めです。
局所換気扇とは、トイレや洗面室など、スイッチによって換気のオンオフが切り替えられる換気扇を指します。
そして、給排気グリルは電源がない換気口なので、室内外の気圧差によって自然と空気を入れ替えます。
これらの機器を適材適所に配置することで、部屋全体の空気が効率よく換気できるのです。
では、このシステムを取り入れるメリットはどのような点でしょうか?
メリット① シックハウス症候群の抑制・防止
シックハウス症候群とは、建材や接着剤に含まれる化学物質にアレルギー反応を起こしてしまう症状で、ひどい場合には死に至ってしまう場合もある危険な病気です。
「シックハウス症候群とは?」
新築やリフォームした住宅に入居した人の、目がチカチカする、喉が痛い、めまいや吐き気、頭痛がする、などの 「シックハウス症候群」が問題になっています。その原因の一部は、建材や家具、日用品などから発散するホルム アルデヒドやVOC(トルエン、キシレンその他)などの揮発性の有機化合物と考えられています。「シックハウス症候群」 についてはまだ解明されていない部分もありますが、化学物質の濃度の高い空間に長期間暮らしていると健康に 有害な影響が出るおそれがあります。
引用:国土交通省|快適で健康的な住宅に暮らすために−改正建築基準法に基づくシックハウス対策
原因となる化学物質の室内空気濃度を下げるには、何よりも換気が重要なので、24時間換気システムが最も有効な手段とされています。
特に比較的新しいマンションなど高気密な住宅においては、その効果は絶大です。
メリット② 結露の抑制・防止
冬に暖房を付けたり夏に冷房をつけると、外気温と室温の差で結露が発生して窓がビショビショになっているのを見たことはありませんか?
これは、室内の空気に含まれる水分が窓についたことで発生します。
窓だけではなく、壁紙の表面や壁内部などにも結露は発生し、カビやダニの原因になります。
これらの対策としても、24時間換気システムは効果的で、室内にこもった水蒸気を強制的に入れ替えることができます。
結露の発生をできるだけ防ぐことは、家を長持ちさせるためにも重要です。
メリット③ 花粉やPM2.5の侵入を抑制
いくら部屋の空気がこもっていても、花粉症の方ですと窓を開けることに抵抗がある方も多いでしょう。また、最近ではPM2.5による大気汚染も心配です。
小さなお子さんがいるご家庭では、一日中窓を開けておくことに不安を感じる方も少なくないはずです。
そのような場合でも、24時間換気システムさえあれば窓を閉めたままでも換気ができます。
最近では、換気扇や換気口のフィルターも高性能になっており、ホコリだけではなく花粉やPM2.5もしっかりとブロックしてくれます。
■ 換気方式は主に3種類
24時間換気といっても、その方法にはいくつかの種類があります。
給気と排気それぞれの方法によって、第一種換気・第二種換気・第三種換気に分類でき、それぞれ建物の用途によって使い分けます。
第一種換気 | 第二種換気 | 第三種換気 | |
〈給気〉 | 換気扇 (機械換気) |
換気扇 (機械換気) |
換気口 (自然換気) |
〈排気〉 | 換気扇 (機械換気) |
換気口 (自然換気) |
換気扇 (機械換気) |
最も換気能力が高いのが第一種換気で、元々は工場や車庫などに取り入れられていましたが、最近は住宅にも導入されています。
一方、第二種換気は外気を換気扇で室内に取り入れ、排気は自然の力で徐々に行う方法で、住宅においては最も一般的です。
ただし、極端に湿度が高い家ですと湿気がこもる可能性もあり、結露防止にはあまり効果がありません。
そして、最も低コストなのが第三種換気ですが、こちらは気密性の低い住宅の場合には、あまり能力を発揮できないというデメリットがあります。
■ 建築基準法で設置が義務化されている?リフォームの場合は?
平成15年7月1日改正された建築基準法によって、シックハウス対策に係る法令が制定され、これによって、居室内における化学物質の飛散する目的で、24時間換気システムの導入が義務付けられました。
ホルムアルデヒドを発散する建材を使用しない場合 でも、家具からの発散があるため、原則として全て の建築物に機械換気設備の設置が義務付けられ ます。
例えば住宅の場合、換気回数0.5回/h以上 の機械換気設備(いわゆる24時間換気システムなど) の設置が必要となります。
※換気回数0.5回/hとは、1時間当たりに部屋の空気の半分 が入れ替わることをいいます。
引用:国土交通省|シックハウス対策のための規制導入 改正建築基準法
ただし、これはあくまでも新築や増築、大規模なリノベーションなど、自治体による完了検査が入るケースのみに適応されます。
つまり、既存の住宅や、設備機器の取り替えや内装工事など小規模なリノベーションの現場には義務化されていません。
しかし、そのメリットが立証されているため、既存のお住まいについても年々導入件数は増えています。
■ 「うるさい」「寒い」「電気代がかかる」というのは本当?解決方法は?
ご自宅に24時間換気システムを導入した方の感想を聞くと、「うるさい」「寒い」「電気代がかかる」というご意見をいただくことがあります。
これだけ聞いてしまうと、「設置するのは嫌」と思ってしまうかもしれませんが、これらの問題を解決するのは決して難しくありません。
そこで、ここではそれぞれの問題についての対策を紹介します。
その① うるさい
24時間換気は基本的に換気扇を付けっぱなしにするため、ファンの音が気になって仕方ないという方もいます。
しかし、機器が正常な状態であれば、それほど大きな音はしません。
音が気になってしまう原因は、次のようなことが考えられます。
●メンテナンス・掃除不足
●故障している・機器の寿命
●初期設定が合っていない
まず考えられるのが、きちんとお手入れしていないケースです。
換気扇のフィルターには空気中のホコリやチリが溜まるため、定期的な掃除やフィルター交換は欠かせません。
こまめなお手入れをおろそかにしてしまうと、モーターに負荷がかかって大きな音を出してしまったり、フィルターの目詰まりによって排気する際に空気音が気になってしまいます。
そして、さらにそのまま手入れをせずにさらに放置すれば、故障して異音を放ち始めます。
盲点なのが初期設定のミスです。
新規で取り付けた場合は、特に指定しない限り換気能力は「中レベル」に設定されています。
小さいお部屋の場合、それでは能力過多かもしれません。
必要以上に換気扇が回っていると、強風のような音がしてしまいます。
あまりに音が気になる場合には、機器の設定を見直してみましょう。
ただし、この時逆に低く設定しすぎたり音が気になるからと電源を切ってしまうと、換気効果を発揮できません。
その② 寒い
壁につけられた給排気グリル(給排気口)に手を当ててみると、冷たい空気が出入りしている場合があります。
その場合には、適宜グリルの開閉具合を調節しましょう。
ただし、完全に締め切ってしまうと計画的な換気はできません。
調節しても冷気が気になる場合には、カバー付きの給排気グリルを検討してみてください。
その③ 電気代がかかる
24時間換気扇を回したままにするため、電気代が気になる方も少なくありませんが、結論から言うと「思ったより電気代はかかりません」。
最も電気を使う第一種換気についても、部屋数や広さ、システムによって多少上下するものの、月々の電気代は200〜800円程度です。
確かに安い訳ではありませんが、換気扇を付けずに結露が発生して建物を傷めてしまうリスクを考えると、決して損ではありません。
24時間換気システムのランニングコストについてもっと知りたい方は、下記のページをご覧ください。
Panasonic|24時間システム
■ まとめ:マンションにも戸建てにも24時間換気システムは必須
24時間換気システムは、今や新築住宅において必須アイテムとなっていますが、既存の住宅やリノベーション物件についても、取り入れるメリットが多い設備です。
新鮮な空気の中、気持ちよく生活できたりシックハウス症対策になるだけではなく、結露防止など住まいを長持ちさせるためにも欠かせません。
寒い、うるさいなどネガティブな意見もありますが、お手入れを心がけて正しく設定すれば、それほど気にならないはずです。
みなさんの快適な生活環境の整備や住まいの長寿命化のために、ぜひ24時間換気システムの導入を検討してみてください。
千葉県浦安の本店と東京世田谷のリノベショップのほか、オンラインでも相談を受け付けています。
お家づくりが大好きなスタッフがお話を伺いますので、どんな疑問やご要望もお気軽にご相談ください。お待ちしております♪
このコラムを見た人におすすめ
・マンションの結露対策は建物全体で考える|リフォーム・リノベの結露対策