中古住宅のリフォーム費用と注意点を築年数やタイプ別に解説
中古住宅のリフォームにかかる費用は、中古住宅の状態とリフォームの範囲により変わります。状態があまり良くなく、内装や外壁塗装以外に、大規模な構造部の耐震改修が必要になると、費用が嵩みます。
ただ、同じ立地条件で比較すると、築浅である状態が良い中古住宅より手頃な価格で購入できます。
一方、築浅で状態が良く大規模な改修は必要ないが配管を移動したい、オール電化にしたいというような場合には、耐震改修や断熱の費用は掛かりませんが、住宅のグレードアップの費用が嵩みます。
中古住宅購入とリフォームをセットで考える場合、両方合わせた費用を予算内に納めなくてはなりません。
中古住宅の状態によってリフォームにかかる費用は変わることを念頭に、自分達が望むリフォームをした場合にかかる費用とのバランスを見ながら、中古住宅を選ぶことが大切です。
・中古住宅のリフォームにかかる費用は中古住宅の築年数や状態によって変わります。
・リフォームの種類、交換する住宅設備機器の仕様や内装素材のグレードを上げると費用が嵩みます。
・オール電化にしたい場合は、ランニングコストについて十分に検討してから導入を決めることが大切です。
Contents
中古住宅のリフォーム費用を増減させる3つの要素
中古住宅リフォームの費用は、①購入する中古住宅の状態 ②リフォームの方法 ③リフォームの内容によって変わります。
中古住宅の状態
購入する中古住宅の状態は、築年数が分かりやすい目安ですが、同時に今までの住宅の扱われ方によって、同じ築年数でも状態は大きく変わります。
複数の子どもを子育てしていた住宅と、ご夫婦だけで暮らしていた住宅、こまめにメンテナンスや部分的なリフォームをしていた住宅としていなかった住宅、掃除が行き届いていた住宅とそうではなかった住宅などたくさんの理由があります。
内覧の際には築年数だけではなく、今までの暮らし方によって生まれている違いを見極めることが大切です。
築年数別に違う?リフォーム予算・費用相場
ここでは一般的な暮らし方をしていた場合の築年数によって発生するフルリフォーム費用を増減させる要素を見ていきましょう。
築40年以上の中古住宅はスケルトンリフォームで新築同様にできる
築40年以上でいままでにほとんどリフォームがされていなかった場合は、外壁、屋根、内装、給排水管がすべて老朽化しています。
また、現在とは違う耐震基準で建てられている為、構造自体にも耐震性の不安がありますが、断熱施工の不十分さによる内部結露による腐朽やシロアリ被害から構造部が地震に耐えられない状態になっている恐れもあります。
加えて、断熱に対する意識や知識の低かった時代に建築されているので、省エネとは程遠い断熱性であることがほとんどです。
また、現在はリビング中心で家の中を細かく区切らない間取りが人気ですが、この時代の間取りは居室が細かく分かれている、和室が多いなど、現代のライフスタイルに合わない間取りであることが多いです。
このような住宅であってもスケルトンリフォームをすると、全ての問題を解消できます。
スケルトンリフォームとは構造部以外はすべて取り除くリフォームです。
このリフォームにかかる費用は一般的な30坪程度の住宅では2000万円程度です。住宅設備機器や内装の素材などのグレードを上げると2500万円以上かかることもあります。
築30~40年の中古住宅は内装と外装、給排水管のリフォームが必要
シロアリなどによる構造部の状態によって必要度は変わってきますが、この時代の住宅にも耐震改修が必要です。
断熱が十分にされていない住宅が多く、天井、壁、床、窓の断熱改修をする、外壁塗装をする、外壁以外は全て取り払って間取りと内装を変更するという方法をとると、窓の位置以外、配管の位置も含めて、新築のような自由度の高さでリフォームができます。
このリフォームにかかる費用は標準仕様の住宅設備機器や内装の素材であれば、1500万円程度です。グレードを高くする部分が増えると費用が嵩み、2000万円以上になることもあります。
築20~30年の中古住宅は大規模な改修が少ない
大規模な耐震改修や、配管の交換などをしなくても良い状態であれば、屋根の葺き替えと外壁塗装、クロスや床板の張替え、キッチンや浴室の住宅設備機器の交換といったリフォームをするだけで、新築のように生まれ変わります。
キッチンや浴室の位置は移動させない分、間取りの制限はありますが、標準仕様の住宅設備機器や内装の素材を選べば、1000万円前後でできるケースが多いです。
築10~20年の中古住宅は部分的なリフォームと住宅設備機器の交換
住宅設備機器の耐用年数は、設備機器の種類によって異なります。
減価償却資産の耐用年数表によると給湯器、衛生設備、ガス設備は15年となっていますので、システムキッチン、バス、洗面所、トイレなどは15年の分類に入ります。
ただ、実際に使い続けられる年数は、耐用年数を過ぎても20年程度まで使い続けるケースがほとんどです。
その為、20年に近くなっている場合には、住宅設備機器を交換する必要がありますが、その他には、間仕切壁の位置を移動する、内装の張替えをするなど、数百万円の費用でリフォームできるケースが多いです。
タイプ別・グレード別のリフォーム費用の違い
リフォームのタイプや住宅設備機器や内装の素材のグレードによって、リフォームの費用は変わります。
リフォームのタイプによる費用の違い
フルリフォームの種類にはスケルトンリフォームと配管の位置を変えないリフォームがあります。
スケルトンリフォーム
もっとも自由度が高い、構造部以外をすべて取り除くリフォームです。外壁を取り除くタイプと構造部と外壁は残すタイプがあります。
外壁を取り除くタイプには、窓の位置やサイズが変更できるという強みがありますが、どちらのタイプも、それ以外は高い自由度のリフォームができます。
配管が移動できるので水回りの位置を変えられ、新築同様に間取の制限がありません。変えられない部分は基礎の形だけです。
ただ、自由度が高い分、費用も嵩み、外壁を取り壊す場合には、一般的な30坪程度の住宅では2000万円程度、外壁を取り除かない場合には1500万円程度かかります。
配管の位置を変えないリフォーム
水回りの位置を変更せずそれ以外の間取りを変更し内装外装を一新するリフォームです。
中古住宅を購入してリフォームする場合、この方法が最も一般的です。
間取り変更の自由度は下がりますが、スケルトンリフォームと比較すると、1000万円程度で築年数や住宅の状態に応じて新築のように生まれ変わらせることも、もとの住宅の雰囲気の良さを生かしたレトロな内装にする楽しさもあります。
住宅設備機器や内装の素材のグレードによる費用の違い
どの方法でリフォームをする場合にも、住宅設備機器や内装の素材のグレードで費用が変わります。
住宅設備機器
システムキッチンやシステムバス、洗面台、トイレなどの住宅設備機器は、メーカーの違い、同じメーカーでも仕様の違いによって数十万円の差が出ます。全部合わせると数百万円の差額になることもあります。
システムキッチンやシステムバスなら30万円程度から100万円以上、トイレや洗面台なら10万円以下から20万円以上というような差があります。
オール電化
調理や給湯、冷暖房などを電気で賄うオール電化にしたいという場合には、一般的な住宅設備機器よりも費用が嵩みます。
IHクッキングヒーターのシステムキッチン、給湯や床暖房に使うエコキュートなどの導入、さらに太陽光発電まで加えると、300万円以上の費用がかかります。
オール電化や太陽光発電にはラニングコストが良いという意見も悪いという意見もあります。
特に太陽光発電は敷地周辺の環境や屋根の向きや傾斜角度によっても、得られるエネルギーの量が変わります。
オール電化にする場合は、リフォームを依頼する際に十分な説明を受けることが重要です。
クロスやフローリング
内装に使われるクロスやフローリングの素材選びによってもリフォーム費用は変わります。漆喰や珪藻土の塗り壁や無垢材フローリングなどの自然素材は最も費用が嵩みます。
塗り壁の種類や無垢材の樹種によっても変わってきますが、平均的に塗り壁には4,000円/1㎡、無垢材フローリングには10,000円以上/1㎡かかります。
一方、一般的な紙クロスは1,000円~/1㎡、織物クロスは,2000円~/1㎡程度、集成材のフローリングには10,000円以下/1㎡の製品もあります。
場所によってはビニタイルなどさらに安価な床材という選択肢も有ります。
中古住宅のリフォーム費用を抑えるポイントと注意点
中古住宅購入とリフォームをセットで計画する場合、中古住宅の状態によってリフォームにかかる費用が変わることを念頭に、自分達が望むリフォームをした場合にかかる費用とのバランスを見ながら、中古住宅を選ぶことが大切です。
その上で、リフォーム費用を抑える為の注意点のポイントを確認しておきましょう。
中古住宅の状態の見極め
どんなに低価格で中古住宅を購入できたとしても、耐震や断熱の改修、配管の取り換えなどで費用が嵩んでしまう点に注意が必要です。トータルするともう少しで新築住宅に手が届いたのでは?ということになってしまう恐れがあります。
耐震や断熱の改修、配管の取り換えは、必ずしなくてはならない改修なので、この部分にかかる費用は削れないからです。
その為、中古住宅を見学に行く際には、どの程度のリフォームが必要なのか、そのリフォームにはどの程度の費用がかかるのかということを見極めることが大切です。
住宅設備機器の選び方
システムキッチンやシステムバスなどの住宅設備機器は、毎年のようにメーカーがしのぎを削ってより機能的でおしゃれなデザインの新機種を発売します。
その為、どうしても高機能でセンスの良い機種を選びたくなります。
ただし、使い勝手や見栄えの良さが向上すると共に、数十万、選び方によっては100万円以上の差が出ます。
選び方が適切ではなかった為に、費用を抑える為に最低限の仕様にしたが使い勝手が悪かったということもあれば、ハイレベルな仕様にした結果、リフォーム費用が圧迫された上に、使わない機能も多かったというようなこともありますので注意が必要です。
そのような後悔が生まれないよう、製品への十分な下調べと実際にどの程度の機能が必要なのかということをシミュレーションしてみることが大切です。
内装の素材
壁も床も常に視界に入るので、内装の雰囲気に大きく影響します。色や柄、質感ももちろんですが、価格の差は室内環境にも影響が出ます。
自然素材の内装は室内の空気環境を良くしますが、安価なクロスの中には有害な化学物質を揮発させる製品もあるので注意が必要です。
全体の予算とのバランスを考え、住宅設備機器のグレードを標準にしてでも家族の健康に良い素材にしよう、ただし予算を抑える為に、フローリングの樹種は贅沢をせず無垢材の中で最も低額な樹種を選ぼう…といったように、優先順位を決めて住宅設備機器や内装の素材を選ぶことが予算内で希望を叶えることに繋がります。
まとめ
中古住宅には新築よりも安く購入できる、利便性の良い立地で見つけやすいというメリットがあります。
その一方、中古住宅の物件の見極めが難しいというデメリットがあります。
購入してから耐震や断熱の改修に高額な費用がかかることや、間取り変更の自由度が低く理想の間取りにできないことなどが分かったというようなことになる恐れがある為です。
こうした注意点を踏まえて中古住宅の見極めをするためには、物件の現状を分析し、実質的な耐用年数などを割り出す必要があります。この作業は専門家でなければ難しい面が多々あります。
そこで最も効率よく中古住宅を購入して確実なリフォーム計画を進めるためには、専門家の手を借りるという方法が理想的です。
専門家の手を借りることによって失敗のない中古住宅購入と理想のリフォームが約束されるからです。
まず、中古住宅を選ぶ際には、一般消費者では見極めることが難しい点を見極められます。次に、中古住宅購入後は、中古住宅の状態に合わせた最適な改修、水回りの位置は変えずに叶える理想の間取りの作成などが、家族の希望と予算に合わせて進められます。
その結果、購入する中古住宅の選び方でリフォームの仕方が変わると共に、完成時の満足度、納得感が変わります。
理想のリフォームの内容を伝えた上で専門家といっしょに中古住宅探しをすると「理想のリフォーム計画を進められる中古住宅」を見つけるまでの期間が短縮されます。
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家族だけで中古住宅を探してからさらにリフォームを依頼する会社を見つけるという方法は効率が悪い上に、予算オーバーになってしまったり、理想の間取りや内装にならなかったりする恐れがあります。
中古住宅購入とリフォームはセットで依頼するという方法が最も効率が良く失敗のない方法です。
中古住宅をリノベーションして家族の住まいにするという計画を効率よく進めるためには、物件探しからリノベーションまでを一括して依頼できる会社を探すことが早道です。
専門的な知識がないと判断し難い戸建て住宅の耐震性や、構造部の状態を把握した上での優良物件、家族の希望する間取りに変更可能な中古住宅に関する提案が受けられます。
提案された耐震や住宅の劣化状態に不安がなく、なおかつ理想の間取りが実現できる家の中から、家族が選んだ中古住宅を理想の家にする為の計画が作られていきます。
この方法であれば、後悔するような中古住宅を購入する心配がない上に、家族の暮らし方や価値観、好みに合った新しい住まいが実現します。
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