瑕疵(かし)とは

瑕疵(かし)

【瑕疵(かし)】

 

1. 概要

 

「瑕疵」とは、不動産や建築物における欠陥や不具合のことです。特に、購入時や引き渡し時に、買主が通常の注意を払っても発見するのが難しい「隠れた不具合」を指す場合が多いです。

 

  • 具体的な瑕疵の例

    • ・雨漏り、またはその痕跡

    • ・シロアリの被害

    • ・建物の主要な構造部分(基礎、柱、梁など)のひび割れや腐食

    • ・床下や壁の内部での給排水管の漏水、著しい腐食

    • ・建物の傾き

 

 

2. リノベーション購入時の最重要チェックポイント

 

中古マンションや中古戸建てのリノベーションにおいて、瑕疵の有無は予算計画と工事計画そのものを根本から左右する最重要項目です。

 

  • 予期せぬ追加費用の発生源

    もし購入後に瑕疵が発見された場合、デザインのためのリノベーション費用とは別に、瑕疵を修補するための高額な追加工事費用(例:防水工事、配管の全交換、シロアリ駆除、基礎補強など)が突然発生するリスクがあります。

 

  • 対策(インスペクション)

    このリスクを回避するため、物件の購入前に専門家による「インスペクション(建物状況調査)」を実施し、目に見えない瑕疵の有無をできる限り把握しておくことが極めて重要です。

 

 

3. 瑕疵が発見された場合の対応

 

  • 購入前の場合: 発見された瑕疵の内容と、その修補に必要な概算費用を基に、売主側と価格の交渉を行ったり、売主の責任で修補してもらうよう求める交渉材料となります。

 

  • 購入後(リノベーション中)の場合: リノベーションのデザインよりも、建物の安全性や耐久性に関わる瑕疵の修補を最優先事項として工事計画に組み込む必要があります。

 

 

4. 関連語(契約不適合責任)

 

  • 瑕疵担保責任から「契約不適合責任」へ 

    従来、「隠れた瑕疵」について売主が買主に対して負う責任を「瑕疵担保責任」と呼んでいました。しかし、2020年4月の民法改正により、これは「契約不適合責任(けいやくふてきごうせきにん)」へと変更・整理されました。

 

  • 契約不適合責任とは

    売買された物件が、「契約書に記載された内容(品質、数量、種類など)」と異なる(=契約に適合していない)ものであった場合に、売主が買主に対して負う責任のことです。

 

  • 中古住宅売買での扱い

    中古住宅の個人間売買では、売主がこの契約不適合責任を負う期間を「引き渡しから3ヶ月間」などと限定する特約が契約書に盛り込まれるのが一般的です。リノベーションを計画する際は、この契約内容と期間をしっかり確認しておく必要があります。

 

 

5. 関連語(瑕疵保険)

 

  • 既存住宅売買瑕疵保険
     インスペクションを実施し、一定の基準を満たした中古住宅が加入できる保険です。購入後に瑕疵が発見された場合、その修補費用が保険金で支払われます。

  •  
  • リフォーム瑕疵保険
     リノベーション会社が加入する保険で、工事後に不具合(瑕疵)が発生した場合の修補費用が保険でカバーされます。

 

6. 関連語

 

  • インスペクション(建物状況調査)

  • 契約不適合責任(けいやくふてきごうせきにん)

  • 瑕疵保険(かしほけん)

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