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この日おじゃましたのは神奈川県のKさま夫妻のお宅。以前は同じ沿線の賃貸マンションに暮らしていましたが、将来のことを考慮して住まいの購入を検討するようになったとか。
当初は新築マンションも視野に入れていたそうですが、「物件価格が高騰していることや、自分たちで“内側”を自由にできることから、中古物件を購入してフルリノベーションをするという選択肢もあっていいのでは」と思うに至ったそう。
奥さまがネットでリサーチするうちに、不動産仲介からリノベーションまでをワンストップで依頼できる会社の存在を知り、当社にもコンタクトをとってくださったKさま。「オンラインでお話を聞いたときの印象がよくて」と、当社をパートナーに選んでくださいました(ありがとうございます!)。
リノベでバルコニー側にあった和室を撤去して、2面採光の明るく広々としたLDKが実現したKさま邸。リビングの一角には、ご夫妻ともに好きな「Classic Pooh」のグッズのディスプレイコーナーがありました♪
ご主人のお仕事の関係でアメリカに駐在していたときに、現地で購入した「ロイヤルドルトン」の陶器のオブジェなど、なかには20年以上前に入手したものも。
箱に入れたまま保管していたものも多かったそうで、「この家で初めて全部飾ることができました」と奥さま。そんなお話がうかがえると、リノベ会社としてはうれしい限りです♪
1年かけてじっくり物件探し
じつはKさま、当社とご契約後、購入する物件を決めるまで1年以上を費やしたそうですが、その分、納得の物件購入となったのではないでしょうか?
築40年という部分は少し気になったものの、夫婦ふたり暮らしには十分な広さがあり、さらに、「土地勘のあるエリア」「駅が近く路線の利便性もいい」「病院やスーパーが近い」「新耐震基準のマンション」「管理が行き届いている」という部分が決め手になったとか。
ご主人のこだわりだった「駅からの道のりが平坦」という条件も見事にクリア! 今の暮らしだけでなく、20年先、30年先のことを見越した条件設定はさすがですね。
無事、購入する物件が決まり、リノベのプランニングがスタート。当初奥さまには、現在キッチンがある場所をWTC(ウォークスルークローゼット)にして、左手にある寝室からクローゼットを通過して白いドアの向こうの玄関へと、通り抜けができる間取りにしたいというご希望がありました。
いっぽうご主人は、奥さまの希望を踏まえて、現在ダイニングテーブルがある場所の奥のあたりにキッチンを移動して、LD側を向いて作業できる対面式キッチンにしたいという構想があったとか。
「ところが、配管の関係でキッチンを動かすのがむずかしいということがわかったんです。動かせたとしても床高が上がってしまい、もともと高くなかった天井がさらに低くなってしまうため、これらの希望はあきらめざるを得ませんでした」とご主人。
海外生活のご経験から「玄関と洗面室を広くしたい」というご希望もあったKさま。プランナーが頭をひねって代案を考えていたいっぽうで、奥さまが「キッチン」や「浴室」の型紙をトレーシングペーパーでつくり、それをご主人が図面の上にパズルのように載せて間取りを検討してくださっていたそうです。
試行錯誤のうえに、キッチンは既存の場所から大きく動かさないことにして、壁付けから対面式に変更。ご主人の希望だった、対面式のキッチンを叶えることができました。
料理担当のご主人が使いやすいキッチンに
プランナーとさまざまなメーカーのショールームを回り、システムキッチンは「トクラス」の製品をチョイス。「掃除がラク」という点を重視したそうで、シンクとワークトップにつなぎ目がないことのほかに、「ミーレ」の食洗機を入れられることが決め手になったとか。
Kさま邸では、毎日の料理はご主人の担当。在宅勤務が増えたのを機に担当をご主人にスイッチしたそうで、男性が使うことを考慮してプランしたため、「広くて作業しやすいです」とご主人はにっこり。奥さまも、「ずっと壁付けキッチンを使っていたので、反対側から使い終わったお皿を置いたりできる対面式の便利さを実感しています」
キッチン内部のこちらの壁面には、左側と下部に排水関係の配管が通っていますが、影響のない部分を活用してニッチ風の収納スペースを設置。棚板は可動式なので、ケースなどをぴったり収められます。
シンクのすぐ横のグレーの部分はマグネットが使える仕様に。「キッチングッズなどを自分の使いやすい位置に自由につけられるのが便利です」とご主人。旅行先で買ったおみやげのマグネットをたくさんお持ちだそうで、その一部もここに飾っています。
こちらはリビングの隣に設けた寝室です。ベッドはアメリカ駐在時代からの愛用品で、日本の規格よりも20センチほど長いことから、これまでの住まいは「このベッドが置けるかどうか」が選ぶ基準のひとつになっていたとか。事前にサイズが分かっていたので、左手にあるリビングとの間仕切り壁の位置をベッドに合わせて設定することができました。
ネイビーのアクセントクロスは、Kさまが見学された当社施工の物件を参考にされたそう。「濃いブルー系は安眠できそうで、わが家も絶対これにしようって決めていました」とご主人。
クロスと床材で各部屋をさまざまな雰囲気に
無垢材を贅沢に用いた挽き板フローリングを採用したLDに対して、寝室の床はグレーの木目柄のフロアタイルに。Kさま邸では、エリアごとに床材やクロスをカラーコーディネートして雰囲気を変えました。
寝室の窓辺には、真鍮色の室内干し用バーを設置。「リビングにつけることも検討しましたが、リビングに洗濯物が下がっているよりはこちらのほうがいいかなと思って」と奥さま。
寝室は全体としてカッコいい雰囲気にまとめたかった一方で、過剰にならないようにロマンチックな要素も入れたかったとか。そのため、室内干し用のバーとドアレバーには真鍮色を選んだそうです。
こちらはLDKからアクセスする洗面室です。サイズの融通が効いたことから、洗面台は「パナソニック」の製品に。左手にカウンターもあり、ゆとりが感じられるスペースです。
現在は在宅勤務が多いご主人ですが、以前はご夫妻で出勤前の身支度の時間が重なっていたため、「2人で並んで使える広めの洗面室」が絶対条件だったそう。今も休日に2人そろって出かけるときにこの広さが役立っているとか。
ユーチューバー御用達(!?)のリングライトのようなこちらは、LEDライトつきの拡大鏡。「サンワカンパニー」の製品です。海外のホテルなどで拡大鏡の便利さを実感し、ぜひ自宅でも使いたいと思ったそう。ご主人はひげ剃り、奥さまはメイクのときに重宝しているそうです。
洗面台の背面側の壁は、花柄のクロスでかわいらしい雰囲気に仕上げました。先ほどの洗面台側の画像に黒いタオルハンガーが写っていましたが、あえて黒を選んで、かわいらしさのある空間のアクセントにしたそうです。
洗面室の奥にある浴室は、ゆったり湯舟につかれるようにと「ワイド浴槽」にこだわって、「TOTO」の製品を採用しました。
なくても問題なしと考えたミラーやカウンターは付けず、シンプルに。「ワンプッシュの排水栓など、機能が進化しているのが新鮮で、いちいち感動しています」と奥さまは笑います。
玄関もKさま夫妻が「広さ」にこだわった場所。玄関ドアを開けると、ちょっとしたお部屋のような広さのスペースが目に飛び込んできて、とてもゆったりした気分に。「ゆっくりブーツを履いたり、ちょっとバッグを置いたり、雨でぬれた傘を干したりしたくて、広さが欲しかったんです」と奥さま。
家じゅうで引き戸が大活躍!
正面の白い引き違い戸の内部は大容量のシューズクローゼット。左手の戸袋スペースのある引き戸の奥はトイレです。トイレはあえて引き戸にして間口を広く確保。将来、介護が必要になったときに備えました。
寝室以外の扉はすべて引き戸を選んだKさま。省スペースのうえ、突然ドアが開いて体にぶつかる危険も回避できます。「開け放しておけるので掃除もしやすいですし、床にレールが出ない吊り戸にしたので、ゴミもたまりにくいです」と奥さま。
トイレの内部はグレーを生かしたスタイリッシュな雰囲気。今回のリノベでは予算の都合であきらめた設備もあったといいますが、フロートタイプのトイレ設備は「ブレずに採用できました(笑)」と奥さま。見た目も素敵ですが、なにより掃除がラクだとか。
洗面室と少し距離があるため、当初は予定になかった手洗い器も設置。こちらもフロートデザインにこだわりました。グレーのクロスに白い機器類が映えて素敵ですね♪
広い玄関ホールはWICも隣接しています。当初の奥さまのご希望だったWTCは制約があった関係で実現できませんでしたが、代わりに広いWICが実現!
WICの奥の部分には以前は浴室があり、左手奥の梁の下はデッドスペースになっていたそう。この場所をWICにしたことで、梁下にハンガーパイプを設置でき、スペースをフル活用することができました。
希望とは少し違う形になりましたが、衣類は一カ所にまとめてしまいたいという奥さまの希望が叶いました!
WICの床はネットで見た画像からヒントを得て、ヘリンボーン柄のフロアタイルに。Kさま邸では、エリアごとに床材を変えて異なる雰囲気に仕上げていますが、WICの床材選びのテーマは「遊び心」だったとか。
さらに、リビングはナチュラル、寝室はネイビーのアクセントクロスに合わせてカッコいい系、洗面室はかわいらしく、キッチンとトイレはすっきり――。そんなイメージで各スペースの床材を選んだそうです。
WICの入り口付近の構造柱の部分には、有孔ボードを設置してバッグの収納スペースに。その日使うバックを選ぶのが楽しくなるコーナーに仕上がりました♪
動線がスムーズな間取りがお気に入り
取材におじゃましたのはご入居からおよそ4カ月のタイミング。住み心地をうかがうと、「築40年の古い建物ですが、中はすごくきれいにしていただいたので快適です。廊下がほとんどない間取りになって、実際に暮らしてみると動線もよく、とても生活がしやすいですね」とご主人。
奥さまは、希望通りに広さを確保できた玄関や洗面室の使い勝手のよさを実感しているそう。特に気に入っているのは洗面室とトイレだそうで、「トイレは最初から希望していた設備が採用できたし、狭い空間にギュッと好みのデザインが集まっている感じが気に入っています」
ご主人にも気に入っているスペースをうかがうと、「やっぱり広い玄関と、自分がメインで使っているキッチンですかね。でも全体的に気に入っています」と、うれしいご返事をいただきました。
リノベを振り返って、「図面に描かれているものが立体になっていく過程を見られたのが印象的でした。新築マンションの場合はでき上がったものを購入するので、それがリノベーションの醍醐味かもしれませんね」とご主人。
「スイッチから何から1つ1つ選ばないといけないので、それが楽しみであり、苦しみでもありました(笑)」というのは奥さま。「クロスや床材のサンプルは色や質感の確認のために取り寄せることが多いと思うのですが、汚れの目立ちにくさや落としやすさなども確認するのがおすすめです」と、リノベご経験者ならではのアドバイスもいただきました。
ご入居後は、リビングのリクライニングソファに座って、ご夫妻でのんびりネット配信ドラマなどを楽しむ時間が増えたそう。
ユーモアあふれる楽しげな関係性が印象的だったKさま夫妻。海外生活など、長く一緒に歩まれてきたおふたりの絆が、物件購入+リノベでさらに深まったとしたら、リノベ会社としてとてもうれしいことです。
お忙しい中、取材・撮影にご協力いただき、ありがとうございました。
取材・文/ライター志賀朝子
撮影/カメラマン清永洋