Ingenuity
この記事の見所ポイント
- 物件購入は、通勤に便利な立地とリフォーム済みのきれいな印象が決め手に
- 天井の低さや使いにくそうだった間取りを解消して、広々と感じられる住まいにリノベ
- “住宅らしさ”を抑えるため、床と壁は同じトーンに
- LDKと寝室&廊下をガラスの建具で仕切り、奥行き感を演出
- 玄関横の洋室を丸ごと収納に。趣味のキャンプ道具をたっぷりしまえるスペースが実現。
物件購入からリノベーションまで当社にお任せいただいたOさま邸。この夏、ご入居から1年を迎えるタイミングでおじゃまさせていただきました!
国内外で長く商業施設などの設計やデザインに携わり、現在はデザイン会社のマネージャー職に従事されているOさま。Oさまの審美眼によってセレクトされた家具や小物が並ぶお住まいは、洗練されたホテルのようです。
通勤に便利な立地の中古マンションを購入
もともとこちらは、リフォーム済み物件として売り出されていた物件でした。以前暮らしていた賃貸マンションから当時の勤務先へは、車で通勤されていたとか。朝の交通渋滞に辟易していたことから、勤務先へのアクセスのよさが決め手になり、こちらの物件を購入することにしたそうです。
「何度か内見をしたのですが、リフォーム直後なのできれいで印象がよかったんです。新品の水回り設備をそのまま使えそうだったので、そのぶん居室部分に予算をかけられることも魅力でした」

既存のLDと隣接する洋室の間仕切り壁を取り払い、LDKは広々としたワンルーム空間に一新しました。右手のガラス建具付近に対面式に配置されていたキッチンは窓側に移動し、壁付けに。新品の状態だったキッチンは再利用し、扉材だけ空間になじむ色のものに交換しました。
旧知の仲の当社プランナーを“指名”
Oさまはもともと当社ともつながりがあり、Oさま邸を担当したプランナーとは旧知の仲。Oさま自身も“プロ”であることから、それぞれ意見を出し合いながら、50:50の関係でプランニングを進めたそうです。
「自身でプランしてリノベをしたKさん(担当プランナー)の自宅の様子を画像で目にする機会があり、それもリノベをしようかなと考えるきっかけになりました。彼とは好みが近く、自分が思い描く空間づくりが実現できるのではないかと、“指名”させてもらいました(笑)」
「キッチンを窓側の壁際に映すプランはKさんからの提案です。ちょっとびっくりしたのですがおもしろいなと思いました」。木製のルーバー扉は生活感を抑えたいというご希望から設けたもので、裏側には冷蔵庫とカップボードがあります。左側にスライドさせてキッチンを目隠しすることも可能です。

「リフォーム済み物件できれいだったとはいえ、天井が低くて掃き出し窓の高さもなく、とにかく圧迫感がすごかったんです」とOさま。「できるだけ広々と感じられるように」というのが、リノベの大きなテーマになりました。
既存の洋室があった場所は、家具を置いたり、プロジェクターを投影できるように壁面を確保。コーナー部分には本棚を造作してライブラリーにしました。学生時代から常にたくさんの本があり、引っ越しのたびに大変な思いをしていたそうですが、今回のリノベを機に1/3ほどに減らすことができたとか。

壁際のサイドボードとチェストは、どちらもデンマークのヴィンテージ品。「近ごろは収納を造り付けにするケースが増えている印象ですが、家具はインテリアのポイントにもなるので、リノベに合わせて愛着の持てるものを探してみてほしい」と、リノベ検討中のかたに、Oさまからアドバイスをいただきました!

こちらはLDKから玄関方向を見たところです。以前、キッチンがあった場所は寝室に変更。天井高を上げて間接照明を設置し、シックなホテルライク空間に仕上がっています。

LDKと寝室の間仕切りに採用した建具は、スリムなフレームが気に入った「ミラタップ」の製品。左側の1枚はFIX(はめ殺し)式にし、ゆるく視線をカットできるリブガラス入りに。中央と右側は引き違い式で、クリアガラス入りという特注仕様になっています。

ガラスの建具がLDKと寝室を仕切るだけでなく、LDKと廊下を仕切るリビングドアの役割も果たしているのがユニーク! これぞ“設計の妙”と言えそうです♪
LDKや廊下の床に長尺シート(塩化ビニル系のロール状の床材)を採用されたのもOさまのこだわりです。「床らしい色と壁らしい色でそれぞれを分けず、全体を同じようなトーンにして“住宅らしさ”を抑えたいという希望がありました。タイルなどと違って広い面積に使っても目地や継ぎ目が出ず、ローコストという魅力もあります」

寝室はLDKとゆるくつながりながらも、こもり感のある空間に仕上がりました。壁面のニッチは「ちょっと変わった感じにしたくて、ノリでつくりました(笑)」とOさま。「寝室はリラックスできることが大事」と、空間をやわらげるカーブを取り入れてみたそうです。

ホテルライクな雰囲気満点のヘッドボードはヒノキ材で造作したもの。当社が販売しているプライベートサウナ「SAUNAGE(サウナージュ)」で採用している国産材を使いました。ペンダントライトを低い位置に下げるアイディアも素敵ですね♪

寝室の床は、お住まいの中で唯一のフローリング仕上げ。「好きな模様なのでどこかに取り入れたかった」と、端を斜めにカットした板をV字形に組んでいく「シェブロン」のパターンで仕上げました。

寝室のちょうど向かい側には、廊下に面した形でワークスペースがあります。

既製品のキャビネットとなじむような素材&デザインでデスクを造作。こちらも、ラグジュアリーホテルのデスクやバーカウンターを思わせる洗練された雰囲気です。

もともとこの場所は洋室の一部でしたが、やや狭くて凹凸がある、活用しにくそうな部屋でした。洋室を丸ごと撤去して廊下にし、スペースのゆとりを生かしたワークスペースが実現しました。

リフォーム済みで新品の設備に交換されていたトイレはそのまま利用。内装も偶然、居住スペースの雰囲気と近かったため、手は入れずに照明だけ好みのものに交換しました。

そして、Oさま邸の見どころとしてはずせないのが、玄関横に設けたストレージです!「趣味のキャンプ道具が増えてしまって、以前の住まいでも1部屋を丸ごと収納にしていたんです。なので、今回のリノベでも1部屋を収納に使おうと決めていました」
キャンプ道具やアウトドア用品から受けるラフでカジュアルな印象に合わせて、内装もLDKとは少し変えてカジュアルテイストに。部屋のセンターに「無印良品」の収納ボックスに合わせたサイズの腰高の収納棚を造作して、上部は洋服収納に活用。ハンガーパイプは「上手工作所」のものを採用しました。

当初はストレージ全体を玄関のたたきと同じ床高にしたかったそうですが、下階への音の問題を考慮して、入り口から窓の前のみ一段下げました。それでも、キャンプから戻ったときに、玄関から台車をそのまま入れられるので、道具の片づけがとてもスムーズだとか。
余談ですが、Oさま邸はマンションの同じフロアの中で、「エレベーターにいちばん近い部屋」。キャンプ道具の搬入・搬出に便利なので、物件購入時はそれも決め手のひとつになったそうです♪

ストレージの廊下側の壁面は有孔ボード仕上げに。当初はキャンプ用品をディスプレイする場にしても…と思っていたそうですが、より実用的な形で活用中。よく使う外出用アイテムがすぐ手に取れて便利です。

奥の玄関と手前のストレージをつなぐアーチ開口。以前からこちらに遊びにいらしていたパートナーNさまは、玄関を入るとすぐ目に入るこちらのアーチにクギづけに。「すごくかわいいな~と。私、こういうのが好きかもしれないと思いました(笑)」
奥行き感のある“ちょうどいい感じ”の住まいに
当初、Oさまがひとり暮らしをするお住まいとして計画したため、おふたり暮らしとなった今、収納スペースが少し足りないといった問題が浮上しましたが、住み心地は上々とか。
「入居当時は仕事が忙しかったり転職をしたりで、落ち着いて住まいに向き合うことができていなかったんです。彼女が引っ越してくることになって、改めて荷物を整理したりするうちに、リノベでこだわった部分などが思い出されてうれしくなりました」とOさま。
「ガラスの建具で各スペースの“つながっている感”が表現できたので、狭いけれど狭くないというか、奥行き感のあるちょうどいい感じに仕上がりました。すごく好きだったルイス・ポールセンの照明をダイニングに採用できたのもよかったです」

今回のリノベでは、既存の窓の内側にインナーサッシを設置しています。Nさまは、室内の静かさや冷暖房効率のよさに驚いたそう。「交通量の多い道路が近くにあるのに、大型トラックが通る音などもまったく聞こえないんです。冷暖房が効きやすく、夏も冬も過ごしやすいのもうれしいですね」
ベージュ系の塗装壁もNさまのお気に入り。「遊びにきたとき、座ってほっと落ち着けていいなぁと思いました」

おふたりにとってこの新居は “断捨離”のいい機会に。荷物の保管サービスも活用しつつ、「『できるだけミニマルに』という今後の目標ができました」
いっぽうOさまからは、リノベ検討中のかたへのアドバイスとして、「収納はできるだけたくさん設けたほうがいいです」と、実感のこもったお言葉もいただきました!

リノベの際に、いずれペットを迎えられるようにと、寝室と廊下を行き来できるネコトンネルを設置済み。また、事前に育て方を勉強して、室内にグリーンを増やしたいというご希望もあるとか。
スタイリッシュな雰囲気はそのままに、Oさま邸はこれからも素敵に変化していきそうです。
お忙しい中、取材・撮影にご協力いただき、ありがとうございました。
取材・文/ライター志賀朝子
撮影/カメラマン清永洋



