デザインリノベーションなら
"SHUKEN Re"

INTERVIEW
お客様インタビュー|リノベのその後

Planner’s Home

この記事の見所ポイント

  • 当社のプランナー夫妻が子どもの誕生を機に物件購入×リノベ!
  • 内装はふたりの好みである「古めかしさ」がテーマ。ヴィンテージ家具が似合う空間に
  • 寝室やプレイルームとして使える小上がりは、間接照明やアール天井も見どころ♪
  • 掃除のしやすさや洗濯動線にも配慮して家事ラクな住まいに

 

アーチのふかし壁の“額縁効果”で、大きな掃き出し窓から見える公園の緑がとても印象的。こちらは当社のプランナーとして活躍中のKさん&Sさん夫妻の自宅です。

 

現在、妻のSさんは育児休業中ですが、普段はお客さまのご希望を叶えるべくリノベの設計業務に邁進しているふたり。設計のプロであるふたりの共同作品ともいえる自宅を、スタッフ一同、ワクワクMAXで訪ねました♪

 

 

Kさん&Sさん夫妻には、半年前に初めてのお子さんが誕生しました。おじゃましたのは入居から4カ月ほどのタイミング。「夫婦ふたりのときはごく普通の賃貸アパート暮らしで、子どもができたら家を持ちたいねと話していたんです」とSさん。

 

妊娠がわかると物件探しをスタート。条件にしたのは、ふたりが勤務する当社の浦安店へ30分圏内で、LDKのほかに寝室と子ども部屋が設けられる広さ、日中に照明をつけなくてもいい南向きの部屋のほか、子育てのしやすさなども重視されたそうです。

 

「里帰り出産をする予定だったので、物件の契約はもちろん設計まで終えて実家に帰りたくて、物件探しも設計も時間との闘いでした」とSさん。グループ会社の秀建エステートのサポートを受けながら、実質2週間ほどで千葉市内の中古マンションの購入を決めたそうです。

 

 

窓辺に2脚並んだチェアは、夫のKさんが新居に置きたいと思っていたというスイスの建築家ピエール・ジャンヌレのリプロダクト製品、「PH28」(Vレッグオフィスチェア)。チーク材とラタンが組み合わされた椅子で、V字形の脚が特徴的です。

 

「自宅の内装を考えるときに、この椅子がイメージのベースになったんです。この椅子をはじめ、自分たちの好みの品々を置いたときに違和感が出ないように、内装はちょっと古めかしくつくりました」とKさん。

 

 

冒頭にも登場したアーチ付きの窓辺は、照明をつけても素敵! Kさんいわく、設計時にいちばん頭を悩ませたのは照明計画だったそう。

 

「リノベのお客さまも同じだと思いますが、点灯したときの様子をイメージするのってむずかしいんですよね。照明計画は設計の最後のプロセスなので、今まで決めてきたプランを邪魔しないように計画する必要もあって、実際に点灯してみるまでちょっと自信がなかったです(笑)」

 

いえいえ、まさにイメージ通りに仕上がったのではないでしょうか!? ご夫婦がともにプランナーさんだと、どのように役割分担をしたのが気になりますが、「リーダーはどちらかというと私でした」と妻のSさん。

 

 

夫婦それぞれの意見をすり合わせて1つのプランに

 

事前に大まかな方向性を決めて、それぞれがプランを作成してスペースごとにすり合わせていったそう。照明のほか、アールなどの意匠的な部分はKさん、キッチンなどの実用的な部分はSさんのプランを採用することが多かったとか。毎晩、業務終了後にオフィスに残り、ふたりで夕食をとりながらプランニングを進めたそうです~。

 

 

リビングの壁際には、京都の古道具屋さんで購入したというヴィンテージのキャビネットが置かれていました。Sさんが産休に入る直前に、新居の家具選びのためだけに弾丸旅行を決行したのだそう。事前に選んでいたチーク材のフローリングとも相性抜群です。

 

先ほどKさんの言葉にあった「内装はちょっと古めかしくつくった」というのは、ふたりの好みのこんな家具が自然になじむようにということだったんですね。Sさんもふたりの共通の好みを、「ミッドセンチュリーのような、ちょっとレトロな感じが好きですね」と教えてくれました。

 

 

キャビネット側の壁は、夜になるとプロジェクターのスクリーン代わりに。まだ数回しか実現できていないそうですが、お子さんが寝た後に、正面にジャンヌレの椅子を並べて映画を観る時間がとても楽しいそう♪

 

「古いものがなじむ部屋」というほかに、もうひとつテーマになったのが「ごちゃごちゃしていてもさまになる部屋」。Sさんいわく、「きれいに完璧に片づけられていて、見るからにおしゃれ!という部屋には到底できないので(笑)、たとえ物が出しっぱなしでも、そのごちゃごちゃ感が『いいね』『落ち着くね』となればいいなと思いました」

 

 

リビングの天井の一部には織物風の紙製クロスを採用。こちらも、ジャンヌレの椅子のイメージが選ぶ際のイメージソースになったそう。ヴィンテージ感があって素敵ですよね。

 

ダウンライトは枠色が白のものが一般的ですが、“悪目立ち”しないようにと木目柄のものを選んだのがこだわりです。「床暖房を入れたので、ゆくゆくは天井にシーリングファンをつけて暖気を攪拌できるようにしたいですね」とKさん。

 

 

Kさん&Sさん宅の大きな特徴になっているのが、LDKとオープンにつながる小上がりです。こちらは主寝室として設けたそうですが、家族3人で休む寝室や、お子さんのプレイルームなどなど、その時々でフレキシブルに活用していく予定だとか。

 

当初はソファを置くことも検討したそうですが、「小上がりに組み込んでしまうほうがバランスがよさそう」と手前側にベンチシートを造作。本やCDなどを収めた様子が自然と部屋のポイントになるように、間仕切り用の腰壁は上部を本棚風に仕上げています。

 

 

造作のベンチシートの内部は大容量の収納スペース。今後、お子さんのおもちゃが増えても安心ですね♪

 

 

物件探しの際には、こちらの物件の天井の高さも決め手のひとつになったそう。天井高を有効に活用しつつ収納スペースも設けたいと、床下が収納になった小上がりのプランが生まれました。

 

収納といえば、大容量のWICも設けたKさん&Sさん邸。それでも、「普段出し入れしないものを、毎日フル活用するWICに置きたくなくて」と、来客用の布団や季節家電などを雑多に入れられる場所として床下収納を設けたそうです。

 

 

天井はシナ合板を使いたいというSさんと、アールをつけたいというKさんの希望を融合。アールの壁に間接照明をあてることで、照明の光が直接目に入らないようにしたのだとか。包まれるような安心感のある寝室に仕上がりました。

 

 

場所は変わって、こちらはリビングとひと続きのダイニングキッチンです。対面式キッチンを希望するかたも多い昨今ですが、対面式キッチンにすると壁側の背面収納の間口が広くなりすぎて無駄が生まれてしまうのと、リビングの広さが限定されてしまうため、壁付けのI型キッチンに。デザイン面では、キッチンとタイルが一面でコーディネートできるという点も壁付けにした理由の一つだそう。

 

手前側にはダイニングテーブルを造作。「食事中に急にスプーンが必要になったときなどに、座ったまま引き出しから取れるのが便利です(笑)」

 

 

システムキッチンは毎日の料理担当のSさんが主導権を握って選んだそう。「キッチンは間取り的にリビングの一部になるので、すっきりしたデザインのものにしたくて、いろいろ見た中からTOTOの製品を選びました」

 

「扉材はこちらのグレージュ系と空間のアクセントになりそうな淡いグリーン系で迷ったのですが、今後、植物の緑をアクセントにすることもできるので、なじませる方向のグレージュ系にしたんです」。なるほど~!

 

吊戸棚はTOTOのキッチンに合わせて造作。色味だけでなく、キッチンのそれぞれの収納の幅と吊戸棚の収納の幅を合わせるという点にもこだわったとか。

 

 

素材選びは家事の負担減も考慮

 

育休中の今は食器は手洗いしているそうですが、職場復帰したら食洗機をフル活用する予定だとか。コンロはサッと掃除できることを優先してIHを選んだとのことで、家事ラク対策も万全ですね。

 

 

家事ラクといえば、キッチンの壁を石目調のタイルにしたのも、掃除のしやすさや汚れの目立ちにくさから。掃除が大変な目地が少なくなるようにと、大判タイルを選んだのもポイントです。

 

 

キッチンのすぐ隣にはパントリーがあり、そのまま洗面室&廊下へと抜けられるつくりになっています。上の写真の右側の棚はキッチン家電に合わせた奥行きにして、家電のほか、食材や書類などの定位置に。

 

左側の棚は冷蔵庫に合わせた深めの奥行きにして、スーツケースや工具など、少し大きめのものをしまっておけるスペースにしました。ここだけ扉代わりのカーテンをつけたのは、「ゲストを招いたときなどに、ダイニングテーブルから雑多なものが見えないようにしたかったんです」

 

キッチン、パントリー、洗面室の床は、強度が高く店舗や公共施設などによく使われる長尺シートを採用。「もともと床材は明るめの色にしたかったのですが、水回りによく使われるフロアタイルは明るめの色だと継ぎ目が目立ちやすいんです。それなら継ぎ目のない素材で仕上げてしまおうと長尺シートにしました」

 

確かに、パントリーの内部から窓辺まで一直線に続く床材、美しいです!! これぞ設計のプロらしい素材選びですね。

 

 

パントリーはそのまま洗面室につながっています。既存の洗面脱衣室から洗面台を出して、新たに単独の洗面室として設けたのがこちら。

 

「洗面台は日々の暮らしの中で使用頻度が高いので、リビングからアクセスしやすくて、室温差も少ない場所に欲しかったんです。わが家の場合、洗面台に立つ場面と服を脱ぎ着する場面はあまりリンクしないので、洗面脱衣室にする必要性は感じなかったんですよね」とSさん。

 

造作した洗面台は、2人で並んで立てることを優先。コスト調整のため引き出しなどはつくり込まず、すっきりしたデザインにしました。おかげで椅子に座ってゆったりと身支度ができ、今後必要になりそうなお子さん用の踏み台も置きやすいつくりに。

 

 

水がかりに使ったタイルは、「これを見た時に、あっこれだ!とテンションが上がりました(笑)。排水スペースを確保する必要があったのと、ちょっとした小物が置けるようにしたかったので、少しだけ凹凸をつけました」

 

 

洗面台のすぐ横には、タオルなどをたっぷりしまえる物入れも設置。ここに収納スペースをしっかり設けたおかげで、洗面台をシンプルにすることができました。扉は通気性のいいラタン。リビングのイメージソースがこちらでもリピートされているのがさすが!です。

 

 

再びリビングに戻ってきました~。リビングドア手前の右側に見える開口部が洗面室で、リビング→ダイニングキッチン→パントリー→洗面室→リビングと、ぐるっと回遊できる動線になっています。

 

 

ここからは玄関からリビングドアの間のスペースを見せていただきましょう。正面のレトロな雰囲気が素敵なリビングドアは、Kさんがデザインしたもの。その右手前には、なにやらアーチのようなものが見えますが……

 

 

こちらは昔懐かしいボウルを生かした手洗いコーナーでした! 電球型のブラケット照明や赤茶色のタイルもレトロな雰囲気満点ですね。

 

 

ちょうど背面側にトイレがあるので、こちらはトイレ用の手洗いであり、廊下の途中にあるのでゲストに気軽に使ってもらえる手洗いでもありますが、そもそもは「このボウルをどこかに使いたい!」が設置のきっかけだったとか。

 

Sさんの過去の担当物件の解体時に出た廃材だったというこちらのボウル。かわいらしさにひかれて5年ほどSさんの実家で保管していたそうで、自身の自宅リノベで活用することができました♪

 

 

手洗いコーナーの奥は両側に枕棚とハンガーパイプを設置した大容量のWICです。右側の枕棚の上にはたっぷりスペースがあり、ハンガーパイプも上下2段に。「天井高が高めだった物件のよさを生かせました」とSさん。

 

現在は夫婦の衣類を収めていますが、将来的には手前のオープン棚も活用してお子さんの衣類も集約し、ファミリークローゼットとして使う予定です。枕棚とハンガーパイプは可動式にして、収納物の変化に対応できるクローゼットにしました。

 

 

WICのちょうど対面側には脱衣室があります。アーチの開口部がかわいいですね。脱衣室はランドリールームも兼ねているので、室内干しした衣類をWICにしまう動線がとてもスムーズです。

 

WIC、廊下、脱衣室の床材はサイザルカーペットをチョイス。空間としてもつながっている3つのスペースに統一感を出したいと、裸足が心地いいやさしい素材を選びました。

 

 

「脱衣室には洗濯物を畳むのに使えるカウンターが絶対欲しかったんです」とSさん。細かい部分ですが、室内干しや一時掛けに使える2本のハンガーパイプの高さや間隔を決めるのがとても悩んだのだとか。

 

カウンターの右側の壁にはへこみが設けてあり、いずれサーキュレーターや暖房器具を置こうと考えているそうです。

 

 

脱衣室の出入り口の扉は引き戸にしました。上の写真は引き戸を開けたバージョンで、引き戸を閉じると……

 

 

タオルやインナーなどをしまえる収納棚が登場! 出入り口の扉が収納扉も兼ねているんですね。洗濯物を畳む場所としまう場所が同じなので、片づけがとてもラクだとか。

 

「ひとつ誤算だったのは、扉のサイズに合わせて棚をつくる必要があったので、市販の収納ケースのモジュールと合わなくて、ギリギリのところでケースを3つ並べることができなかったことです(笑)」とSさん。確かにそれはくやしいですね~。

 

 

ユニットバスは、好みに合う壁パネルや硬めの床が決め手になり「LIXIL」の製品をチョイス。何社か回ったショールームでは、すべて実際に浴槽に寝そべってみたそうで、プランナーさんというより一般の施主さんと同じような目線で選んだそうです。

 

 

トイレは、タンクレスデザインと気持ち大きめの座面にこだわり、「LIXIL」の製品に。グレージュのクロスで落ち着ける空間にしました。

 

そして何より目を引くのは、ブラックカラーが効いた壁のアート! 夫婦でファンだというアーティストのRYU AMBEさんに依頼して、自由に描いてもらったものだそう。すでに設置してあった照明や棚板が、アートの一部として上手に生かされているのがわかるでしょうか?

 

 

こちらの壁には「Add color to your life」(あなたの人生に彩りを)という素敵なフレーズが描かれています。お子さんの名前をRYUさんに伝えたところ、その場で名前に関連のあるこちらのフレーズを描いてくれたそう。一生ものの記念になりましたね!

 

 

こちらは玄関です。もともと右側の壁面全体に靴箱やクローゼット造り付けてありましたが、たたき部分の収納は撤去して間口にゆとりを持たせました。代わりに置いたのが、リビングのキャビネットと一緒に京都で購入したテレフォンベンチ。電話台とベンチが一体化したユニークなヴィンテージ家具です。

 

 

「施主」になったことで新たな気づきも

 

見ごたえたっぷりの当社のプランナー夫妻の自宅リノベ、いかがだったでしょうか? これまで何軒ものリノベ設計を手掛けてきたふたりですが、今回、初めて「施主」となり、新たな発見もあったとか。

 

「内装材などの素材決めのプロセスで、お客さまに来週までに決めて来てくださいねと気軽に“宿題”を出していたのですが、いざ自分が決める側になってみたらなかなか決められないんですよ(笑)。価格感やバランスなどを把握している自分でもこんなに悩んだので、お客さまの大変さを改めて実感しました」とSさん。

 

 

Kさんが一番気に入っているのは、自身が中心になって設計をした小上がりの寝室。Sさんは洗面室とキッチンだとか。ちなみに、夫婦間でやりたいことが真逆で衝突した、ということはなかったそうですが、「ここはこう納めたい」「いや、そこまでやらなくてもいいでしょ」というような、細部のこだわり加減についての相違は多々あったそう。プランナーさん夫婦ならではで面白いですね。

 

 

「朝起きてここのカーテンを開けると、明るくて開放感があって本当に気持ちいいんです」とSさんはにっこり。

 

「住み心地は大満足で、“早く帰りたいと思える家”をつくることができたのがうれしいです。ただ、その家に毎日は早く帰れておらず悔しいのですが……」とKさん。

 

プランナーとしての経験を生かしながら、ふたりの好みである「古めかしさ」を存分に楽しめる住まいが完成。「好き」が詰まった住まいで、家族3人の暮らしがスタートしました!

 

お忙しい中、取材・撮影にご協力いただき、ありがとうございました。

 

取材・文/ライター志賀朝子

撮影/カメラマン清永洋