Make Dramatic
この記事の見所ポイント
- 居心地がいいだけじゃないドラマチックな自宅に。
- 機能と効率を追求し無駄をなくす設計。
- 当社が強みとする造作家具を活用した理想の住まいづくり。
- キャットウォークを生活空間に馴染ませ主張しすぎない猫ちゃんの家に。
- 建材を徹底的にこだわり細部から表現される全体の美しさ。
都内にあるAさまと猫のIくんのお宅を訪ねました。さりげなく置かれた素敵な家具や雑貨からAさまの審美的なこだわりの高さが伺えます。
以前から自分で好きな家を造ってみたいと思っていたところ、ご主人の地方赴任が決まったことをきっかけに物件の購入を決意。ご自宅は低層マンションでありながら高台に立ちバルコニーのある窓は南向きという好立地!視界を遮るものがなく、昼間は部屋の奥まで陽が入ります。
当社を選んでいただいたきっかけは偶然だったそうです。「以前、恵比寿にあったSHUKEN Reさんの事務所を通りがかった時に“めちゃくちゃ可愛い!”と思ったんです。テイストが好きだったし、造作家具に力を入れているのも魅力でした」とAさまから、とっても嬉しいお言葉をいただきました!
そんなAさまのリノベコンセプトは『ドラマチック』。
「帰宅して居心地が良いだけでなく、電気つけた時にドラマチックな生活が欲しいなって。旅行に行っているような、くつろぎたいけど好きなものを見てテンションが上がる空間を作りたかったんです。そうしたら、SHUKEN Reさんが“ドラマチック リノベーション”をコンセプトにしていて、まさに!と思って」それこそドラマチックな出会いでビックリ!
LDと寝室を緩やかにゾーニング
全体的にシックでまとめられたAさまのご自宅。雰囲気を決める壁については強いこだわりがあり、LDは塗り壁に。使用されている塗料はイギリス王室御用達メーカー「Farrow&Ball」。卵の殻のようなテクスチャーで、主張しすぎない上品な色合いが素敵です。
「気づいたら部屋全体の色がIの色になっていました。Iが可愛すぎちゃって(笑)」確かに、毛色のシルバーや瞳のグリーンはお部屋と一緒! AさまのIくんへの溺愛ぶりが感じられます。
LDと洋室の間にあった間仕切り壁を取り、洋室はAさまの寝室とWICになりました。寝室はあえて分けずにリビングと一体化させて圧迫感を減らし、アーチ枠を窓に見立ててアマゾンの絵柄の壁紙を貼りました。
ミューラルタイプの壁紙は絶対に取り入れたかったリノベの目玉で、輸入壁紙屋WALPAで見つけたフランス製のもの。インテリアと合わせてコロニアルシックに。
「オリジナルの壁紙は3メートルぐらいあるんですけど、どこで切るとどの動物が入るのかとか、アーチ壁の角度は何度がいいとプランナーさんにシュミレーションをしてもらいました」とAさま。
「ガラスのペンダントライトをつけると、表面の凹凸で生まれた陰影が壁に写って、波に反射した灯のようになるんですよ」ちょっとしたテイストの変化でゾーニングをしているのもポイントです。
備え付けのクローゼットや廊下側に扉があった収納スペースを全てWICにまとめています。広さが中途半端な収納スペースを集約したり、デッドスペースをなくしたりして、空間を最大限使えるようにレイアウトされているのもAさま宅の特徴です。「動線を考慮して収納スペースを考えました。必要な物が都合いい所に収まるように設置したので物が散らかりません」
WICとLDを仕切るのは壁でなく、造作のデスクや棚。「限られた広さしかないので、自分が好きなように空間を作るなら造作がいいのかなって」幅や高さに合う家具を探したり、家具に合わせて空間を作るのではなく、空間にぴったり合う造作家具を作っちゃうのもいいですよね。造作家具に強い点も当社を選んでいただいた理由なんだそうです。
土壁を思わせる「ソイルペイント」をあえてムラが出るように塗られていていることで、光の当たり方によって表情が変わるのが素敵。天井に伸びるWICの木軸をアクセントで黒にしたのはAさまのアイデアで、ハイセンスなこだわりが見られます。
見た目の美しさと使いやすさを両立
キッチンを全体的にセットバックし、LDを広げつつ十分なキッチンスペースを確保しました。「友達と集まって話をするのが好きなのですが、以前の住まいはダイニングテーブルを置くと窮屈でした。今は余裕ができたので問題なく座れています」
造作のL型キッチンのシンクは食洗機があることから小さめにし、作業スペースを広げています。さらに掃除のしやすさを考えシンクがシームレスになっているところもAさまのこだわり。見た目だけでなく、使い勝手やお手入れのしやすさも考えられています。
壁のタイルは、ショールームでいいなと思った全てのキッチンで使われていたという平田タイルをチョイス。実はタイル壁の上に隠し照明があり、夜につけると昼間とは違う姿を見せてくれます。
パイプスペースで動かせない柱には、目立たないようフラットに取り付けられたニッチがあり、インターフォンモニターなどが収められています。
Aさまが「完璧!」と当社のプランナーを褒めてくださったのはキッチン周りの収納。造作であることを最大限活用し、前後の引き出しを開けた時に重ならないよう計算され、引き出しの深さも全て収めたい物に合わせて設計されています。
LD側の腰壁も収納スペースがあり、デットスペースになりがちなコーナー部分も収納できるようになっています。面材は外壁でも使われる石材で、実用性、デザイン、面材の規格を考慮して、見切りの間隔や本数を考えられているのは流石です!
廊下の壁をセットバックし広げたり、造作の本棚やテーブルを設置したのは“ただの通路”にしたくないというAさまの考えから。「廊下の幅を広げて機能を持たせることで、一つの空間として使えるようにしています」
廊下にあったトイレの扉を無くし、横にある洗面室に入り口をつけたのも余計なスペースをなくすための工夫。これなら扉分の壁を有効に利用ができます。
洗面室に入ると正面にヘリンボーン貼りのタイルが特徴的な造作の洗面台が。入った瞬間「おしゃれ〜」と言っちゃうのはしょうがないですよね!「「乾いたイタリアの田舎のイメージにしようと思って、白やベージュをベースに床のタイルは赤みのある茶色が混ざった物を選びました」造作の洗面もシームレスにし、お手入れが簡単で綺麗が保てるようになっています。
造作のリネン庫は収納機能だけでなく、扉部分はアイロン台の役割も備えています。天井に取り付けられたアイアンバーに服をかければスチームアイロンもできて便利。アイロン台の出し入れする手間も省け効率がいいですね!散らからないとおっしゃっていたのも納得です。
リネン庫の下にIくん用のトイレがあります。猫ちゃんやワンちゃんがいるお部屋を多く手がけている当社のプランナーから提案させていただきました。
「猫トンネルが欲しいと話したら提案してもらいました。人目に触れませんし、換気扇が回っているし。本人も気に入っているみたいで、洗面室の扉が開いていてもわざわざトンネルを使うんです(笑)それを見て、ときめいています」
空間に自然にあるキャットウォーク
気づいたら全体的な色合いがIくんカラーになっていたり、猫トンネルを設置したり床材には猫が滑りにくい素材を選んだりとIくんラブなAさま。そんな話を聞いていて疑問が湧いてきます。
あれ?キャットウォークがない!?
ふと造作デスクの上を見るとIくんが!「天井部分が空いているのは風通しや彩光もありますが、Iが歩けるようにしています。一見そうとは見えないキャットウォークをあちこちに作っていて、猫がいる家には見えないと言われますが、ギミックが色々隠されていて、猫好きには大好評です。」機能性だけでなく空間に自然と溶け込ませているんですね!
玄関を入って左側にはお嬢さまのお部屋があり、お部屋と廊下の間仕切り壁には開口を設けています。玄関への彩光はもちろんですが、ここもIくんのお気に入りの散歩道になっています。
この部屋の開戸やWICのデッドスペースを見直したことで、キッチンのセットバックが可能に。以前より使えるスペースが増えクローゼットの収納量も増えています。「戸の枠やカーテンボックス、梁など、美しくないと思った凹凸は全部取っ払って、すっきりした空間にしました」ドア枠をつけずに壁とフラットにしている点も見た目の美しさへのこだわりポイントです。
Aさまの機能性への追求や審美的こだわりを感じさせる玄関も見応え十分。入って目に入るのは元々あった靴箱をなくして設置した造作ベンチです。「玄関をただ通るだけの場所にしたくなかったんです。ベンチを使って靴を履いたり、荷物置いたり、コートかけたり、絵を飾ったり色々できる場にしたかった」どこかで使いたかったというグリーンの名古屋モザイクのタイルは壁にヘリンボーンで貼りアクセントに。
「要所要所に設けた見切りを見てはときめいています(笑)」と自称見切りフェチのAさま。玄関にも廊下との間にお気に入りの真ちゅうの見切りが!「玄関のスレート調のタイルは好きなテイストでテンション上がります!」
見た目だけでなく掃除のしやすさを考慮した点もAさま邸のポイント。「そもそも汚れが溜まらない様に、天吊りの扉にしたり、玄関の段差をなくしたり工夫しています」
これまで出来なかったことが出来るように
旅行好きなAさまですが、今までは旅先でのお買い物は控えていたそうです。「素敵な物を見つけても、引越しありきの生活で買うことを我慢していたんです。これで、お気に入りを連れ帰ることができます!」
造作家具やキッチンのちょっとしたスペースなど、飾るところも考慮してリノベをしているAさま。これをどこに飾ろうかなんて考えながら旅行するのも楽しそう!
ダイニングテーブルに置かれていたモザイク画はなんとAさまの作品!そんなAさまの、これからのお部屋コーディネートも楽しみなところ。「リノベに関しては、自分がやりたいことは一通りやったので気が済みました。これからダイニングにライトを入れたり、徐々に作っていきたいと思います」これからどんどん素敵になっていくのが楽しみです!
人が大好きだというロシアンブルーのIくん。取材中も落ち着いていて、撮影する時はポーズをとってくれました。
お忙しい中、取材にご協力いただき、ありがとうございました!
取材・文/ライター淺見良太
撮影/カメラマン清永洋