公開日:2021-12-18 更新日:2024-12-18
リノベーションの間取りにも影響する構造の違いとは
部分的に修繕や改修を行うリフォーム。一方リノベーションは、間取りやデザインの変更ができるなど自由度が高いことが、最大の魅力です。しかし購入する中古物件により、間取りの変更などにも影響があることは、ご存知でしょうか。リノベーションの醍醐味を十分味わうためには、購入する中古物件の状況により大きく変化します。
今回は、中古マンションを購入する際に気をつけたい、「建物の構造」についてクローズアップします。
構造によってどのような違いがあるのか。そして最大限に活かす方法など、知っておきたい情報を集めました。これからのプランニングに、ぜひお役立てください。
コラムのポイント
・リノベーションの成功を左右するポイントのひとつが、購入する中古物件の状態と言われています。どのような違いが出るのかを知り、これからの家づくりに活かしていきましょう。
・施工実例などからリノベーションの楽しさを感じることができ、自分たちの住まいに対するシミュレーションを体感することができます。
リノベーションの自由度が変わるマンション構造
リノベーションの醍醐味は、家族構成やライフスタイルに合わせた「自由度の高い住まいづくりができること」です。新築とは違い、購入できる物件の数も格段に多く、自分たちの住みたいエリアや人気のあるエリアでも、購入できる可能性もアップします。また新築のマンションの場合、売り出しされる間取りはどれも同じで、「間取りに生活を合わせること」も多いのです。
構造の違いを知り、「生活に住まいを合わせる」ことができる!リノベーションの可能性をもっと広げていきましょう。
マンションに多い鉄筋コンクリート造とは?
日本のマンションの多くは、鉄筋コンクリート造(RC)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)などの耐火構造の建物です。その中でも 鉄筋コンクリート造(RC)が多く採用されています。鉄筋コンクリート造(RC)は、名前の通り「鉄筋で作った骨組みの周りを、コンクリートで固めた建物」を表しています。建物全体がコンクリートと鉄筋で強化されているため、「強化」を意味するReinforcedと「コンクリート」の頭文字を合わせて「RC造」とも呼ばれています。
マンションは一戸建て住宅とは違い、同じ建物の中にたくさんの住居が混在しています。コンクリートと鉄筋を掛け合わせることで、その良さをさらに伸ばし、弱点となる部分をお互いに補いあっています。また耐久性が非常に高いという特長を持ち合わせており、安全性の高い住まいを手に入れることができます。
鉄筋コンクリート造の基礎となる建て方の違い
見た目では同じように見える鉄筋コンクリート造のマンションも、主に二つの建て方によって支えられています。実際には「ラーメン構造」と「壁式構造」に分かれており、その構造によってもリノベーションの自由度にも変化が現れます。お互いにどんな特徴があるのかを解説していきましょう。
ラーメン構造
ラーメン構造の「ラーメン」とは、ドイツ語で「フレーム」を表しています。建物の構造の中で中心となるフレームを構成しているのは、隅にある大きな柱と梁です。どちらかというと建物を「線」で支えているイメージとなり、中高層マンションなどで多く用いられる構造です。
上の間取りのように太い柱で建物を支えていることから、部屋内の壁をほとんど撤去することが可能です。リノベーションによる間取り変更などの自由度が高い構造とも言えます。
※ただしコンクリートの間仕切り壁は、建物の耐久性に影響がある場合には撤去できません。
そのため間取りを大きく変更したい!などのご希望がある方は、ラーメン構造の中古マンションの購入をおすすめします。隅の柱の出っ張りは多少気になる部分ではありますが、自由度の高さから「ライフスタイルに合わせた間取りの創造」や「バリアフリーを考えた空間の創造」など、要望も叶えやすいでしょう。
BREWERY STYLE
上でご紹介した間取り図の施工実例となります。
「バーに暮らしているような家にしたい」というご要望から、都内某所の中古物件を購入。フルリノベーションを行いました。
磨き上げられたステンレスキッチン頭上、やや高めに設置された飾り棚に陳列するワインボトル、キッチンカウンターのグラスラック、バーボンや洋酒のミニチュア瓶、コルクのストック……。「バーといってもバーテンダーがいる、ほの暗いオーセンティックなバーというよりはむしろ、夜のカフェとかダイニングバー」を想像させてくれます。
グレイッシュなブルーとタイルの白で統一され、落ち着いた洗面所。壁を隔てたリビングスペースを確保するために、以前は三点ユニットのバスルームをシャワールームに改装しています。ラーメン構造の良さを最大限に活かし、使いたい空間へシフトする。リノベーションの醍醐味を、存分に味わえる住まいとなっています。
壁式構造
ラーメン構造が「線で支える」イメージならば、壁式構造は壁を活用し「面で支える」イメージの構造となります。柱や梁の枠組みの代わりに「耐力壁」と呼ばれるコンクリートの壁を用い、建物の安全性を保っています。
耐力壁は、縦や横からの力に強いという特長があります。この特長を活かし、強度の関係上、5階以下の中低層のマンションや建築物に利用される建物構造になります。
ラーメン構造との大きな違いは、壁全体で建物を支えているため、窓の追加や間仕切り壁や床の撤去などが行いにくい点です。そのため、今の建物の良さを活かしつつリノベーションをお考えの方に、おすすめです。撤去できない壁もあるこの構造ですが、「高い断熱性・防音性」「優れた耐震性」など、安定した性能を手に入れることができます。
NATURAL INDUSTRIAL
上でご紹介した間取り図の施工実例となります。
Nさんの「思い切りリノベしたい!インダストリアルな家にしたい!」という夢を叶えるべく、SHUKEN Reが提案したのは郊外の築34年マンション。
南側に広々したLDKを作ること・キッチンには収納たっぷり・家族みんなの靴とアウター、小物が置ける玄関を作ることなどの夢を実現しました。
キッチンの壁や洗面所の壁のタイルがとても印象的なこのおうち。特に人気の高い対面式ではなく、壁付キッチンと青いタイルのコーディネートは、奥さまたってのご要望でした。印象的なタイルを上手に使い、オリジナリティあふれるお住まいに仕上がりました。
どちらの構造でも、その特長を知り、活かすことで、より快適なリノベーションを実現することができます。住宅に求めたいこと。そして実現させたい目標を明確にすることで、その物件の持ち味を活かす方法はたくさんあります。ぜひその思いを、1度声にしてみませんか?
【関連コラム】:中古マンションのルームツアー|シンプル&おしゃれなリノベーション実例5選
大空間にリノベするなら、ラーメン構造がおすすめ
新しい住居を構えるなら、家族の顔をいつも見ることができ、広くて快適なリビングが欲しいという方も少なくはありません。しかし現在のマンション事情を考えると、最初から大空間のある間取りは、多くないのが現実です。
中古マンション購入×リノベーションであれば、自分たちの過ごしやすい大空間を創造することも可能です。ここでは広々空間を創造したリノベーション実例をご紹介しましょう。
TOKYO Residence
こちらは以前、LD、洋室など細かく区切られていた間取りをひとつのLDKに。視覚的にも広がりを感じられるよう工夫を施し、リノベーションで大空間を創造しました。
天井と床にはそれぞれの段差があり、そこから放たれるルームライトのほの灯りが、とってもムーディーな雰囲気を醸しています。建物の構造を活かしつつ、自分たちの思い描く空間を叶えるというリノベーションの醍醐味を、最大限に発揮しています。
マンチェスター・スタイル
こちらは、玄関側にあったLDKの位置を、リノベーションにより窓の多くある反対側へ移動しました。リビングには明るい日差しや風も入りやすくなり、広々空間の快適性をよりアップさせてくれます。テイストとしてはインダストリアルを中心に据えながらも、欧州的なテイストでまとめられています。
リノベのツボ。スチールドア&室内窓。
素材テーマの一つである”スチール”を使い、ガラス面を広く取ることで重厚感と開放感を表現しています。LDKの一角にある個室も、ひとつのインテリアとして空間を彩っています。
エントランスフロアとLDKを区切るドアは、天井まで届きそうな高さがあります。こちらはご夫妻が「絶対やりたい」と熱望されていたポイントで、お部屋全体のハイライトの一つにもなっています。
このように、空間全体を移動する。壁を撤去し大空間を創造するなど、方法は無限大です。自分たちの暮らしをもっと楽しくする!そんなリノベーションに、チャレンジしてみましょう。
【関連コラム】:中古マンションをリノベーションでおしゃれ空間にするコツを紹介
まとめ:リノベーションで間取りを楽しむ住まいを手に入れる
今回は、構造によって変化するリノベーションの可能性にクローズアップしてきました。確かに構造の違いでできること、できないこともあります。ですがそこに工夫やアイデアを施すことで、より良い住まいをつくることが可能となります。
リノベーションって素敵だなと感じた方は、ぜひ1度相談してみてください。自分たちの小さな声にも耳を傾けてくれるパートナーと一緒に、ひとつひとつ話し合いながら、リノベーション計画を検討してみませんか。