公開日:2024-07-21 更新日:2024-12-13
ユニットバスの耐用年数と寿命|リフォーム時期の決め方と工事手順・費用目安
中古マンション・中古住宅の購入を検討している方や、今のお住まいをきれいにリノベーションしたい方のために、「ユニットバスルーム」の耐用年数と寿命について詳しく解説します。
劣化サインやリフォームするタイミングの見極め方、実際の工事手順、費用目安も紹介しますので、ご自宅で快適なバスタイムを楽しみたい方は、ぜひ参考にしてください。
・ユニットバスの耐用年数と寿命はイコールではありません。
・ユニットバス交換のタイミングは、劣化具合やライフスタイルの変化に合わせて検討しましょう。
・ユニットバス交換は、フルリノベーションと合わせて工事するのがおすすめです。
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目次
ユニットバスの耐用年数と寿命
ユニットバスの施工事例を見る:Case186「gray tone」
「ユニットバスを取り替えるタイミングが分からない」という方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、劣化すれば突然水漏れが起こる可能性があります。
ここでポイントは、「耐用年数と寿命」の違いです。
耐用年数
耐用年数は、厳密に言うと「法定耐用年数」を指します。
事業用の建物や付属する設備などは減価償却(※)資産と呼ばれ、種類によって法定耐用年数が異なります。
※減価償却:資産は、年月が経過するとともに、その価値が減っていくと言う考え方(参考:国税庁|No.2100 減価償却のあらまし)
つまり、ユニットバスルームの耐用年数が重要になるのは、主に賃貸物件オーナーの場合です。
確定申告する際に、初期投資費用を法定耐用年数で割って、毎年の支出として経費計上できます。
国税庁のガイドラインによると、建物と分離できないユニットバスは、会計処理上の勘定科目は「建物」なので、税法上はユニットバスの耐用年数はその住宅と同等の年数です。
(建物の構造種別) | (建物・ユニットバスの耐用年数) |
木造 | 22年 |
鉄骨鉄筋コンクリート造
鉄筋コンクリート造 |
47年 |
(「国税庁|主な減価償却資産の耐用年数表」より抜粋)
税法で定められている耐用年数と、実際に使い続けられる寿命は同じではありません。
木造住宅・鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)・鉄筋コンクリート造(RC造)ともに、法定耐用年数を迎える前に劣化する可能性は十分考えられます。
そのため、ユニットバス交換の時期は耐用年数ではなく寿命で判断しましょう。
寿命
ユニットバス(システムバス)各社メーカーは、取扱説明書などにて交換リフォームの時期を「15〜20年」と推奨しています。
なぜなら、平均15〜20年で各パーツが劣化・摩耗して新品同様の機能を維持できなくなる恐れがあるからです。
【目地・コーキング・パッキン】
長期間使用していない、もしくは常に湿った状態では、5年以内に剥離や亀裂などの不具合が起こる可能性があり、15〜20年で周囲に隙間が空いてくるため、水漏れのリスクが高まります。
【水栓金具・シャワー】
ハンドルやバルブ、温度調節カートリッジ、水栓金具内部のパッキンは摩耗劣化するため、10〜15年で器具から水漏れする可能性があります。
【照明器具】
LED照明が主流で、およそ4万時間(浴室の場合、一般的には10〜15年)で電球が切れ、器具ごと取り替えなくてはいけません。
【浴槽・排水口】
10年〜15年でゴム線や排水線が摩耗して水漏れする可能性があります。
【ドア】
毎日開け閉めしていると、10〜15年程度で建て付けが悪くなる可能性があります。
【換気扇・浴室暖房乾燥機】
これらの機器は10年程度で異音を発するようになったり、換気効率が下がる可能性があります。
また、浴室暖房乾燥機は劣化を放置すると発火事故へつながる恐れもあります。
【配管】
大元の給排水管とユニットバスを結ぶ配管は、材質によって寿命は異なるものの、20〜30年で継ぎ手(接続部分)から水漏れする可能性があります。
ユニットバスの寿命は部位や使用頻度によって異なりますが、設置から20年を超えている場合は、見えない部分で水漏れしている可能性が考えられます。
マンションの場合は階下の部屋へ、戸建住宅は構造体へ悪影響を及ぼすので、20年近いユニットバスは早めにリフォームを検討しましょう。
ユニットバスの劣化サインとリフォーム時期を決めるポイント
ユニットバスの施工事例を見る:Case167「Quality of Life」
ユニットバスの寿命からリフォームの時期を決めることも重要ですが、場合によっては寿命を待たずに劣化しているケースも珍しくありません。
以下の劣化サインや不便が見られる場合は、リフォームを検討し始める時期に差し掛かっていると言えるでしょう。
◻︎ 水栓金具やシャワーからの水漏れ
(設置から15年以内のユニットバスは水栓だけ交換可能)
◻︎ 換気扇からの異音
(設置から15年以内のユニットバスは換気扇だけ交換可能)
◻︎ 浴槽や洗い場のひび割れ
(水漏れに直結する)
◻︎ パッキンのひび割れや剥がれ
(水漏れに直結する)
◻︎ 壁パネルや床パネルの継ぎ目から出る赤サビ
(パネル裏へ漏水している可能性があり、放置すると破損につながる)
◻︎ ドアの歪みや建て付け不良
(木造戸建住宅の場合はユニットバスルーム下の土台が腐朽している可能性あり)
◻︎ 排水不良
(排水管やトラップに長年の汚れが蓄積されている可能性があり、放置すると水漏れにつながる)
(長い間定着したり、強く擦っても落ちなくなる)
◻︎ 中古物件購入のタイミング
(前に住んでいた人の使い方によっては交換した方が良い場合も)
◻︎ お子様誕生のタイミング
(ベンチ付きの浴槽や広い洗い場がある方が便利)
◻︎ お子様独立のタイミング
(サイズダウンしたり、TVやジェットバスを備えたラグジュアリータイプに交換するのがおすすめ)
◻︎ バリアフリー工事のタイミング
(手すり設置や滑りにくい床材、広い洗い場、浅い浴槽、引き戸ドアがおすすめ)
◻︎ 寒さが気になるタイミング
(ユニットバスの断熱性は進化しており、保温性の高い浴槽も)
ユニットバスを交換リフォームするタイミングは、これまでの使い方やライフスタイルによって異なります。
寿命が近い場合だけではなく、不便さを感じたらぜひ取り替えをご検討ください。
ユニットバス(システムバス)は、パーツを工場製造し、現場での作業を簡略化した商品です。
しかし、現場での作業が少ない訳ではありません。
では、戸建住宅とマンションそれぞれの工事手順と期間の目安を紹介します。
戸建住宅
【製品発注】
工事の1ヶ月前
ユニットバスは通常2〜4週間程度納期がかかるため、着工希望日より逆算してメーカーが現地調査を行い、製品を発注します。
【既存ユニットバス解体撤去】
1〜1.5日
組み立てられたものを解体するだけなのでそれほど時間はかかりませんが、浴室ドア周りの壁や床、場合によっては脱衣室のドア周りも解体する可能性があります。
※既存がタイル浴室の場合は、解体撤去に2〜3日かかります。
【下地補修(防蟻工事)】
2〜3日
既にユニットバスの外へ漏水している場合は、下地(土台や柱などの構造材)が腐朽したりシロアリ被害を受けていたりする可能性があります。
その場合は入れ替えが必要で、場合によっては防蟻工事をします。
※水漏れがない場合は、この工程が不要です。
【配管工事・電気工事】
0.5〜1日
新規ユニットバスの仕様に合わせて、給水管・排水管・給湯管の配管工事と、照明や換気扇用の電気工事をします。
新たに浴室暖房乾燥機を設置する場合は、専用配線が必要になるため、ブレーカー周りの作業もあります。
【新規ユニットバス組み立て】
1〜1.5日
メーカーの施工スタッフが、現場へユニットバスのパーツを搬入して組み立てます。
組み立てが完了しても浴室は使えませんので注意してください。
【給排水・電気接続】
0.5〜1日
給排水・給湯管と電気配線をユニットバスと接続します。
場合によってはこの時点から入浴可能です。
【壁・床復旧(木工事・内装工事)】
1〜2日
ユニットバス撤去時に合わせて解体した浴室ドア周りや脱衣室ドア周りを復旧します。
部分的に補修するのではなく、全体的にやりかえる場合は、さらに日数が必要です。
このように、戸建住宅でユニットバスを取り替える場合は、「6〜9日」程度の日数が必要で、その間入浴できないだけではなく、洗面脱衣室も使えない可能性があります。
マンション
【製品発注】
工事の1ヶ月前
戸建住宅と同様です。
【マンション管理組合への工事申請】
工事の7〜14日前
マンションはユニットバス交換の際、必ず事前に管理組合へ工事申請しなくてはいけません。
【既存ユニットバス解体撤去】
1〜1.5日
戸建住宅と同様に、浴室ドアや脱衣室ドア周りの壁や床を解体します。
※マンションの場合はユニットバス下地がコンクリート躯体で共用部となるので、通常、補修工事することはありません。
【配管工事・電気工事】
0.5〜1日
戸建住宅と同様です。
【新規ユニットバス組み立て】
1〜1.5日
戸建住宅と同様ですが、搬入経路(エレベーターや共用廊下)を事前に確認しましょう。
物件によってはエレベーターが使えず搬入に時間がかかる場合もあります。
【給排水・電気接続】
0.5〜1日
戸建住宅と同様です。
【壁・床復旧(木工事・内装工事)】
1〜2日
戸建住宅と同様です。
マンションは戸建住宅のように下地補修の必要がないため、工期は若干短く「4〜7日」程度ですが、着工前に管理組合へ申請しなくてはいけないため、早めの手配が必要です。
ユニットバスを住みながら部分リフォームで交換すると、入浴できず洗面脱衣室にも立ち入れない期間ができてしまいます。
また、戸建て・マンションどちらにおいても、既存が在来浴室(タイル浴室)の場合は、ユニットバスへ変更する際に梁などの構造体が邪魔で設置できないケースも珍しくありません。
そのため、ユニットバスリフォームの際には、フルリノベーションを前提でプランニングするのがおすすめです。
ユニットバス交換の費用は、浴室サイズや仕様グレードによって異なりますが、平均的には以下の通りです。
【戸建住宅】
80〜200万円(内装補修は最低範囲のみの場合)
※土台などの補修が必要な場合はプラス40〜50万円程度
※防蟻工事は必要な場合はプラス5〜10万円程度
【マンション】
50〜200万円(内装補修は最低範囲のみの場合)
ただし、上記金額に含まれるのはユニットバス取り替えにかかわる工事のみです。
そのため、洗面化粧台の取り替えや内装の全体的なやりかえをすると費用は増えます。
ここでポイントとなるのが、建築工事は施工範囲が広くなるほど平米単価が安くなる点です。
そのため、一般的には部分リフォームよりもフルリノベーションの方がコストパフォーマンスがよく効率的に住まいを一新できます。
フルリノベーションと合わせてユニットバスを交換すると、移動やサイズ変更ができる可能性が出てきます。
また、施工スタッフが出入りするストレスを感じずに済むでしょう。
そのため、築20年を超える戸建住宅・マンションの場合は、ユニットバスルーム交換を含むフルリノベーションがおすすめです。
まとめ:ユニットバス交換はフルリノベーションと同時がおすすめ
ユニットバスの耐用年数はあくまでも税法上の考え方であり、実際に取り替え時期を決める判断材料は、ユニットバスの寿命です。
部材によって取り替え時期は異なりますが、「15〜20年」で全体的なリフォームを検討する時期に入ります。
劣化サインやライフスタイルの変化に合わせて、浴室リフォームを計画しましょう。
ただし、部分リフォームはコスト面で効率が悪く、構造体が邪魔になって思うようなユニットバスを設置できない可能性があるため、中古物件購入などのタイミングでフルリノベーションするのがおすすめです。
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