公開日:2023-03-31 更新日:2024-12-19
中古住宅購入前に検査は必要?気になるホームインスペクションと検査内容
新築住宅と比べ、既に建てられてから年月の経っている中古住宅は、その性能や劣化状況が心配という方も多いでしょう。
築年数が古いと尚更です。
中古住宅の市場が拡大を続けている中、最近増えているのが「ホームインスペクション(住宅診断)」。
欧米では以前から当たり前に実施されてきましたが、日本ではまだまだ普及しているとは言えません。
そこで、今回は中古住宅を購入する前に受ける検査「ホームインスペクション(住宅診断)」についての基礎知識から、調査項目や受けるタイミング・費用目安まで丸ごと解説します。
「中古住宅を購入したいが、後から不具合が見つからないか心配」という方は、ぜひ参考にしてください。
・中古住宅の劣化状況を調査する作業が「ホームインスペクション(住宅診断)」で、購入を決める判断材料として活用されています。
・法的に実施の義務化はされていませんが、短時間・リーズナブルに調査ができるため、安心して中古住宅を購入したい方におすすめです。
・SHUKEN Reでは、中古物件探しから資金計画、リノベーションの設計施工、アフターメンテナンスまでお任せいただける「ワンストップ・リノベーション」サービスをご用意しています。
目次
ホームインスペクション(住宅診断)とは?保証との関係は?
事例を見る:Case1「築50年の魅力たっぷり!古き良き下町カフェ」
ホームインスペクション(住宅診断)とは、新築住宅・既存住宅(中古住宅)問わず、売り出し前もしくは購入前に、住宅の劣化状況を専門の診断士が検査することを指します。
ここ数年で住宅を売買した方は、一度は耳にしたことのある言葉かもしれません。
一級建築士などの専門知識を持った第三者が公正に診断するため、住宅売買において購入判断の材料やメンテナンスの必要性をするために活用されています。
実は、日本ではホームインスペクションの歴史は浅く、一般の方がその存在を認識し始めたのは2000年代に入ってからです。
欧米諸国では1980年代から普及し始め、アメリカでは住宅取引の70〜80%にて実施されているとも言われています。
では、日本ではどれほどホームインスペクションが行われているのでしょうか?
一般社団法人 不動産流通経営協会が2022年に実施した調査によると、民間のホームインスペクション実施率は23.4%、既存住宅(中古住宅)に限定すると52.2%にまで増加しています。(参考:一般社団法人 不動産流通経営協会|不動産流通業に関する消費者動向調査2022年版)
まだまだホームインスペクション先進国であるアメリカには及びませんが、着実に実施するケースが増えています。
実際、一般社団法人 全国住宅技術品質協会の行った「インスペクションに関する意識調査報告書」によると、中古住宅を購入する人の83.2%が「売買契約が成立した後で、欠陥住宅であると判明すること」を不安に感じているという結果も出ており、ホームインスペクションへの興味がかなり高まっていると言って間違いないでしょう。
その背景には、従来の契約不適合責任(以前の瑕疵担保責任)の保証を受けられる期間には、期限があることが挙げられます。
契約不適合責任とは、契約対象物の品質などが契約内容に合っていない(不具合がある)場合に、売主に課せられる責任です。
買主は売主へ「契約解除」や「是正請求」などを求めることができます。
ただし、中古住宅の場合は不具合などの申告期間が契約から3ヶ月以内と設定されている場合がほとんどなため、それを超えると売主は免責となり、保証されなくなってしまうのです。
期間を超えてから何かしらの問題が発覚しても、買主の自己負担でメンテナンスしなくてはいけません。
そのため、このようなリスクを抑えるために、購入前にホームインスペクションを受けるケースが増えています。
中古住宅への実施が“義務化”しているというのは間違い
事例を見る:Case2「海外のようなアンティーク感をまとう」
ホームインスペクションについて調べていると「中古住宅への義務化」という言葉を見かけるかもしれません。
これだけ見ると、必ず実施するように捉えられてしまいますが、実際はそうではありません。
2018年の「宅地建物取引業法の改正」に伴い、中古住宅売買において、以下の内容が義務化されました。
不動産仲介業者は売買の仲介をする際に、ホームインスペクションの概要を売主・買主へ説明しなくてはいけません。
不動産仲介業者は、売主・買主に対してホームインスペクション業者の紹介が必要かどうかの意思確認をしなくてはいけません。
不動産仲介業者は、売主・買主がホームインスペクション業者の紹介を求める場合、調査会社などの専門会社の情報を提供しなくてはいけません。
つまり、あくまでも不動産仲介業者に対してホームインスペクションの実施を“おすすめ”し、サポートすることのみが義務化されているだけで、実施そのものが義務化されていないのです。
そのため、実施の決断は売主・買主へ委ねられます。
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中古住宅をより安心して購入するために欠かせないホームインスペクションですが、実際にどのような方法でどのような項目をチェックするのでしょうか?
●ホームインスペクションの主な調査項目
【構造耐力上の安全性に問題がある可能性が高くないか】
- ・小屋組(天井裏)
- ・柱、梁
- ・床組、土台
- ・基礎
木造住宅については、蟻害・腐朽・欠損・接続不良などが見受けられないかをチェックします。
また、基礎はコンクリートに幅0.5㎜以上のひび割れ又は深さ20㎜以上の欠損が生じていないか、鉄筋が腐食して露出していないかも調査項目です。
【雨漏り・水漏れが発生している可能性が高くないか】
- ・屋根、外壁
- ・屋外に面した窓やドアなどのサッシ
- ・小屋組(天井裏)、天井、内壁
屋根材や外壁材に雨漏りの原因となる欠損やずれがないか、シーリング材や防水層に大きな破断がないかがチェックポイントです。
また、窓や玄関ドア周りに隙間がないかも確認し、既に雨漏り・水漏れが起きていないか、室内もしっかり調査します。
【設備配管に日常生活上支障のある劣化等が生じていないか】
- ・給水管、給湯管、排水管
- ・換気ダクト
水・湯を出してみて赤水(サビが混ざった水)がでないかや、水漏れがないか、きちんと排水されるかを確認します。
また、換気ダクトの脱落や、接続不良による換気不良が起きていないかも調査項目です。
(参考:国土交通省|既存住宅インスペクション・ガイドライン)
●ホームインスペクションの主な調査方法
家の細部まで検査するため、大掛かりな方法をイメージするかもしれませんが、国土交通省は調査方法を以下のように推奨しています。
現況検査の検査方法は、目視、計測を中心とした非破壊による検査を基本とする。
目視を中心としつつ、一般的に普及している計測機器を使用した計測や触診・打診等による確認、作動確認等の非破壊による検査を実施する。
目視とは、診断士が目で見て知識と経験を踏まえ現状を把握する方法で、触診は触った感覚、打診は軽く叩いて出る音から状況を知る方法です。
「家の隅々までしっかり調査してもらいたい」という場合には、家の一部を解体する破壊調査もできますが、解体するには住宅所有者の許可が必要となるため、中古住宅売買時の現況調査にはほぼ採用されません。
つまり、中古住宅のホームインスペクションは、あくまでも現状を壊さず、外観や点検口内より現状を確認するか計測器を使う方法をとります。
そのため、一般的な30坪程度の戸建住宅であれば、検査時間は 2〜3時間程度です。
ただし、調査報告書(診断書)が出来上がるまでには1〜2週間程度かかるため、中古住宅購入の際に実施する場合は、スケジュールについて不動産仲介業者と十分話し合っておきましょう。
ホームインスペクションを行う目的は、中古住宅を購入するかの判断材料としての現況把握が多いため、最もよいタイミングは購入意思を売主に伝え、正式な契約をまだ交わしていない「申込後・契約前」です。
中古住宅のホームインスペクションは、多くの場合買主が手配するため、「ほぼ購入意思は固まっているが、劣化がないか最終チェックをしたい」という段階で手配すると、複数の物件に対して調査費用を支払わなくて済むでしょう。
戸建住宅の調査費用目安は、床面積によって変動するものの4〜6万円の場合がほとんどです。
ただし、調査会社によって下記の調査はオプションとなり別途費用がかかる場合もありますので、できれば不動産仲介会社へ複数社紹介してもらい比較検討することをおすすめします。
また、まれに売主が競合物件との差別化を図るために既にホームインスペクションを手配している場合もありますので、調査が済んでいるか真っ先に不動産仲介会社へ確認してみてください。
【ホームインスペクションでオプションとなる可能性がある調査】
- ・診断士が実際に入って調査する「床下・天井裏詳細調査」
- ・写真付きの「詳細診断書作成」
- ・サーモグラフィを用いた「断熱性能調査」
- ・ファイバースコープを用いた「給排水管路調査」「構造体詳細調査」
- ・鉄筋探査機を使った「配筋検査」
- ・「設備機器の稼働検査」
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まとめ:中古住宅の検査は必須ではないが受けておくと安心
今や、中古住宅市場は新築住宅市場を越えるほどの勢いがありますが、築年数が経った住宅ですと、どうしても「欠陥がないか」「見えない劣化がないか」と不安に感じてしまうかも知れません。
そんな気持ちを和らげ、安心して購入を決断するためにも、ホームインスペクションは欠かせません。
実施は義務化されていないものの、購入を決断する上の判断材料として、調査を実施する事例は増えています。
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