公開日:2025-08-17 

空き家×民泊ビジネス最前線|メリット・デメリットや成功のポイントを解説

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空家を利用した民泊施設

 

2018年に施行された民泊新法(住宅宿泊事業法)によって、空き家での民泊開業のハードルが下がり、都心部や観光地を中心にどんどん増えています。

 

空き家での民泊開業にはさまざまなメリットがあり、インバウンド需要の増加によって大きなビジネスチャンスが生まれている状況です。

 

しかし、築年数が経った空き家にはさまざまなデメリットもあり、開業前に確認・対策すべきポイントも多いです。

 

そこでこの記事では、空き家で民泊開業するメリット・デメリットや、経営を成功させるためのポイントについて詳しく解説します。

 

この記事のポイント
  • ・空き家での民泊開業はホテルや旅館よりハードルが低く、競合物件との差別化を図りやすいなどさまざまなメリットがあります。
  • ・空き家×民泊はビジネスチャンスが大きいものの、確実に収益を上げるためにはさまざまなポイントについて事前確認が必要です。
  • ・民泊新法における空き家民泊施設は、年間営業日数が180日に制限されるため、綿密な経営計画を立てましょう。
SHUKEN Re 編集部


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■空き家×民泊が注目されている背景

 

住宅宿泊事業法による空き家民泊のイメージ

 

近年、空き家を民泊施設にリノベーションして開業するケースが増えている理由は、大きく分けると次の3点です。

 

  • ①空き家率の上昇
  • ②民泊新法(住宅宿泊事業法)の施行による規制緩和
  • ③外国人旅行者の増加による宿泊ニーズの変化

 

日本は年々空き家率が上昇していて、2023年には過去最高の13.8%を記録しました。

 

参照:総務省 令和5年住宅・土地統計調査

 

管理が行き届かなくなった空き家の倒壊や、衛生環境の悪化などが社会問題となりつつあります。

 

そんな中、2018年に民泊新法が施行されたことで規制が緩和され、空き家を民泊施設として活用しやすくなりました。

 

使われなくなった空き家を民泊施設として活用することが社会問題の解決にもつながるため、国や自治体も推進している状況です。

 

空き家の物件数が増えていること、法改正により民泊の開業ハードルが下がったことが、空き家×民泊のビジネスモデルが増加している理由となっています。

 

また、コロナ渦明けから外国人旅行者が大きく増加しており、宿泊ニーズの変化によって一戸建ての民泊需要が増えている点も大きなビジネスチャンスとなっています。

 

 

■空き家で民泊開業するメリット

 

空き家民泊施設のリビング

 

空き家をリフォーム・リノベーションして民泊施設として開業することで、どのようなメリットがあるのか具体的にチェックしていきましょう。

 

 

開業のハードルが低い

 

空き家での民泊は、ホテルや旅館などに比べると費用や手続き面の開業のハードルが低いのが大きなメリットです。

 

前述したように日本の空き家率は年々上昇しており、維持管理の難しさから低価格、または無料で取引されている事例も増えています。

 

空き家バンクなどを利用して空き家をリーズナブルな価格で入手できれば、民泊開業にかかる初期費用を抑えることができます。

 

また、民泊新法(住宅宿泊事業法)では、旅館業法のような営業許可制ではなく、届出のみで民泊を開業できるのも特徴です。

 

こちらのコラムで民泊制度の詳細や必要な手続きについて詳しく解説しています。

 

〈関連コラム〉

民泊の始め方を5ステップで分かりやすく解説|民泊経営を成功させるポイントも

 

 

旅館・ホテルと差別化しやすい

 

空家の民泊施設は、一般的な旅館やホテルと立地・コンセプトなどの面で差別化しやすいのも特徴です。

 

旅館業法の管轄である旅館やホテルは、住居専用地域など一部の用途地域では営業できません。

 

一方、民泊新法における空き家の民泊施設は、住居専用地域でも営業可能なため、開業できるエリアの選択肢が広くなります。

 

例えば、旅館やホテルをつくるのが難しいエリアで空き家の民泊施設をつくれば、ほかの宿泊施設と競合せず効率的に利益を上げやすくなります。

 

また、旅館やホテルは建築費用や内装工事費用が高額になりますが、1軒の空き家ならリノベーション費用を抑えてコンセプトにマッチする間取りやデザインをつくりやすいです。

 

地域性に合わせたコンセプトの空き家民泊施設をつくることで、一般的な旅館やホテルと差別化することができます。

 

 

外国人旅行者の需要や長期滞在が期待できる

 

民泊は外国人旅行者の利用率が高く、インバウンド需要によってビジネスチャンスが高まっている点も大きなメリットです。

 

コロナ渦明けの2023年以降は外国人旅行者数が順調に伸びており、ホテルや旅館の客室数が不足し、新たな受け入れ先として民泊施設の開業が相次ぎました。

 

また、海外ではホームステイ型の宿泊が主流な地域が多いことも、空き家の民泊開業を後押ししている理由の1つです。

 

〈関連コラム〉

インバウンド需要が民泊経営成功のカギ?外国人観光客に選ばれるサービスづくりのポイントとは

 

外国人旅行者は平均宿泊数が多く、長期滞在による安定した収益が期待できるのも空き家民泊の大きなメリットです。

 

観光庁の調査によると、2024年の訪日外国人の平均泊数は9泊と、一般的な国内旅行より長期滞在が多い傾向が見られます。

 

参照:観光庁 インバウンド消費動向調査

 

Airbnb(エアビー)やBooking.com(ブッキングドットコム)など世界中で利用されている民泊ポータルサイトを通じて、外国人旅行者を集客しやすいのは空き家民泊の大きなメリットと言えるでしょう。

 

 

■空き家で民泊開業するデメリット

 

空き家を改装した民泊施設のキッチン

 

実際に空き家で民泊開業する際は、注意すべきデメリットもあります。

 

具体的な対策は次の章で解説しますので、ここではどんなデメリットやリスクがあるのか把握しておきましょう。

 

 

初期費用が建物の状態に左右される

 

使われていない期間が長い空き家で民泊開業する場合、建物の状態によって初期費用が左右されるのがデメリットです。

 

長い間メンテナンスされていない空き家の場合、リノベーション以外の補修や補強費用がかかる可能性があります。

 

適切にメンテナンスされている空き家なら初期費用を抑えられますが、物件によっては予想外の出費がかかるリスクも考えられます。

 

 

必ず成功するとは限らない

 

一軒家が空き家になる理由はさまざまですが、利便性や資産価値が低く放置されている場合は民泊開業しても収益が上がらないリスクも考えられます。

 

建物の価値は築年数と共に低下しますが、土地の価値は大きく下がりづらいため、資産価値が高い空き家はすでにほかの用途で活用されている可能性が高いです。

 

特に、民泊のメインユーザーである外国人旅行者は宿泊施設の利便性を重視する傾向があるため、アクセスが悪いとうまく集客できない可能性があります。

 

 

年間営業日数が180日以下に制限される

 

開業のハードルが低い民泊新法(住宅宿泊事業法)による空き家民泊では、年間の営業日数が180日以下に制限されるのも注意すべきデメリットです。

 

 

簡易宿所

(旅館業法)

特区民泊

(国家戦略特区法)

民泊

(住宅宿泊事業法)

営業日数

上限なし

2泊3日以上で年間の上限はなし

年間提供日数180日以内

参照:民泊制度ポータルサイト はじめに「民泊」とは

 

旅館業法における簡易宿所、特定の地域のみの特区民泊では営業日数の上限はありませんが、住宅宿泊事業法における営業では上限が180日以下に制限されます。

 

集客力の高い空き家民泊施設をつくっても、年間営業日数の上限があるため一定以上の収益を上げるのは難しいです。

 

 

近隣住民からのクレームやトラブルリスクがある

 

使われていなかった空き家を民泊施設として活用することで、騒音や利用者のマナーの悪さなどの理由で近隣住民からクレームが入るケースも増えています。

 

特に、静かな住宅地や田舎などの空き家を民泊施設にすると、人の出入りや利用者の騒音が気になるケースが多いようです。

 

法律では開業できる地域であっても、近隣住民からのクレームやトラブルが発生すると、民泊営業を続けられなくなるリスクがあります。

 

 

■空き家の民泊ビジネスを成功させるポイント

 

空き家民泊施設を利用する女性客

 

前述したデメリットやリスクを踏まえて、空き家の民泊ビジネスを成功させるための対策やポイントを覚えておきましょう。

 

 

宿泊需要があるエリアを選ぶ

 

空き家による民泊開業を検討する際は、まず宿泊需要があるエリアを選ぶことが大前提です。

 

前述したように民泊新法による民泊開業はエリアの選択肢が広いのがメリットですが、宿泊需要がない場所では安定した収益は期待できません。

 

観光名所がある人気のエリアや、空港・新幹線の停車駅が近くにあるなど、利便性が高いエリアを選ぶことも重要です。

 

特に民泊は外国人旅行者の集客も重要になりますので、車だけでなく公共交通機関のアクセスについてもしっかりチェックしましょう。

 

 

コンセプト&テーマを決める

 

地域性やターゲットユーザーなどを踏まえて、空き家民泊施設のコンセプトやテーマを決めるのも成功のポイントです。

 

※空き家民泊施設のコンセプト&テーマ例

  • 近隣の観光施設をイメージした内装デザイン
  • 長期滞在向けにキッチンや家具家電を充実させる
  • クオリティの高いサウナでととのい体験
  • 農業体験や食文化を楽しめるサービスを提供

 

まずは近隣の観光施設やターゲットユーザーを明確にし、空き家の立地や間取りを活かしたコンセプトで競合との差別化を図りましょう。

 

例えば、築年数が古い空き家をリノベーションして古民家民泊施設にすれば、競合物件との価格競争になるのを避け安定した収益が期待できます。

 

また、空き家の内部や敷地にクオリティの高いサウナや水風呂を設置して、サウナーを集客するのも1つのアイデアです。

 

ただ空き家を宿泊できるように改装するのではなく、ユーザー目線で泊まりたくなる民泊施設をつくりましょう。

 

 

初期費用を正確に把握する

 

前述したように空き家は状態によってリノベーション費用が変動するため、物件選びの段階で初期費用を正確に把握することも大切です。

 

一般的な空き家リノベーションでは、内装や水回りの刷新、外壁・屋根塗装などの工事内容が一般的です。

 

しかし、適切なメンテナンスをされていない空き家は、雨漏りやシロアリ被害によるダメージの補修など追加費用がかかる可能性があります。

 

対策としては、なるべく早い段階で空き家リノベーションの実績が豊富な施工会社に相談し、正確な見積もりを出してもらうのがおすすめです。

 

空き家リノベーションの費用相場や考え方について、こちらのコラムで解説していますのであわせて参考にしてみてください。

 

〈関連コラム〉

空き家リノベーションはどんな人におすすめ?メリット・デメリットと費用相場も

 

 

繁忙期や休日など収益性が高いタイミングに営業を絞る

 

前述したように民泊新法による空き家民泊は、年間営業日数が180日に制限されているため、繁忙期や土日祝日などに営業日を絞る必要もあります。

 

平日や閑散期など収益性が低い時期の営業は、固定費で収益が圧迫され、営業できる日数もムダに消費してしまいます。

 

どの時期や曜日に宿泊需要が高くなるのか、宿泊料がどれくらい変動するのかなど、競合物件を調査し、把握して収益性の高い経営計画を立てましょう。

 

 

■空き家の民泊開業に関するQ&A

 

空き家民泊施設を利用する宿泊客

 

最後に、空き家の民泊開業を検討する際、よくある質問にまとめてお答えします。

 

 

Q.実家の空き家でも民泊開業は可能?

 

A.可能ですが事業として成立するかしっかり検討しましょう

 

実家に誰も住まなくなって空き家になっている場合、民泊施設として開業することは可能です。

 

実家の名義がご両親になっている場合は、開業するご本人に名義変更すれば基本的には問題ありません。

 

ただし、前述したように空き家民泊施設の成功は立地の影響も大きいため、地域の宿泊需要や競合物件なども踏まえて事業として成立するか確認しましょう。

 

 

Q.民泊代行業者に運営を任せることはできる?

 

A.一定の費用を支払うことで可能です

 

最近は民泊代行業者の数が増えており、「売り上げの○%」「月額○万円」など一定の費用を支払うことで空き家民泊の運営を丸ごと任せることも可能です。

 

民泊代行業者に運営を委託すれば、家主が直接管理せずに済むため、自宅から離れていてもビジネスチャンスが大きいエリアで開業できるのがメリットです。

 

ただし、運営費用を支払っても十分な収益を上げられるかなど、綿密な経営計画が求められます。

 

 

■まとめ

 

空き家での民泊開業は、初期費用を抑えられたり、外国人旅行者の長期滞在が期待できたりと、さまざまなメリットがあり注目を集めています。

 

しかし、ビジネスチャンスが大きいからと言って、ただ開業すれば成功するわけではなく、注意すべきデメリットもあります。

 

物件探しの段階から民泊施設づくりのプロに相談し、適切なアドバイスを受けるのがおすすめです。

 

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