公開日:2025-05-31
中古マンションが「ずっと売れない」のはなぜ?買い手がつかない理由と対策を解説
このコラムでは、「中古マンションがずっと売れない…」とお悩みの方へ、売却が長期化しやすい理由と対策方法について解説します。
中古マンションを売りに出しているが6か月~1年以上売れないという方や、早期売却のためのコツを知りたい方は参考にしてくださいね。
● 首都圏の中古マンションの売却期間は3か月前後が目安ですが、売り出してから半年~1年以上売れないという場合は、原因の分析と対策が必要です。
● 市場分析に基づいた売り出し価格の見直しや、買い手の不安を解消し魅力を高める工夫など、原因に応じた適切な対策を取ることで、早く売れる可能性を高められます。
● 対策によって得られる効果が少ない売却が難しい物件や、相続物件など早期売却を優先する場合は、不動産会社の買取サービスを利用するのも1つの方法です。
目次
■中古マンションの平均的な売却期間は?
東日本不動産流通機構の調査によると、首都圏で中古マンションの物件登録(販売開始)から成約に至る平均日数は85.3日となっています(2024年)。
(出典)レインズデータライブラリー「首都圏不動産流通市場の動向(2024年)」
不動産会社と媒介契約を結んでからレインズに登録するまでの期間も考慮すると、首都圏で中古マンションを売却する場合の期間は3か月~3か月半程度が目安となります。
ただし、全ての中古マンションが3か月前後で売れるというわけではありません。
中古住宅はまったく同じ条件の物件は1つとしてありません。
立地や需要とのマッチング、物件の築年数、劣化状態など、さまざまな要因によって売りやすさは大きく変わってきます。
■中古マンションがずっと売れないとどうなる?売却が長期化するデメリット
中古マンションが売れない期間が長くなるほど、資産価値が下がり、その分期待できる売却価格も低くなってしまいます。
マンションを所有している間は固定資産税や管理費、修繕積立金が発生し続けるため、金銭的な負担も大きくなります。
また、マンションの売却益を新居の物件購入費や相続税の支払いに充てたい場合も、売れなければ住み替えや納税が難しくなります。
売却が長期化するほど上記のデメリットも大きくなるため、ずっと売れない場合はできるだけ早く対策を取る必要があるのです。
次章からは、中古マンションがずっと売れないという状況が続いた場合に考えられる理由と、対策について詳しく解説していきますね。
■中古マンションがずっと売れない…よくある6つの原因を紹介
中古マンションがなかなか売れない場合に考えられる理由や、よくある原因を紹介します。
①物件が需要とマッチしていない
中古マンションに限らず、不動産はエリアによって需要が大きく異なります。
ファミリー、シングル、カップルなどのライフスタイルや年齢層などによって、求める広さや間取りタイプなどが変わってくるため、需要にマッチしていない物件は売れにくくなります。
また、広さは条件に合っていても、二世帯住宅や併用住宅などの特殊な間取りだった場合、購入を希望する人も限られてしまうでしょう。
②立地条件が悪い
中古マンションに限らず、住宅は立地条件も売れやすさの重要な要素です。
例えば、そもそもマンション需要が低い地域では、売れない状況が続く可能性が高いです。
また、首都圏では特に駅近やバスが利用しやすいなど、交通の便が良い立地のマンションの方が売れやすく、駅から離れるほど売れにくくなります。
さらに、買い物スポットや行政、教育、医療施設の充実度など、生活利便性も大きく関わってきます。
逆に、地方都市など家族が1人1台車を所有するような地域では、駅からの近さはそれほど影響しない一方で、駐車スペースが少ないマンションよりも庭や駐車場がある戸建ての方が売れやすい場合もあります。
③価格が市場相場とマッチしていない
売り出し価格が市場相場とマッチしていないことも中古マンションが売れない理由の一つとして考えられます。
不動産の売り出し時は値下げ交渉を想定して、あらかじめ希望よりも少し高く設定することがあります。
しかし、価格設定が市場相場よりも高いと、そもそも買い手の条件から外れてしまい、物件情報を見てもらえない可能性があります。
④同じエリアに競合マンションが多い
同じエリアに競合マンションが多い場合、自分のマンションが選ばれる確率が下がり売れにくくなります。
競合が多い状況では、価格競争で候補から振り落とされてしまうケースも増えます。
仮に市場相場に基づいた適正価格で売り出していても、より安価な競合物件があれば、買い手が流れてしまう可能性が高いです。
⑤築年数が古い
築年数が30~40年以上の中古マンションは、耐震性能や配管の劣化状態がネックとなり売れにくい場合があります。
特に1981年の新耐震基準導入以前に建てられた「旧耐震マンション」で、耐震補強工事が実施されていない物件は、地震による被害が大きくなるリスクが高いほか、住宅ローンが利用できないなどのデメリットがネックになります。
さらに、築年数が古いマンションは、管理費や修繕積立金が高くなりがちな点や、設備の古さから光熱費がかさむなどの理由から売却が難しくなるケースもあります。
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⑥不動産会社の得意分野とマッチしていない
中古マンションの売れやすさは、売却を委託する不動産会社との相性も影響します。
例えば、一般の居住用物件を専門に扱っている会社と、投資物件を主に扱っている会社では、販売活動の方法やアプローチが異なりますし、内覧案内の対応にも差があります。
物件の魅力を最大限に伝えるための写真撮影や、インターネットを活用した広告展開が不十分だと、買い手に物件の魅力が伝わらないため、仲介担当がマーケティング活動を効果的に行えるかも重要。
物件のスタイルに合った不動産会社を選ばないと、売却までの期間に差が出てしまうかもしれません。
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■中古マンションがずっと売れない場合の対策法
中古マンションがなかなか売れず、売却期間が長期化している場合の対策法を紹介します。
売れない原因を正確に分析し、適切な対策を取ることで早く売却できる可能性も高まりますので参考にしてください。
売り出し時期を見直す
不動産の広告には、売り出した時期も掲載されるため、長期間売れ残っている物件は買い手にあまり良い印象を与えないことがあります。
売却期間の目安である3か月を過ぎてもほとんど問い合わせがない場合は、一度売却を中断してみるのも1つの方法です。
対策を検討してから再度売り出せば、新着物件として情報が取り扱われるため、買い手の目に留まる可能性が高まります。
売却をそれほど急いでいないのなら、不動産売買の繁忙期である2〜3月に売り出すなど、需要が高い時期を狙うのもおすすめです。
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広告・内覧対応を工夫する
中古マンションの競合が多いエリアでは特に、広告の掲載写真を増やしたり、見栄えを良くしたりする工夫が必要です。
物件のアピールポイントを詳細に記載するなど、買い手が「内覧してみたい」と思える情報を掲載することで問い合わせにつなげやすくなります。
また、掃除が行き届いているか、質問に丁寧に答えられているかなど、内覧時の対応もしっかり確認しましょう。
上記の工夫をしても問い合わせが増えない場合は、アピールの仕方を変えるのも1つの方法です。
例えば、修繕積立金や管理費が高いことはマイナスと思われがちですが、大規模修繕に備えていて管理組合がしっかり機能しているというプラス要素とも考えられます。
一見デメリットに思える点も、特定の人には需要があるケースもあるので、不動産会社と相談しながら、自分のマンションの魅力が最大限に伝わる工夫をするのが重要です。
売り出し価格を見直す
当たり前とも言えることですが、同じような条件の家なら、より安い方が売れやすいですよね。
なかなか買い手が見つからない中古マンションが、値下げをしたらすぐに買主が見つかった、というケースも多いです。
ただし、早く売却したいからといって、周辺の相場よりもかなり安い価格まで大幅に値下げするのはおすすめしません。
物件の価値に見合わない大幅な値下げをしてしまうと、売却後のマネープランに影響する可能性もありますし、買い手に「この物件は大丈夫かな?」と不安感を与えてしまう可能性もあります。
値下げのタイミングと値下げ幅の決め方について
一般的に、売りに出した中古マンションの値下げを検討するタイミングは、売り出してから3か月経った頃が目安です。
値下げ幅の参考として、中古マンションが不動産情報ネットワーク(REINS)に新規登録された時の平均価格と、売買契約時の平均価格を比べてみましょう。
首都圏中古マンションの新規登録時・成約時の平均価格(2024年)
築年数 |
新規登録時の平均価格 |
成約時の平均価格 |
築0〜5年 |
9,520万円 |
7,808万円(新規登録時比-18%) |
築6〜10年 |
7,413万円 |
7,156万円(新規登録時比-4.5%) |
築11〜15年 |
7,401万円 |
6,619万円(新規登録時比-10.6%) |
築16〜20年 |
6,153万円 |
5,972万円(新規登録時比-3%) |
築21〜25年 |
5,766万円 |
5,320万円(新規登録時比-7.8%) |
築26〜30年 |
3,948万円 |
3,835万円(新規登録時比-2.9%) |
築31〜35年 |
2,488万円 |
2,455万円(新規登録時比-1.4%) |
築36~40年 |
2,581万円 |
2,742万円(新規登録時比+6.2%) |
築41年~ |
2,763万円 |
2,351万円(新規登録時比-15%) |
(出典)公益財団法人東日本不動産流通機構|レインズデータライブラリー
上記のように、中古マンションの新規登録価格と実際に成約した価格には差があります。
築36~40年を除けば、全ての築年帯で新規登録時より成約時の平均価格の方が低いため、売り出し時よりも値下げして売却されているケースも多いことが推測されます。
ただし、早く売りたいからといって大幅に値下げすると、利益が少なくなるだけでなく、買い手にも「なぜ一気に安くなったのか」と警戒心を与えることがあります。
中古マンションを値下げする際には、不動産売買のプロである、信頼できる不動産仲介会社にアドバイスを受けるのがおすすめです。
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ホームインスペクション・瑕疵保険加入を検討する
築年数が古いマンションを早期売却するには、買い手の「品質や構造に対する不安」を払しょくするため、物件の現状をできるだけ詳しく伝えることも有効です。
中古マンションの品質や構造の状態を証明するには、主に「インスペクション(住宅診断)を受ける」「瑕疵担保保険に加入する」の2つの方法があります。
インスペクションを受けることで、住宅の劣化状況、不具合の有無、改修すべき箇所やその時期、おおよその費用などを見極められるので、より正確な情報を買い手に伝えられ不安を払しょくできます。
また、インスペクションを受けると、中古住宅の瑕疵担保保険「既存住宅売買瑕疵保険」に加入できます。
瑕疵担保保険は一般に売主側の仲介会社や買主が加入するもので、売買契約後1年間または5年間、購入後に見つかった欠陥や不具合等について、買主に補修費用などの保険金が支払われます。
個人が売主の場合、法律で定められている契約不適合責任の保証期間は一般的に1~3か月と短いため、インスペクションを受けて瑕疵担保保険に加入することで買い手に、安心感を与えられるでしょう。
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ハウスクリーニング・修繕をする
中古マンションは長年の汚れが蓄積していたり、細かな傷みがあったりすることも多いため、あらかじめハウスクリーニングや修繕をすることで内覧時の印象が良くなり、売りやすさにつながるケースもあります。
ハウスクリーニングをプロに依頼する場合の費用は、間取り・広さによっても変わってきますが、2LDK~4LDKなら5万円~10万円前後が相場です。
ただし、買主によるフルリノベーションが前提の物件として売り出す場合など、ハウスクリーニングをしなくても良いケースもありますので、不動産会社と相談しながら検討しましょう。
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エリアの中古マンション売買に精通した不動産会社へ相談する
中古マンションの売却は、エリアの特性や最新情報、需要の傾向などに詳しい、地域に密着した不動産会社に相談するのがおすすめです。
地域密着型の不動産会社なら内覧希望にすぐに対応でき、トラブルにも即座に対応してもらえます。
また、首都圏のマンション売買実績が多い会社を選ぶことも、スムーズな売却に重要なポイントです。
SHUKEN Reは、東京、千葉、神奈川を中心にした「リノベーション専門の不動産会社」です。
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不動産会社に買取してもらう
中古マンションがなかなか売却できず、少しでも早く手放したいという場合は、不動産会社に買い取ってもらうことも視野に入れましょう。
不動産会社による買取は、仲介よりも売却価格が20〜40%ほど安くなりますが、現状渡しがほとんどで仲介手数料が不要なため、売却時の諸費用を抑えられるメリットもあります。
また、不動産会社に売却するため買主都合のキャンセルが発生するリスクも少ないため、スムーズかつ速やかに売却したい方におすすめです。
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■まとめ
首都圏の中古マンションの売却期間は3か月前後が目安ですが、売り出してから半年~1年以上売れないという場合は、原因の分析と対策が必要です。
市場分析に基づいた売り出し価格の見直しや、買い手の不安を解消し魅力を高める工夫など、原因に応じた適切な対策を取ることで、早く売れる可能性を高められます。
また、対策によって得られる効果が少ない売却が難しい物件や、相続物件など早期売却を優先する場合は、不動産会社の買取サービスを利用するのも1つの方法です。
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