公開日:2025-04-30
マンション民泊はワンルームより一棟がおすすめ|メリットや施工事例を紹介
近年、東京都を中心とした首都圏の宿泊需要の高まりを背景に、マンションで民泊開業を検討する方が増えています。
2018年の民泊新法施行によって規制緩和され、マンションなど一般住宅でも民泊営業が可能になりました。
しかし、法律上はマンションで民泊営業できても、管理規約で禁止されていたり、近隣からクレームが入ったりして運営がうまくいかないケースも少なくありません。
そこでこの記事では、マンション民泊でクリアすべき要件や手続き、注意すべきポイントについて解説します。
マンション民泊のリスク対策として、一棟丸ごと経営する方法についても解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
・2018年の民泊新法で規制が緩和され、一般的なマンションでも民泊営業ができるようになりました。
・騒音やゴミ出しルール違反などの近隣トラブルが多いため、管理規約で民泊が禁止されているマンションが多いです。
・マンションを一棟丸ごと民泊運用する場合、管理規約による制限や近隣トラブルなどのリスクを回避できます。
・実際にマンションを一棟丸ごと民泊施設にリノベーションした施工事例を紹介します。
■そもそもマンションで民泊営業は可能?
マンションは建築基準法における用途が住宅のため、以前は宿泊営業はできませんでしたが、2018年に施行された住宅宿泊事業法(民泊新法)によって民泊としての営業が可能になりました。
住宅宿泊事業法の施行前は旅館業法における簡易宿所の許可が必要で、住居専用地域では営業できないなどマンションでの民泊は難易度が高い状況でした。
しかし、住宅宿泊事業法によって規制が緩和され、一般的な分譲マンションやワンルームマンションでも民泊営業ができるようになり、個人や企業の参入が増えているのです。
民泊営業をする住宅の要件について、住宅宿泊事業法では次のように定めています。
- ・「現に人の生活の本拠として使用されている家屋」
- ・「入居者の募集が行われている家屋」
- ・「随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋」
住宅宿泊事業法による民泊は、現在所有者ご自身が住んでいる自宅マンションのほか、賃料を払って借りている賃貸マンションも対象になります。
また、設備の要件は次の通りです。
- ・「台所」「浴室」「便所」「洗面設備」の4つの設備が設けられている
一般的な水回り設備が備わっているマンションなら、上記の要件はほとんどクリアできます。
お風呂・トイレ・洗面台がセットになっている3点ユニットバスでも問題ありません。
住宅宿泊事業法の要件では、ほとんどのマンションで民泊営業が可能です。
また、マンションで民泊営業をする場合、消防法の基準を満たしたうえで消防法令適合通知書を受ける必要があります。
しかし、消火器・自動火災報知機・誘導灯の設置、カーテンやじゅうたんなどを防炎仕様にするなど、大掛かりな工事は必要ないケースがほとんどです。
一般的なマンションなら、消防法の基準もそれほど大きなハードルにはならないでしょう。
■マンション民泊は法律以外のハードルが高い
前述したように、法律上はマンションでの民泊営業は可能ですが、実際にほかにもさまざまなハードルがあります。
そもそも開業できるかどうか、安定して収益を上げられるかどうかに関わる重要なポイントなので、しっかりチェックしておきましょう。
近隣住民とのトラブルリスク
マンションは共同住宅であるため、建物の一部で民泊営業をする場合、近隣住民とのトラブルリスクがあります。
例えば、宿泊客による深夜の話し声や音楽などの騒音によって、隣接する部屋からのクレームが入るケースが多いようです。
また、ゴミ出しのルールを守らず、ゴミ置き場が散乱してしまいクレームの原因になることも。
マンションの住民にとって、不特定多数の宿泊客が出入りするのも不安につながり、反対の声やクレームが上る可能性もあります。
オートロックのマンションでも、住民以外が出入りすると意味がないという意見も多いです。
特に民泊は外国人の利用も多いため、文化の違いによる騒音やルール違反など、トラブルが発生しやすい傾向があるようです。
民泊営業に近隣住民の賛同は必要がありませんが、クレームや反対意見が出ると続けるのが難しくなる可能性は考えられます。
民泊不可物件も多い
前述したトラブルを防止するために、管理規約で民泊営業自体を禁止しているマンションも少なくありません。
自己所有のマンションであっても、管理規約で禁止されている場合は営業できません。
また、現在は民泊営業が禁止されていないマンションでも、トラブルが発生したり、住民から反対意見が出たりすると、管理規約が変わり民泊を続けられなくなる可能性も考えられます。
賃貸マンションはオーナーの了承を得にくい
法律上は賃貸で借りているマンションでも民泊営業が可能ですが、実際はオーナーの了承を得られるケースは少ないようです。
前述したトラブルのリスクに加えて、民泊の場合は通常使用以外の損耗が発生する可能性も考えられるため、オーナーにとって大きなデメリットになります。
現実的には、賃貸マンションを借りて民泊営業するハードルはかなり高いです。
価格競争になりやすい
一般的な間取りのマンションを民泊として貸し出すだけだと、競合物件との価格競争になりやすく、安定した利益を出すのは難しいです。
宿泊先としてマンションの民泊を選ぶユーザーは、ホテルや旅館より宿泊費用を抑えるのが目的になるため、どうしても価格が安い物件に予約が集中しやすくなります。
宿泊料を下げて回転率を上げる作戦もありますが、住宅宿泊事業法における民泊営業は年間180日が上限なので、大きな利益を確保するのは難しいです。
■マンション民泊は一棟丸ごとがおすすめ
前述したようなハードルや注意点への対策は、マンション一棟丸ごと民泊として貸し出す方法がおすすめです。
自己所有のマンションや中古マンションを一棟丸ごと民泊施設として運用することで、ワンルームマンションや分譲マンション1室を貸し出すケースと比較してさまざまなメリットが生まれます。
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管理規約の制限や近隣トラブルがない
マンションを一棟丸ごと民泊として運営する場合、管理規約による制限や近隣住民とのトラブルリスクを回避できます。
一棟丸ごと自己所有のマンションなら、管理規約やルールを自分で決められるため自由に民泊営業も可能です。
また、住居として利用する住民が居ないため、騒音や人の出入りによるクレームのリスクもありません。
ゴミ出しや利用上のルールをしっかり設定しておけば、トラブルのリスクを抑えられます。
1部屋よりターゲットユーザーが広がる
マンション一棟を民泊にして複数の部屋を貸し出すことで、ワンルームマンションや分譲マンション1室を貸し出すよりターゲットユーザーが広がるのもメリットです。
例えば、親戚や友人など複数のグループ旅行などでは、同じ建物内に複数の部屋がある民泊施設ならホテルのように利用できるため、選ばれやすくなります。
特に、都心部の民泊は外国人利用客が多い傾向があるため、複数の部屋をまとめて貸し出すことでビジネスチャンスが広がります。
経営効率が良い
ワンルームマンションを複数民泊として貸し出すより、一棟丸ごとの方が経営効率が良いのもメリットと言えます。
マンションの1室で民泊営業を始める場合、経営が軌道に乗ってきたときに部屋数を増やそうとすると、複数の物件になってしまい管理の手間や費用が増加し、大きな利益は狙えません。
同じ建物内なら自分で管理する場合も効率が良く、管理会社に委託する場合も費用を抑えることができ、高い利回りを狙えます。
大がかりな改修が必要ない
前述したようにマンションは民泊営業の要件を満たしているため、大掛かりな改修が必要なく、一棟丸ごとでもコストを抑えて経営を始められるのもメリットの1つです。
ホテルや旅館など本格的な宿泊施設は、建物自体のレイアウトを大きく変えて用途変更などの手続きをする必要があり多額の改修費用がかかります。
一方、民泊の場合は室内のリフォームやリノベーションだけ確認申請などの手続きも不要なため、一般的な住宅改修と相場はそれほど変わりません。
部屋ごとにコンセプトを変えてリピーターも狙える
マンション一棟丸ごとを民泊施設にする場合、部屋ごとにコンセプトを変えて、集客力やリピート率を高めるといった施策も可能です。
同じ間取りの部屋でも、内装のデザインやインテリアを変えてバリエーションを出すことで、ユーザーの好みにマッチする確率が高まり集客しやすくなります。
また、別のコンセプトの部屋があれば、リピート利用してくれる可能性も高くなります。
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民泊リノベーションの費用相場&施工事例|物件選びや補助金で費用を抑えるコツも
次の章で、リノベーションで部屋ごとのコンセプトを変え、集客力を高めた民泊施設の事例をご紹介します。
■マンションの一棟民泊リノベーション事例
SHUKEN Reがお手伝いした、マンションの一棟丸ごと民泊リノベーション事例をご紹介します。
こちらのお部屋は、シンプルな内装にデスクやアートなどの小物をトータルコーディネートして、かわいらしいフレンチテイストに仕上げています。
海賊船をイメージした客室は、船のデッキに居るようなイメージに仕上げ、ワクワクするような空間に。
外国のお客様の利用も考え、和のおもてなしを感じられるジャパニーズモダンテイストのお部屋もつくっています。
ほかにもさまざまなテイストの一棟リノベーション事例がありますので、ぜひ参考にしてみてください。
■まとめ
民泊新法の施行によりマンションでの民泊営業のハードルは下がりましたが、管理規約や近隣トラブルなど注意すべきポイントもあります。
特に、一般的な分譲マンションの1室での民泊営業は、近隣住民からクレームが入るケースが多いため要注意です。
自己所有マンションの資産運用や不動産投資として民泊を検討する場合は、マンション一棟丸ごとの経営を検討してみてください。
私たちSHUKEN Reは、多くのマンションリノベーションで培ったノウハウをもとに、民泊施設づくりをサポートしています。
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