公開日:2025-02-09
中古住宅購入・リフォームでフラット35は使える?築年数や優遇金利の条件、手続きの流れを解説
このコラムでは、中古住宅の購入やリフォームで「フラット35」を利用できる条件や手続きの流れについて解説します。
フラット35が使える築年数や審査の受け方、金利引き下げが適用できるケースについても紹介します。
中古マンションや戸建てを購入したい方や、中古住宅を購入してリノベーションして住みたいとお考えの方は参考にしてくださいね。
● フラット35は、全期間固定金利で資金計画が立てやすい点や、民間ローンの利用が難しい方も融資が受けやすいなどのメリットがあります。
● 性能や管理状態の良い物件に対して優遇金利が適用されるため、基準を満たした中古住宅を購入する場合や、中古住宅を購入してリノベーションして住む場合にもおすすめのローンと言えます。
● フラット35を利用して中古住宅を購入、リノベーションしたい場合は、さまざまな住宅ローンに詳しく、資金計画のアドバイスが受けられる不動産会社やリノベーション会社に相談するのがオススメです。
目次
■フラット35はどんな住宅ローン?
中古マンションリノベーション事例を見る:Case204「comfort×industrial」
フラット35は、住宅金融支援機構が民間金融機関と共同で提供している、全期間固定金利型の住宅ローンです。
民間ローンと比較した、フラット35の特徴は以下のようなものがあります。
- ・完済まで金利が変わらないため返済計画が立てやすい
- ・借入れの際に保証人が不要
- ・年収による借入額の制限や勤続年数の条件がない
- ・団信(団体信用生命保険)加入が任意
- ・繰り上げ返済、返済方法変更時の手数料が無料
- ・多彩な金利引き下げプランがある
- ・夫婦、親子でのペアローンも可能
フラット35は、途中で金利が上昇することがなく資金計画が立てやすい点や、独自の審査基準によって民間ローンの利用が難しい方も融資が受けられる可能性がある点がメリットです。
また、性能や管理状態の良い物件に対して優遇金利が適用されるため、基準を満たした中古住宅を購入する場合や、中古住宅を購入してリノベーションして住む場合にもおすすめのローンと言えます。
2024年10月から夫婦や親子でペアローンの利用も可能となり、より柔軟に借入れ額や返済プランを選択できるようになっています。
〈おすすめコラム〉
住宅購入のペアローンは“やめた方がいい”の真実|メリット・デメリットと2024年減税控除
■中古住宅の購入・リフォームでフラット35は使える?
中古マンションリノベーション事例を見る:Case203「Greige」
結論から言うと、住宅金融支援機構が定める物件と個人審査の基準を満たせば、中古住宅の購入でもフラット35を利用できます。
ちなみに、フラット35は住宅のリフォーム・リノベーションのみを実施する目的では融資を受けられません。
中古住宅購入とあわせて、要件を満たすリフォームを実施する場合に、物件費用とリフォーム費用に対して融資が受けられます。
次章から、「中古住宅の購入」や「購入+リフォーム」でフラット35を利用できる条件について詳しく解説していきますね。
■中古住宅でフラット35を利用できる物件の条件
中古マンションリノベーション事例を見る:Case202「Like a one-room」
中古住宅の購入でフラット35を利用するには、物件検査を実施し、住宅金融支援機構が定める技術基準を満たしていることを示す「適合証明書」を取得することが必要です。
フラット35の中古住宅の技術基準
フラット35の技術基準に適合していることを示す適合証明書は、検査機関または適合証明技術者から物件検査を受け、合格することで交付されます。
物件検査には、物件検査手数料が必要で、ローン契約者の負担となります。
手数料は検査機関や適合証明技術者によって異なりますが、3万~16万円前後が相場です。
なお、新築時に適合証明書を取得している中古住宅の場合も、原則として適合証明書の取得が必要です。
技術基準の主な項目は以下の通りです。
- ・一般の道に2m以上接している
- ・住宅部分の床面積:戸建て70㎡以上、マンション30㎡以上
- ・リビング含む居室が2部屋以上(家具等で仕切れる場合でも可)、キッチン、トイレ、浴室がある
- ・併用住宅の場合、住宅部分の床面積が全体の1/2以上
- ・耐震性の基準を満たしている
- ・劣化状況の基準を満たしている
- ・(マンションの場合)管理規約があり、20年以上の長期修繕計画があること など
フラット35の耐震性能や築年数の基準
中古住宅でフラット35を利用する場合、物件の建築確認日が昭和56年6月1日以降であることが条件になります。
建築確認日が確認できない場合は、新築年月日(表示登記における新築時期)が昭和58年4月1日以後であれば基準を満たしていると判断されます。
また、建築確認日が昭和56年5月31日以前(旧耐震物件)の場合は、耐震基準適合証明書を取得するか、住宅金融支援機構が定める耐震評価基準に適合すれば、基準を満たせます。
旧耐震物件でフラット35を利用できる耐震評価基準や物件の選び方については、以下のコラムで詳しく解説しています。
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物件検査を省略できる中古住宅
中古住宅でフラット35を利用する場合は原則として物件検査が必要ですが、以下に該当する場合は検査を省略できます。
①物件検査に合格済みのマンション
すでにフラット35の物件検査に合格済みである「中古マンションらくらくフラット35」に登録されているマンションの場合は、検査が不要のためスムーズに手続きできます。
以下のページで該当するマンションを検索できますので参考にしてください。
(参考)住宅金融支援機構【フラット35】ホームページ|中古マンションらくらくフラット35検索
②一定の要件を満たす中古住宅
以下の要件を満たす中古住宅は、物件検査が不要になります。
- ・築年数が20年以内で、長期優良住宅の認定を受けている中古住宅
- ・安心R住宅で、新築時に【フラット35】を利用している中古住宅
- ・築年数が10年以内で、新築時に【フラット35】を利用している中古住宅
- ・「スムストック※」に登録されていて、あらかじめ【フラット35】の基準に適合することが確認されている中古住宅
※大手ハウスメーカー10社による「(一社)優良ストック住宅推進協議会」が認定する一定基準を満たす優良な既存住宅
物件検査を省略するには、それぞれに対応する「【フラット35】中古住宅に関する確認書」を取扱金融機関に提出する必要があります。
■フラット35の融資申込みの流れ
中古マンションリノベーション事例を見る:Case201「Living neatly」
中古住宅の購入でフラット35の融資を受ける際の手続きの流れについて解説します。
物件検査を申請し適合証明書の交付を受ける
検査機関または適合証明技術者に物件検査・適合証明の申請を行います。
(参考)住宅金融支援機構フラット35ホームページ|適合証明のお問い合わせ窓口
物件検査に合格すると適合証明書が交付されます。
中古住宅でフラット35の利用を検討する場合は、物件検査を省略できる物件かどうかも含めて、まずは不動産会社に相談することをおすすめします。
借入れ・団信加入の申込み
フラット35の取扱金融機関へ借入れを申込みます。
フラット35は団信(団体信用生命保険)の加入は任意となっているため、健康上の理由やその他の事情で団信に加入できなくてもローンが組める可能性があります。
団信に加入しない場合、団信付きのフラット35の借入れ金利から0.2%引き下げられます。
ただし、万一のことがあった場合に返済が残るリスクがあるため、健康上の理由でない限りはできるだけ加入することをおすすめします。
また、健康上の理由で団信に加入できない場合も、返済できなくなった場合のリスク対策を考えておきましょう。
審査
借入れの申込みから1~2週間程度で審査結果が通知されます。審査に通ったらローン契約に進みます。
ローン契約
審査を受けた金融機関とローン契約を結びます。
火災保険(地震保険)への加入
ローンの返済が終わるまでの間、借入れ対象の住宅に対して火災保険に加入する必要があります(地震保険への加入は任意)。
火災保険の補償開始日は引渡し日が目安になります。
ローン申込み前後で火災保険も早めに検討し、引渡しの2週間前を目安に契約を済ませておきましょう。
決済・登記手続き
決済日に融資実行となり、借入金を受け取ります。
決済と同時に抵当権設定登記、所有権移転登記の手続きも行いますが、司法書士が代行するケースが多くなっています。
■フラット35の手続きに必要な書類
中古マンションリノベーション事例を見る:Case177「Full Life」
フラット35の申込み時や審査中、ローン契約前に必要となる書類をまとめました。
申込み時に取扱金融機関に提出する書類
フラット35の借入れ申込み時の必要書類は以下の通りです。
①【フラット35】長期固定金利型住宅ローン(機構買取型)借入れ申込書 | 通常は取扱金融機関で用意されています |
②所得を証明する書類
(借入れ申込み年の前年および前々年の公的収入証明書) |
|
③売買金額の確認書類 | 不動産売買契約書の写しなど売買金額が分かる書類 |
④住宅の登記事項証明書 | 法務局窓口で取得、法務局ホームページでオンライン申請など |
⑤土地の登記事項証明書 | 法務局窓口で取得、法務局ホームページでオンライン申請など |
⑥住民票、重要事項説明書の写しなど | 金融機関によっては必要になる場合があります |
申込み後(審査中)に必要な書類
借入れの申込み後、審査上の理由で、住民税納税証明書、直近時における給与明細の写しや給与振込通帳の写しなどの追加書類が必要になる場合があります。
ローン契約時に必要な書類
ローンの契約時には、物件検査で検査機関または適合証明技術者から交付された適合証明書の提出が必要です。
物件検査の申請と借入れ申込みの順序は前後しても構いませんが、ローン契約までに適合証明書の交付を受けておく必要があります。
不動産会社やリノベーション会社と相談しながら、余裕を持って物件検査を申請しましょう。
■中古住宅でフラット35の金利引き下げを受けられるケース
築50年の中古戸建てリノベーション事例を見る:Case155「Flat+」
フラット35は、高性能な住宅を購入する場合や、購入と同時にリフォームを実施する場合など、条件を満たすと一定期間金利の引き下げが受けられるプランがあります。
金利引き下げの要件を満たせば、通常よりも総返済額や月々の負担を抑えられる可能性があります。
中古住宅の購入、リノベーションで利用できるフラット35の金利引き下げプランの一例を紹介します。
金利引き下げプラン①【フラット35】S
【フラット35】Sとは、長期優良住宅などの高い住宅を取得する場合に、一定期間借入れ金利の引き下げが受けられる制度です。
住宅の性能に応じて以下の金利引き下げメニューがあります。
金利引き下げメニュー | 金利引き下げ期間 | 引き下げ幅 |
①【フラット35】S(ZEH)+長期優良住宅 | 当初5年間 | 年▲1.0% |
②【フラット35】S(ZEH) | 当初5年間 | 年▲0.75% |
③【フラット35】S(金利Aプラン) | 当初5年間 | 年▲0.5% |
④【フラット35】S(金利Bプラン) | 当初5年間 | 年▲0.25% |
※2025年3月31日までの申込み受付分に適用
(参考)
住宅金融支援機構【フラット35】ホームページ|【フラット35】Sの対象となる住宅
住宅金融支援機構【フラット35】ホームページ|【フラット35】S(ZEH)の技術基準
上記のように、購入する住宅が①のZEH水準かつ長期優良住宅の場合、当初5年間-1%と、大きな引き下げ幅が適用されます。
②はZEH水準、③は長期優良住宅とほぼ同じ要件となっており、中古住宅でも築浅物件などで適用できる場合があります。
また、④金利Bプランは最も条件が緩く、物件状態によっては比較的適用しやすいプランのため、まずは不動産会社に物件情報を確認してみましょう。
金利引き下げプラン②【フラット35】子育てプラス
【フラット35】子育てプラスとは、申込み者が子育て世帯または若年夫婦世帯の場合、子どもの人数などに応じて一定期間借入れ金利の引き下げを受けられる制度です。
- 子育て世帯…借入れ申込み年度の4月1日時点で18歳未満の子どもがいる世帯
- 若年夫婦世帯…夫婦のいずれかが借入れ申込み年度の4月1日において40歳未満の世帯
世帯や子どもの人数に応じて以下の金利引き下げメニューがあります。
金利引き下げメニュー | 金利引き下げ期間 | 引き下げ幅 |
①若年夫婦世帯または子ども1人の場合 | 当初5年間 | 年▲0.25% |
②子ども2人の場合 | 当初5年間 | 年▲0.5% |
③子ども3人の場合 | 当初5年間 | 年▲0.75% |
④子どもN人の場合 | 当初5年間 | 年▲0.25%×N% |
※2025年3月31日までの申込み受付分に適用
(参考)住宅金融支援機構【フラット35】ホームページ|【フラット35】子育てプラス
【フラット35】子育てプラスは、【フラット35】Sなど他の引き下げプランとの併用も可能なため、条件を満たしていれば金利負担を大きく抑えられる可能性があります。
金利引き下げプラン③【フラット35】 リノベ
【フラット35】 リノベとは、中古住宅の購入とあわせて、一定の要件を満たすリフォームを実施することで、一定期間借入れ金利の引き下げが受けられる制度です。
「中古住宅を購入後に自分でリフォームする場合(リフォーム一体タイプ)」と、「住宅事業者がリフォームした中古住宅を購入する場合(買取再販タイプ)」の2通りがあります。
リノベーションの内容によって以下の金利引き下げメニューがあります。
金利引き下げメニュー | 金利引き下げ期間 | 引き下げ幅 |
①金利Aプラン | 当初5年間 | 年▲1.0% |
②金利Bプラン | 当初5年間 | 年▲0.5% |
※2025年3月31日までの申込み受付分に適用
【フラット35】 を利用できる住宅の条件は、通常の【フラット35】の技術基準に加えて以下の3つが必要となります。
- ①一定額以上のリフォームを行うこと
・金利Aプラン…300万円以上
・金利Bプラン…200万円以上 - ②リフォーム後の住宅が性能要件を満たしていること
省エネルギー性や耐震性の向上など、定められた項目のうち1つ以上のリフォームをする必要があります。 - ③中古住宅の維持保全措置が取られている
インスペクションの実施や瑕疵保険の付保など、住まいを安全に維持するための対策が取られているかをチェックします。
上記の通り、リノベーション時に住宅全体の断熱リフォームや耐震リフォーム、長期優良化リフォームなどを実施することで、優遇金利が受けられます。
リフォームにかかる費用負担を抑えながら住宅性能を向上できるメリットがあるため、中古住宅を購入してフルリノベーションする場合におすすめのプランです。
■まとめ
フラット35は、全期間固定金利で資金計画が立てやすい点や、民間ローンの利用が難しい方も融資が受けられる可能性がある点がメリットです。
また、性能や管理状態の良い物件に対して優遇金利が適用されるため、基準を満たした中古住宅を購入する場合や、中古住宅を購入してリノベーションして住む場合にもおすすめのローンと言えます。
さらに、複数の金利引き下げプランを組み合わせることで、より有利な引き下げ幅や引き下げ期間が適用される可能性もあります。
フラット35を利用して中古住宅を購入、リノベーションしたい場合は、さまざまな住宅ローンに詳しく、資金計画のアドバイスが受けられる不動産会社やリノベーション会社に相談するのがオススメです。
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