公開日:2023-12-27 更新日:2024-07-04
アパート建て替えで使える補助金制度|注意点や使えないときの対策も
築年数が経ち空室が目立ってきたアパートを建て替えたいけど、銀行からの借り入れや現金の持ち出しはなるべく抑えたい…。
そんなときは、国や自治体が用意する補助金制度を活用して費用負担を軽減する方法があります。
補助金や助成金の中には、既存建物の解体や新しいアパートの建築が対象になるものもあり、費用を抑えられる可能性があるのです。
今回は、実際にアパート建て替えに使える補助金制度と、活用の際の注意点などを詳しく解説します。
・建て替え補助金を活用することで、アパートの性能を高めて競合と差別化できるケースも。
・補助金の要件を満たすために建築費が高くなるケースもあるため、全体のバランスを考えることが大切です。
目次
■アパート建て替えで補助金を使うメリット
補助金制度を活用してアパートを建て替えると、次のようなメリットがあります。
費用負担を抑えられる
国や自治体の補助金・助成金制度は基本的に返却の必要がないため、受け取った金額分アパートの建て替え費用を軽減できます。
補助金制度によっては金額が大きいものもあり、銀行からの借入や現金の持ち出しを減らせるのは大きなメリットです。
建て替え費用をアパートローンでまかなう場合、借入金額を減らして返済期間を短縮できるので、キャッシュフローが良くなる効果も期待できます。
アパートの建て替え費用相場については、こちらのコラムを参考にしてみてください。
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競合物件との差別化になる
アパートの建て替えに使える補助金は、耐久性や省エネ性の向上などが条件になっているものも多く、競合物件との差別化にもつながります。
今までの賃貸アパートは断熱性が低く、夏は暑く、冬は寒い物件がほとんどでした。
しかし、近年は地球環境保護の観点から住宅の省エネ性が重要視されており、「エコ賃貸」としてユーザーからの注目も集まっています。
また、2025年からはアパートも省エネ基準への適合が義務化されますので、補助金を活用して断熱性・気密性が高い建物をつくる重要性も高まっています。
■アパート建て替えで補助金を使うデメリットは?
補助金制度を使ってアパートを建て替える場合、手間がかかる、かえって費用が高くなるなどのデメリットも考えられます。
どの補助金も書類をそろえて期限までに工事を進める必要があり、手続きの手間がかかりスケジュール管理もシビアになります。
アパートを建て替えるエリアやタイミングによっては、使える補助金がない場合も考えられます。
また、補助金の要件を満たすためにアパートの建築費用が高くなり、トータルではマイナスになる可能性も。
建て替えは補助金ありきで考えるのではなく、「たまたま使える制度があればラッキー」ぐらいに考えるのが良いかもしれません。
■アパート解体に使える補助金制度は?
補助金制度の中には、アパートの解体に使えるものもあります。
解体に使える補助金は国土交通省の「空き家再生等推進事業」がベースで、耐震性が低い、老朽化しているなど、倒壊リスクがあるアパートが対象になる可能性が高いです。
建物の解体に使える補助金制度の例
実際の補助金制度は全国一律ではなく、自治体によって内容が違います。
大阪市の例をピックアップしてみましょう。
対象 | ・集合住宅 |
主な要件 | ・建築年:昭和56年5月31日以前
・住宅規模:35~120㎡ |
補助金額 | ・設計・解体費用の2/3以内
(予算の範囲内) |
※2023年11月時点の内容を引用
仮にアパートの解体費用が300万円かかった場合、最大200万円まで補助金を受け取れる可能性があります。
ただし、自治体によってはアパートが対象にならなかったり、要件が厳しかったりするケースも多いので事前確認しましょう。
ブロック塀撤去
アパートの建物部分だけでなく、敷地を囲むブロック塀の撤去に補助金が使えるケースも多いです。
東京都江戸川区の場合を例に挙げてみましょう。
※江戸川区:ブロック塀等撤去費助成
対象 | ・コンクリートブロック、レンガ、大谷石、万年塀など |
主な要件 | ・道路に面している(区道・国道など)
・高さ1.2メートル以上 |
補助金額 | ・【個人】助成対象費用の2/3、または撤去したブロック塀×25,000円/m
・【法人】助成対象費用の1/2、または撤去したブロック塀×19,000円/m ・一件当たりの上限200万円 |
※2023年11月時点の内容を引用
アパートのブロック塀やレンガが老朽化している場合、撤去と新しいフェンスの設置費用を補助してくれる制度です。
アパート建て替えのタイミングは、ブロック塀や万年塀なども寿命を迎えている可能性が高いです。
ブロック塀の解体費用補助金は多くの自治体で用意されているので、積極的に活用してみましょう。
■アパート建て替え費用の補助金制度
2023年11月現在、アパート本体の建て替えに使える補助金制度は長期優良住宅です。
木造アパートで性能や構造など一定の要件を満たし、長期優良住宅に認定されると、地域型住宅グリーン化事業の補助金を受けることができます。
※長期優良住宅の認定基準
- 劣化対策
- 耐震性
- 維持管理・更新の容易性
- 可変性
- バリアフリー性(共同住宅のみ)
- 省エネルギー性
- 居住環境
- 住戸面積
- 維持保全計画
各規準にはさらに細かい項目があり、すべて満たすことで長期優良住宅に認定されます。
長期優良住宅認定を受けたうえで、地域木材を使用し国に採択された中小工務店で建てるなどの要件を満たすと、地域型住宅グリーン化事業として最大140万円の補助金を受け取れます。
補助金額に対してクリアすべき要件が高いため、もともと長期優良住宅を検討していた場合などに活用するのが良いかもしれません。
■アパート建て替え補助金制度の注意点
国・自治体の補助金制度を活用してアパートを建て替える場合は、次のような点に注意してください。
申し込み・工事期限を確認
解体や建て替えに使える補助金には期限があるため、必ず最初に申し込みや工事完了までの日程を確認しましょう。
仮に申し込みが間に合っても、工事が遅れると補助金を受け取れなくなる可能性があります。
建て替えに使えそうな補助金が見つかったらまず日程の期限を確認し、なるべく早めに見積もりを依頼して間に合うように進めましょう。
早期締め切りの可能性がある
補助金によっては予算の上限が決められていて、期限より早めに閉め切られてしまうケースもあるので要注意。
自治体や補助金の運営団体で申し込み状況を確認できるケースもあるので、予算上限がある場合はこまめにチェックするのがおすすめです。
必要書類を早めにそろえる
補助金制度によって必要な書類が異なり、時間がかかるものもあるので、できるだけ早めに用意しておきましょう。
書類が間に合わなかったり、ミスをしたりすると、補助金を受け取れなくなる可能性があります。
工事前後の写真や使用した設備の控えなどが必要になることもあるので、施工会社とも連携して書類をしっかり用意してください。
工事完了後に補助金交付されることもある
補助金を活用してアパートを建て替えるときは、交付されるタイミングもしっかりチェックしましょう。
工事が完了してから補助金が交付される場合、一度建て替え費用を全額用意する必要があります。
■建て替え補助金が使えないときはリノベーションがおすすめ!
今回ご紹介した解体や建て替えの補助金制度は、管轄する自治体やタイミングによっては使えないケースもあります。
補助金が活用できず、アパート建て替え費用の負担が大きいときは、コストパフォーマンスが高い一棟リノベーションも検討してみてください。
アパートの規模や仕様にもよりますが、リノベーションなら建て替えより数千万円コストダウンできる可能性があります。
アパート一棟丸ごとのリノベーションなら、デザインや設備は新築同様にできるので、入居率や家賃相場もしっかりリセットできます。
アパートリノベーションと建て替えの比較はこちらのコラムを参考にどうぞ。
〈関連コラム〉
アパートの建て替え・リノベーションでお悩みの際は、住宅改修専門のSHUKEN Reにご相談ください。
多くの一棟リノベーションで培ったノウハウをもとに、物件の状況や経営方針に合わせた改修プランをご提案いたします。
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