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"SHUKEN Re"

ONESTOP'S CASE

Elegant Vintage

エリア東京都
物件種別マンション
築年数37年
広さ72.0㎡
施工期間3か月
物件費用非公開
リノベ費用非公開
家族構成単身
Elegant Vintage 施工前
Elegant Vintage 施工後

好きなものに囲まれ、機嫌がよくなる家・Elegant Vintage

◆行動パターンを基に、動線をクリアに描く

今回ご紹介するのは都内の中古マンションをフルリノベーションしたSさん邸。

50代独身。キャリアのある、いわゆる大人の女性が理想の独り暮らしを構想し始めた時、周囲の友達はSさんにこう言ったそうです。「終の棲家も視野入れた家づくりになるね」と。

それまでの家は「どうしても、そこに住まなければならない」事情のあったSさん。

晴れて自分の好きなところに住めるのであれば、「とにかく好きにしたかった」

まず思い描いたのは居住空間における、「こうありたい」という明確な生活動線でした。大学時代、住居建築を専攻していたSさんは手書きの図面ラフを指差しながら、

「私がもっとも理想とする動線は…」と切り出します。

① 帰宅後、玄関で靴を脱いだら⇒そのままクローゼットへ向かい⇒服を脱ぎ捨て、⇒トイレへ駆け込める

② 朝起きたら⇒すぐお風呂へ。風呂上りには⇒クローゼットへ直行

③ 買い物帰り⇒キッチンへ直行。買ってきた食材をすぐに冷蔵庫にしまえる

……などなど。

いずれも自身の行動パターンを知り尽くした人ならではの発想です。

それからリノベーションを手掛る各社サイトをチェックし、自分の希望のイメージに近いと感じた数社を絞り込み、「それぞれ担当者に会いに行きました」。

最終的にhowzlifeをパートナーとして選んだのは「デザイナーさんとやりとりをしたときのレスポンスで、話が合うと思ったから」。単に事例を見るだけでなく、「会って話をして馬が合うかを確かめることはすごく大事。父親が建築家で、子どものころから大人同士のやりとりを見て、そこは経験上知っていた」とも。

◆悩みの種は、膨大な資料ストックと書籍の数々。

数ある物件の中から、現在のマンションを選んだ決め手は、見晴らしのよさと日当たり。

坂道が多いことで有名な居住区の、とりわけ急斜面の頂きに立地しているため、何と、低層階でも中層階以上の見晴らしが約束されていたのです。部屋からの眺望は「抜け感のある家にしたい」というSさんの希望にぴったり合致するものでした。

その一方で、この心地よい「抜け感」を阻む、どうにも避けがたい課題がありました。膨大な資料のストックと壁を埋め尽くさんばかりの書籍の数々です。それらは紛れもなく、Sさんのこれまでのキャリアと人生を物語る、大切なものでした。そのため、デザイナーには「とにかく本棚がたくさん欲しいです」と最初にオーダーしたといいます。

「いい機会だからと、ずいぶん捨てたんですよ。それでも壁一面は本で埋まることが最初から分かっていました。もちろん、それだけでは足りないことも」

「本の背表紙のごちゃごちゃ感が予めわかっていたため」部屋の配色を白、グレー、茶色の三色を基調として、落ち着いた統一感を保つことに。シルバーの挿し色がまるで白とグレーの展開色のように、いいアクセントになっています。どれも「もともと好きな色」とはいえ、配色のバランスにSさんの個性が光ります。

「『この扉はもうちょっとこっちに』とか、ひとつひとつ細かいことが気になって本当にhowzlifeにはご苦労をおかけしたと思うのですが、私としては『もういいや、こだわらなくて』と最後まで思わず、リノベできたことがありがたかった」とSさんは笑いながら振り返ります。

ここからは家中に宿る、Sさんの「こだわりポイント」をゾーンごとに追いながら、リノベプロセスをみていくことにしましょう。Sさんの「理想の動線」がマンションの間取りにどう活かされたのか。この辺りも、しっかりウオッチしたいものです。

◆リビング&ダイニング

壁一面が本で埋め尽くされていることなど全く気にならない解放感ある、リビング&ダイニングルーム。もともと洋室+和室だった空間を抜いて、新たにフローリング張りをしたため12.5㎝床が高くなってしまったそう。床が窓の桟を覆うよりも「窓全体が視界に入ったほうが、天井が高く見えると思った」ので、段差を利用してインナーテラスを設計。

部屋の印象を大きく左右する床の色は「自分でサンプルを作って、デザイナーにディレクションをしました」。さらに床が持ち上がった分をカバーするため、躯体表しの天井を「白く塗ってもらいました」

窓からの眺めを楽しむため、カーテンはほぼ開けっ放し。夜でもレースのカーテンしかしないので、カーテンレールは一連のみ、とオーダー。

こうしたSさんのディレクションの全てが「心地好い抜け感」の演出効果につながっているというわけです。

この空間にしっくり調和しつつも、存在感を放つトランクテーブルやブリキのダイニングテーブルは何と、「ヤフオクで購入した」ものたち。Sさんのお気に入りはカルテルやHALO。欲しいものが明確なので、ヤフオクに出るまでずっと待っていたのだとか。「自分の好きなものを選ぶことに関してはすごくわがままなんです」

◆主寝室

造作パーテーションとレースのカーテンで仕切られたベッドルーム。天蓋のようにも見えますが、甘すぎない大人のロマンティック感が漂うあたりにSさんのセンスのよさを感じます。聞けば、昔洋雑誌で見て以来、「こういうベッドルームを作りたい」とクリアに思い描いていたイメージがあったといいます。「もともと想定していたのはガラス付きの室内窓でしたが、予算を聞いて、だったらガラスはなくていい」と即決し、カーテンに。

実はこのカーテン、思いがけず重宝しているそう。なんでも引っ越してから、ものすごく友達が訪ねてくるようになり、朝まで飲むこともしばしば。「私は先に寝るから、ゆっくり楽しんで」というようなシチュエーションで大活躍なのだとか。ちなみに、この主寝室はウォークインクローゼットへ通じ、そのまま玄関へ抜けられるようになっています。

◎ほかの部位も含めて、全文公開はこちら!「Elegant Vintage|好きなものに囲まれ、機嫌がよくなる家。」

◆リノベーションを終えて

「言葉にするのは気恥ずかしいのですが、好きなものが目に入る人生はいいですね。心に余裕ができるというか、イライラすることが少なくなり、機嫌がよくなりました。これは人生でいちばん大事なことかもしれません。人にも優しくなれるし、発想も浮かびやすくなって、病気にもならない。遊びに来た仕事仲間が『この家にいる時のSさんは可愛くみえる』って言ってくれたくらい(笑)」

(◎写真 花井智子 ◎ライター 砂塚美穂)

◉パートナーDATA

物件仲介 howzlife

デザイン howzlife

実施設計・施工 SHUKEN Re