太陽光発電を“後付け”するメリット・デメリット|費用目安や税金・保険について
中古住宅の購入やお住まいのリフォーム・リノベーションを検討している方の中には、太陽光発電システムを後付けで導入したいとお考えの方も多いでしょう。
たしかに、メディアなどでは太陽光発電のメリットが多く取り上げられ、魅力的に感じますよね。
しかし、導入を後悔しないためには、事前にデメリットや注意点、費用目安を知っておくことが重要です。
そこで、今回は「太陽光発電の後付けリフォーム」のメリット・デメリットや費用目安、そのほか多くの方からご質問いただく固定資産税や火災保険、蓄電池について詳しく解説します。
「毎月の光熱費を減らしたい」「オール電化住宅や省エネ住宅に興味がある」という方は、ぜひ参考にしてください。
・太陽光発電を後付けリフォームする場合は、家の断熱性や耐震性も含めて総合的にプランを立てることが重要です。
・太陽光発電を導入する前に、ライフスタイルや立地が設置に適しているか確認しましょう。
・中古物件の購入から始める方は、太陽光発電に適した物件探しから資金計画、リノベーションの設計施工までフルサポートできるSHUKEN Reの「ワンストップリノベーション」がおすすめです。
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Contents
既存住宅へ太陽光発電を“後付け”するメリット
東京都や京都府、神奈川県川崎市が新築住宅への太陽光発電設置を実質“義務化”したニュースは記憶に新しいでしょう。
政府や自治体は、脱炭素化(カーボンニュートラル)実現に向け、住宅への太陽光発電導入を推進しています。
その成果もあり、総務省の調べによると、既存住宅における太陽光発電普及率は6.3%(2021年時点)で、2003年時点の0.9%と比較すると大幅に増加しています。(参考:環境省|太陽光発電システムについて・経済産業省|太陽光発電の現状と自立化・主力化に向けた課題)
では、既存住宅へ太陽光発電を後付けするメリットを紹介します。
機器の選択肢が広がる
新築時に太陽光発電を導入する場合、ハウスメーカーや工務店によっては機器のメーカーや商品が限定されるケースは珍しくありません。
しかし、既存住宅へ後付けする場合は、機器の種類や取り付け業者をじっくり比較検討できます。
断熱リフォーム・ZEH化リフォームと同時に工事できる
せっかく発電によって電力会社から買う電気量を減らせても、消費電力が多くては意味がありませんよね。
太陽光発電の効果を活かすためには、家の断熱・省エネ性能が欠かせません。
後付けする場合は、合わせて断熱リフォームして、発電+省エネで光熱費を大幅に削減できます。
最近は、「太陽光発電による“創エネ”+高断熱性能や高性能設備による“省エネ”」を組み合わせ、その家の消費電力を“±ゼロ”にするZEH(ネット・ゼロエネルギー・ハウス)化を目指すリフォーム事例も珍しくありません。
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オール電化と相性が良い
太陽光発電電力のうち余剰電力を電力会社へ売って、初期費用を回収しようとお考えの方もいらっしゃるでしょう。
しかし、FIT法によって定められている電力買取価格は年々低下しています。
住宅用(発電量10kW未満)の買取価格は、2012年「34円/kWh」、2024年「16円/kWh」、2025年「15円/kWh」とどんどん下がっているのです。(参考:資源エネルギー庁|FIT・FIP制度|過去の買取価格・期間等)
つまり、これから太陽光発電を導入する場合は、できるだけ発電電力を自家消費して、コスト面でのメリットを得ることが重要になります。
そのため、空調機器や給湯器機(エコキュートなど)、IHクッキングヒーターを導入してオール電化住宅にすると、より光熱費削減効果を実感できるでしょう。
補助金を使ってお得に省エネ住宅へリフォームできる
2009年に経済産業省主導で開始された太陽光発電導入に対する補助事業は2014年に終了していますが、それ以後も自治体によっては独自の補助金を設けているところもあります。
まさに、自己負担を抑えて省エネ住宅へリフォームできるチャンスです。
ただし、制度の有無や補助金額は自治体によって異なるため、工事を検討する前に詳細を必ず確認してください。
停電時にも電気を使える
台風や地震に伴い停電した場合も、太陽光発電システムがあれば少なくとも日中や晴天時は、最低限の電気は使い続けられます。
そのため、防災設備として導入するケースは少なくありません。
ただし、太陽光パネルや周辺機器には蓄電性能が備わっていないため、夜間や雨天時も継続的に電気を使いたい場合は「家庭用蓄電池」が必須です。
既存住宅へ太陽光発電を“後付け”するデメリット・注意点とその対策
太陽光発電には、リフォームで導入する場合は事前に知っておいていただきたいデメリットと注意点があります。
では、対策と合わせてそれぞれ詳しく解説します。
メンテナンスの手間と費用がかかる
10kW未満の住宅用太陽発電であっても、2017年よりFIT法によって「4年に1回以上」の定期的な保守点検やメンテナンスが義務化されています。
点検は目視と数値計測によるものなので、専用業者へ依頼するのが通常で、1回につき2〜3万円程度の費用が必要です。
点検で部品の劣化が見つかれば、別途メンテナンス費用もかかるでしょう。
ただし、保守点検やこまめなメンテナンスは、発電効率の維持と安全の確保にとって欠かせません。
例えば、太陽光パネルに落葉や汚れが付いたままでは、「ホットスポット現象」が発生し、故障や発火の原因になります。
また、ビスなど細かい部品でも劣化や脱落していれば、台風の際に太陽光パネルが落下するなど大きな事故にもなりかねません。
太陽光発電を後付けする際は、事前に点検費用や機器の寿命、交換費用を確認しましょう。
システムを維持し続けるためには、1年あたりどのくらいのコストがかかるのか把握しておくことが肝心です。
構造補強(耐震補強)が必要
太陽光パネルは、1㎡あたり15kg程度の重量があります。
一般家庭に必要な電力を発電するためには18〜30㎡のパネルが必要で、総重量は270〜450kg程度になる計算です。
これだけの荷重が加わると、耐震性が低下する可能性があるため、既存住宅の建築時期によっては構造の補強が必要になります。
特に、1981年以前に建てられた旧耐震基準の建物は要注意です。
太陽光発電を後付けする際は、住宅の性能を総合的に判断できる建築会社へ相談しましょう。
詳細な構造計算をすると費用がかかるため、専門家が現状や図面を確認して簡易耐震診断できる会社がおすすめです。
屋根形状によってはパネル設置面積を確保できない
発電効率が最も良いのは、日当たりの良い南面に設置されたパネルです。
北面はその60%程度しか発電できないため、効率的に発電するためには、パネルの設置位置が重要になります。
ところが、複雑な形状の住宅は、屋根が細かく分断されている可能性があります。
パネルサイズはメーカーや製品によって異なりますが、900×1,100mm程度のサイズが主流なので、屋根によっては十分なパネルを設置できないかもしれません。
どこに何枚のパネルを設置できるか、また、それらからどのくらいの発電量を見込めるのかを入念にチェックしましょう。
太陽光パネルメーカーなどに発電シミュレーションをしてもらうのがおすすめです。
地域や敷地の周辺環境によって発電効率が変わる
住宅への太陽光発電普及率は全国平均で上昇しているものの、地域差がある点は無視できません。
(引用:環境省|太陽光発電システムについて)
豪雪地域で屋根に雪が積もる期間の長い北海道や、雨天・曇天率の高い北陸地域は、全国の普及率を大きく下回っています。
また、周囲に高い建物がある敷地条件では、屋根が長時間日陰になるため、やはり発電効率が下がるリスクがあるでしょう。
太陽光発電を後付けする場合は、まずその地域の特性と周辺環境をチェックしましょう。
家庭によってはメリットが小さい
太陽光発電を導入すると、間違いなく月々の光熱費は削減できますが、それが初期費用をかけてまでの金額ではない可能性があります。
例えば、単身世帯やお二人暮らしで日中ほとんど家にいないご家庭ですと、元々の消費電力量が少ないかもしれませんよね。
その場合は、太陽光発電ありなし関係なく夜間電力を主に使うため、日中の発電電力を安い価格で売電するのが主になり、コスト面でのメリットが薄れてしまいます。
ただし、今後さらに売電価格が低下したとしても、蓄電池を組み込んでおけば昼に自家発電した電力を夜に使えるため、光熱費を削減できる側面もあります。
太陽光発電の導入を検討する前に、まずは毎月どれくらいの電気代を支払っているのか確認しましょう。
その上で、何枚のパネルを設置するべきなのか、もしくは、どのくらいの年数で初期コストを回収できるのかを建築会社へ相談してください。
ソーラーローンは金利が高め
太陽光発電の導入単体で使えるソーラーローンの金利は「年利2.5%」前後です。
一般的なリフォームローンの金利は「0.3〜2.0%(有担保型)」程なので、少々割高な点は否めません。
太陽光発電導入などの省エネ工事を同時に行うことを条件に、一般的なリフォームローンよりも金利を引き下げている商品もあります。
そのため、太陽光発電を後付けする際は、その他の工事と同時にプランを立て、リフォームローンを利用するのがおすすめです。(例:住宅金融支援機構|グリーンリフォームローン)
周辺機器の設置場所が必要・配線が見える
太陽光パネルで作られた電力を家庭で使えるようにするためには、それを変換するパワーコンディショナーをブレーカー近くの室内もしくは室外へ設置する必要があります。
メーカーによって多少違いがあるものの、サイズは「30〜40cm×50〜60cm、奥行き15〜20cm」程度と決して小さくはありません。
太陽光発電と合わせて導入されることの多い家庭用蓄電池は、エアコン室外機と同等ほどのサイズなので、そちらの設置場所も想定しておく必要があります。
室内へパワーコンディショナーや蓄電池を設置すると、配線が見えてしまうため、インテリアデザインを損ねるリスクもあるでしょう。
太陽光発電を後付けする際は、パワーコンディショナーや蓄電池をどこに設置するか事前に想定しましょう。
室内へ設置する際、電気配線を表に見せたくない場合は内装工事と同時にするのがおすすめです。
新築時の住宅保証がなくなる可能性がある
太陽光パネルを屋根に後から設置するため、新築時にハウスメーカーなどから出された施工保証が無効となる可能性があります。
そのため、新築時からまだ間がない新しい住宅へ後付けする場合は、必ず施工会社へ保証について確認しましょう。
新築時に発行される雨漏りや構造体の保証期間は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」により“10年間”で設定されているケースが多いため、それ以上経っている中古住宅の場合は、それほど心配することはないでしょう。
ただし、地盤保証など長期間の保証サービスが付いている場合は、事前に内容をチェックしてください。
近隣トラブルの可能性がある
太陽光発電を後付けする際に必ず検討しなくてはいけないのが、「光害」についてです。
これは、太陽光パネルから反射する光が隣家などへ当たって「眩しい」「暑い」というトラブルに発展する問題です。
季節や時間帯によって反射光の伸びる向きが異なります。
太陽光パネルを設置する面に、その住宅よりも高い位置に窓のある建物が建っている場合は要注意です。
急勾配な屋根や東西面・北面へ設置する場合は、周囲の1・2階や地上へ反射光が射す可能性もあります。
そのため、設置屋根の角度や方角を専門家に見てもらい、後付けするかどうか検討しましょう。
2023年の既存住宅平均導入コストは、「27.8万円/kW」です。
一般住宅で使う電力をまかなうための発電容量は「4.5〜5kW」程度とされているため、平均「約125〜140万円」かかる計算になります。
そのほかに、蓄電池を導入する場合はさらに「約145〜200万円」かかるため、コストパフォーマンスをじっくり検討することが重要です。
多くの方が気になる初期費用の回収期間ですが、一般的には10〜15年程度とされています。
ただし、発電効率やそのご家庭の消費電力量によって期間は変わる点には注意しましょう。
まとまった額の初期費用をかけずに太陽光発電を導入したい方は、事業者の費用負担で機器を設置する「リース方式」もおすすめです。
【FAQ】太陽光発電“後付け”リフォームに関するよくある質問|耐用年数・税金・保険・蓄電池
太陽光発電を設置しようか決めかねている方のために、多くの方からよくいただく質問を紹介します。
Q.「太陽光発電の耐用年数はどのくらい?」
A.「太陽光パネルの寿命は20〜30年程度、パワーコンディショナーは15〜20年程度で取り替えになります。」
パワーコンディショナーは比較的短期間で取り替えなくてはいけません。
その際には、30〜40万円程度の費用がかかるため、その分のコストも確保しておきましょう。
Q.「蓄電池とセットで後付けしなくてはいけない?」
A.「太陽光発電に必ずしも蓄電池は必要ありません。」
家庭用蓄電池がなくても、太陽光発電は利用できます。
ただし、夜間や雨天時は発電が止まるため、ほとんどの電力を自給自足したい方は、蓄電池の導入も合わせて検討してください。
電気自動車の購入を検討している方は、電気自動車を蓄電池代わりに利用できるV2Hの導入もおすすめです。
Q.「太陽光発電を導入すると、家屋の固定資産税が高くなるって本当?」
A.「太陽光パネルと屋根材が一体になっているタイプ以外は、税額に影響しないケースが大半です。」
固定資産税は、その住宅の再建築費用を基に算定されます。
そのため、付属する設備機器は固定資産税評価額に影響せず、発電容量が10kW未満の住宅用太陽光発電は、固定資産税評価額に影響しない可能性が高いとされています。
気になる方は、管轄の税務署などへお問い合わせください。
Q.「太陽光発電機器は、火災保険でカバーされる?」
A.「火災保険のプランによっては、災害などによる機器の破損・故障、住宅の損害、周囲への二次災害までカバーされます。」
メーカーの製品保証では災害時のトラブルに対応できないため、住宅の火災保険や総合保険へ加入しましょう。
既に何らかの保険をかけている場合は、太陽光発電を後付けした際に、保証対象の変更を申し出る必要があります。
プランを変えずに被害が出た場合は、保険でカバーできない可能性があるので注意してください。
Q.「太陽光パネルは、カーポートにも設置できる?」
A.「施工上は設置できますが、あまりコストパフォーマンスは良くありません。」
屋根だけでは十分な太陽光パネルを設置できない場合などに、ソーラーシステムの搭載されたカーポートの設置を検討する方もいるかもしれません。
しかし、多くの場合、カーポートは家よりも低いため、あまり日当たりが良くないケースが大半です。
場合によっては確認申請が必要なケースもあるため、住宅本体と合わせて、建築基準法に抵触しないかチェックする必要もあります。
そのため、慎重にご検討ください。
まとめ:太陽光発電の“後付け”は、トータルリフォームと合わせるのがおすすめ
太陽光発電の後付けリフォームには、メリットとデメリットの両側面があります。
また、発電によって光熱費を大きく削減するためには、家の断熱性アップも欠かせません。
そして、パネル荷重による耐震性への配慮も必要です。
そのため、太陽光発電を後付けする際は、家のトータルリフォームと合わせて検討しましょう。
太陽光発電に関する知識だけではなく、住宅の構造や設備、内装デザインまで多岐にわたって知識が豊富な建築会社がおすすめです。
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