【中古マンションの登記費用・相場と内訳】高いって本当?目安の計算・シミュレーション方法を解説
中古マンションを購入もしくは相続した際、必ず済ませなくてはいけないのが「登記手続き」です。
不動産登記は日常生活の中で必要となる機会がほとんどなく難解な用語も多いため、その制度や手続きはあまり知られていないのが実際です。
しかし、今後は注意が必要です。
そこで、今回はこれから中古マンションを買う方のために、「不動産登記」の概要から費用目安、方法などを詳しく解説します。
中古マンション物件価格別の費用シミュレーションや自分でする場合のポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
・中古マンションを購入もしくは相続した場合は、不動産所有権を明らかにするために必ず登記手続きをしなくてはいけません。
・登記の目的によって税金や費用の額が異なりますので、物件選びから概算をシミュレーションして予算へ組み込むことが重要です。
・後悔のない中古マンション購入を実現させたい方には、物件探しから資金計画、リノベーションまでまとめて相談できるワンストップリノベーションサービスがおすすめです。
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Contents
中古マンション購入・相続時に必要な登記手続き
中古マンションのリフォーム・リノベーション事例を見る:Case184「Bowwow!」
不動産の「登記」とは、所有権を明確にして公的に証明するための制度です。
証明する内容によって、以下の4つに分類されます。
【所有権保存登記】
これまで所有権の登記が一度もされていない不動産、つまり、新築物件において、最初に行われる手続きで、「どのような建物か」「誰の所有物か」が明記されます。
【所有者移転登記】
不動産の売買・譲渡・相続によって、所有権を持つ人が変わる場合に行われる手続きで、法務局へ変更内容を届け出ないと、公的に所有者が変わったことを証明できません。
【抵当権設定登記】
不動産の購入に際して住宅ローンなどの融資を受ける場合、金融機関が対象不動産に抵当権を設定する手続きです。
抵当権は、債務者(融資を受ける側)が万が一返済不能になった場合、お金の代わりに債権者(融資する側)がその物件の所有権を取得できる権利を指します。
ローンなどを完済した時点で「抵当権登記の抹消手続き」を行うことで、所有権が完全に持ち主のものとなります。
【相続登記(相続による所有権移転登記)】
不動産の相続を受けた場合、所有権の名義を被相続人(親など)から相続人(子など)へ変更する手続きです。
これまでは、手続きそのものが義務ではなく期限も設けられていませんでしたが、年月が経つにつれて所有者不明不動産となりトラブルになる可能性が高いことから、「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案(2021年)」制定に伴い、2024年4月から罰則付きで義務化されました。
※相続によって不動産を取得した場合は、そこから3年以内に登記しない場合、10万円以下の過料を支払わなくてはいけません。(参考:法務局|不動産を相続した方へ ~相続登記・遺産分割を進めましょう~)
中古マンションを購入する場合は「所有者移転登記」が必須で、住宅ローンを利用する場合はさらに「抵当権設定登記」をして、相続する場合は「相続登記」を行う必要があります。
それぞれ、必要書類を揃えて法務局に届けますが、手続き自体に資格は要りません。
しかし、書類作成や法務局へ出向く手間がかかるため、司法書士へ代行してもらうのが一般的です。
自分で手続きすると登記費用を安く抑えられますので、時間に余裕がある方や手続きの仕組みを詳しく知りたい方、チャレンジしてみたい方は、ぜひご自身で登記手続きをしてみましょう。
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登記にかかる費用内訳と税率|いつどこに支払う?自分ですると安くなる?
中古マンションのリフォーム・リノベーション事例を見る:Case112「じぶん価値の家」
不動産登記にかかる費用は、主に以下の3点です。
「登録免許税」
「司法書士の諸経費・報酬」
「必要書類の発行手数料」
では、それぞれの目安を詳しく紹介します。
登録免許税
「所有権移転登記」「抵当権設定登記」「相続登記」どの手続きをする場合でも、登録免許税を国へ納めなくてはいけません。
中古マンションの場合は、土地・家屋(建物)それぞれで手続きをする必要があり、税率は異なります。
一定の条件をクリアすれば、軽減措置の対象となり、税率が引き下げられる点がポイントです。
登記種別 | 本則税率 |
適用後の税率 |
所有権移転登記 (土地) |
「2.0%」 |
「1.5%」 (適用期限:令和8年3月31日) |
所有権移転登記 (家屋) |
「0.4%」(※1) |
「0.3%」(※1)または「0.1%」(※2・3) (適用期限:令和9年3月31日) |
抵当権設定登記 | 「0.4%」 | 「0.1%」 |
相続登記 (相続による所有権移転登記) |
「0.4%」 | (なし) |
※1 贈与・交換・収用・競売等による所有者移転登記は「2%」が適用
※2 個人の住宅用家屋で床面積50以上の場合で、昭和57年1月1日以降に建築された新耐震建物もしくは現行の耐震基準に適合するための改修済みのものに限る
※3 買取再販住宅など特定の増改築等がされた住宅の取得に係る登録免許税の税率はさらに軽減
(出所:「国税庁|No.7191 登録免許税の税額表」「国税庁|土地の売買や住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ」のデータを基に弊社にて作成)
「特定認定長期優良住宅」や「認定低炭素住宅」の中古マンションは、家屋の所有者移転登記にかかる登録免許税率が0.1%まで軽減されます。
市場へ出回っている認定を受けた中古マンションはごく僅かですが、運が良ければ出会えるかもしれませんので、軽減制度を事前に確認しておきましょう。
ちなみに、登録免許税は法務局で手続きする際に、申請書へ税額相当分の収入印紙を貼って納めます。
司法書士へ手続きを任せる場合は、経費としてまとめて請求されるのが一般的です。
司法書士の諸経費・報酬
不動産登記は一般の方がご自身で手続きできますが、書類作成や法務局での申請に手間がかかるため、司法書士へ代行してもらうのが一般的です。
その場合は、司法書士へ報酬を支払います。
登記種別 | 司法書士の報酬額目安 |
所有者移転登記 (土地・建物合わせて) |
4〜15万円程度 |
抵当権設定登記 | 2〜8万円程度 |
相続登記 (相続による所有権移転登記) |
4〜15万円程度 |
上記報酬のほかに、事前準備や交通費などが実費として請求されます。
必要書類の発行手数料
登録免許税・司法書士の報酬とは別に、登記手続きに必要となる公的書類の発行手数料もかかります。
手続きに必要となる書類と発行手数料は以下の通りです。
【買主が有償で準備する書類】
住民票 |
300円/通(役所窓口での発行) ※コンビニ交付サービスでは200円/通 |
印鑑登録証明書 |
300円/通(役所窓口での発行) ※コンビニ交付サービスでは200円/通 |
戸籍謄本 (相続にかかわる登記の場合のみ) |
450円/通(役所窓口での発行) ※コンビニ交付サービスでは350円/通 |
※各書類が入手困難な場合は、司法書士へ申請と合わせて任せることもできます。
※発行手数料やコンビニ交付の可否は自治体によって異なります。(上記は東京都の場合)
ちなみに、上記の他にも売主から以下の書類を入手しなくてはいけません。
【売主に準備してもらう書類】
- ・売主の保管していた不動産の登記済証または登記識別情報
- ・売主の印鑑証明書
- ・売主が受け取った固定資産評価証明書
自分で登記手続きをする場合でも登録免許税や住民票・印鑑登録証明書・戸籍謄本など公的書類の発行手数料はかかりますが、「司法書士の報酬分」が安くなります。
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【物件価格別】中古マンションを購入した場合の登記費用シミュレーション|司法書士の場合と自分でする場合
中古マンションのリフォーム・リノベーション事例を見る:Case182「Cinematic」
中古マンションをこれから購入する場合、物件価格以外にかかる諸経費もできるだけ詳しく把握しておきたいですよね。
そこで、物件価格別で中古マンションを購入した際の登記費用目安を紹介します。
中古マンション価格「5,000万円」
(設定)
土地建物価格比率:土地60% ・建物40%
土地の固定資産評価額:3,000万円の70%
建物価格:2,000万円の70%
住宅ローン借入額:4,500万円
登録免許税 (土地の所有者移転登記) |
3,000万円×70%×1.5%=31.5万円 |
登録免許税 (家屋の所有者移転登記) |
2,000万円×70%×0.3%=4.2万円 ※昭和57年1月1日以降建築の場合は税率0.1% |
登録免許税 (抵当権設定登記) |
4,500万円×0.4%=18万円 ※昭和57年1月1日以降建築の場合は税率0.1% |
司法書士報酬 ※費用の中央値 |
10万円 (自分で手続きする場合は不要) |
【合計】 | 63.7万円 |
※司法書士の実費経費と公的書類発行手数料除く
※上記費用は目安です
中古マンション価格「4,000万円」
(設定)
土地建物価格比率:土地60% ・建物40%
土地価格:2,400万円の70%
建物価格:1,600万円の70%
住宅ローン借入額:3,600万円
登録免許税 (土地の所有者移転登記) |
2,400万円×70%×1.5%=25.2万円 |
登録免許税 (家屋の所有者移転登記) |
1,600万円×70%×0.3%=3.36万円≒3.4万円 ※昭和57年1月1日以降建築の場合は税率0.1% |
登録免許税 (抵当権設定登記) |
3,600万円×0.4%=14.4万円 ※昭和57年1月1日以降建築の場合は税率0.1% |
司法書士報酬 ※費用の中央値 |
10万円 (自分で手続きする場合は不要) |
【合計】 | 53万円 |
※司法書士の実費経費と公的書類発行手数料除く
※上記費用は目安です
中古マンション価格「3,000万円」
(設定)
土地建物価格比率:土地60% ・建物40%
土地価格:1,800万円の70%
建物価格:1,200万円の70%
住宅ローン借入額:2,700万円
登録免許税 (土地の所有者移転登記) |
1,800万円×70%×1.5%=18.9万円 |
登録免許税 (家屋の所有者移転登記) |
1,200万円×70%×0.3%=2.52万円≒2.5万円 ※昭和57年1月1日以降建築の場合は税率0.1% |
登録免許税 (抵当権設定登記) |
2,700万円×0.4%=10.8万円 ※昭和57年1月1日以降建築の場合は税率0.1% |
司法書士報酬 ※費用の中央値 |
10万円 (自分で手続きする場合は不要) |
【合計】 | 42.2万円 |
※司法書士の実費経費と公的書類発行手数料除く
※上記費用は目安です
中古マンション価格「2,000万円」
(設定)
土地建物価格比率:土地60% ・建物40%
土地価格:1,200万円の70%
建物価格:800万円の70%
住宅ローン借入額:1,800万円
登録免許税 (土地の所有者移転登記) |
1,200万円×70%×1.5%=12.6万円 |
登録免許税 (家屋の所有者移転登記) |
800万円×70%×0.3%=1.68万円≒1.7万円 ※昭和57年1月1日以降建築の場合は税率0.1% |
登録免許税 (抵当権設定登記) |
1,800万円×0.4%=7.2万円 ※昭和57年1月1日以降建築の場合は税率0.1% |
司法書士報酬 ※費用の中央値 |
10万円 (自分で手続きする場合は不要) |
【合計】 | 31.5万円 |
※司法書士の実費経費と公的書類発行手数料除く
※上記費用は目安です
中古マンション価格「1,500万円」
(設定)
土地建物価格比率:土地60% ・建物40%
土地価格:900万円の70%
建物価格:600万円の70%
住宅ローン借入額:1,350万円
登録免許税 (土地の所有者移転登記) |
900万円×70%×1.5%=9.45万円≒9.5万円 |
登録免許税 (家屋の所有者移転登記) |
600万円×70%×0.3%=1.26万円≒1.3万円 ※昭和57年1月1日以降建築の場合は税率0.1% |
登録免許税 (抵当権設定登記) |
1,350万円×0.4%=5.4万円 ※昭和57年1月1日以降建築の場合は税率0.1% |
司法書士報酬 ※費用の中央値 |
10万円 (自分で手続きする場合は不要) |
【合計】 | 26.2万円 |
※司法書士の実費経費と公的書類発行手数料除く
※上記費用は目安です
登録免許税は、中古マンションを購入後に発生する費用です。
あらかじめ予算に組み込んでおきましょう。
物件価格や住宅ローン割合から登記費用の目安を算出できますので、トータル予算を検討するときはぜひ計算してみてください。
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中古マンションを購入する際は登記費用だけではなくその他手数料も要チェック
中古マンションのリフォーム・リノベーション事例を見る:Case165「INDUSTRIAL+PLANTS」
中古マンションを購入する際、物件価格や登記費用以外にも以下の費用を用意しておく必要があります。
手付金 | 「購入価格×5~10%が相場」 |
不動産仲介手数料 |
「上限、物件価格×3%+6万円+消費税」 (物件価格が400万円超の場合) |
印紙税 (売買契約書) |
「1〜3万円程度」 |
不動産取得税 |
「固定資産税評価額×4%」 (住宅用地特例による軽減措置あり) |
固定資産税精算金 | 「その年の固定資産税を売主・買主で日割り分割」 |
頭金 | 「購入価格×5~10%が相場」 |
印紙税 (住宅ローン契約書) |
「2〜4万円程度」 |
住宅ローン手数料 | 「借入金額×2.2%が一般的」 |
住宅ローン審査に係る物件調査料 | 「4〜6万円程度」 |
火災保険料 | 「1〜4万円程度」 |
リノベーション費用 |
「15〜20万円/㎡」 (フルリノベーションの場合) |
中古マンション購入時にかかる諸経費は、リノベーション費用を除いても、合わせると数十万円以上とまとまった金額になります。
基本的には現金で用意しなくてはいけないため、物件探しの段階から全体のトータル予算を把握しておくことが重要です。
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まとめ:登記費用は事前に概算を把握して予算に組み入れましょう
中古マンションを購入・相続する場合は、必ず登記手続きをしなくてはいけません。
登記の目的によってかかる税金が異なりますので、事前に概算を知っておくことが重要です。
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