中古マンション購入時の”価格交渉”|失敗例から学ぶ12のポイント
「中古マンションを納得できる価格で買いたい」という方のために、価格交渉する際のポイントや注意点を解説します。
価格交渉のタイミングや相場、ブログやSNSからピックアップした失敗例も合わせて紹介しますので、後悔のないマンション購入を実現させたい方は、ぜひ参考にしてください。
・中古マンションを購入する際、相場を踏まえた価格交渉は可能です。
・価格交渉する際は、失敗しないための注意点を知り、プロに相談しながら進めることが成功のポイントです。
Contents
中古マンションの“価格交渉”|相場はどれくらい?
リフォーム・リノベーション事例を見る:Case178「Bookcafe」
2012年以降、中古マンション価格、特に人気の高い首都圏の物件は、値上がりを続けています。
その要因として、新築マンション価格の高騰が考えられるでしょう。
新築マンションの価格は、2008年以降リーマンショックや東日本大震災の影響を受けて低迷していましたが、2013年からは回復に転じて、現在に至るまで値上がりを続けているのが現状です。
その影響で、新築マンション市場から中古マンション市場へ需要が移り、値上がりを引き起こしていると考えられています。
ちなみに、2022年に取引された新築マンションの平均価格「8,250万円」に対して、中古マンションの平均価格は「4,575万円」です。(参考:国土交通省|不動産価格指数(住宅)、公益財団法人東日本不動産流通機構|レインズデータライブラリー)
これだけの価格差があると、当初は新築マンションの購入を考えていた方でも、中古マンションを視野に入れたくなりますよね。
ここで注目すべき点は、中古マンション価格が売り出された物件と売買が成立した物件では、平均価格が大きく異なるという点です。
2023年に首都圏で売買された中古マンションの価格を見ると、新規登録物件価格と成約物件価格は平均で「443万円(約9%)」もの差があります。(参考:公益財団法人東日本不動産流通機構|レインズデータライブラリー)
成約物件は築浅で広めの物件が多く、競争率も高いため値引きがしにくいものの、一方、築古の物件は条件次第で価格交渉の余地があると想定されます。
好立地で人気の高いエリアでは築古物件でも“値引きゼロ”で売却されるケースは少なくありませんが、価格交渉の余地はあります。
その場合、買主側から価格交渉する場合は、物件価格の「3〜10%」が相場です。
相場以上の価格交渉は、成功率が下がる上に、売主への印象が悪くなる可能性があるので注意しましょう。
また、複数の購入希望者がいる人気の物件は、取引を断られてしまうかもしれません。
そのため価格交渉するかどうかは、不動会社とじっくり相談しながら進めるのがおすすめです。
中古マンションを買う際に価格交渉することは、相場の範囲であれば可能です。
ただし、ポイントを押さえないと、思うように取引が進まない可能性があります。
そこで、ブログやSNSで見かける“失敗例”をもとに、中古マンション購入時の価格交渉に関するポイントや注意点を紹介します。
「内覧する前に価格交渉してしまった」
内覧する前から価格交渉すると、なかなかうまくいきません。
価格交渉するタイミングは、内覧を終えて購入する意思がきちんと固まってからにしましょう。
ただし、購入する意思を買主に伝えるためには、購入申込書(買付証明書)を作成する必要があります。
購入申込書には、購入希望価格を記入するため、その際に価格交渉するとスムーズです。
ただし、購入申込書を出しても購入できるとは限りません。
人気物件の場合は、即日返事をもらえることは少なく、3〜10日程度返答を待たなくてはいけないケースもあります。
「いきなり大幅な価格交渉を持ちかけてしまった」
価格交渉の相場は「3〜10%」程度ですが、これはあくまでも売り残っている物件も含めた平均値です。
中古マンション市場が拡大している現状を踏まえると、まずは“端数切り捨て”からお願いしてみるのがおすすめです。
中古マンションの物件を見てみると、3,980万円や4,850万円など端数のある価格に設定している物件ばかりですよね。
このような価格は、マーケティング用語で「大台割れ価格」と呼ばれています。
端数を含む価格にすると、実際の価格よりもお得に見える心理現象を利用して、消費者の購買意欲を刺激することが目的です。
もうひとつの理由は、売主側も端数切り捨てを想定しているからです。
3,980万円でマイナス80万円の価格交渉をしても、値引率はたった2%なので、売主としても大きな痛手にはなりません。
少々の値引きで買主の満足度が上がりますし、売主にとってもその程度の値引きですぐに売れるため、相互利益が生まれます。
そのため、スムーズに取引が進む可能性が高いでしょう。
「売り出されたばかりの物件で価格交渉をした」
一般的に、中古マンションが市場へ売り出されてから売買契約が成立するまで、平均で「3〜6ヶ月」程度かかります。
人気な物件ですと、公開されてから一週間程度で売却されるケースもあるほどです。
ちなみに、公益財団法人 東日本不動産流通機構の調べによると、2023年に売り出された中古マンションの売り出してから成約までの平均日数は「80.1日」です。(参考:公益財団法人 東日本不動産流通機構|首都圏不動産流通市場の動向(2023年))
中古マンション市場には、日々たくさんの物件が新規登録されるため、売り出されてから3ヶ月以上経つ物件は、購入希望者の目に留まる機会が少なくなります。
そのため、3ヶ月以上経過している物件は価格交渉しやすく、逆に売り出されたばかりの物件は、売主が好条件の買主を待つかもしれないので、価格交渉に応じてくれない可能性が高いでしょう。
「市場価格に合わない価格交渉をしてしまった」
リフォーム・リノベーション事例を見る:Case143「光あふれ、風に寄り添うワンルーム」
中古マンションの価格には、確かに交渉の余地はあります。
ただし、あくまでもベースは市場価格です。
ご自身の希望価格と相場に差が開いていると、交渉がうまくいかないかもしれません。
まずは、似た条件の物件価格や地域の相場をリサーチしましょう。
不動産価格の相場を調べるのにおすすめなのが、「国土交通省 不動産取引価格情報検索・土地総合情報システム」です。
ご自宅で、指定した期間に売買取引された「エリア(市区町村、最寄駅)・広さ・間取り・建築時期の近い物件情報」をチェックできます。
もちろん、仲介を依頼している不動産会社へ尋ねる方法も良いでしょう。
ただし、担当者個人の経験に基づいた主観的な情報だけではなく、データで分かる相場などの客観的な情報も必ず参考にすることが重要です。
「売主が法人だと交渉が難しい」
中古マンションは、売主が個人であるケースがほとんどです。
ただし、一部、不動産会社や再販会社がリノベーション済み物件として販売しているケースもあります。
法人は、物件の仕入れ価格やリノベーション費用、その他広告宣伝費、人件費などの経費を踏まえて物件価格を設定しているのが通常です。
そのため、売り出し金額からの値引きが難しい可能性が高いでしょう。
それに比べて、売主が個人の場合は「とにかく早く売りたい」「少々の値引きなら仕方ない」と考える方も多く、想定内であれば値引き交渉しやすいのです。
ただし、売主が法人でも、決算前など諸事情によって価格交渉できる可能性がない訳ではありません。
希望金額がある場合は、売主の形態に関わらず、まず交渉してみることをおすすめします。
「競争率の低い閑散期が狙い目」
不動産価格は、マンション市場や株価・物価、金利政策など、様々な要因によって変動します。
特に大きく影響を受けるのが、繁忙期・閑散期です。
多くの人が物件購入を希望する時期は価格が高くなりがちで、逆に閑散期には価格交渉の成功率が上がります。
物件購入を急いでいない方は、引越しが集中する「3〜4月・8〜9月の2〜3ヶ月前」、つまり物件の競争率が高い時期を避けてみましょう。
消費者の購買意欲が落ち着く年末年始やお盆の時期も狙い目です。
ただし、好条件な中古マンションは時期関係なく売れるため、閑散期でも必ず値引きしてもらえるとは限りません。
〈おすすめコラム〉
中古住宅の探し方のコツ|意外と知らない?おすすめ検索サイトや不動産会社の選び方
「“売り急いでいない物件・好立地物件”は値引きできない」
リフォーム・リノベーション事例を見る:Case168「Paws」
売主が特に売り急いでいない場合は、少しでも好条件で購入してくれる売主を待つ傾向が強いため、価格交渉は難しいでしょう。
また、誰もが欲しくなるような好立地の中古マンションも同様です。
価格交渉したい場合は、まず、不動産会社を通して、売主の事情を探ってみましょう。
好立地でも、売主が「一日でも早く売却したい」と考えていれば値引きしてもらえるかもしれません。
ただし、あまりしつこく売主の事情を尋ねすぎると、不信感に繋がるので注意してください。
「“買う側が有利”という考えはNG」
不動産はすべて1点ものですので、売主はその物件の価値をいちばん認めてくれる相手に買って欲しいと考えます。
あくまでも、売主と買主は対等な立場であることを忘れないようにしてください。
むしろ、人気で競争率の高い東京エリアの中古マンション市場においては、売主が買主を選ぶケースの方が多いと言っても過言ではありません。
そのため、互いが気持ちよく取引できるように心がけると、欲しい物件が希望金額で購入できる可能性が高まります。
「値引きしてもらったが返事を待たせてしまった」
購入する意思を示すためにあるのが購入申込書です。
購入申込書に希望金額を記入して価格交渉します。
売主から購入条件への承諾をもらったら、速やかに返答しましょう。
売主の立場になると、「せっかく値引したのになかなか購入の返事をもらえない」となると、他の買主を探したくなりますよね。
購入申込書は法的な縛りはないため、売主へ提出後に購入をやめてもペナルティはありませんが、基本的にはいつでも買える状態で提出するのが基本です。
そのため、購入申込書は内容を十分検討して提示しましょう。
「売主へ直接価格交渉してしまった」
リフォーム・リノベーション事例を見る:Case165「INDUSTRIAL+PLANTS」
内覧時に話が弾み、「すぐに購入したい」と思っても、売主へ買主が仲介業者を通さずに直接価格交渉することはできません。
もちろん、売主が契約している不動産会社へその場で尋ねるのもNGです。
価格交渉する場合は、仲介を依頼している不動産会社を通して行いましょう。
商談をスムーズに進めるためにも、提示する希望金額やタイミングを不動産会社に決めてもらうのがおすすめです。
「価格交渉で買主の都合を押し付けてしまった」
“交渉”と言うからには、売主・買主お互いの条件が折り合わなくてはいけません。
つまり、売主が値引きへ応じる代わりに、買主も何かしら譲歩することが必要ということです。
値引きの代わりに、売主のメリットとなる条件を提示すると一気に成功率が上がります。
例えば、以下の条件を提示してみましょう。
- ・引き渡し時のハウスクリーニング不要
- ・引き渡し時期は売主の希望通りにする
- ・多少の残置物を買主で処分する
- ・大きなキズや汚れがあっても良い
- ・事前に知らされた不具合を許容する
「築浅物件で価格交渉したら購入できなかった」
中古マンション市場において、築10年未満の築浅物件は数が限られます。
一方で、築浅物件を条件として中古マンションを探している方は多く、売り出されるとすぐに売れるケースが大半です。
そのため、築浅物件で価格交渉を持ちかけると、商談が決裂してしまうリスクがあります。
実際に、下のグラフを見ると、築年数が経てば経つほど成約率が下がり、価格交渉しやすくなることを意味します。
築20年を超える物件は、大なり小なりリノベーションが必要です。
そのため、「現状渡しで良い代わりに少し値引きして欲しい」と交渉しやすくなります。
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中古住宅の“現状渡し”とは?売主と買主のメリット・デメリットや注意点について
また、メゾネット物件やルーフバルコニー付き物件など、あまり多くの物件が市場に出回らない特殊な間取りの場合も、最初から価格交渉しないのが得策です。
なぜなら、あまりない間取りの物件も、築浅物件と同様に値下げしなくても買い手がつく可能性が高いからです。
まとめ:価格交渉はリノベ専門の不動産会社がおすすめ
中古マンション購入は、価格交渉はプロに相談しながら慎重に進めることが重要です。
少しでも物件購入の費用を抑え、その分リノベーション費用に充てたいという方も多いはずです。
そのため、注意点を押さえて売主も買主も満足できる取引を実現させましょう。
その際に頼りとなるのが、物件探し、資産計画からリノベーションまでまとめて相談できる会社です。
物件探しの段階からリノベーションの必要な箇所を見極め、トータル予算を把握できます。
“SHUKEN Re / howzlife”では、1998年からの20年以上にわたり8,000件超のリフォーム・リノベーションをお手伝いしてきた実績を踏まえ
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