中古住宅と消費税の仕組み|売主(法人/個人)による違いや住宅ローン控除への影響を解説
アフターコロナも見据えた家づくりが求められる今、「中古住宅×リノベーション」に注目が集まっています。
中古住宅のリノベーションは、ライフスタイルに合わせた暮らしやすい間取り・デザインを実現しやすいのが大きなメリットです。
さらに、中古住宅には「消費税がかからない場合がある」という点でもメリットがあることをご存知ですか?
今回は、中古住宅購入を検討する際に知っておきたい、中古住宅の消費税課税・非課税の分かれ目や、住宅ローン控除への影響などについて詳しく解説します。
理想の中古住宅探しの参考にしていただければ幸いです。
・中古住宅を購入する場合、土地と建物のうち、土地には消費税がかかりません。また、建物部分には消費税がかからないケース、かかるケースがあります。
・中古住宅で建物部分に消費税がかからない物件は、物件情報の「取引形態」の種類である程度見分けられます。
・消費税がかかる中古住宅でも、仲介手数料や住宅ローン控除でメリットが受けられる場合があります。
Contents
中古住宅の消費税は何パーセント?
事例を見る:case20「howzlife NEXT STYLE」
中古住宅購入時の消費税の税率は10%です。
ちなみに、消費税の引き上げに伴い、特定の品目の消費税率を8%に据え置きにする軽減税率が導入されましたが、住宅購入は軽減税率の対象ではありません。
参考:国税庁「軽減税率制度の概要」
中古住宅購入で消費税がかからないパターンとは?
はじめに、不動産に対する消費税の考え方を簡単に解説します。
まず、戸建てやマンションを購入する場合、土地部分と建物部分のうち、土地部分には消費税がかかりません。
これは、新築住宅でも中古住宅でも共通です。
国税庁のHPによると、「土地の譲渡および貸付け(借地権を含む)」の消費税は非課税と定められています。
消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う取引を課税の対象としています。
しかし、これらの取引であっても消費に負担を求める税としての性格から課税の対象としてなじまないものや社会政策的配慮から、課税しない非課税取引が定められています。
引用:国税庁「No.6201 非課税となる取引」
つまり、土地の売買は、消費される性格でない(資本の移転とみなされる)ためです。
なお、土地を駐車場などの施設の利用に伴って使用する場合や1カ月未満の土地の賃貸などで利用する場合は課税対象となります。
そして、新築住宅の場合、土地と建物のうち、建物部分に対して消費税がかかります。
この前提の上で、中古住宅の消費税についてまとめてみます。
①中古住宅は個人間の売買なら建物部分に消費税はかからない
中古住宅の場合は、新築住宅と異なり、売主が個人のケースも多々あります。
そして、売主が個人の中古住宅は、土地だけでなく建物部分に対しても消費税はかかりません。
これは、個人間の売買は、消費税が課税される要件である「事業者が事業として行う取引」に当てはまらないためです。
参考:国税庁「No.6105 課税の対象(消費税)」
ちなみに、間に不動産仲介会社を通して売買する場合も、売主が個人であれば消費税はかかりません。
②売主が事業者(法人および個人事業主)の場合は建物部分に消費税がかかる
①とは逆に、売主が事業者である場合は、建物部分に消費税が課税されます。
また、売主が個人名でも「個人事業主」で、前々年の課税売上高が1,000万円を超える場合(課税事業者に該当する場合)で、売主の自宅以外の事業用不動産を購入する場合は、消費税がかかる可能性があります。
売主が個人名でも、課税事業者に該当するか、事業用の不動産なのか、消費税がかかるかどうかなどは、不動産仲介会社から物件の説明を受ける際に確認しておきましょう。
中古住宅の表示価格に消費税は含まれている?
2021年4月1日から、ネット広告やチラシ、店舗の値札など不特定多数の人に対してあらかじめ価格を表示する際は、消費税額を含めた「総額表示」が義務付けられました。
基本的に、不動産情報サイトやチラシなどに記載されている表示価格は、消費税が課税される場合は「税込表示」になっています。
諸費用には消費税がかかる?
中古住宅の購入時は、建物部分が消費税非課税の場合でも、仲介手数料などの諸費用には消費税がかかりますので注意しましょう。
中古住宅購入時の諸費用と消費税については、過去のコラムで詳しく解説していますので、合わせてチェックしてみてください。
消費税がかかる中古住宅・かからない中古住宅の見分け方
事例を見る:case34「SQUARE -抜けるようなリビングを持つ家-」
不動産情報サイトなどに載っている中古住宅情報は、取り扱っている不動産仲介会社の名前しか書かれていないので、売主が個人なのか法人なのか、なかなか見分けが付かないですよね。
そこで、中古住宅の売主を見分ける方法をご紹介します。
物件詳細情報の「取引形態」をチェックする
不動産情報サイトや情報誌などで気になる物件を見つけたら、その物件の「取引形態」や「取引態様」と書かれている項目を探しましょう。
取引形態の例と意味
①媒介(仲介)
取引形態が「媒介(仲介)」の物件は、売主が不動産仲介会社を通して売却活動を依頼する「媒介契約」をしている物件です。
媒介契約には、下の表のようにいくつかの種類がありますが、基本的には、売主が仲介会社に依頼した個人の可能性が高くなります。
媒介(仲介)で売主が個人だった場合は、物件の消費税は非課税になります。
ただし、必ず売主が個人であるとは限らないため、仲介会社への問い合わせ時に売主は個人かどうかを確認しましょう。
<媒介契約の種類>
・一般媒介
複数の仲介会社と媒介契約を結べる形態です。売主は複数の仲介会社に売却活動を依頼できます。
・専任媒介
不動産会社1社のみと媒介契約を結ぶ形態です。
・専属専任媒介
不動産会社1社のみと媒介契約を結ぶ形態で、売主が自分で買主を見つけた場合の直接交渉が禁止されています。
・媒介(仲介)
単に媒介(または仲介)とだけ書かれている場合は、「一般」「専任」「専属専任」のいずれかということになります。
②売主
取引形態が「売主」の場合は、物件情報を掲載している不動産会社が売主ということになります。この場合、売主は事業者のため、物件に対して消費税がかかりますが、物件価格は内税表示されているのでご安心ください。
③代理
取引形態の「代理」とは、不動産会社が売主の代理となって売却活動を行う形態です。
媒介と似ていますが、売主は不動産会社に売却の「代理権」を与え、売主に代わって売買契約を結ぶという違いがあります。
遠方での売却活動の場合や、新築マンションで売主と不動産会社が関連会社の場合などで見られます。
代理の場合は、売主が個人か事業者かは表示だけでは分からないことが多いので、気になる場合は不動産会社に確認しましょう。
消費税が課税される中古住宅のメリットは?
前章の「消費税がかかる中古住宅・かからない中古住宅の見分け方」で、
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- ①「個人以外の事業者」が売主の仲介(媒介)・代理取引
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- ②取引形態が「売主」(売主が不動産会社)の場合
上記の2種類の物件に対して消費税がかかると解説しました。
消費税がかかってしまうのは確かにデメリットですが、
②の「売主が不動産会社の場合」は、不動産会社から直接購入することになり、仲介会社を通さないため仲介手数料がかからない、というメリットもあります。
さらに、不動産会社から直接購入する中古住宅のうち、「買取再販住宅」に該当する場合は、通常の中古住宅よりも住宅ローン控除が優遇されるというメリットもあります。
このメリットについてもう少し詳しく解説します。
中古住宅のうち「買取再販住宅」は住宅ローン控除で優遇される
通常、中古住宅の場合、住宅ローン控除が受けられる期間は10年間となっています。
対象となる借入限度額は、下記の図のように、一定の省エネ性能などを満たす住宅かどうかに応じて「3000万円」「2000万円」に分かれています(借入限度額を超えた分の金額は、控除額の計算の対象外になります)。
画像引用元:国税庁HP「No.1211-3 中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」
そして、中古住宅の中には、宅建業者(不動産会社)が中古物件を買い取り、リフォームした上で販売しているものもあります。これを「買取再販住宅」と呼びます。
買取再販住宅とは、簡単にまとめると次の①~⑤を満たす住宅です。
- ①宅地建物取引業者(不動産会社)から購入した中古住宅
- ②宅地建物取引業者が住宅を買取してから、リフォーム工事を行って再販売するまでの期間が2年以内
- ③購入時、新築された日から起算して10年を経過した家屋であること
- ④建物価格に占める、対象となるリフォーム工事の総額の割合が20% (リフォーム工事の総額が300万円を超える場合には300万円)以上
- ⑤一定の内容と金額以上のリフォーム工事を実施している
参考:国土交通省「住宅ローン減税」
買取再販住宅の要件を満たす中古住宅を購入した場合、次の図表のように、住宅の性能に応じて通常の中古住宅よりも借入限度額が多くなるケースがほとんどで、控除期間も10~13年と長くなります。
画像引用元:国税庁「No.1211-2 買取再販住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」
このように、中古住宅と一口で言っても、消費税や仲介手数料がかかる物件とかからない物件、住宅ローン控除の恩恵が大きい物件など、様々な違いがあることが分かります。
中古住宅を比較検討する際は、
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- ・消費税や仲介手数料がどれくらいかかるのか
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- ・住宅ローン控除の恩恵がどれくらいあるのか
などの視点でもチェックしてみることで、最終的にかかる総費用をより具体的に比較できるので、予算オーバーを防げますよ。
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