中古住宅購入時の仲介手数料の相場は?計算方法や支払うタイミングなどよくある疑問を解説
中古住宅を不動産仲介会社から購入する場合には、「仲介手数料」を支払う必要があります。
仲介手数料は、物件価格によって上限が決まっていて、物件価格が高くなるほど、仲介手数料も高くなる仕組みになっています。
今回は、中古住宅購入前に知っておきたい、仲介手数料の金額相場や計算方法について解説します。
また、仲介手数料の支払いタイミング・支払い方法や、仲介手数料を住宅ローンに組み込めるの?といったよくある疑問についてもお答えしますので、
中古住宅購入を検討中の方はぜひ参考にしてくださいね。
・中古住宅購入時の仲介手数料の相場(物件価格に応じた上限額)が分かります。
・中古住宅購入で仲介手数料がかからないケースが分かります。
・仲介手数料の支払いタイミングや、住宅ローンに組み込めるのかなど、よくある疑問にお答えします。
Contents
物件金額ごとの仲介手数料の相場(上限)
事例を見る:case34「SQUARE -抜けるようなリビングを持つ家-」
仲介手数料の速算法
仲介手数料は、不動産仲介会社などの宅地建物取引業者が、宅地や建物の売買・交換・貸借の代理または媒介に対して、依頼者から受けられる報酬のことです。
中古住宅購入時の仲介手数料は、400万円を超える物件は「物件金額(税抜)×3%+6万円+消費税」の速算法で計算することが多いです。
例えば、3000万円(税抜)の中古住宅の仲介手数料を速算法で計算してみると、
3000万円×3%+6万円=96万円(税抜)+消費税10%=105万6000円(税込)
となります。
つまり、3000万円(税抜)の中古住宅を売買した場合、不動産仲介会社が買主や売主から受けられる仲介手数料の上限は105万6000円(税込)で、
不動産仲介会社はこの金額の範囲内で自由に仲介手数料を設定できる、ということになります。
参考に、物件金額ごとに速算法で計算した仲介手数料の上限額を紹介します。
物件金額(税抜価格) | 仲介手数料の上限額(税込) |
---|---|
500万円 | 23万1000円 |
1000万円 | 39万6000円 |
2000万円 | 72万6000円 |
3000万円 | 105万6000円 |
4000万円 | 138万6000円 |
5000万円 | 171万6000円 |
6000万円 | 204万6000円 |
7000万円 | 237万6000円 |
8000万円 | 270万6000円 |
9000万円 | 303万6000円 |
1億円 | 336万6000円 |
仲介手数料は、物件金額の約7~10%と言われる中古物件購入の諸費用の中でも、大きな割合を占めますので、
あらかじめ希望物件の価格帯に合わせて、仲介手数料の予算も組んでおくのがおすすめです。
仲介手数料が決まる仕組み
事例を見る:case32「想い紡ぎ合わせて・spinning gather」
はじめに仲介手数料の速算法を紹介しましたが、手数料の上限額は、具体的には「宅地建物取引業法」と「国土交通省の告示」によって決められています。
出典:e-GOV法令検索「宅地建物取引業法第四十六条(報酬)」
不動産仲介会社を通した中古住宅の売買は、「宅地または建物の売買の媒介」にあたります。国土交通省の告示を要約すると、中古住宅売買時の仲介手数料の上限は、次のように定められています。
「不動産仲介会社が受けられる仲介手数料は、依頼者の一方につき、それぞれ、物件金額(税抜価格)を①200万円以下、②200万円超400万円以下、③400万円超の3つの金額に区分して、それぞれの金額に以下の割合で手数料を計算し、それを合計した金額が上限」
①200万円以下…物件金額の5.5%
②200万円超400万円以下…物件金額の4.4%
③400万円超…物件金額の3.3%参考:国土交通省「不動産流通について「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」(昭和45年建設省告示第1552号)」
例えば、3000万円(税抜価格)の中古住宅を購入する場合、3000万円を次のように①~③の区分に分解して計算し合計すると、
①200万円以下… 200万円 × 5.5% = 11万円
②200万円超400万円以下… 200万円 × 4.4% = 8万8000円
③400万円超… 2600万円 × 3.3% = 85万8000円
①+②+③= 11万円 + 8万8000円 + 85万8000円 = 105万6000円(税込)
このようになり、速算法と同じ金額になります。
よくある疑問①:仲介手数料がかからないケースとは?
事例を見る:case18「GALLERY APARTMENT」
不動産仲介会社を利用しないケース
仲介手数料は不動産仲介会社に対する報酬なので、仲介会社が間に介在しないケースでは、仲介手数料はかかりません。
一例として、物件を個人ではなく不動産会社が所有していて、その会社が売主となって直接買主に販売するケースがあります。
このケースでは、間に仲介会社が存在しないので、そもそも仲介手数料が発生しないということになります。
ちなみに、売主が個人で、仲介会社を介さずに販売するというケースはほとんどありません。
不動産売買には多くの専門知識が必要で、各種法律などを熟知している人同士でなければ手続きを個人で完結させるのはかなり難しく、結果的に個人間でのトラブルにつながるリスクが高いからです。
不動産仲介会社が仲介手数料を無料にするケース
仲介手数料が無料になるもう1つのパターンは、不動産仲介会社が両手取引(1つの不動産会社を通して売買する)で、売主と買主、どちらかからしか仲介手数料を受けないなどの方法で手数料を無料にするケースです。
ただし、原則として、個人が売主のケースが多い中古住宅の売買は、片手取引(買主・売主がそれぞれ異なる不動産仲介会社を利用する)が主流です。
仲介手数料が無料になるのは、中古物件の中でも限られたケースになります。
逆に、手数料無料の物件という条件にこだわってしまうと、物件の選択肢が狭まってしまう可能性もあるため注意しましょう。
よくある疑問②:仲介手数料を支払うタイミングはいつ?
事例を見る:case35「Fn Design -住まいを機能からデザインする-」
仲介手数料は、不動産会社が、売主や買主の希望した条件で売却や購入を成立させた場合の成功報酬になります。
つまり、売買が成立してから支払うお金になります。
仲介手数料を支払うタイミングは
「不動産売買契約時に半額」
「物件金額の残金決済時に半額」
というケースが一般的です。
場合によっては、残金決済時に一括というケースもあります。不動産会社との媒介契約時に交わした契約書に支払いタイミングが記載されているので、確認しましょう。
また、仲介手数料は、現金での支払いを求められることがほとんどです。
売買契約や残金決済は、金融機関で行われることが多いので、金融機関の通帳と印鑑または、キャッシュカードで現金を引き出せます。
キャッシュカードで引き出す場合は、その金融機関でカードが使えるか、ATMでの引き出し限度額はいくらかなどを事前に調べておくと安心です。
また、仲介手数料を振込みにしたい場合は、事前に可能かどうか確認しましょう。
よくある疑問③:仲介手数料をローンに組み込めるの?
事例を見る:case31「光の道を辿る家・Trace of Lights」
中古住宅の購入時は住宅ローンを利用する人も多いと思います。
仲介手数料は物件金額によってはかなり高額になるため、「ローンに組み込めないか」と考える人も多いのではないでしょうか?
中古住宅購入時の諸費用のうち、ローン保証料や団体信用生命保険料は住宅ローンの金利にはじめから組み込まれていることがほとんどです。
ローン保証料…支払い方法に「一括前払い型」と「金利上乗せ型」があり、「金利上乗せ型」を選んだ場合は借入金利に組み込まれている。
団体信用生命保険料…フラット35や一部の金融機関(任意加入)以外は、借入金利に組み込まれている。
また、収入印紙代や登記費用などを借入金額に含められる金融機関もあります。
中古住宅購入時に必要な諸費用や、現金で用意する必要のある費用、支払いタイミングなどは、過去のコラムで詳しく解説していますので、合わせてチェックしてみてください。
そして、仲介手数料は基本的には現金での支払いになりますが、仲介手数料を含む諸費用をローンに組み込みたい場合は、諸費用込みで住宅ローンを申し込む方法と、住宅ローンの他に「諸費用ローン」を組むという方法があります。
諸費用込みの住宅ローンは、対応している金融機関であれば借入可能です。
例えば、フラット35の場合は、
「住宅購入に係る仲介手数料」は諸費用として借り入れ対象になっています。
参考:フラット35「借入対象となる諸費用とはどのようなものですか?」
また、イオン銀行では
「物件の売買契約金額および工事請負契約金額の105%までの限度額範囲内で、仲介手数料、登記費用等に充当できる」
参考:イオン銀行「よくあるご質問:【住宅ローン】住宅ローンとして、住宅の購入費用だけでなく諸費用(仲介手数料・登記費用等)も合わせて借り入れることはできますか?」
auじぶん銀行では
「印紙税(売買契約書などに貼付)、登記にかかる登録免許税・司法書士・土地家屋調査士の手数料、住宅ローンお借入れの際に発生する事務手数料、火災保険料、地震保険料、不動産仲介手数料、引っ越し費用 などの諸費用も借入可能」
参考:auじぶん銀行「住宅ローン(諸費用について)」
など、諸費用もローンに組み込めるようになっています。
ただし、諸費用込みの住宅ローンは「オーバーローン」になり、毎月の返済負担も増加します。
また、物件の価値以上の金額を借り入れることになるため、万一すぐに引っ越しや売却しなければならなくなった場合、物件の売却金額でローン残債を返済しきれず、ローンが残ってしまうというリスクがあります。
さらに、借入額が大きくなるため審査も厳しくなる傾向があり、審査結果によっては借り入れができなかったり、希望の金額まで融資ができなかったりするケースもあるので注意しましょう。
また、諸費用をローンに組み込んだ場合も、諸費用部分は原則として住宅ローン控除の対象外となる点も頭に入れておきましょう。
諸費用ローンは金利が高く返済期間が短いため注意
また、諸費用を住宅ローンに組み入れず、「諸費用ローン」として別にローンを組める金融機関もあります。
諸費用の対象となる項目は、金融機関ごとに異なるので、事前に必ず確認しましょう。
(諸費用ローンのある金融機関の一例)
・りそな銀行「りそな諸費用ローン」
・イオン銀行「住宅ローン利用者限定ローン(イオンアシストプラン)」
諸費用ローンは住宅ローンより金利が高く、返済期間が短いので、短期的に返済負担が大きく増えてしまいます。
諸費用ローンを組む際は、毎月の返済額をしっかりシミュレーションして借入額を決めることが大切です。
まとめ
事例を見る:case34「SQUARE -抜けるようなリビングを持つ家-」
中古住宅購入時の仲介手数料は、不動産仲介会社が、買主にとって希望の条件の物件を探して提案し、内見や売買条件の交渉などを売主側との間に立って行い、契約、引き渡しに至るまでサポートを行う業務に対する成功報酬です。
仲介手数料は法律によって上限額が決められているため、物件の予算が分かれば、おおよそ必要な仲介手数料も計算できます。
仲介手数料をはじめとする諸費用は、事前に計算に入れた上で物件やリノベーションなどの総額予算を決めておくと、後々予算オーバーになってしまう失敗を防げます。
また、不動産仲介会社を通さずに売主から直接購入する場合など、仲介手数料がかからないケースもあります。
不動産仲介会社を選ぶ際は、仲介手数料の安さだけにこだわりすぎず、
自分の希望条件に合う物件をきちんと探して紹介してくれるかどうか、メリットだけでなくデメリットも含めて説明してくれるかなど、
担当者が信頼できるかどうかも考慮して総合的に選ぶことが、理想の中古住宅購入を成功させるためのポイントです。
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