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「ホテルライクな新築風」をあえて、リノベで叶える贅沢・TOKYO Residence

「ホテルライクな新築風」をあえて、リノベで叶える贅沢・TOKYO Residence

2019/06/22

◆リラックスできるリゾートホテルが理想


今回ご紹介するリノベ物件の依頼主は何と夫婦揃ってほぼ同業者。夫はハウスメーカーのセールス、妻は広報というキャリアの持ち主。いわば住宅の目利きがどうしてhowzlifeをパートナーとして選んだのか。
ぜひ聞いてみたいとY邸を訪ねました。

玄関に一歩足を踏み入れると、エキゾチックないい香りが鼻孔をくすぐります。エントランスからリビングへと抜ける廊下を歩いていると、誰からともなく「まるでリゾートホテルみたい」という声が。マンションのショールームをも髣髴とさせるスタイリッシュなエントランス。天井と床にはそれぞれの段差があり、そこから放たれるルームライトのほの灯りが、とってもムーディーな雰囲気を醸しています。


聞けば、旅行と言えば海外のリゾート地に親しみ、各地のリゾートホテルでのステイを楽しんできたというY夫妻。ふたりの住みたい家の理想も自然に「リラックスできて、飽きの来ないリゾートホテルのような住まい」になっていったのだとか。
手本にしたのは研修で訪れたシアトルのゴルフ場クラブハウスの内装やジャカルタのコンドミニアムのコージーなスタイル。
それにしても「ホテルライク」「リゾートホテル」という方向性ならば、リノベーションよりもむしろ新築物件に手を入れたほうが親和性は高いのでは? そんな無粋な質問をぶつけてみました。
「確かに、はじめは新築マンションも視野に入れていました。でも広さを重視していた私達にはどこも狭く感じられて」とYさん。どうしても60~70㎡の物件がメジャーとなる新築市場。ふたりの理想の空間を実現するには100㎡くらいは欲しかったため、新築は諦め、中古物件を探し始めたといいます。


◆「おさまり」の視線があって、安心できた 
やや郊外に近い都心圏に希望の物件がみつかり、いざリノベのパートナー選びを検討し始めた当初は、自分達の好きなテイストを求め、とにかくたくさん事例をみようとまずは資料請求からはじめることに。感覚的にフィットすると感じた3社くらいに絞り、「最終的にhowzlifeを選んだ理由」をYさんはこんなふうに語ってくれました。

「一つ目は過去の事例から『おさまりの視線』が感じられたので安心できたこと。『おさまり』とはどうしたら仕上がりがきれいにみえるか。たとえば、タイルを張る時に仕上がりの状態を逆算して目地を詰めていく配慮とでもいいますか。いわばディテールに宿る仕事の技であり、細部へのこだわりですね。ふたつ目はキッチン、バスルームなど施主支給の希望に柔軟に対応してもらえそうだ、ということ。他社は決められメーカーのカタログの中から選択するパターンがほとんどで、なかなか個別に選べなかったんですよ。
三つ目は購入していた同じマンション内の別宅をhowzlifeがリノベを手掛けており、すでに実績があったことも大きかったですね。


さらに言えば、併走して検討していた他社の中にはプランニングの段階で契約してもしなくても設計料金を請求する会社もあったのですが、howzlifeでは細かい作りこみまで一緒にプランニングして信頼関係を築いたうえで契約という流れもよかった。そして何よりも担当デザイナーの南部さんの知識の豊富さに感心したこと。中古物件は壊して見ないと状態がわからない。この点は自分達の未経験の領域でした。頼れる経験者がいることは心強かったですね」

心なしか、Yさんの指摘はいずれも玄人ならではの「感心ポイント」のように聞こえませんか。ここからは素人目にはなかなか気づきにくい細部の「おさまり」にも目配りしながら各ゾーンを巡っていくことにしましょう。

◆エントランス&廊下

ベージュの天井と床の段差効果によるものなのでしょうか。間接照明に照らされた白のタイルがひときわ輝きを放つ、長い廊下。さらに鏡貼りにすることで空間を明るく見せています。このミラー使いはY邸の個性のひとつといえそう。壁面にウォークインクローゼットとシューズクローゼットをそれぞれ造作。来客時のコートクロークもここに内蔵されており、視界を遮るものが何もない潔さを感じさせます。いわゆる生活感が払拭された、スタイリッシュなエントランス。


◆主寝室

リゾートホテルのオリエンタルな和洋室感が漂う、主寝室。すのこの上にマット&ふとんを敷いただけというシンプルな設えでありながら、ラグジュアリー感をキープ。段差効果による間接照明が効いています。ブロンズのシートを貼ったガラスのドアの向こう側はウォークインクローゼット。ブロンズシートを貼ったことで外からはウォークインクローゼットの中が見えないよう工夫。トグルスイッチは「絶対取り入れたかった」とYさん。この寝室で最も悩んだのがムクのフローリング。グレー塗装の色調を決めかね、「何度もサンプルをつくってもらいながら結局、最初におすすめいただいたものを選ぶこととなり、さすがプロのご提案に間違いないと実感した瞬間でした」


◆リビング&ダイニング

 見晴らしのいいロケーションを臨む個性的なリビングルーム。「黒いカーテンが窓の眺めを遮る夜は段差とLEDテープライトの効果でフロアが浮き上がってステージのように見えるんですよ」とYさん。ダイニングの壁面一面ミラーはジャカルタのコンドミニアムを手本に。ダイニングからの眺めはまさしく、ステージ。大きな液晶画面を設置したウッドパネルのバックボードは造作。ソファに腰かけ、大画面に映し出される映画を観る光景はリビングで寛ぐというよりホームシアターへ「おでかけ」とでもいいたくなるような素敵な空間です。
リビング&ダイニングの天井全体を覆う板貼り、レッドシダーの色味は部屋の印象を決定づけるため最後まで悩んだそう。着色するか、クリア塗装でニュアンスを出すか。結果的に後者を選び「木によって色の濃淡がでる面白さが発見できてよかった」とYさんは満足気です。


天井から少し吊り下げたレールライトはhowzlifeのカフェをみてぜひやってみたかったパーツ。「ダクトレールを天井に直付けしないスタイルが気に入っています。それで天井が多少低く感じられても、空間に動きがでていいかなと思いました」


◆キッチン&ユーティリティ

「施主支給」のシステムキッチンに合わせ、マットな黒いタイルを後づけでチョイス。家電もスタイリッシュな黒で全て統一した自慢のキッチンです。海外のホテルで見て、絶対に取り入れたかったという「腰壁パネル」。シックなグレーの色味や仕上がりが思い描いたイメージと食い違わないように「理想に近い写真をたくさん集めて夫に渡し、デザインをおこしてもらい、それを南部さんが具現化してくれた感じ」とYさんの遠隔操作の甲斐あって、いまではここがいちばんのお気に入りだとか。



◆フィッティングルーム

省スペースながらご主人の思い入れが詰まった空間。3連のパイプを巡らせ、黒彫の棚を造作したウォークインクローゼット兼フィッティングルーム。ブロンズシート貼りの扉ガラス越しに鎮座する大きな鏡が狭さを緩和しています。


◆子ども部屋

南向きで日当たり良好の洋室。「いまは主人のゴルフの練習場になっていますが、近い将来、子どもを持ったら子供部屋にする予定」


◆サニタリールーム

黒を基調としたトイレ。まるでハリウッドミラーの進化系のような鏡。家族の写真がディスプレイされたたいせつなプライベートスペース。


◆バスルーム

大理石調のタイルやタオルフック、洗面所横の拡大鏡など「ホテルライク」な上質な空間を演出。「デザイナーの南部さんが我々の好みを理解してくれて、サンワカンパニーを紹介してくれたことは今回のリノベでの最大のヒットかも」とYさんがここで大絶賛を。建材やタイルなどのディテールの大切さを熟知しているから言える、プロ目線の貴重な証言です。



◆リノベーションを終えて 
友人が遊びに来た際、「マンションの最大のメリットであるバリアフリーをみごとに無視した設計」と評されたというY邸。この家の最大の個性ともいえるこの「段差」の着想は何とご主人が学生時代にスケッチしていた設計図をベースにデザインおこしされたものだったとか。「生活動線よりも雰囲気と見栄え重視」して採用したとYさんは笑いますが、特筆すべきはやはり、それぞれの空間が段差をつけることで個々に仕切られ、際立って見える点。
「足元のパーテーションマジックのおかげで、目的に合わせて空間を使おうと意識が向き、同じ場所でだらだらと過ごすことがなくなりました。これまで朝食抜きだった夫が朝ごはんを毎朝しっかりダイニングテーブルで食べるようになり、掃除が苦手だった私がいまでは髪の毛一本落ちていても気になるようになりました(笑)たいせつにきれいに使いたいし、暮らしたい。憧れだった、ていねいなくらしに一歩近づけている気がします」。

「リノベーションを終えて、感謝することはいろいろあるのですが、やはり、中古物件は壊して見ないと分からないことが多いなか、プロに併走してもらえたことは大きかった。実は天井の総板張りは当初、リノベするなら躯体表しの天井にしたいと考えていたのですが、デザイナーの南部さんの事前アドバイスのおかげで方向転換できたんです。壊さないと状態がわからないとはいえ、経験者には天井が何で組まれているか、ある程度予測できる。南部さんが内見の際、叩いた感触で軸組ではなくGLボンド貼りだと予測し、天井のコンクリートにおそらく出現するであろうボンド跡は「見映えがよくない」と事前に助言してくれた。そのおかげで個性的な総板張りができてよかったです」

(◎写真 花井智子 ◎ライター 砂塚美穂)