耐震診断とは

中古マンションのインスペクションの検討

【耐震診断(たいしんしんだん)】

 

1. 概要

 

「耐震診断」とは、既存の建物(特に中古マンションや戸建て)が、大規模な地震(震度6強〜7程度)に対してどれくらいの耐震性能を持っているかを、専門家(建築士など)が調査・評価することです。

現行の「新耐震基準」を基に、建物の強度や粘り強さを算出し、安全性のレベルを客観的に判断します。

 

2. リノベーションにおける重要性

 

中古物件をリノベーションして長く安全に暮らすために、耐震診断は非常に重要なプロセスです。

  • 特に「旧耐震基準」物件では必須
    1981年(昭和56年)5月31日以前の「旧耐震基準」で建てられた物件は、現行基準と比べて耐震性能が低い可能性が高いです。リノベーションを計画する際は、まず耐震診断を行い、建物の現状を正確に把握することが不可欠です。

 

  • 安全性の確保と補強計画の前提
    診断によって耐震性が不足していると判断された場合、リノベーション工事と併せて「耐震補強工事」を行う必要があります。耐震診断は、どこを、どのように、どのくらいの費用で補強すればよいかという「補強計画」を立てるための大前提となる調査です。

 

  • 耐震基準適合証明書」取得の第一歩
    築年数が古い物件(旧耐震物件や、築25年超のマンションなど)で「住宅ローン控除」などの税制優遇を受けるには、「耐震基準適合証明書」が必要です。この証明書を取得するためには、まず耐震診断を行い、基準を満たしていることを証明するか、基準を満たすための耐震補強工事を行う必要があります。

 

3. 診断の内容

 

耐震診断は、一般的に「予備調査(図面確認など)」と「現地調査」を経て、耐震性能を数値化する「構造計算」を行います。

 

  • 予備調査: 設計図書(図面)を確認し、建物の構造や建てられた時期を把握します。

  • 現地調査: 図面と実際の建物が一致しているか、ひび割れ(クラック)の状況、コンクリートの強度、鉄筋の配置などを調査します。

  • 評価・判定: 調査結果を基に複雑な計算を行い、耐震性能を評価・判定します。

 

(※マンションの場合、個人が専有部分のみの診断を行うことは難しく、管理組合として建物全体(共用部分)の耐震診断を実施しているかを確認することが一般的です。)

 

4. 診断後の流れ

 

  • 耐震性が確認された場合: 計画通りリノベーションを進めます。「耐震基準適合証明書」の発行手続きに進むことも可能です。

  • 耐震性が不足していると判断された場合: リノベーションの設計と同時に、「耐震補強工事」の計画・見積もりを行います。安全性とコストのバランスを見ながら、最適な補強方法を決定します。

 

5. 関連語

 

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