パイプスペース(PS)とは

パイプスペース

【パイプスペース(PS)】

 

1. 概要

 

「パイプスペース(PS)」とは、分譲マンションなどの集合住宅において、各住戸の給水管、排水管、ガス管などを、上下階で縦に通すために集約した空間(シャフト)のことです。

 

間取り図などでは「PS」と表記されます。この空間は、居住者の所有物である「専有部分」ではなく、マンション全体の資産である「共用部分」にあたります。

 

 

2. リノベーションとの関係と最重要注意点

 

パイプスペースの位置は、リノベーション、特に水回りの間取り変更において「最大の制約」となり得る、最も重要な確認ポイントの一つです。

 

  • 原則、移動・変更は一切不可: PSは建物全体のインフラ(配管)を支える「共用部分」であるため、個人のリノベーションで位置を移動したり、撤去・縮小したりすることは一切できません。 これは、室内をすべて解体するスケルトンリフォームであっても同様です。

 

  • 水回りレイアウトの絶対的な基点: キッチン、浴室、洗面、トイレなどの「水回り」設備は、すべてこのPS内を通る排水管(縦管)に接続する必要があります。 専有部分内の配管(枝管)を延長して水回りの位置をある程度動かすことは可能ですが、特に排水管は排水を流すための「勾配(傾斜)」を確保しなくてはなりません。

 

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    そのため、水回りのレイアウトは、この動かせないPSの位置を基点として、勾配が取れる範囲内で計画するという絶対的な制約が生まれます。

 

 

3. メリット(建物の設計上の利点)

 

(リノベーションにおける制約とは別に)建物がPSを採用する設計上のメリットは以下の通りです。

 

  • メンテナンスの容易性: 配管が一箇所に集約されているため、将来の点検や交換といった維持管理(大規模修繕など)が行いやすくなっています。

 

  • 居住空間の確保: 配管を壁や床の中に分散させず、PSに集約することで、室内の有効スペースを広く確保できます。

 

 

4. 関連語

 

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