Circulation
この記事の見所ポイント
- 当社のワンストップサービスを利用し、それまでと同じエリアで中古マンション探し。
- 玄関~水回り~DK~小上がり~仕事部屋~玄関をぐるりと回れる「行き止まりがない間取り」を実現。
- 目に触れやすい洗面台やキッチンはデザインと素材にこだわり、空間の主役級に。
- インテリアは端正な和のアクセントを効かせたシンプルスタイル。
- 小上がりはリビングにも寝室にもなる2way仕様。畳の下は大容量の収納として活用。
- 2つの仕事部屋をガラスで仕切り、光と気配を届けながら音だけをシャットアウト。
今回ご登場いただくお施主さまは、NさまとTさま。都内の下町エリアで賃貸アパートにお住まいでしたが、将来を見越して持ち家を検討され、念願だった中古マンションリノベに着手することになりました。
「このあたりはお互いの通勤に便利で、散歩するのも楽しくて。なるべくここから離れずに、駅近で60㎡以上、日当たりがよくて視線の抜ける物件があればと思っていました」
物件の購入費とリノベ費用のローンをまとめたかったことから、最初からワンストップのリノベ会社を探したというおふたり。数社を比較した中で、私たちSHUKEN Reにお声がけくださいました。
「工事を外注せずに社内で行っているので安心感がありましたし、コストの面でもメリットがあるのかなと。物件についての説明が分かりやすかったことも大きいですね。おかげで条件に叶った理想的な物件に出会えました」
リノベプランのコンセプトは、ずばり「行き止まりがない家」。実際にお邪魔してみると、本当に行き止まりがないんです!
おふたりが採用されたのは、玄関を入ってからさまざまなスペースを通り抜け、ぐるりと一周して玄関へ戻ってくる回遊動線の間取り。進めば進むほど、無駄のない空間の使い方に驚きの連続でした。
そこで今回は、その動線に沿ってルームツアー風に各スペースをご紹介しましょう。まずは玄関からスタートです!
開放感と利便性を兼ね備えた玄関ホール

玄関を入るとまず驚くのが、その広さと抜けのよさ。カウンタータイプの靴箱に並ぶ愛らしい雑貨がアイキャッチになり、狭さや圧迫感を感じることはありません。
「実はプラン全体で一番悩んだのがここなんです。玄関ドアの断熱性が低くて、冬寒くて夏暑いことが分かっていたので、靴箱を天井までの高さにして引き戸で仕切るなど、いろいろな案を検討しました。
最終的に、ドアの内側に断熱スクリーンをつければ間仕切りが要らないと分かって、この開放的な間取りができたんですよ」
採用したのは「セイキ」の「ハニカム・サーモスクリーン」。冬場に実際に使ってみて、外の冷気が伝わってこないことに驚いたそう。ほかの時期は開けていますが、薄い素材なので枠にすっきりと収まり、ほぼ存在感がなくなります。
広々としたホールの壁面はすべてクローゼットに。ほとんどのワードローブがここに収まっているので、出かける前後の着替えがスムーズにできます。
「上手製作所」のハンガーパイプは室内干し用。雨で濡れたアウターを乾かすのにも便利です。「建築ソケット」

玄関土間のブラケットは、西荻窪の「ひぐらし古具店」で見つけたもの。壁に映る花の影が玄関に穏やかな空気を添えています。
洗面室や脱衣室もウォークスルーに

玄関を背にして進むと洗面スペースが現れます。アウトベイシンスタイルの洗面台を動線上にプランしたことで、外出前の身支度や帰宅後の手洗いが気軽になりました。
一般的な洗面室によくある湿気の悩みも、このスタイルなら無縁。行き止まりがないプランのメリットが早くも感じられます。
洗面スペースの先に続くのは、なんと脱衣スペース。2つの引き戸を閉めるとクローズドの空間ができ、そこが脱衣室に早変わりするしくみです。
壁側にはタオル類の収納や洗濯機も完備されていました。ただ移動するだけの廊下ではなく、必要な時だけ仕切ることでスペースを有効に活用。このアイディアに脱帽です!
「洗面台が目に入りやすいレイアウトなので、デザインや素材にはこだわりました」。AICAの「スタイリッシュカウンター」に「ミラタップ」の水栓とミラーキャビネットを組み合わせ、すっきりとした印象に仕上げました。

壁面には「toolbox」のタイルを使い、目地はグレーに。ちょっとレトロな表情がカウンター上の雑貨を引き立てています。

「カウンターとボウルが継ぎ目のない一体型なので、手入れがラクです。壁づけ水栓も汚れにくくていいのですが、濡れた手でレバーをさわると下に水が溜まるので、キッチンと同様にセンサーつきにしてもよかったかもしれません」
壁づけキッチンで空間を広く使う

脱衣室を通過すると、いよいよメインのLDK。ふたつの窓から光が入る明るい空間に、ほっとするような穏やかな空気が流れています。
「キッチンはⅡ型のレイアウトを考えていたのですが、空間の幅が意外と狭いことに気づいて、壁づけに変更しました。このほうがスペースを広く使えて、キッチン本体のコストも抑えられたので、ベストな選択だったと思います」
床は「朝日ウッドテック」の「ライブナチュラルMRX」。やや赤みのあるブラックチェリーを選びました。窓には断熱対策として「YKK」の「プラマードU 」をプラス。プリーツスクリーンは「TOSO」。和紙のようなテクスチャーが陽射しを柔らかく遮ります。

「洗面台と同じく、キッチンも目に触れやすい配置で、このスペースの主役のような存在なんですよね。ふたりとも料理をしますし、お互いにとってキッチンのデザインは大切なポイントでした」
そんなおふたりが選んだのは「ウッドワン」の「スイージー」。質感が気に入ったパインの面材にステンレスカウンターを組み合わせました。背面収納がない分、左右の幅は目いっぱい使って収納量を確保しています。

壁面にはタモ集成材のオープンシェルフを。きれいな色の果実酒のビンからも丁寧な暮らしぶりが伝わります。

ダイニングテーブルは吉祥寺の「transista」。「アーコールチェアを買いに行った際、脚のデザインがアーコールに似ているのが気に入って、一緒に購入しました」。ほかの2脚は以前からご愛用のもの。ペンダントのシェードもお手持ちのものを新たな空間でも活かされています。
リビングと寝室を兼ねた「茶の間」スタイルに

LDKの一角には畳敷きの小上がりが。ふだんは床座のリビングとして、夜には布団を敷いて寝室として使われています。ひとつの和室を昼と夜で使い分ける、昔の住宅にあった「茶の間」のようなプランです。
「夜だけしか使わない寝室にひと部屋を充てるのはもったいないと思って。毎日の布団の上げ下げはありますが、寝室の分の面積を仕事部屋などに回せますし、大型の収納スペースとしても魅力だったんです」

じつは畳の下はすべて収納スペース。小上がり全体が「永大産業」の「リビングステージ」というユニットで、畳と天板をはずすとボックス型の収納が現れます。
「納戸のかわりに、防災用品やキャンプギアなどのかさばるものを収納しています。かなり入るので、まだまだ空きスペースがあるくらいです」
このスペースだけで、リビング、寝室、大型収納を兼ねていることにびっくり。限られた面積を徹底して有効活用する賢いアイディアです。

ダイニングと小上がりの間は障子で間仕切り。ふだんは壁の中に引き込んで空間をすっきりさせ、就寝時には閉めて小上がりの落ちつき感を高めています。

「toolbox」にオーダーした障子は、建具そのものの美しさも魅力的。近年よく使われるワーロンではなく、強化和紙を張ってナチュラルな素材感も楽しまれています。
こうしたデザインにさりげなく和の気配が感じられるのが、Nさま&Tさま宅のインテリアの特徴。その真意をうかがうと……
「小金井にある『江戸東京たてもの園』の前川國男邸が大好きなんです。障子や和紙っぽいスクリーンを採り入れたり、床に赤みのあるチェリー材を使ったのも、あの雰囲気がお手本なんですよ」
このお話にスタッフも納得!ゆるりとした和やかさの中に、どことなく凛とした気感が漂う理由がわかりました。
つながりながらも集中できる仕事部屋

ここが回遊動線の折り返し地点。小上がりにはコンパクトなピアノスペースが続き、さらにおふたりのお仕事部屋へとつながっていきます。


電子ピアノの上にはアンティークのガラスシェードを。フランス製のハンドメイドで、わずかに歪みのあるガラスの表情がお気に入りだそう。ピアノの向かい側の収納には寝具などをしまわれています。

おふたりのお仕事部屋も行き止まりがなく、両側から通り抜けできるウォークスルーの間取り。手前がNさまのスペースで、おもにリモートワークに使われているそう。

オンライン会議があるため、2室の間には音を遮るための仕切りが必要でした。そこで採用したのは「ミラタップ」の「クアドロスリム」というガラス建具です。
「普通の壁+引き戸よりは割高でしたが、小さな空間でも圧迫感がないし、光を通すから奥の部屋も暗くなりません。本棚が奥までつながって見えるのも気に入っています」

こちらはTさまのスペース。アパレル会社で洋裁やパターンのお仕事をされているTさまは、専用の道具や材料が多いため、やや広めのスペースを確保されました。

こちらはふたつのお仕事部屋を反対側から見たところ。リビングからまっすぐに自然光が届き、風通しもアクセスのしやすさも抜群です。
Tさまのスペースは玄関ホールに直結。これでぐるりと一周できました。ルームツアーの最後は、ホールに設けたトイレで締めくくりましょう。

「TOTO」のトイレは手洗い器なしのタイプを選んですっきりと。タモ材のオープンシェルフと電球のみのペンダントで、シンプルながらも落ち着ける空間を演出しています。
水回り中心のプランで叶えた回遊動線

「この物件もそうでしたが、一般的なマンションって、玄関を入ると廊下が1本あって、突き当たりがリビング、廊下の左右に個室と水回り、という間取りですよね。あれが本当に好きじゃなくて(笑)。
そうじゃない間取りをプランナーさんと一緒に試行錯誤する中で、壁際の浴室とトイレを中央に持ってくれば、その左右に2本の動線がつくれると分かったんです」
洗面室も脱衣室も仕事部屋も、行き止まりの個室になってしまうことがほとんど。それらをすべてウォークスルーにできたのは、この発想の転換があったからなんですね。
「じつはこのマンションは以前住んでいたアパートより狭いのですが、ずっと広く暮らせている感覚です。行き止まりがないと移動のストレスがないし、掃除などの家事もラク。その反面、引き戸を閉めればちゃんと個室もできるから、ひとりで集中することもできてプライバシーも守れるんですよ」
回遊動線の間取りはもちろん、和の素材とデザインを生かしたインテリアも実現されたお2人。休日には歩いていける下町をお散歩するなど、飾らない自然体の暮らしを満喫されています。
お忙しい中、取材・撮影にご協力いただき、ありがとうございました。
取材・文/ライター後藤由里子
撮影/カメラマン臼田尚史



