Beyond Ordinary

この記事の見所ポイント
- ご主人は住宅設備の商社にお勤め。妻は当社のマーケティング担当。リノベの造詣が深い夫妻らしく「ありきたりではないこと」がテーマに
- 玄関ドアを開けると古着屋さんのようなワードローブが迎えてくれる、個性全開の間取り
- LDKはカラークロスや扉材でカラフルに。床はフロアタイルで住宅っぽさを抑えて
- 使用頻度の高い洗面台はリビングの一角に設置。家具調にしてインテリアの一部に
- ネコトンネルやネコのご飯スペースを設けて、愛猫にとっても快適な住まいを実現
玄関ドアを開けると「ここはお店?」という光景が目の前に!思わず部屋番号を確認したくなりましたが、まぎれもなくこちらは本日の訪問先であるHさん夫妻のお宅です。画像のスペースは、ごく一般的なマンションの玄関、廊下、約6畳の洋室があった場所。リノベで洋室の壁を取り払って、玄関ホールと一体のショップのようなワードローブに生まれ変わりました。
妻いわく「夫婦ともに洋服が大好きで、特に私はずっと古着屋さんに住みたい!って思っていたんです。物件探しの段階からこんなプランを夢に描いていたので、内見のときは玄関横の個室を撤去できそうかどうか、プランナーさんに確認していました」
当初、センターに置くのはチェスト風の造作家具のみの予定でしたが、「プランニング中に骨董市でこの丸テーブルを発見してしまって……。すぐにプランナーさんに画像を送って造作家具の横幅を短縮してもらい、無事に丸テーブルもプランに組み込んでもらうことができました」
ヴィンテージの丸テーブルが加わり、さらに“お店感”が高まりました。担当プランナーは「どうしたらお店の雰囲気が出せるか」について頭をひねってくれたそうで、「見せる」と「隠す」のメリハリをつけたり、くすみピンクの塗装壁にしたりして“お店感”をアップさせてくれたとか。
壁際に並んだアーチのコーナーもとってもおしゃれ!こちらのように棚板を設置した部分もあればハンガーパイプにした部分もあり、ご主人の好きなフィギュアなども素敵に飾られていました。
センターに配置した造作家具の後ろ半分はオープンなつくりに。きれいに畳まれた洋服を重ねて収めてあるシーンも、まさに洋服屋さんそのもの。左手奥には妻がネットで調達した流木を天井から吊り下げて、丈の長いワンピースの定位置にしました。
奥の壁には、全身チェックができる大きなミラーが立てかけてあるように見えますが……
なんと、物入れの扉でした!こちらには多趣味なご主人のゴルフや釣り、スノーボードの道具のほか、スーツケースなどをしまっているそうです。“お店風”というコンセプトにマッチしないものはしっかり隠して、必需品のミラーの設置場所も確保できるグッドアイディアですね!
改めて、玄関ドアの方向を見てみるとこんな感じに。窓の部分に右側のエリアが個室だったなごりが感じられます。土間部分もゆとりがあり、ご主人の自転車の定位置もつくることができました。
以前の住まいではひと部屋を丸々衣裳部屋にしていたそうで、リノベで個室を一部屋なくすことはまったく躊躇しなかったとか。リノベの工事中から資材などの配送スタッフさんたちの注目を集め、「ここに住むんですか?」と驚かれたそうです~。
まずは思わず引き込まれてしまうワードローブをご紹介しましたが、Hさん邸の見どころはまだまだいっぱい!奥に見えるグリーンの扉の先にある、居住スペースも見せていただきましょう。
リビングドアの奥には、広々としたLDKが広がっていました! 居住スペースは黒を使わずカラフルにしたかったそうで、壁紙はニュアンスのあるイエローに。塗装風の質感のものを選んだのがこだわりです。床は“住宅っぽさ”を抑えようと、グレー系のフロアタイルを選びました。
Hさんはご夫妻ふたり暮らしで、愛猫の「アオ」ちゃん(ノルウェージャンフォレストキャット・5歳・女の子)も大切な家族。そして、実は妻はマーケティングを担当する当社の社員。ご主人は住宅設備の商社の営業マンです。
リノベと縁の深いふたりだけあって、「リノベをしたくて家を買ったみたいなところも……」とにっこり。以前はご家族が所有するマンションに暮らしていましたが、築年数が経過していたためマイホームの購入を考えるようになったとか。
「5~6軒内見したなかで、リビングが広く取れそうだったことと、広いルーフバルコニーが決め手になりました」とご主人。妻も「日当たりがすごくよくて明るいところと、最寄り駅までのアクセスのよさが気に入りました」
担当プランナーは何でも言い合える同僚
Hさん邸を担当したのは、妻と同じ歳のプランナー。「物件購入やリノベを決める前からずっと『こんな家に住みたい』という夢を聞いてもらっていた同僚なんです。趣味や好みをわかってくれているので、細かく希望を伝えなくてもドンピシャなものを提案してくれるのがありがたかったです」
こちらは、LDKの一角に設けた洗面コーナーです。海外インテリアの画像を参考に、「壁にたくさんのフレーム」のイメージを形にしたのだとか。また、洗面台は既製品のキャビネットと洗面ボウルを組み合わせて造作。キャビネットは最初から洗面台として使おうとネットで探したそうです。
「洗面台ってお風呂上がりよりも朝起きてすぐとか、夜寝る前にちょこちょこっと使うことが多い気がしたんです。わが家の場合、脱衣室は玄関近くにあるので、いちいち脱衣室まで行くのは動線が悪いなと思ったんですね」
「それで、洗面台をLDKの一角に設けたいと考えたのですが、“いかにも”というものだとインテリア的に残念になりそうで、家具を加工してつくってもらうことにしました」と妻。
壁に掛けたフレームのうち、大きな2つは中が収納になっていて、歯ブラシなどをIN。おかげで生活感が抑えられ、LDKの素敵な見せ場になりました。
洗面台のすぐ隣にはトイレがあります。便器は汚れにくく掃除がラクな「パナソニック」の「アラウーノ」を採用。壁の1面に使ったウィリアム・モリスの「ポメグラネート(ザクロ)」のクロスが、レトロで落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
そして、トイレの主役はこちら!リスのオブジェがなんともかわいいペンダントランプです。「トイレのプランはこれありきでした」と笑う妻。ドイツのインテリアブランド「KARE(カレ)」のアイテムだそうです。モリスのクロスは妻が選び、プランナーはこのリスから着想して木目調のクロスを組み合わせる提案をしてくれました。
こちらはダイニングコーナーです。テーブルとチェアは以前の住まいから持って来たもの。カラフルなインテリアに合わせて、DIYでペイントしたり座面を張り替えたりしました。
窓辺にはベンチ兼収納兼ステップを造作。窓の外に広いルーフバルコニーが広がっているのですが、またぎ段差が高めで、内見のときに「これだと外に出なくなりそう……」と思ったのだとか。その不安をプランナーに伝えたところ、ベンチ、ステップ、そしてロボット掃除機の充電ステーションを兼ねたこちらを提案してくれました。
「おかげで、毎朝ルーフバルコニーに出て植物に水をあげたりしています。涼しくなったらテーブルや椅子を出して外で食事を楽しみたいですね」
ダイニングの正面にはキッチンがあります。もとは壁で囲まれた独立型キッチンがあった場所で、フルオープンにして開放的に。設計担当が描いてくれたイメージパースが気に入り、ほぼそのままの形でつくってもらいました。
ふたりの「テレビ台を置きたくない」「ペットがいるのでコード類を外に出したくない」という希望から、テレビを壁付けにして周辺機器は壁の中へ。フラップ式の扉の面材は籐なので、扉を閉めたままでもリモコン操作が可能です。
仕事で日々、住宅設備を扱っているご主人のお眼鏡に叶ったのは「クリナップ」のキッチン。白を選んで、面材やクロスで海外風のカラフルなキッチンに仕上げました。LD側のポップな色柄のメラミン化粧板を用いたカウンターもポイントに。
カウンターの下部はオープンなつくりにしてゴミ箱やワゴンを収納。側面の部分は愛猫アオちゃんのご飯スペースで、事前にコンセントを計画して自動給餌器を置いています。
以前は和室の押し入れだったスペースを取り込んだため、キッチンは広さも十分。ちょうどLDの壁掛けテレビの裏側に当たる部分に、キッチン家電用のカップボードを設けました。
「炊飯器の下のグリーンのクロスの部分が、LD側から出し入れするテレビの周辺機器用の収納スペースです。互い違いのつくりで設計も工事も大変だったと思うのですが、がんばって実現してくれました」と妻。
LD隣接の和室は洋室に変更。LDと同じフロアタイルがそのまま続いています。
イエローのクロスを使ったあたたかみのあるLDから一転、こちらは白が基調のクールな空間。「プロジェクターを投影したくて白ベースにしたのですが、真っ白だとつまらないよねと、プランナーさんが天井にアクセントクロスを使うアイディアを提案してくれました」
愛猫のアオちゃんがちょうどLD(手前)と寝室(奥)をつなぐネコトンネルから顔を見せてくれました。ペットドアの場合、人間用(?)のドアの下部につけることが多いですが、Hさん邸では「壁」にトンネルとして設けたのがポイント。「ありきたりにならないように洗面台スペースとリンクさせて、枠材を使って額縁のようなイメージに仕上げてもらいました」
Hさん邸のリノベは、「ありきたりでない」こともこだわりのひとつ。「常に人と違うことをしたいという気持ちがありました(笑)」と振り返ります。
こちらは寝室です。海外のインテリア画像をヒントに、ベッドヘッドを囲むように収納を造作しました。適度なこもり感のおかげで落ち着くスペースに。
寝室の出入り口のサイドには、アオちゃん用のネコトンネルが見えますね。CD棚はDIYで取り付けたもので、リノベ時に下地だけ用意してもらったそうです。
こちらは、玄関ホール兼ワードローブからアクセスする脱衣室です。ウィリアム・モリスのクロスに無地のクロスを合わせて腰壁風に演出。パーケット柄のフロアタイルも相まって、クラシカルな雰囲気たっぷりです。左手の洗濯機置き場には、目隠し用のウッドブラインドを設置しました。
ユニットバスはご主人が仕事を通じて知った「リクシル」の製品をチョイス。パーツは最小限にして、後付けの丸いミラーがワンポイントになりました。
お客さまの想いをより理解できるようになったリノベ体験
当社の社員である妻は、今回初めて「施主」の立場になり、新たな発見も多かったとか。「リノベは楽しいことだらけだと思っていましたが、いざ進めてみると予算のことや使い勝手のことなども考える必要があって、どんどんふくらんでいった夢を現実に落とし込んでいくことの大変さを実感しました」
「よくお客さまから『リノベ、楽しかったです』と言っていただくのですが、こんなに大変なのにそう言っていただけるなんて、すごいことだったんだなって……」
リノベの仕上がりには夫妻ともに大満足で、ご主人はキッチンが広々として使いやすいところが気に入っているとか。「自分がリビングにいても、妻が帰宅したときに気配が伝わるのもいいなと思っています」
妻はお店のようなワードローブが大のお気に入り。「毎日、服を選ぶのが楽しいです。これこれ!これがやりたかったの!という感じに仕上がってよかったです(笑)」
最後に妻に、「リノベを検討中のかたにアドバイスをするとしたら?」と投げかけてみました。
「自分でリノベを体験して、リノベでできないことはないんじゃないかと感じたんですね。というのも、たとえば塗装の壁を予算の都合であきらめたとしても、比較的安価な塗装風のクロスを使うという選択肢もあります。そういった調整で理想の空間が叶えられるんだって、今回すごく思ったんです」
「だから、お客さまには“夢”や“やりたいこと”をどんどん伝えてほしいですね。SHUKEN Reのスタッフ一同で、がんばってその夢を叶えます」
お忙しい中、取材・撮影にご協力いただき、ありがとうございました。
取材・文/ライター志賀朝子
撮影/カメラマン清永洋