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"SHUKEN Re"

INTERVIEW
お客様インタビュー|リノベのその後

Easygoing

この記事の見所ポイント

  • 作業台としても活用できるシステムキッチンを家の中心に
  • 家事動線が快適になる回遊式のレイアウト
  • アイスランドの自然をヒントにした内装で「らしさ」を実現
  • 市販の本棚と造作棚を活用した、見せる収納
  • インテリアスタイルを固定しないミックステイスト

 

東京・23区内でありながら、どこかほのぼのとした空気が漂うエリアに暮らす、Oさまご家族。

以前は賃貸に暮らしていましたが、結婚を機に住まいの購入を決断。互いに独身時代からなじみがあって、暮らしやすさを実感しているこのエリアを中心に、リノベーション可能な物件を探したそうです。

 

その際、何より重視したのは、日当たりの良さ。「特に私が“日当たりオバケ”で(笑)。とにかく日当たり命なんです」と奥さま。念願通り、朝から夕暮れまで室内を明るく照らしてくれる、この家に巡り合うことができました。

 

「ふたりとも持ち物が多いほうなので、欲を言えば、もう少し広さがあるといいなと思っていたんですが、理想を言ってもキリがないので、その点はリノベでカバーしようということに。自分たちでもインテリア関連の書籍や雑誌を見て研究しつつ、何社かリノベ会社をあたりました」

 

当社を見つけていただいたのも、そんな流れから。

「リノベ会社に訪問するうちに、いくら素敵でも、あまりにスタイリッシュすぎるテイストは自分たちの生活には合わないかも、と思うようになって。会社選びで最終的に大切にしたのは、暮らしていく上での使い勝手や自分たちの要望を気後れせずに、率直にご相談できるだろうかという視点。SHUKEN Reさんは、まず、雑誌で見かけたときに、自分たちの求めるテイストに近いなと思ったんです。その後、オフィスに伺ったら、プランナーの方がとても感じのよい方で。事例の幅が広かったのも決め手になりました」

 

 

キッチンを家族のたまり場に

 

 

自分たちらしく、暮らしやすく。さて、そんな思いを詰め込んだリノべ後のご自宅を拝見していきましょう。

 

Oさま宅で、まず目を引くのは奥行きたっぷりのシステムキッチン。改修前は3LDKだった間取りを2LDKに変更し、キッチンの向きを90度回転。ぐんと広く、開放的になったスペースに「ウッドワン」のシステムキッチンがどーんと置かれています。

 

「リノベにあたっては、キッチンを暮らしの中心にしたいという思いがありました。というのも、賃貸住まいのときはキッチンとLDが区切られていて、窓もなく、こもって作業しなければいけなかったんです。そうするとキッチンに立つのが“イヤなこと”になってしまうから、オープンにして、キッチンをたまり場のようにしたくて」

 

ワークトップの奥行きは90センチもあるので、調理場としてはもちろん、ノートパソコンを置いてちょっとした作業を行うスタンディングデスクとしても活用中。

 

「高さは90センチあり、私の身長にしてはちょっと高めではありますが、幼少期を海外で過ごしたせいか、大きめサイズのほうがなじみがあって。結果的ではありますが、夫は背が高いので、ふたりともにちょうどいいサイズになってよかったです」

 

また、この奥行きのおかげでワークトップ下の両側に棚を設けられたのも大きな利点。調理スペース側は、ふだん使いの器、LD側の棚は使用頻度は低いけれど、お気に入りの器の置き場になっています。器に混じって亀がいるのはご愛嬌(安心してください、ホンモノではありません)。

 

「当初はもう少し奥行き狭めのものを予定していたんですが、実際に暮らしてみると、これに変更してよかったなと感じています。唯一、懸念していたのは、配管の関係で、キッチンを床から10センチほど上げなくてはいけなくなったこと。でも、案外これが快適で。部屋全体が見渡せて、実際に立って作業していても、気持ちがいいんです。ちょっと高いだけで、LDの壁に映し出しているプロジェクターの映像も見やすくて気に入っています」

 

 

通気も使い勝手も文句なしの回遊式動線

 

 

もちろん、システムキッチンの周囲はたっぷりスペースがとられていて、ふたりでキッチンに立っても窮屈感はゼロ。それに加え、このキッチンを中心に、LDとパントリー、洗面室が回遊できる間取りになっているのも、Oさん宅の心地よさの秘訣。

 

下の写真は、洗面室横の廊下からキッチンに向かって撮ったもの。LD→キッチン→パントリー→洗面室の順にそれぞれの空間が連なっています。

 

 

キッチン側からパントリーに向かうには、アーチ壁をくぐるだけ。

 

 

「この間取りだと風通しがよく、湿気がこもらないうえに、一方が料理をしているときに、もう一方が洗面室からバルコニーまで洗濯物を運ぶという場面でも、LD側の廊下を使えば、バッティングせずに通れるのが、とても便利なんですよ」

 

 

キッチン隅の可動式棚の下は、猫のお食事処。ドアがないので、猫ちゃんも自由に行き来できて快適そう!

 

「ここもパントリーも洗面室も、造作収納はすべてオープンにしてもらったのですが、これが大正解で。扉がないので、子どもを抱っこしたまま、難なくモノを取り出すことができて助かっています」

 

 

 

 

雄大なアイスランドの景色を家の中に

 

ところで、みなさま。このアーチ壁を挟んで、キッチンとパントリーの空気感が変化しているのにお気づきでしょうか。グレーやシルバートーンのキッチンに対し、パントリーは淡いピンク色。

実は、Oさま宅の内装は、ご夫妻が新婚旅行で訪れたアイスランドの自然がコンセプトになっているのです!

 

「家づくりというのがあまりに漠然としていて、何か軸となるものが必要だなと思い、ふたりともに大好きなアイスランドの雰囲気を内装にとり入れてみようということになりました。自分たちで撮ってきた写真や雑誌の写真と、プランナーさんにつくっていただいた間取りを照らし合わせて、ここは氷河っぽくとか、こちらは火山っぽくなど、ちょっと仕事モードになりつつ、練りに練って(笑)」

 

その結果、パントリーからキッチンにかけては「Volcano(火山)ゾーン」に。

キッチンには火山岩を連想させる大胆な斑点模様のタイルを、パントリーは火口や活火山を染める夕日の色をイメージして、ピンク色のクロスを使用しています。

 

この「Volcanoゾーン」から続く、洗面室は「Glacier(氷河)ゾーン」。

 

 

 

床には雪や氷を感じさせる白いタイル、壁には氷山が溶け出したような爽やかなブルーのタイルが敷き詰められ、見事に「氷河」が表現されています。

「冬はタイルだと冷たいかなと気にしてたんですが、全然そんなことはなく。水がこぼれても気にならないし、快適です」

 

蛇口は、空間のイメージを壊さないように「カクダイ」の壁付け水栓をセレクトしてスマートに。リノベ後に購入した「イケア」のミラーや収納アイテムもすべて白でまとめられていて、すっきり、さわやか。

 

続く浴室も洗面室同様に、クリーンな空間。シンプルでさっぱりとした感じが素敵ですが、実は、ここの設備選びをどうするかが、いちばん悩んだところなのだそう。

 

 

「他の場所は、こうしたいというイメージが明確にありましたが、浴室に関しては何も考えていなくて、選びようがなかったんです。そこで、とりあえずいくつかの商品を見てみたんですが、自分たちの好みとしては、“商品のグレードを上げる”といいというわけでもないな、と感じて。結局、洗面室の“Glacierゾーン”のイメージを浴室にもつなげて、白を基調とした感じにまとめることにしました」

 

そんな過程を経て、最終的に選んだのは、「TOTO」のユニットバス。

「白の効果で空間が明るく、広々見え、満足のいく仕上がりになりました」

 

このシンプルな浴室と対極に、トイレはものすごく個性的なのが、Oさん宅の楽しいところ。

 

 

だって、どうです? トイレが魚柄なんてなかなかユニークですよね。

 

このクロスは輸入壁紙専門店の「WALPA STORE TOKYO」で見つけたもの。

「狭い空間だからこそ冒険したいなと思って。氷河から続く深海っぽさを感じられる壁紙を選びました」

 

 

ライトも船舶照明で雰囲気たっぷり。

「お客さまにはドアを開けた瞬間に、えっ! と驚かれますが、意外と落ち着くんですよ(笑)」

 

 

トイレ脇の小さなスペースは、当社のプランナーの提案で洗面コーナーに。

 

「ここはもともと収納スペースだったんですが、なんだか使いにくそうだなと思っていたところ、プランナーさんが〝いいこと思いつきました〟と、ご提案してくださって。玄関からも近い位置にあるので、外出後、すぐに手洗いができて便利です」

 

 

閉塞的なマンションの玄関を、明るく広々と

 

ところ変わって、こちらは玄関です。

 

 

以前は「狭さが気になっていた」ということで、玄関と隣接した洋室のクローゼットだった部分を玄関収納に変更し、土間部分をほんの少し拡張。天井まで届く大容量の収納は、可動棚に加えパイプを設置し、靴+アウター収納として使えるようになっています。

 

床はクールなモルタル仕上げですが、廊下のコーナーをRにすることで、ほかの空間ともなじむ、やわらかな印象に。また、本来、窓のない玄関の天井にうっすら光が差しているのは、隣接する部屋からの明かり取りのおかげ。

 

 

わずかな明かりですが、たったこれだけでも心地よさは違うもの。暗く閉ざされていた玄関が、明るい空間になりました。

 

 

本は隠さず、暮らしの風景に

 

この玄関に隣接する部屋は、ご主人のDEN+一家のWICになっています。

 

 

 

DEN部分は、窓際に造作デスクを設け、その周囲には蔵書がずらり。床から天井までを最大限に有効活用できる「マルゲリータ」の本棚を、部屋の中央と窓際に配し、空間を隈なく使用しています。

「設計時の段階でこの本棚を使用することは決定していたので、地震対策として、転倒防止の金具を取り付けられる出っ張りを天井につくっていただきました」

 

本棚を囲むように取り付けられたダクトレールのおかげで、ライティングもばっちり。スポットライトが本棚を照らし、まるで、図書館のような雰囲気です。

 

「本に囲まれた“おこもり感”がとても気に入っていて。LDKから離れた位置にあるため、静かで、落ち着いて仕事ができるのもうれしいです」

 

また、ご夫婦ともに愛読家のOさん宅では、これと同じ本棚が、寝室兼奥さまのワークスペースにも。

 

 

こちらの部屋では本棚を廊下側に設置して、間仕切りとしての役割も担っています。

廊下を通るたびにお気に入りの本や雑貨が目に入るだなんて、最高ですよね。

 

 

寝室コーナーは小上がりになっていて、床下は本や生活雑貨などの収納に活用。

小上がりは、もう少し低くして、すっと上りやすい高さにしたほうがいいのではないかとも考えたそうですが、収納量を確保するために、この高さに。結果的に、座るのにちょうど良い高さになり重宝しています。

 

床はウールのようにざっくりとした素材感の「東リ」のタイルカーペット、壁は落ち着いた色みのアクセントクロスを使用し、安らげる空間に仕上がっています。

 

……ところが、この壁紙、近づいて見てみると、かなり斬新な柄!

 

 

クラシカルな中国の水墨画と現代的なヨーロッパのイラストがミックスされたテイストで、小グマが世界を旅する様子が描かれています。

 

「実は、ここのスペースはアイスランドの自然をイメージした“Moss(苔)ゾーン”になるはずだったのですが、この壁紙にひと目ぼれしてしまって、急遽、路線を変更することに。一生懸命考えたプランが台無しになってしまいました(笑)。でも、とても満足しています」

 

小上がりの向かいは、奥さまのワークスペース。

 

 

壁に大きな室内窓を取り付け、通気と明るさを確保。

「LDにいる子どもの様子を席につきながら確認できるのもうれしいところです」

 

その一方で、オープンな間取りでは、すべてが見えてしまうのが気になったりもしますが、空間を仕切りたいときは、ワークスペースと寝室の間についているカーテンを閉めれば、半プライベート空間に。どちらか一方が先に寝るときも、カーテンを閉めればLDのライトをシャットアウトすることができ、各々遠慮することなく、思い思いの時間を過ごせているそうです。

 

 

暮らしを彩る、思い出の品

 

 

ワークスペースの側面の棚は可動式の造作棚。こちらも間仕切りの役割を兼ねています。

 

棚に並んでいるオブジェや小物は、旅行好きな奥さまが旅先で買い求めたものが主だそうで、この棚の上から3段目は「世界の神様コーナー」になっています。インド、ブラジル、ポルトガル、フィリピン……と、なんともワールドワイド! 最強です。

 

そして、ハッと目を奪われる、こちらのガラスの飾り棚は、寝室兼ワークスペースの向かい側の壁に取り付けられたもの。

 

 

 

「廊下からLDを見たときに、壁に何かアクセントがあったほうが空間が生きる感じがする」というご主人のご意向のもと、思い出深い品々が並ぶコーナーが誕生しました。

 

 

こちらリビングの壁にかかる2点の絵画も、おふたりの宝物。奥さまの大学時代のご友人が描いてくれたものだそう。

 

「この作品は“朝”と“夜”をテーマにして描いてくれて。子どもが生まれたら“昼”をお願いしようと話していたんですが、プロジェクターの映像を映し出すところがここしかなく、結局、2点で完結ということになりました(笑)」

 

この白壁をやわらかく引き立てている床材は、「エフトレーディング」のホワイトオークラスティック。

 

「床材は、そんなにこだわらないつもりだったんですけど、メーカーさんにいろいろ見せていただいて、メリット・デメリットを聞くうちに、やっぱり天然がいいねとなって。節入りのほうが、いろいろな木の色に合うということを知れたのも、選ぶポイントになりました」

 

ちなみに、室内窓がはめ込まれた壁の素材はラワン合板ですが、床との相性はバッチリ。

床と壁にあえて違う木材をとり入れたことで、ラフな雰囲気が漂う居心地のいいリビングになりました。

 

また、窓の横にはOさま宅唯一の扉付きの造作収納が。すっきりさせておきたいところなので、取手ではなく、手掛けで開け閉めできるようになっています。

 

 

 

スタイルを決め込まない、のびしろのあるインテリア

 

 

ソファの背面はダイニング。「KANADEMONO」で新調したテーブルは、天板はグレー、脚はスチールで、キッチンの雰囲気とリンクしています。

 

家具も雑貨も、何かひとつのスタイルにこだわるのではなく、純粋に「気に入ったもの」を基準にセレクトしたひとつひとつが、家という大きな箱の中でゆるやかに混じり合うOさんのお宅。空間全体を包むおおらかな空気感は、おふたりの柔軟で自由な姿勢がつくり出しているものなのでしょう。

 

 

「リノベでは、もっぱら私たち夫婦ふたりの希望を叶えていただきました。ただ、それだけでは、今、感じている“暮らしやすさ”は、得られなかったかもしれません。暮らしづくりのプロであるプランナーさんが、使い勝手の良さを考え、設計してくれたからこそのこの暮らし。例えば、ダイニングテーブルの置き方に合わせて照明の位置を変えられるように、L字のダクトレールを付けてくださったり、使い勝手のいいゴミ箱の提案してくださったり。この家には、そんな“思いやり”が随所に詰め込まれています」

 

そして現在、Oさんご夫妻は家のプチ改装を検討中なのだそう。

「リノベをしたときは子どもや猫と暮らすことを想定していなかったので、少し手を加えたいなというところが、ぽつぽつと出てきて。リビングの窓を挟むように取り付けてもらった造作棚の脇にも新たに棚をつくって、収納を増やそうかな、とか」

 

絵本やぬいぐるみなど、少しずつ増えてきているお子さんのモノ。Oさん宅を彩る景色は、時を重ねるごとに、ますます楽しく、にぎやかになっていきそうです。

 

 

お忙しい中、取材・撮影にご協力いただき、ありがとうございました。

取材・文/多田千里

撮影/清永 洋