公開日:2024-07-28 更新日:2024-12-13
蓄電池は「やめたほうがいい」と言われる理由|メリット・デメリットと価格について解説
戸建住宅へ採用される最新設備として注目されている家庭用蓄電池ですが、ブログやSNSの口コミを見ると「やめたほうがいい」という意見を見かけます。
「それって本当?」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、「蓄電池をやめたほうがいい」と言われる理由と導入したほうが良いケースについて、メリット・デメリットと併せて解説します。
そのほか、多くの方が気になる費用目安や選び方のポイント、耐用年数についてもお話ししますので、ご自宅のリノベーションや中古住宅の購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
・住宅性能やライフスタイルによって、蓄電池を「やめたほうがいい」かどうかが異なります。
・蓄電池のメリットを活かすためには、住宅の省エネ・断熱性能を見直すことが重要です。
・中古物件の購入から始める方は、省エネリフォームに適した物件探しから資金計画、リノベーションの設計施工までフルサポートできるSHUKEN Reの「ワンストップリノベーション」がおすすめです。
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目次
家庭用蓄電池は「やめたほうがいい」と言われる理由|デメリット・注意点
家庭用蓄電池を「やめたほうがいい」と思う方には、いくつかの共通点があります。
では、導入前に知っておいていただきたいデメリット・注意点と併せて、詳しく解説します。
電気代が安くならないケースがある
蓄電池を導入すると「電気代が安くなる」という広告を目にしたことのある方も多いでしょう。
その理由は、値段の安い夜間電力を蓄電池に溜めておき、それを電気代の高い昼間に使えるからです。
ここで気をつけなくてはいけないのが、全ての電力会社において夜間電力が安くなるとは限らない点です。
プランを確認せずに単に蓄電池を導入しただけでは電気代が変わりませんので注意しましょう。
初期費用が高額で回収するまで期間がかかる
家庭用蓄電池の導入にあたり、90〜200万円程度の初期費用がかかります。
コストをかけても、確実に月々の電気代を削減できれば良いのですが、元々消費電力量の少ない世帯や、日中あまり家にいない世帯は、電気代を大きく削減できず、初期費用を回収するまで年月がかかってしまいます。
一般的な3〜4人世帯でも初期費用を回収するまでには10〜15年かかるとされています。
そのため、導入にあたってコスト面でのメリットを重視する場合は、月々の電気代・年間の電気代推移の両方を見て、慎重に検討しましょう。
寿命(耐用年数)が近づくと蓄電量が減る
家庭用蓄電池は蓄電容量やメーカーによって寿命が多少異なるものの、平均的には6,000~12,000サイクル(=15〜20年)程度とされています。
ただし、設置から20年間変わらず蓄電性能をキープできる訳ではありません。
寿命が近づくと1サイクルで蓄電できる容量が20〜30%減衰してしまうのです。
そのため、使えば使うほど電気代削減などの効果は薄れてしまいます。
蓄電池設置でスペースを取られる
家庭用蓄電池や蓄電容量によって大きさが異なるものの、エアコンの室外機と同等サイズのものが大半です。
これは、屋外・屋内どちらに設置する場合でもほとんど変わりません。
また、蓄電池で溜めた電力を家庭で使うためには、直流電力を交流電力へ変換するパワーコンディショナーという機器も必要です。
こちらは屋外・屋内用どちらも、分電盤程度のサイズです。
これらの設置場所を確保しなくてはならず、既存住宅の場合はスペースを確保できずに導入を諦めるケースもゼロではありません。
太陽光発電がないとメリットが少ない
蓄電池単体でも夜間電力が安くなる電気プランと組み合わせれば導入のメリットがありますが、太陽光発電がないとコスト面のメリットはあまり実感できないかもしれません。
逆に太陽光発電と併せて導入すると、日中はもちろん夜間や雨天時も電力を自給自足でき、電力の購入量を大幅に減らせます。
太陽光の発電量が落ちる可能性がある
太陽光発電用と蓄電池用のパワーコンディショナーが一体になっているハイブリッド型蓄電池を採用すると、太陽光パネルとの相性によっては発電量が低下する可能性があります。
そのため、蓄電池と太陽光発電の両方を導入する場合は、同時に建築会社へ相談するのがおすすめです。
住宅の売却時もそれほど有利にならない
まとまった額の導入費用がかかる蓄電池があれば、住宅売却時に有利と思う方もいらっしゃるでしょう。
確かに、メーカー保証期間内であれば中古住宅の市場で他の物件と差別化できます。
しかし、既にメーカー保証(10〜20年)が切れていれば、逆に維持管理に費用や手間がかかると思われ、避けられてしまう可能性があります。
また、売却金額に蓄電池にかかった費用を上乗せできるケースはほとんどありません。
そのため、蓄電池のメリットをご自身が住む間に十分得られるかがポイントになります。
家の断熱性能が低いと電気代削減効果は少ない
蓄電池や太陽光発電によって購入する電力を減らせたとしても、真夏や真冬に空調機器を付けっ放しにすれば、電気代の大幅な削減には繋がりません。
そのため、蓄電池や太陽光発電などの省エネ設備を導入する際は、併せてお住まい全体の断熱性能も見直しましょう。
家の断熱性能が高まれば、外気温の影響を受けにくくなり空調効率も上がるため、蓄電池・太陽光発電のメリットをフル活用できます。
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家庭用蓄電池を「導入したほうがいい」場合も|メリット
家庭用蓄電池を導入することでお住まいへの悩みを解消でき、さらに住みやすいマイホームになるケースもあります。
実際に、2011年と2021年の家庭用蓄電池(定置用)導入実績は、大幅に急増しています。
このことからも分かる通り、全てのお宅において「蓄電池はやめたほうがいい」訳ではありません。
では、蓄電池の導入をおすすめするケースを紹介します。
毎月の電気代に悩んでいる
原油価格高騰などを理由に、電力会社各社は電気料金の値上げを続けています。
そのため、光熱費が家計を大きく逼迫させているご家庭も少なくないでしょう。
今後の電気料金値上がりが心配な方は、「太陽光発電+蓄電池」の導入が解決策になるかもしれません。
ただし、ただ電気を作り出すだけではなく、消費電力を抑える工夫も必要です。
窓・外壁などの断熱リフォームや、エコキュートやエネファームなどの省エネ型高性能給湯設備の導入も併せて検討すると良いでしょう。
災害時・停電時にも一日中電気を使いたい
今や私たちの生活は電気なしでは成り立ちません。
特にご自宅でリモートワークしている方や在宅時間が長い方は、数時間の停電でも大きなストレスになるでしょう。
停電時の対策として太陽光発電が知られていますが、日中しか発電できず、雨天時や夜間は電気が使えない点が懸念されます。
そのため、さらに万全を期すためには、家庭用蓄電池の導入が欠かせません。
ZEH化リフォームを検討している
ZEHとは、ネット・ゼロエネルギー・ハウスの略で、太陽光発電による“創エネルギー”と、省エネ設備・家の高断熱性による“省エネルギー”の両方を兼ね備え、その家の消費電力を収支ゼロにすることを目的とした住まいです。
最近は新築住宅の事例に限らず、既存住宅をリフォームによってZEH化する動きも進んでいます。
ZEHの要件に蓄電池は入っていませんが、導入すれば“創エネルギー”効果を高められます。
賃貸物件は「住民満足度アップ・共用部の電気代節約」につながる
賃貸物件に蓄電池を備え、太陽光発電電力や深夜電力を利用できるようにすると、競合となる他の物件と差別化でき、さらに住んでいる方の満足度アップにつながります。
また、集合住宅の場合は、深夜電力を共用部の照明やその他設備に使えるため、維持費を軽減できる点も大きなメリットです。
自宅兼店舗・事務所の蓄電池は経費で減価償却できる
賃貸物件の場合も同様ですが、自宅兼店舗・事務所へ蓄電池を導入すると、初期費用を税法で定められている法定耐用年数6年間は、毎年経費として減価償却できます。
ただし、自宅と事業用建物を兼用している場合は、自宅部分と事業用部分が明確に切り分けられていることが条件になる可能性がありますので、事前に税務署などへ詳細をご確認ください。
家庭用蓄電池を導入するか迷っている方は、蓄電池そのもののメリット・デメリットに加え、住宅全体の断熱性や省エネ性も踏まえて検討しましょう。
蓄電池設置にかかわる工事だけではなく、総合的なリノベーションの施工実績が豊富な建築会社がおすすめです。
また、これから中古住宅を購入する方は、購入費用とリノベーション費用のトータルコストを把握できる会社へ相談しましょう。
家庭用蓄電池の種類と費用目安・補助金
家庭用蓄電池は種類によって導入費用が変わります。
家庭用蓄電池のほとんどは、リチウムイオンバッテリーを搭載したものですが、その中でも機能によって以下のように分類されます。
【特定負荷型】
蓄電池からの供給電力をあらかじめ決めたエリアにだけ送るタイプで、機種によっては200Vの家電製品は使えません。
ただし、その分停電時の消費電力を最小限に抑えられ、導入コストもリーズナブルです。
【全負荷型】
蓄電池からの供給電力を家中に供給できるタイプで、200Vにも対応している機種が多いため、停電時にも普段と同じ生活を送れます。
ただし、その分停電時にも消費電力を抑えられず、太陽光発電を備えていても、それでは賄い切れない可能性がある点には注意しましょう。
また、特定負荷型よりも価格は高めです。
この2種類が、さらに「単機能型」「ハイブリッド型」「トライブリッド型」に分かれます。
【単機能型】
蓄電池と蓄電池用のパワーコンディショナーで構成されており、太陽光発電を使う場合は別途太陽光発電用のパワーコンディショナーも必要です。
太陽光発電に不具合があっても蓄電池単体で使用できる点がメリットですが、機器の組み合わせによっては電力の変換ロスが多くなる可能性があるので注意しましょう。
【ハイブリッド型】
蓄電池用と太陽光発電用のパワーコンディショナーが一体になっているタイプで、電力の変換ロスを抑えられ、機器の設置スペースも小さくできます。
太陽光発電・蓄電池両方を同時に設置する場合におすすめです。
ただし、どちらかに不具合が出れば、両方が機能しなくなる点には注意しましょう。
【トライブリッド型】
蓄電池用と太陽光発電用、さらに電気自動車用のパワーコンディショナーまでが一体になっているタイプです。
太陽光発電力を家庭で使いながら電気自動車の充電にも回せて、電力変換ロスが少ない点が魅力ですが、最新機種であるため価格は最も高くなります。
費用目安
経済産業省が公表している資料によると、家庭用蓄電池の平均価格(材料費+工事費)は、2019年から2022年のたった3年で18.7万円/kWhから「13.9万円/kWh」へ低下しています。
一般家庭へ導入される蓄電池の蓄電容量は「5〜7kWh」、多くても10kWh程度なので、導入費用は平均で「70〜140万円」程度かかる計算になります。
実際は平均価格の「70〜140万円」に加えて、付帯工事費や諸経費、消費税が入り、「90〜200万円」程度かかるケースが一般的です。
では、実際の費用目安を紹介します。
【蓄電容量別】
(蓄電容量) | (本体価格+工事費用の相場) |
5kWh未満 | 50〜100万円 |
6〜9kWh | 100〜160万円 |
10kWh以上 | 160〜200万円 |
※全てハイブリッド型の場合
【負荷タイプ別】
(負荷タイプ) | (本体価格+工事費用の相場) |
特定負荷型 | 100〜160万円 |
全負荷型 | 140〜180万円 |
※両方ともハイブリッド・蓄電容量6〜9kWhの場合
保証年数が長く蓄電可能サイクル数が多い蓄電池を導入する場合は、平均価格から大きく上回り300万円を超えるケースも十分考えられます。
そのため、まずは導入したい理由とご予算を明確にして、建築会社と相談しながら最適な蓄電池を選びましょう。
補助金制度
政府はカーボンニュートラル実現に向けて、クリーンエネルギーの活用を重要視しており、さらに電力需給が逼迫していることから、太陽光発電や家庭用蓄電池の普及を促進しています。
そのため、2024年度も多額の予算を充てて補助事業を実施しています。
既存住宅で利用できる主な事業は以下の通りです。
「家庭・業務産業用蓄電システム導入支援事業(DR補助金)」
「令和6年度東京ゼロエミ住宅導入促進事業(最大240万円が支給される)」
※上記以外に、各自治体で独自の補助金・助成金制度を実施しているところもあります。
(例)
ただし、上記事業の中には蓄電池の導入だけでは補助の対象にならず、断熱工事などが要件に含まれているものもあるため、事前に詳細を確認してください。
【FAQ】家庭用蓄電池に関するよくある質問
家庭用蓄電池導入を検討している方からよくいただく質問を紹介します。
Q.「家庭用蓄電池の選び方は?」
A.「太陽光発電・電気自動車の有無だけではなく、蓄電容量と本体サイズ、ご予算を総合的に見て選びましょう。」
蓄電容量は、停電時にどのくらいの家電製品を何時間使えるかの指標になります。
仮に、冷蔵庫・Wi-Fiルーター・照明・テレビ・エアコン(1台)・IHクッキングヒーターを使う場合、全体でおよそ150W程度の電力を消費します。
これを停電時に24時間使い続けるには、3,600W(=3.6kW)必要で、5kWhの蓄電池でしたら約33時間の電力をまかなえます。
ただし、蓄電容量が大きくなるほど本体サイズは大きくなり価格も高くなるため、設置スペースとご予算に合わせて適切な製品を選びましょう。
Q.「蓄電池を設置すると固定資産税は高くなる?」
A.「事業用でない限り、基本的には固定資産税額に影響しません。」
固定資産税は、その住宅の再建築費用を基に算定されます。
そのため、付属する設備機器は固定資産税評価額に影響せず、自家利用が目的の蓄電池も同様です。
ただし、売電によって一定以上の収益を得ていると事業用とみなされて蓄電池も固定資産とされる可能性があるため、気になる方は、管轄の税務署へお問い合わせください。
Q.「蓄電池とV2Hの違いは?」
A.「V2Hは蓄電機能を搭載しておらず、電気を溜めるためには電気自動車が必須です。」
V2H(Vehicle to Home)の略で、電気自動車のバッテリーに溜めた電力を変換して家に戻す設備です。
V2Hに対応している電気自動車があれば、そこに搭載されたバッテリーに太陽光発電で得た電力や夜間電力を溜めておき、それを自動車に乗らない時間帯に家で使えるようになります。
電気自動車のバッテリーは20〜100kWhと大容量なので、停電時には長時間家の電力を賄える点がメリットです。
ただし、現時点ではV2Hに対応している車種は限定され、家に自動車がある状態でしか蓄電力を使えない点には注意しましょう。
まとめ:蓄電池導入は「省エネ・断熱リフォーム」と一緒がおすすめ
「家庭用蓄電池はやめたほうがいい」これが当てはまる住宅とそうでない住宅があります。
家の住宅性能やライフスタイルによって、導入すべきかそうでないかが異なるので、蓄電池をつけるかどうか迷っている方は、建築会社へ相談しましょう。
また、蓄電池を導入する際は、家の省エネ・断熱性能を見直すことが重要です。
太陽光発電を併せて設置したり、窓や外壁などの断熱性を高めたりすることで、蓄電池のメリットを最大限に活かせます。
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