公開日:2024-01-07  更新日:2024-12-19

建て替え予定の中古マンションは狙い目?買わない方がいい?物件選びの注意点を解説

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“建て替え”予定の中古マンションが狙い目って本当?

 

都心部を中心にマンションの老朽化が進む中、「建て替え予定の中古マンションが狙い目」というキャッチフレーズを見かけることがあります。

 

しかし、少し調べると「買わない方がいい」「リスクがある」という言葉も並び、果たしてどちらが本当なのか判断できない方も多いでしょう。

 

そこで、今回は建て替え予定の中古マンション購入について、メリット・デメリットや注意点を紹介します。

 

これから中古マンションの購入を検討し始める方は、ぜひ参考にしてください。

 

このコラムのポイント

・建て替え予定のある中古マンションは年々増加しています。

・建て替え予定のある中古マンションを購入する際には、メリットとデメリットの両方を十分理解しておくことが重要です。

・中古マンションの購入に迷ったら、物件探しからリノベーションまでワンストップで相談できる「SHUKEN Re」へご相談ください。

 


 

老朽化マンションの建て替え事例が増加中|建て替えとなる条件

 

老朽化マンションの建て替え事例

 

国土交通省が2019年に行った調査によると、国内に現存する分譲マンション(約666万戸)のうち、耐震性能が十分ではない「旧耐震基準」の物件は「約104万戸」、およそ15.6%にも上るという結果が出ました。(参考:国土交通省|分譲マンションストック戸数

 

1971年 1968年の十勝沖地震発生を受けて、初めて耐震基準の内容が追加される。
旧耐震基準
1981年 1978年の宮城沖大地震発生を受けて、耐震に関する基準が大きく改正される。
→「新耐震基準

 

下矢印(small)

 

「旧耐震基準」 中規模地震(震度5程度)でも倒壊しない耐震性能をもつ

(震度6〜7程度の大規模地震への耐震規定なし)

「新耐震基準」 中規模地震(震度5程度)で軽度なひび割れ程度の損傷に止まり、大規模地震(震度6〜7程度)で倒壊しない耐震性能をもつ

 

旧耐震基準に該当するマンションは、今後建て替えもしくは解体されていくことが想定できますが、注目すべきなのが新耐震基準のマンションもどんどん老朽化が進むという点です。

 

国土交通省のシミュレーションによると、2012年時点で築40年を超えるマンションが32万戸で、2022年には「129万戸」、2032年には「264万戸」にまで増える見込みであり、より老朽化マンションの増加が深刻になることが予想されています。

 

マンションの老朽化シミュレーション

(引用:国土交通省|老朽化マンションの建替え等の現状について

 

ポイント

現在の建築技術では、RC造マンションの平均寿命は「68年」であり、新耐震基準であっても古いマンションは建て替え計画が持ち上がる可能性があります。(参考:国土交通省|期待耐用年数の導出及び内外装設備の更新による価値向上について

 

建て替えが検討される主な条件は、以下の通りです。

 

□ 三大都市圏(東京・名古屋・大阪)の中心市街地に建っている
□ 延べ床面積が300㎡以上【住戸の最低面積50㎡以上(単身者世帯は25㎡以上)かつ5世帯以上を確保できる面積】
□ 敷地内に空地がある
□ マンションの法定耐用年数である築47年の1/2を超えている
□ 区分所有者が10名以上いる

 

これら条件の根拠は、2002年に制定された「マンションの建替え等の円滑化に関する法律(通称:マンション建替法)」に基づく優良建築物等整備事業の補助対象となるかどうかです。

 

マンション建替法が制定されて2年後の2004年から2023年まで、「282件」、およそ23,000戸ものマンションが建て替えられています。

 

マンション建替件数

(引用:国土交通省|マンション建替え等の実施状況

 

ただし、条件に当てはまるマンションの全てが今後建て替えられるとは限りません。

 

建て替えではなく、マンション全体の耐震改修という選択肢を取る物件もあるため、建築時期等だけで建て替え計画の有無は判断できず、管理組合などへの確認が必要です。(参考:国土交通省|マンション耐震化マニュアル

 

ポイント

中古マンションの物件探しをする際は、建て替え計画の有無を含め、管理組合の状況や大規模修繕計画のスケジュールなどもチェックしなくてはいけません。

そのため、建築的知識が豊富な不動産会社へ相談するのがおすすめです。

 

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“狙い目”って本当?建て替え予定の中古マンションを購入するメリット・デメリット

 

 

建て替え計画が持ち上がっている中古マンションには、そのほかの物件と異なるメリット・デメリットがあります。

 

人生に何度もない“大きな買い物”ですから、それぞれを十分知ってから後悔のないマイホーム計画を実現させましょう。

 

 

メリット

 

建て替えの最も大きなメリットは、資産価値が大幅に向上する点です。

 

部分的な修繕や定期的に行われる大規模改修工事では対応しきれない老朽化した部分を根本的にリセットできるため、建て替え後は新築マンション同様の資産価値となります。

 

また、建て替え計画が持ち上がるようなマンションは、物件価格がリーズナブルなケースが大半です。

 

建て替え後は耐用年数もゼロからスタートするため、長期間にわたり住み続けられる点も重要なメリットと言えるでしょう。

 

大規模改修も根本的な問題点の改善が可能ですが、できる工事は限られます。

 

付加できる機能・性能 大規模改修 建て替え
耐震性向上
断熱性向上
エレベーター設置
遮音性能向上 ×
電気容量増加
天井高を上げる ×
オール電化 ×
バリアフリー化
防災性・防犯性向上

 

また、建て替えによってマンションの周りに公園や緑道などのゆとりが生まれるケースが多いため、開放的なマンションに生まれ変わる可能性も高いでしょう。

 

なぜなら、マンション建替法(第105条)では、耐震性が不足していると認定されたマンションを建て替える場合、一定の敷地面積があり、周辺環境の向上につながることを条件に、容積率の基準が緩和されるためです。

 

具体的には、建て替え前よりも「一般に開放される公開空地の整備」や、「地域の防災性向上」、「景観環境の向上」が実現することが条件です。

 

建て替えに伴う容積率緩和のイメージ

(引用:東京都住宅政策本部|東京都マンション建替法容積率許可要綱の制定について

 

しかし、容積率が緩和されて総床面積が広くなったからと言って、区分所有者の所有面積が広くなる訳ではありません。

 

各戸の費用負担を減らすために、世帯数を増やすケースが多いからです。

 

 

デメリット

 

新築マンション同様の部屋が手に入る一方で、必ず知っておかなくてはいけないデメリットもあります。

 

□ 物件購入資金に加えて多額の追加負担金が必要
□ 計画が長期化する可能性がある
□ 建て替え中の仮住まいを用意しなくてはいけない
□ 間取りに個人の要望は反映されない

 

 

「追加負担金の支払い」

 

まず、建て替えに際して、中古マンションの購入金額に加えて、多額の追加負担金を支払わなくてはいけません。

 

なぜなら、国土交通省の公表している「マンション標準管理規約」によると、マンション建て替えの費用を修繕積立金でまかなえないからです。

 

そのため、建て替え費用は各区分所有者が負担しなくてはいけません。

 

平均負担額は年々上昇しており、2012〜2016年では「1,105万円」でした。

 

建て替えに伴う平均負担額

(引用:国土交通省|マンション政策の現状と課題

 

負担金は物件購入時のローンへ追加することもできますが、当初の融資額が上限いっぱいであれば増額できない可能性もあります。

 

 

「計画が長期化する可能性がある」

 

建て替えに先立ち、以下の手順を踏まなくてはいけません。

 

  • ①管理組合で建て替えをするための勉強会や検討会、決議を行う(1年から10年以上かかる可能性も)
  • ②コンサルタント会社やビルダー(施工会社)選定や、具体的な建築計画の検討を重ね、決議を行う(最低でも半年)
  • ③資金調達(資金回収)や着工準備(最低でも半年)
  • ④着工から竣工(1〜2年)

 

特に、「建て替えをするかしないか」「どのようなマンションに建て替えるのか」の検討段階における決議では、管理組合員の「4/5以上」の賛成を得なくてはいけないため、全てが決まるまでかなりの期間を要する可能性があります。(参考:建物の区分所有等に関する法律(第62条)

 

現在、老朽化しているマンションを建て替えるハードルを下げるため、賛成割合4/5以上を「2/3」もしくは「3/4」以上に変更することが検討されていますが、どちらにしても住民の意見がまとまらない限り、建て替えできません。

 

そのため、建て替え予定の中古マンションを購入する際は、計画がどの段階まで進んでいるのか確認する必要があります。

 

 

「建築中の仮住まいが必要」

 

マンションを建て替えている期間、最低でも1〜2年間分の仮住まいを用意しなくてはいけません。

 

つまり、中古マンションの購入資金と建て替え負担金に加え、工期中の家賃まで発生するということです。

 

そのため、それも念頭に入れた資金計画が必要です。

 

家財品などの荷物が多い場合は、荷物保管用コンテナの賃料、自家用車がある場合は月極駐車場の費用が必要な可能性があります。

 

さらに、工事期間中でも、土地分の固定資産税や都市計画税の支払い義務は発生します。

 

 

「間取りに個人の要望は反映されない」

 

建て替えに際して、性能が向上するだけではなく、新築マンションのように間取りも一新します。

 

ただし、各区分所有者の要望がそこに反映されることはありません。

 

通常の分譲マンションと同様に、プランパターンや内装のカラーを一部選べる可能性はあるものの、各戸それぞれ異なるプランにすることは基本的にできないのです。

 

そのため、「中古マンションをリノベーションして思い通りの部屋にしたい」と考えていた方ですと、あまりメリットを感じられないでしょう。

 

ポイント

マンションの建て替え件数は増えているものの、資金面のハードルが高く、住民の理解をなかなか得られず、計画が進まないケースが多いのも事実です。

そのため、老朽化したマンションの割合が大幅に減少するほどの建て替えは行われず、年々その数は増え続けています。

 

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建て替えマンションが“狙い目”とは限らない|迷った時のチェックポイント

 

中古マンション物件選びのポイント

 

建て替え予定のある中古マンションを購入する場合、メリットとデメリットがあり、果たして選ぶべきかどうか迷う方もいるでしょう。

 

そこで、迷った際のチェックポイントを紹介します。

 

チェックポイント YES NO
「築浅もしくは築30年以内の中古マンションを購入したい」
「比較的若い住民が多いマンションを購入したい」
※建て替え予定マンションは高齢者住民が多い傾向
「購入後すぐに腰を据えて落ち着いた生活を送りたい」
「管理組合の総会へ頻繁に参加できない」
「不確定な支出は避けたい」
「間取りやインテリアデザインにこだわりたい」
「中古マンション購入後30年以上住み続けるつもりがない」

 

リストで“YES”が多ければ多いほど、建て替え予定ではない中古マンション購入がおすすめです。

 

逆に、“NO”が多い方は、建て替え予定の中古マンションは“狙い目”と言えるでしょう。

 

ポイント

建て替え予定の中古マンションは、主に購入者が住まない投資用物件として取引されるケースがほとんどです。

既にそのマンションに住んでいる場合は、建て替え計画が持ち上がった途端、売却を検討する方は少なくありません。

 

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まとめ:建て替え予定の中古マンション購入は十分な検討が必要

 

建て替え予定の中古マンションは投資という側面から見るとメリットがあります。

 

また、新築マンションの購入を検討している方にとっては、一つの選択肢として見るのも良いでしょう。

 

ただし、主に費用面において負担が大きく、いくら物件価格が安くても、住み始めるまでには大きなコストがかかります。

 

また、スムーズに計画が進むかどうかも、購入後になってみないと分からない可能性もあるでしょう。

 

そのため、建て替え予定の中古マンションを購入する場合は、より一層十分な検討が必要です。

 

“SHUKEN Re”では、今まで培った知識と経験を踏まえて、理想のリノベーション向きの中古物件探しと最適なプランをご提案させていただいています。

 

オンラインでの無料相談も承っておりますので、「後悔のない物件探しをしたい」「住まいのトラブルを避けたい」という方は、どうぞお気軽にご相談ください。

 

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