公開日:2026-03-25
民泊は儲からない?具体的な理由とリスク、失敗を防ぐ対策を解説

民泊の開業について調べていると、「飽和状態で儲からない」「規制が厳しくて利益が出ない」といった意見を見かけることは少なくありません。
2018年の住宅宿泊事業法(民泊新法)施行以来、民泊市場への参入が相次ぎ、ただ部屋を貸し出すだけの安易な開業では、収益化が難しくなっているのは事実です。
しかしその一方で、インバウンド需要の回復を追い風に、高い稼働率と客単価を維持し続けている民泊施設も存在します。
そこで本記事では、民泊経営におけるリスクや儲からないと言われる理由、具体的な対策について詳しく解説します。
これから民泊を始めたい方はもちろん、所有物件の空室対策として民泊を検討しているオーナー様も、失敗しないための開業指針としてぜひ参考にしてください。
- ・民泊業界のデータから、「儲からない」と言われる理由と市況を詳しく解説します。
- ・自治体独自の「上乗せ条例」や「180日制限」といったリスクを回避するための具体的な対策を解説します。
- ・競合と差別化し、客単価(ADR)を高めるためのリノベーション戦略と成功事例をチェックしましょう。
目次
■民泊が儲からないのは本当か、データから市況をチェック

2018年の住宅宿泊事業法(民泊新法)施行以来、多くの事業者や個人投資家が参入し、宿泊先の1つとしてメジャーな選択肢になりつつあります。
特に東京や大阪などの大都市では、インバウンド需要の増加に伴いホテルや旅館が不足したことで、民泊施設が選ばれるケースも増えてきました。
しかし、競合施設の増加や自治体による規制強化などの影響もあり、民泊は儲からないという意見も散見されます。
実際に民泊業界がどのような状況なのか、国土交通省がまとめたデータを参考に分析してみましょう。

民泊施設の「宿泊者数」と「延べ宿泊者数」は繁忙期と閑散期で変動はあるものの、全体としては増加傾向にあります。
ここ数年は伸びが大きくなっており、民泊業界全体の利用率や注目度は高いことがうかがえます。

国土交通省の最新データ(2026年1月時点)によると、届出件数は累計約5.9万件に達する一方、事業廃止件数も約2.1万件を超えています。
現在の有効届出数は約3.8万件で推移しており、インバウンドの「量」から「滞在の質」への変化に伴い、淘汰と再編が進む「二極化」の局面を迎えています。
ここまでの情報をまとめると、民泊自体の需要や施設数は伸びているが、競合物件が増えているため儲からない施設が出てきている状況です。
民泊事業に限らず、どの業界にもメリット・デメリットがあり、開業したら必ず儲かるわけではありません。
実際に民泊事業を手掛けて失敗したケースもあれば、しっかり利益を上げている施設もあります。
民泊開業を成功させて利益を上げるためには、儲からないと言われる理由や経営面のリスクを把握し、事前に対策することが大切です。
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■民泊は儲からないと言われる理由とリスク

民泊が儲からないと言われる理由は複数あり、経営が軌道に乗らず失敗してしまうリスクはゼロではありません。
具体的な対策は次の章で解説しますので、まずは民泊経営におけるリスクについてチェックしておきましょう。
営業日数が180日に制限される
住宅宿泊事業法(民泊新法)では、年間の営業日数の上限が180日に制限されるため、安定した利益を出すのは難しいと言われることが多いです。
年間180日までで残りの185日は営業できないため、宿泊需要が高い地域でも収益が限られてしまいます。
大きな利益を出すのが難しいため、初期投資の回収に時間がかかる傾向があるのも、民泊は儲からないと言われる理由です。
自治体独自の「上乗せ条例」による規制強化
近年、民泊施設と近隣住民のトラブルが多発していることを受け、自治体の条例で規制が強化される動きがみられるのも、注意すべきリスクです。
深夜の騒音やゴミの散乱などが原因で民泊施設と近隣住民の間にトラブルが発生するケースが目立ち、条例によって営業日数の制限や運営体制の規制強化を実施・検討する自治体が増えています。
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自治体 |
主な規制内容 |
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・営業可能期間を春休み(3/15~4/10)、夏休み(7/1~8/31)、冬休み(12/15~1/14)のみに制限 ※2026年7月より年84日への大幅制限を施行予定 ・住居専用地域・文教地区(区の約50%)では新規開設を原則禁止。既存施設も経過措置を経て制限対象に。 |
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・第一種低層住居専用地域と第二種低層住居専用地域では、月曜日の正午から金曜日の正午(祝日等を除く)まで営業不可 |
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・住居専用地域での営業を「1月〜3月の約60日間」に限定 ※2026年度中の条例改正により、さらなる立地制限や、管理者が800m以内に駐在する「10分駆けつけルール」の厳格化を検討 |
上記のように、条例によって住宅宿泊事業法より厳しい規制がかけられている地域では、民泊運営で安定した収益を上げる難易度は高いです。
例えば、東京都豊島区の場合、区内全域で営業期間が制限されており、新規開業できるエリアも限られます。
特に東京23区内は営業日数や期間を厳しく制限しているケースが多く、通常の民泊より儲からない可能性が高くなります。
また、これまで規制がなかったエリアでも新たに上乗せ条例を検討する動きがみられ、将来的に新たなルールが追加されて経営が苦しくなるリスクはゼロではありません。
競合増加による価格競争の激化
先ほどのデータでも分かる通り、民泊の届出件数は増加し続けており、全国の観光地や都市部で競合物件による価格競争が激化しています。
特に一般的な住宅やアパートの一部を貸し出しているだけの簡易な民泊は、ユーザーから立地と価格だけで比較されるため宿泊単価(ADR)が下落する可能性が高いです。
民泊は予約サイト(OTA)の手数料や清掃・運営にかかるランニングコストが高いため、宿泊単価が下落すると利益を出しにくいビジネスモデルです。
特に、観光・宿泊需要が多い都市部では競合物件が林立し、差別化できない民泊施設は撤退に追い込まれるケースが増えています。
税負担の増加
民泊を開業することで、固定資産税の「小規模住宅用地の特例(最大1/6に軽減)」が適用外となり、税負担が増加するのも注意すべきポイントです。
住宅として認められていた物件を民泊専用(家主不在型)にすると、小規模住宅用地の特例が適用できなくなり、土地の固定資産税が最大6倍になる可能性があります。
固定資産税は毎年かかるランニングコストの一種であり、特に立地の良い土地では民泊の収支を悪化させる原因になります。
■民泊の失敗を防ぐ考え方と対策

先ほどチェックした儲からない理由やリスクを踏まえて、民泊開業の失敗を防ぐ考え方や対策をご紹介します。
繁忙期や週末に限定して営業する
営業日数が制限される民泊は、閑散期や平日は営業せず、稼働率や宿泊単価が高くなる週末や大型連休、地域のイベント時期に絞って稼働する戦略が求められます。
繁忙期や週末に限定することで売上を確保しやすくなり、固定費を差し引いても利益を残すことができます。
営業できない期間をマンスリーマンションなどで貸し出す場合でも、民泊の営業日数内で経営を成立させ、あくまで上乗せとして考えるのが失敗を防ぐポイントです。
旅館業法(簡易宿所)を検討する
180日制限を回避するために旅館業法(簡易宿所)を検討するのも1つの手法です。
365日営業が可能になりますが、簡易宿所は用途地域(工業地域や住居専用地域の一部など)によって開設できない場所があるほか、建築基準法上の『ホテル・旅館』としての基準や、より厳しい消防設備の設置が求められますので、 物件の用途地域とスペックの事前確認は必須です。
平日の出張や長期滞在などのニーズが期待できるエリアでは、簡易宿所として通年営業するメリットも大きいです。
こちらのコラムで民泊と簡易宿所の違いについて詳しく解説しています。
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リノベーションで競合と差別化を図る
価格競争に巻き込まれて儲からなくなる事態を回避するために、民泊開業時のリノベーションで競合と差別化をすることも大切です。
例えば、インバウンド需要が多い地域なら、日本の文化を体感できる和モダンテイストの民泊リノベーションが差別化に効果的です。
ターゲット層に合わせた魅力的なアイキャッチをつくれば、SNSや予約サイトで目に留まりやすく、広告費を抑えて集客できる武器になります。

例えばこちらは、有名テーマパークを訪れる海外のゲストをターゲットに、7種類の内装デザインで仕上げた民泊リノベーション事例です。
海外の生活様式に配慮したベッドと畳を組み合わせた設計は、競合との差別化になるポイントです。

また、インバウンド層の滞在日数は2026年予測で平均4.1泊(東京)と長期化しています。
和風テイストに加え、リモートワークに対応した「デスク環境」や「高機能キッチン」を備えた中長期滞在(ミッドステイ)対応のリノベーションも、ADR(平均客単価)を最大化する鍵となります。

パイレーツ、インダストリアル、フレンチなどデザインバリエーションをつくることで、リピートも期待できます。
この民泊リノベーション事例は、私たちSHUKEN Reが手がけたものです。
数多くのリノベーションで培ったノウハウを活かし、民泊開業後の運営や収益性まで見据えたプランをご提案いたします。
物件探しからリノベーション計画、施工までワンストップでトータルサポート可能ですので、民泊開業をご検討の方はぜひお気軽にご相談ください。
■民泊経営にまつわるよくある質問

民泊の開業準備や経営計画作成にあたり、オーナー様から寄せられることが多い質問をまとめました。
■まとめ:戦略的なリノベーションが民泊成功のポイント
民泊は儲からないと言われることもありますが、それはあくまで戦略なしに開業した場合のリスクです。
都市部などでは競合物件が増えているのは事実ですが、リノベーションによって価格ではなく価値や体験で選ばれる民泊をつくれば、安定して集客することも不可能ではありません。
インバウンドを背景に民泊需要自体は増えており、しっかり開業計画を立てることができれば、大きなビジネスチャンスも期待できます。
所有物件の民泊化、中古マンションやアパートの民泊投資、どのようなパターンでも開業時のリノベーション計画が成功を左右する重要なポイントになります。

私たちSHUKEN Reは、8,000件超のリノベーション実績で培ったノウハウを活かし、民泊開業をトータルサポートする専門店です。
ぜひお気軽にご相談ください。
Q 古い物件でも民泊開業は可能?
古い建物の趣は、競合との差別化ポイントになります
築年数が古い一戸建てやアパート・マンションでも民泊開業は可能で、柱や梁などのヴィンテージ感のある雰囲気は競合物件にはない唯一無二の強みになる可能性もあります。
ただし、宿泊施設として運営するためには、住宅宿泊事業法(民泊新法)または旅館業法(簡易宿所)の基準をリノベーションで満たさなければなりません。
なるべく民泊リノベーションに詳しい専門店に相談し、適切なアドバイスやサポートを受けるのがスムーズな開業のコツです。
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ただし、2025年4月の建築基準法改正で従来の「4号特例」が縮小されたことで、木造2階建てなどの小規模リノベーションでも構造計算書の提出や確認申請が必要になるケースが増加しています。
また、延床面積200㎡を超える「住宅から民泊(寄宿舎・ホテル等)」への用途変更は確認申請が必須ですが、200㎡以下であっても、現行法への適合(耐震・省エネ基準等)を証明できない物件は、将来的な売却や融資で不利になるリスクがあります。
Q 分譲マンションの一室でも民泊は始められますか?
不可能ではありませんが難しいケースが多いです
分譲マンションでは管理規約によって民泊が禁止されていることが多く、理事会の承認が必要になるケースがほとんどです。
分譲マンションの一室でも、法律上は民泊を開業できる可能性はあるものの、難易度はかなり高いです。
マンションでの民泊開業を検討する場合は、ワンルームではなく一棟経営が理想的です。
詳しくはこちらのコラムもごらんください。
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Q リノベ費用はどれくらいかかる?
物件の種類や状態、規模などの条件で変動します
民泊リノベーションはプランの自由度が高い反面、費用相場は開業する物件やコンセプトによって大きく変動します。
例えば、中古マンションやアパートを原状回復するだけなら、1室あたり数百万円~の費用でリノベーションできる可能性はあります。
しかし、前述したように民泊リノベーションでは、競合との差別化やユーザーにマッチしたデザインなどの工夫が必要です。
コンセプトや規模によって費用が変動するため、なるべく早い段階で正確な見積もりを取るのが計画を成功させるポイントです。
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