公開日:2026-03-11 

中古マンションの断熱等級の調べ方|2025年省エネ基準義務化で変わる資産価値を重視した物件選びのコツも解説

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中古マンションの断熱等級の調べ方

 

マンションは築年数などさまざまな条件によって断熱性能が変わってくるため、特に築年数が古いマンションでは「冬の結露がひどい」「エアコンが効きにくい」などの後悔につながるケースもあります。

 

断熱性能や省エネ性能は、毎日を快適に過ごせるかどうかを決める重要な要素であり、住まいの資産価値にも大きくかかわってきます。

 

このコラムでは、中古マンションの断熱等級の調べ方や、断熱性能を重視した物件選びのポイントについて解説します。

 

中古マンションの購入やリノベーションを検討中の方は参考にしてくださいね。

 

この記事のポイント
  • ・中古マンションの断熱等級は、「建築年」「地域区分」「図面」「窓・外壁」などの情報から大まかなレベルを把握できます。

  • ・中古物件の場合は、正確な断熱等級を確定するよりも、大まかな断熱レベルを把握して、「リノベーションでどこまで改善できるか」を考えるのがおすすめです。

SHUKEN Re 編集部


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■断熱等級とは?中古マンションでもチェックすべき理由

 

中古マンション購入前にチェックしたいポイント

 

断熱等級(断熱等性能等級)とは、住宅の壁、屋根、床、窓などの「外皮」が、どれくらい熱を逃がしにくいかを段階的に示した指標で、等級1(最低)から7(最高)までの7段階あります。

 

数字が大きいほど断熱性能が高く、快適な室温を保ちやすくなるだけでなく、冷暖房効率が上がることによる光熱費削減や結露防止にも効果的です。

 

中古マンションは新築時の等級が明記されていないことも多いですが、建築年や図面、サッシの仕様などを調べることで、その物件の「性能レベル」を判断できます。

 

また、「マンションは上下左右を住戸に囲まれているから断熱性が高い」と思われがちですが、以下の条件に当てはまる場合は注意が必要です。

 

  • ・住戸の位置:外気に触れる面が多い「角部屋」や、屋根からの熱影響をダイレクトに受ける「最上階
  • ・築年数と構造:断熱の概念が薄かった時代の「築古団地
  • ・開口部の仕様:窓サッシが熱を通しやすい「アルミ製サッシ・単板ガラス」のままの物件

 

 

■中古マンションの断熱等級を事前に調べる方法

 

中古マンションの断熱等級を事前に調べる方法

 

購入を検討している中古マンションの断熱性能を調べる方法や、大まかな断熱等級を判断する方法について解説します。

 

ご自身で調べる方法と、不動産会社やリノベーション会社などの専門家に依頼する方法がありますので、検討段階に応じて活用してくださいね。

 

 

建築年と地域(エリア)を確認する

 

まずは「いつ建てられた、どのエリアのマンションか」を確認しましょう。

 

  • ・建築確認日または新築年月(検査済証・登記簿謄本・パンフレットなど)
  • ・所在地(○○区、○○市など)

 

東京・千葉・神奈川(横浜・川崎)などのは、断熱の地域区分では一般に「比較的温暖」とされるエリアに分類されますが、沿岸部・内陸部など一部例外があるため、念のため確認しておきましょう。

 

地域区分と建築年を掛け合わせると、「当時の基準を満たしていればこのくらいのレベル」という目安が立てやすくなります。

 

〈マンションの築年数による断熱状態の目安〉

 

築年数の目安

断熱の状態(傾向)

1980年以前

断熱の概念が十分に普及する前で、無断熱のマンションも少なくない

1980年代〜1990年代

1980年に省エネ基準制定

断熱の規定はあるものの、現在の基準から見ると不十分なケースが多い

GL工法による薄い断熱材のみといった事例も見られる

2000年代以降

1999年に「次世代省エネ基準」により性能が強化され、壁に一定の厚みの断熱材を用いることが一般的に

 

東京・千葉・神奈川の断熱の地域区分は主に「6地域」に分類されます。

 

1999年(平成11年)基準の物件は、当時の「次世代省エネ基準」をクリアしていれば等級4相当となりますが、実務上は「」の仕様に注意が必要です。

 

当時はアルミサッシ+複層ガラスが普及し始めた時期であり、現行の等級4が求める断熱性能を窓単体では満たしていないケースが多く見られます。

 

2013年(平成25年)以降の物件であれば、より確実に現行の等級4以上をクリアしている可能性が高まります。

 

また、昔のマンションに多いGL工法(コンクリートに直接ボードを貼り付ける工法)による断熱は、断熱材の厚みが不十分なだけでなく、「ヒートブリッジ(熱橋)」や「ボード裏の内部結露」が発生しやすいという実務上の欠点があります。

 

内見時に壁を叩いて太鼓のような軽い音がする場合は、GL工法の可能性があり、結露やカビのリスクに注意が必要です。

 

 

住宅性能表示・評価書・認定住宅(長期優良・低炭素・ZEH-M)で確認する

 

客観的な断熱性能のデータが知りたい場合は、不動産会社を通じて公的な書類の有無を確認しましょう。

 

  • ・認定住宅の有無:「認定長期優良住宅」「認定低炭素住宅」「ZEH-M(ゼッチ・マンション)」などの認定を受けていれば、新築時に当時の高い省エネ基準(断熱等性能等級4〜5以上)をクリアしていることが証明されています。
    ※2022年10月以降に認定された物件であれば、現行のZEH水準(等級5)以上が保証されます。
  • ・住宅性能評価書:「断熱等性能等級」の項目に具体的な数字が記載されているため、確実な根拠になります。
  • BELS(ベルス):建築物の省エネルギー性能を表示する制度で、これがあれば等級換算が可能です。

 

ただし、上記のような認定制度が普及したのは比較的近年であるため、中古市場では書類が残っている物件はまだ限られているのが実情です。

 

また、以下のような資料が入手できれば、使われている断熱材の厚みや窓の仕様などを確認できるケースがあります。

 

  • ・分譲時のパンフレット・仕様書
  • ・設計図書(平面詳細図、断面図、矩計図など)
  • ・長期修繕計画書(断熱改修履歴がわかる場合も)

 

例えば、パンフレットに「次世代省エネルギー基準」と記載されていれば、断熱等級4相当はクリアしていると考えられます。

 

 

サッシ(窓)の仕様を目で確認する

 

内見時や物件写真で、窓まわりをチェックし、サッシやガラスの仕様を目で見て確認することもできます。

 

〈サッシ・窓ガラスの断熱性能の目安〉

 

窓の断熱性能は、「ガラス」と「サッシ(窓枠)」の組み合わせによって決まります。

 

以下に代表的な組み合わせと性能の目安をまとめました。

 

ガラスの種類

サッシの素材

断熱性能の目安

特徴

シングルガラス(1枚)

アルミ

低い

築年数の古い建物に多く見られ、冬は結露しやすい

通常の複層ガラス

アルミ

やや低い

シングルガラスよりは改善されるが、サッシ部分の結露は起こりやすい

Low-E複層ガラス

アルミ樹脂複合

標準的~やや高い

比較的築浅の物件で採用例が多い

室内側が樹脂のため結露を抑える効果がある

Low-E複層ガラス

樹脂

高い

非常に断熱性能が高く、省エネ効果も期待できる

 

Low-E複層ガラスとは、ガラス表面に特殊な金属膜をコーティングすることで、室内の暖房熱が外に逃げるのを防ぎ、夏は屋外からの熱を遮る高断熱タイプのガラスです。

 

内見時にガラスの刻印などで確認できる場合があります。

 

マンションではサッシ自体は共用部扱いのため自由に交換できないケースも多いですが、室内側に「内窓(インナーサッシ)」を追加することで、断熱性能を実質的に底上げできます。

 

 

外壁・屋上の断熱仕様を確認する

 

設計図書では、主に以下の仕様を確認します。

 

自身の住戸が何階にあるかによって、特に重要となる箇所が異なりますのでチェックしておきましょう。

 

  • ・外壁:コンクリートの外側に断熱材がある「外断熱」か、内側にある「内断熱」かを確認します。図面には「コンクリート+断熱材(厚さ○mm)+仕上げ」といった形で記載されています。
  • ・屋上(最上階住戸の場合):最上階の暑さに影響するため、屋上スラブ(コンクリートの床)の上または下に断熱材があるか、その種類や厚みを確認します。
  • ・床(1階住戸の場合):底冷えに影響するため、1階住戸の床下や、玄関土間の周辺に断熱材が入っているかを確認します。

 

例えば、図面中に「押出法ポリスチレンフォーム t=25」などの記載があれば、その厚みから断熱性能の目安を推定できます。

 

ただし、数値から等級への正確な読み替えは専門的になるため、「断熱材が入っているかどうか」「厚みが十分か」を確認するというイメージになります。

 

〈関連コラム〉

マンションに断熱材が入ってない?見分け方とリノベーションでできる対策をプロが解説

 

 

ホームインスペクションで詳しく調べる

 

契約前に「ホームインスペクション」を依頼し、赤外線サーモグラフィカメラで壁や天井、床の中の断熱状態を調査してもらうのも有効です。

 

5万円~10万円程度の費用はかかりますが、断熱材の有無や施工の抜け(断熱欠損)を可視化でき、どの程度の断熱リフォームが必要かの判断材料になります。

 

 

「断熱等級そのもの」を数値で確定したい場合は?

 

もし「このマンションは等級◯」と正確に確定したい場合は、詳細な設計図書一式、開口部(窓やドア)の性能証明、方位などの情報をもとに、専門ソフトでUA値(外皮平均熱貫流率)を計算する必要があります。

 

UA値とは「建物全体から、どれくらい熱が逃げやすいか」を示す数値です。この値が小さいほど熱が逃げにくく、断熱性能が高い(=等級が高い)ことを表します。

 

個人で行うのはハードルが高いため、購入前は簡易的なレベルを把握し、購入を決めたらリノベーション会社に相談するのが現実的です。

 

 

■中古マンションの購入前に断熱性能を調べるメリット

 

中古マンションの購入前に断熱性能を調べるメリット

 

中古マンションの購入前に、建物の省エネ性能(断熱等性能等級など)を調べておくことのメリットについて解説します。

 

 

快適性や光熱費の目安がつかめる

 

断熱性能が高いほど外気の影響を受けにくいため、冷暖房効率が向上し、季節を問わず快適に過ごせます。

 

また、断熱性能、省エネ性能の高さは将来の光熱費というランニングコストの削減だけでなく、建物の劣化を遅らせることにもつながるため、事前に調べておくことで住んでからの快適性や光熱費などの目安をつけやすくなります。

 

 

税制優遇を受けられる可能性がある

 

中古住宅の場合、一定の省エネ基準を満たせば住宅ローン控除の借入限度額が増えるため、マンションの断熱等級や省エネ性能が分かることで、より控除額が増える可能性があります。

 

住宅ローン控除

 

(参考)国土交通省ウェブサイト「住宅ローン減税

 

上記のように、中古マンションで「省エネ基準」を満たすことを証明できれば、通常2,000万円の借入限度額が3,000万円に増えるため、結果的に所得税からの控除額を増やせる可能性があります。

 

税制見直しや金利上昇局面においては、この「1,000万円の借入枠の差」が、総返済額に大きな影響を及ぼします。

 

 

減税・補助金を活用しながら適切な断熱リフォームができる

 

断熱性能や省エネ性能をある程度つかんでおくことで、適切な断熱リフォームを選択できるのも大きなメリットです。

 

マンションの専有部分で実施できる主な断熱リフォームの内窓設置や断熱材追加は、リフォーム減税や補助金の対象になっているため、大きく負担を軽減しながら、住まいの快適性を高められます。

 

〈減税制度〉

  • ・リフォーム促進減税(所得税、固定資産税)
  • ・住宅ローン減税(増改築)

〈補助金(一例)〉

  • ・先進的窓リノベ2026事業
  • ・みらいエコ住宅2026事業
  • ・東京都、千葉県、神奈川県の断熱リフォーム補助金 など

 

(参考)
国土交通省ウェブサイト「住宅をリフォームした場合に使える減税制度について
先進的窓リノベ2026事業【公式】
みらいエコ住宅2026事業【公式】

 

内装デザインや間取り変更、水回り交換などのリノベーションを検討しているなら、断熱リフォームも一緒に実施することをおすすめします。

 

マンションでもできる断熱リフォームの種類や費用相場、リフォーム補助金の詳細は以下のコラムで詳しく紹介していますのでご覧ください。

 

〈関連コラム〉

マンションでできる断熱リフォームの内容と費用相場|工事前に確認すべきポイントと補助金制度の種類

2026年リフォーム補助金まとめ|東京・千葉・神奈川で中古住宅リノベに使える制度一覧

 

 

■断熱性能を重視した中古マンションの選び方のポイント

 

断熱性能を重視した中古マンションの選び方のポイント

 

中古マンションを購入する際に、できるだけ断熱性能が高い物件を選ぶためのチェックポイントを紹介します。

 

 

築年数でおよその断熱性能、省エネ性能を見分ける

 

マンションの築年数から、その当時に適用されていた省エネ基準を推測し、およその断熱性能を見分けられます。

 

例えば、省エネ基準がまだ努力義務だった1980年代以前に建てられた物件(築40年超)では、断熱材が十分でなかったり、全く入っていなかったりする可能性もあります。

 

一方、基準が強化された2000年頃以降に建てられたマンションでは、「複層ガラス(ペアガラス)」が普及し始めるなど一定の断熱性能が期待でき、物件ごとの性能のばらつきも少なくなります。

 

 

サッシや玄関ドアの性能をチェックする

 

熱の出入りが最も多い「窓」の性能チェックは特に重要です。

 

サッシのフレームが一般的なアルミ製か、より断熱性の高い樹脂製(または樹脂複合)か、またガラスが1枚の「単板ガラス」か2枚の「複層ガラス(ペアガラス)」かなどを確認しましょう。

 

可能であれば玄関ドアの断熱仕様もチェックするのがおすすめです。

 

 

住戸の位置をチェックする

 

マンションの中の住戸の位置も断熱性に大きく影響します。

 

角部屋最上階最下階は外気に接する面が多いため、外気温の影響を受けやすくなる傾向があります。

 

断熱性をより重視する場合は、上下左右を他の住戸に囲まれた「中住戸」の中層階を選ぶことで、より断熱・省エネ性能が高い物件を選ぶことができます。

 

また、断熱性能が低いマンションでも、前章で解説した通り、内窓や断熱材追加などで改善することは可能です。

 

マンションの断熱性能のチェックポイントを以下にまとめて紹介しますので、内見時に活用してください。

 

【保存版】内見時に使える断熱性能セルフチェック表

  • 【築年数】:2013年(平成25年)以降の物件か?(等級4の信頼性)
  • 【窓サッシ】 アルミ樹脂複合サッシ、または樹脂サッシか?(Low-Eガラスの刻印の有無)
  • 【住戸の位置】 角部屋・最上階の場合、断熱改修の有無を不動産会社に確認したか?
  • 【壁の音】外壁に面した壁を叩いた時、太鼓のような空洞音がするか?(GL工法でないかの確認)
  • 【管理履歴】 マンション全体でサッシや玄関ドアの更新計画があるか?

※各項目の詳細なチェック方法は、前述の解説を参考にしてください。

 

 

■マンションの断熱性能に関するQ&A

 

マンションの断熱性能に関するQ&A

 

最後に、東京・千葉・神奈川エリアで約25年にわたり8,000件超のリノベーション設計・施工実績があるSHUKEN Reが、マンションの断熱等級(断熱性能)に関するよくある疑問にお答えします。

 

 

 

■まとめ

 

中古マンションの断熱等級は、「建築年」「地域区分」「図面」「窓・外壁」などの情報から大まかなレベルを把握できます。

 

ただし、築古マンションの場合、断熱等級を正確に確定するためには専門知識が必要で手間もかかるため、大まかな断熱レベルを把握して、「リノベーションでどこまで改善できるか」を考えるのがおすすめです。

 

寒さ・暑さ・結露に悩まされない住まいにするには、等級だけにとらわれず、暮らし方とご予算に合った断熱リフォームを選択することがポイントになります。

 

SHUKEN Reでは、中古マンション・戸建ての物件探しからフルリノベーションまで、断熱・耐震・間取り・デザインをトータルでご提案しています。

 

「このマンション、冬は寒そう?」「断熱リフォームにどれくらい予算をかけるべき?」など、具体的なご相談もお気軽にお聞かせください。

Q 不動産ポータルサイトに「断熱等級」が書いていない物件でも調べられますか?

A

建築年やエリア、図面、内見時のチェックで、大まかなレベル感はつかめます。

 

正確な等級までは分からなくても、「寒そうかどうか」「どこを重点的に断熱強化するべきか」といった判断材料にはなります。

Q 築古マンションでも、断熱等級を上げることはできますか?

A

建物そのものの「等級」を上げるには大規模な改修が必要ですが、専有部分のリノベーションで体感の断熱性能を大きく改善することは可能です。

 

特に、窓まわり(内窓)と最上階・北側の部屋の断熱強化は、費用対効果が高いケースが多いです。

Q 内見の時に、断熱性能を見抜くコツはありますか?

A

「窓まわり」「外壁の厚み」「最上階・角部屋かどうか」「冬の北側の部屋の温度・結露跡」をチェックするとイメージしやすくなります。

 

可能であれば、売主さんや仲介会社に「冬場の体感」「結露の有無」も聞いてみると、実際の暮らしに近い情報が得られます。

Q ZEH-M(ゼッチ・マンション)なら、断熱等級は心配いりませんか?

A

ZEH-Mは省エネ性能が高いマンションですが、「どの部屋にどこまで効いているか」はプランによっても変わります。

 

また、窓の大きさや方位、日射の入り方などで体感温度は変わるため、図面や内見での確認はやはり重要です。

Q 自分で図面を見てもよく分からない場合はどうすればいいですか?

A

ご自身だけで判断するよりも、リノベーション会社や専門家に図面を共有して相談するのがおすすめです。

 

SHUKEN Reでは、物件探しの段階から「断熱・耐震・間取り」をセットでチェックしながら、購入のアドバイスをいたします。

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