大規模修繕とは

【大規模修繕(だいきぼしゅうぜん)】
1. 概要
「大規模修繕」とは、分譲マンションの建物全体の資産価値と安全性を維持するために、計画的に行われる大規模な修繕工事のことです。「管理組合」が主体となり、「長期修繕計画」に基づいて実施されます。
建物の経年劣化に対応するため、通常10年〜15年に一度のサイクルで行われることが多く、その費用は居住者が毎月支払う「修繕積立金」によって賄われます。
2. 主な工事内容
大規模修繕は、主に居住者が個人では修繕できない「共用部分」を対象に行われます。
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建物の外周:
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外壁の補修、洗浄、再塗装(美観の回復とコンクリートの保護)
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足場の仮設
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防水関連:
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屋上(陸屋根)の防水工事(雨漏りの防止)
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バルコニーや共用廊下の床の防水工事
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設備関連:
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給排水管(縦管)の更新、エレベーターの修繕・交換
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鉄部(階段の手すり、玄関ドア枠など)の塗装
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3. リノベーションとの関係と注意点
中古マンションを購入してリノベーションを検討する際、「大規模修繕の実施時期」は、物件選びと資金計画において極めて重要な確認事項です。
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工事タイミングの重複リスク もし室内(専有部分)のリノベーション工事と、建物全体(共用部分)の大規模修繕のタイミングが重なると、以下のような事態が発生します。
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足場と養生シート: 建物全体が足場とシートで覆われ、窓からの採光や眺望が長期間(数ヶ月〜1年)遮られます。
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バルコニーの使用不可: 防水工事などのため、バルコニーへの立ち入りや使用が制限されます。
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騒音と振動: 外壁の洗浄や補修による騒音・振動が発生します。
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工事の中断: 窓サッシ周りの工事(シーリング等)のために、一時的に室内の工事を中断せざるを得ない場合もあります。
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リノベーションを計画する際は、「長期修繕計画」を確認し、直近の大規模修繕が「いつ終わったか」または「次にいつ予定されているか」を把握することが不可欠です。
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資金計画への影響 「修繕積立金」が計画通りに貯まっていない場合、大規模修繕の費用を賄うために「一時金」として、各戸から数十万円単位の臨時費用が徴収されることがあります。これはリノベーションの予算とは別に発生するため、資金計画に大きな影響を与えます。
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バルコニー(専用使用権)の扱い バルコニーは共用部分のため、大規模修繕の工事対象です。リノベーションでウッドデッキなどを設置する際は、将来の修繕時に自費で一時撤去・再設置が必要になるか、管理規約を事前に確認する必要があります。
4. 関連語



