Noble
この記事の見所ポイント
- 珪藻土壁と無垢フローリングがつくる上質で快適な空間
- ヴィンテージライクな家具に合わせて空間のテイストを統一
- ガラス間仕切りで寝室の独立性を保ちつつ明るさと開放感をアップ
- セミクローズドのキッチンに、内窓で光を取り入れて
- 趣味のアイテムやストック品もすっきりしまえる壁全面の大収納
この日うかがったのは、東京都港区の高台にある築約50年のヴィンテージマンション。ご結婚にあたってこちらを購入しリノベーションされたOさまご夫妻のお住まいです。ご主人によると、リノベに至ったのはご両親の影響が大きかったのだそう。「両親が不動産物件を何軒かリノベした経験があり、私もその自由度の高さを実感していました。だからいつか自宅を持つなら自分で住みやすいようにリノベしてみたいと思っていたんです」
以前から暮らして便利さを実感していた港区内で、半年ほどかけて物件を検討。暮らしやすい環境と眺めの良さが決め手となりこの物件を選ばれました。
リノベ業者としてSHUKEN Reを選んで下さったのは奥さま。「実はプランナーの森さんは大学の建築学科からの友人なんです」と微笑みます。気心の知れたお友達同士、お打ち合わせもいっそうスムーズに。プランニングにあたっては、奥さまが専門技術を活かして手書きで図面を作成して打ち合わせに臨まれました。
「私の希望は、家具のテイストに合わせて空間の雰囲気を統一することでした」と奥さま。ソファやテーブル、チェアなど、ほとんどの家具は、新居のために探して選んだ「JOURNAL STANDARD FURNITURE」のもの。そのヴィンテージライクなテイストに合わせて建具やパーツを選んでいったそうです。リノベのテイストを考える際に家具からイメージを膨らませる手法は、ぜひ参考にしたいですね。

上質な自然素材の壁・床材にこだわって
統一されたインテリアテイストとともに、空間の品格を高めているのがフローリングや壁の上質な質感です。ここはご主人のこだわり。「両親のリノベも自然素材を使ったものでしたので、調湿作用のある珪藻土壁や、無垢フローリングの快適さを実感していました」とご主人。

壁は珪藻土塗りに。全体の壁に加えて、LDKは天井まで珪藻土塗りです。左官仕上げならではの風合いも表情豊か。ご主人によると珪藻土塗りのお部屋は「調湿作用のおかげで夏は涼しく、冬も暖かい」のだそう。
テレビを設置しているLDKの壁はライトグリーンのアクセントウォールにしています。「この色の珪藻土塗料ならテイストに合いそうだよ、と森さんが提案してくれました」と奥さま。

テレビの上には飾り棚を造作。「前の家にあった飾り棚がすごく便利だったので」とご主人。趣味で撮影した写真や観葉植物をディスプレイしています。

床材は「木魂」の陸奥本桜の無垢フローリングを選びました。「床材のショールームは5〜6社ほど回りました。私はオークのような黄みがかった材よりも赤みがあるものが好みで、妻は雰囲気を明るくしたいという希望があって。チェリーだと重すぎるので、サクラがいいねとなったわけです」。ご主人は床材のコーティングもお気に入りだそう。「オイル仕上げのような風合いの『SSGガラス塗装』で仕上げてあります。ウレタンより質感がよくて、手入れもラクなんです」
ガラスの間仕切りや内窓で、光を取り込み開放的に

LDKの奥は寝室です。「自宅にいる間は常にテレビがついています。ソファやテーブルからだけではなく、ベッドに寝転がりながらでもテレビが見られるようにしたくてこの間取りになりました」と奥さま。目隠しをしつつ光を通して開放感が出るよう、間仕切りは「ミラタップ」のガラスパーティション「クワドロスリム」を採用。「色ガラスよりもリブガラスのほうが目隠しの意味ではよかったです」とご主人。

「寝室はベッドの置ける最低限のスペースでいいと思って」と奥さまは言いますが、二面窓とガラス間仕切りのおかげで明るく広々と感じられます。寝室のさらに奥、白い引き戸を開けると…

ご主人のワークスペースです。独立したワークスペースを設けることも、ご主人のこのリノベでの希望でした。ワークスペースの広さはデスクが入る大きさで決めています。電動昇降式デスクは「COFO」と「JOURNAL STANDARD FURNITURE」コラボモデル。キッチンとの間には室内窓を設けています。「このおかげでキッチンに光とエアコンの冷気が入るので採用して良かったです」とご主人。
ゆるやかなアールをLDKのアクセントに
LDKを別角度から見てみましょう。

壁に沿って収納がたっぷり。ご主人の趣味のグッズや日用品のストックもすっきり収納できているのだそう。

LDKの入口横にはアーチ型のスイッチニッチが。奥様がSNSで作例を見て取り入れたポイントです。珪藻土塗りの質感のおかげでいっそう素敵ですね! ちなみにインターホンに付いている小さな四角形は「スイッチボット」。ご主人のこだわりで、ご自宅中のものが可能な限りスマートスピーカーで操作できるようになっているのです。

スイッチニッチの向かい、キッチンとの境目にもアール壁を設けています。「冷蔵庫を隠すために設ける壁もスイッチニッチに合わせてアールにしては、と森さんが提案してくれたものです」と奥さま。空間のテイストに合う、さりげない曲線が上品です。

キッチンはセミクローズド型ですが、内窓のおかげで閉塞感がありません。お二人でキッチンに立てるじゅうぶんな広さで、「フロントオープンの食洗機はマストで入れたかったのですが、背面との間隔も広々していて食器の出し入れもスムーズにできます」と奥さま。水はねや油が気になるキッチン前面の壁は「タイルパーク」の「メトロ」を貼り、床は「サンゲツ」のフロアタイルを採用して、掃除しやすさにも配慮してあります。
システムキッチンは「クリナップ」です。お二人は「キッチンはすごく迷いました」と口を揃えます。セラミックなどのワークトップにも惹かれたそうですが、予算の兼ね合いで迷っていたところ、「クリナップ」のステンレス天板を見たことが決め手に。ご主人は「とても上質な質感で“これにしよう!”と。『クリナップ』は面材も素敵でした。当初は木の面材にしようと思っていたのですが、床材の木目と合わせるとごちゃごちゃしそうなのでマットな黒に落ち着きました」とご主人。
廊下の片側一面が壁面収納!

廊下の片側の壁も、全面を収納に。こちらはご夫婦それぞれのクローゼットやタオル類の収納スペースです。「脱衣室とも近く、動線上も便利です」とご主人。

壁面収納は玄関にも。スキーやスノボの板をしまえる高さで便利なのだそう。向かいの壁に鏡を設置したのは奥さまのアイデアです。「玄関に鏡があると空間が広く見えていいなと思って。私たちは身長差が30cm近くあって既製品の姿見だとどちらかが見づらくなることが多いので、造作にしました」と奥さま。ロボット掃除機で傷付くのではと心配していたそうですが、問題なく使えているそう。

廊下の天井には間接照明も仕込んであります。壁には、ころんと丸いアニマル型のウッドフックを3つ並べて愛らしいアクセントに。
水回りには、タイルや腰壁で彩りを添えて

廊下の引き戸を開けると洗面室と脱衣室です。水回りの床はフロアタイルで統一しています。洗面台とミラーキャビネット、真鍮の壁付け水栓は「ミラタップ」。奥さまがショールームでこの組み合わせを見て即決したのだそう。

「名古屋モザイク」のタイル「コラベル」の「NLA-KEKKON-MIX」というデザインパターンを選んだのも奥さまです。「この青や緑も好きだし、ゴールドっぽい色も使われているので真鍮の水栓とも合いそうだと思って」。

浴室とトイレは「TOTO」を採用。トイレは腰壁を「サンゲツ」のウィリアム・モリス「いちご泥棒」柄の壁紙を使っています。真鍮のペーパーホルダーとの組み合わせもエレガントですね。「モリスの壁紙をどこかに使いたいと思っていたところ、この使い方を森さんにご提案いただいて。濃い色を全面に貼ると重くなりそうですし、この使い方だと汚れも気になりにくいので気に入っています」とお二人。
取材時はご入居から3カ月ほどしか経っていないタイミングでしたが、上質な自然素材と統一されたインテリアが醸し出す、ノーブルでいて温かみのある雰囲気が印象的でした。これからもLDKの造作棚のディスプレイを変えたり、ご主人の好きな最新家電を取り入れたりして、さらにお二人らしい住まいになっていきそうです。
お忙しい中、取材・撮影にご協力いただき、ありがとうございました。
取材・文/ライター吉永美代
撮影/カメラマン清永洋



