Potential

この記事の見所ポイント
- “和と洋の”空間を “洋”に統一
- 一体感を作りリビング・ダイニングに奥行きを演出
- スペースを整理して欲しい部屋・場所を作る
- 造作デスクを使ってスペースを立体的に活用
- 洗面台を廊下に出して問題を解決
ご夫婦とお子さま3人のHさまファミリーが暮らすご自宅は、元々奥さまが幼少期に住まれていた物件でした。ご両親が別の場所に家を建てたことで人に貸していたのですが、奥さまが初めての妊娠をされたタイミングで空き部屋になっていたことで再び住まれることに。
床や水回りなどの部分リノベをして暮らしていましたが、3人目のお子さまが生まれたことでフルリノベーションをすることにしました。
「全体的に古くなってきていましたし、子供たちの部屋を用意できるところを探そうという話になったんです。一番上の子は小学生で学区を変えたくないし、私たちも生活圏を変えたくないというのがあって、近くで物件を探したのですが良いところがなくて。そこで、ここをリノベして住み続けることにしました」とご主人。
SHUKEN Reを選んでいただいた理由をご主人に聞いてみると「いくつか会社のホームページを見ると、2人暮らしで、それなりの広さがある物件をリノベしている事例は見つかるんですよ。でも、うちは5人家族で広さがすごくあるわけではないので難しいかなと思っていたら、SHUKEN Reの事例を見ると結構あって。この人数でこの広さでこんなに素敵にしてくれるんだと」“難しい条件でもやってくれそう”と思って選んだとお話いただきました。
造作デスクで空間を生み出す
家族5人が10年後、15年後も一緒に住み続けられる家にしたいというご要望をいただき行ったリノベーション。ご家族全員が集まれる場所、ご夫婦の寝室、ご主人のワークスペース、3人のお子さまたちの部屋、これら全てを備えた空間を作りました。
畳が多かった床は全てオーク材のフローリングで統一したことで、リビング・ダイニングと元々和室だった夫婦の寝室の一体感を生み、奥行きと開放感を出しています。また、リビング・ダイニングと寝室を仕切っていた襖が開口部の半分を遮っていたのですが、スライドドアに変えて扉を壁裏に収納ができるようにしたことで視界の抜けを改善しました。
「縦長の物件なので、リビング・ダイニングと寝室を繋げると入った時の開放感がすごいです。子供が大勢の友を連れてくることも多いですし、親子で集まって食事をする時は親たちがリビング・ダイニングで、子供たちが私たちの寝室スペースで食事するといった使い分けもできて便利ですね」と奥さま。
北側の壁にはパントリーやテレビボード、収納スペースなどを設けて有効に空間を活用。テレビは壁付けにしてコードなどが目立たないようにしています。
寝室近くにはニッチを活用したワークスペースを設けました。
「寝室に布団を敷いたあとで作業する時に使っています。あと、子供たちが大きくなると勉強の時間も変わってくるので、同室で寝ている子がいて別の子が勉強する際に使うとか、そういうことを想定して設けました」とご主人。
3人のお子様がいらっしゃるからこそのアイデアですね。こもり感があって集中できそう!
リビング・ダイニングの奥にある夫婦の寝室には、リモートワークが多いご主人が使う壁付の造作デスクを設けました。スライドドアで閉め切れば個室になるのでオンライン会議にも対応しています。椅子を使わない時はリビングに戻すだけと機能的。
空間を有効に使う工夫が布団の収納スペースにあります。扉をつけず下部に配置することで布団を上げ下げせずに簡単に収納できるだけでなく、布団を広げた時に足を入れることで横になるスペースを確保する効果も。空間を立体的に使う工夫は他の部屋にも見られます。
こちらは2人の娘さんたちのお部屋。淡いピンクのアクセントカラーが入った壁が可愛らしいです。1番奥にあるこの部屋は、元々別の部屋を通らないと入ることができなかったスペースでした。
そこで間にあった部屋のスペースを縮小し扉を設け、直接リビング・ダイニングから入れるようにしています。そして、寝室と同じように壁付で造作デスクを設けました。「一部屋に2つ学習机を置くのではなくて、造作デスクを設けることで、スペースに余裕を持たせました」と奥さま。
寝室同様、寝る際はデスクの下を活用し布団を敷きます。将来のことも考慮したと話してくれたのはご主人。「子供たちが成長して勉強机として使わなくなっても飾り棚とか本棚にもできるし汎用性がありますよね」。
どうしたらお子さまたちのスペースを作ることができるのかを考え抜いた末のアイデアです。
収納スペースは壁を挟んだご夫婦の寝室の収納と互い違いに設置し、スペースを確保しました。「私が子供の時は自分の部屋がもらえて、そこにベッドがあって、机があって、タンスがあったのですが、この家では子供一人一人にそれは与えられない。
将来を考えて、どういう暮らしが良いのかと様々な事例を見て考えました。ベッドだけ置いて寝るための部屋にして、あとは共同スペースで勉強したりするとか。でも友達を連れてくることもあるだろうし、やっぱり部屋は用意してあげたいってなりましたね」とご主人。お子さまへの想いを感じます!
アクセントカラーに一面の壁紙をブルーにしているのは息子さんのお部屋。元々は娘さんたちのお部屋に行くための通路と収納を兼ねたお部屋だったのですが、間取りと動線を整理して独立した個室を設けました。
こちらも造作デスクを採用し、デスクの下にスペースを作り寝る空間を確保しています。
全体に大きな影響を与えるキッチンの配置変更
リビング・ダイニングに戻って、キッチンを拝見します。元々キッチンは正面奥の窓があるところに壁付けされていたのを、玄関から入ってすぐ左側に設置。
当初は玄関からリビング・ダイニングに向かって洗面台まで廊下だったのですが、キッチンとの間にあった壁を取り除き廊下をなくしたことで、リビング・ダイニング全体の空間がさらに広がりました。
キッチンは「パナソニック」の「ラクシーナ」。広い作業スペースがあることで、料理がしやすくなっただけでなく、お子さまが手伝いたいと言ってきてくれるようになったそうです。
リノベ前は右奥にコンロがあったのですが、背面に壁があり使いにくかったり、デッドスペースがあったりと不便さが目立っていました。位置を変えたことで動きやすくなったことに加えて、リビング・ダイニングにいる家族との会話もしやすくなったそうです。
デッドスペースが生まれがちな場所には造作棚を設置。キッチン家電を置いたり、作業スペースにしたりと幅広い用途で使うことができます。右奥にある配管が目立たないよう吊戸棚を取り付けているのもポイントです。
元々は閉鎖的な廊下が伸びていましたが、キッチン側の壁をなくしたことで開放感だけでなく玄関の採光もできるようになりました。また、廊下上部に梁が出ていて圧迫感があったため、玄関をフルフラットにして上がり框をなくし床を下げています。
「廊下で梁に頭をぶつけそうになったり、リビング・ダイニングで急に床が低くなっているところで、つまずいたりしていたので解消できてよかったです」とご主人。
洗面台を廊下に出すメリット
ご家族が多いと問題になりがちなのが洗面台を含む脱衣所です。朝は身支度で洗面台が渋滞し、夜は誰かがお風呂を使っていると脱衣所に入れないなど不便さを感じることも。Hさまファミリーも同じ問題を抱えていたのですが、洗面台を脱衣所から廊下に出すことで問題を解消しました。
キッチンをセットバックし、洗面台を設置するスペースを確保しました。元々、リビングドアで仕切られた通路でしかなかった廊下スペースが仕切りのない洗面台になったことで、キッチンと同様にリビング・ダイニングに広さを感じさせる効果を生んでいます。
「名古屋モザイク」のタイルをヘリンボーン貼りした壁に丸い鏡の組み合わせが素敵ですね!ご家族が横並びで使える十分な広さが確保されており、朝の身支度で被っても困りません。また、外で遊んできたお子さまたちが帰宅した流れで手を洗える動線ができたことも廊下に出したメリットです。
全体として明るくすっきりとした印象の脱衣所。
洗面台を廊下に出したことで、スペースに余裕ができ十分な収納スペースを作ることができました。
浴室やトイレは「TOTO」のショールームで実際に見て選んだものを採用。
トイレの上部にはトイレットペーパーなどを収納する棚を設置しています。
リノベで住まいの思い出を繋ぐ
デッドスペースを整理し、物件のポテンシャルを引き出したことで、開放感や個々のお部屋、スムーズな動線を作ることを可能にしました。家族構成やライフスタイルの変化があった時に、愛着のある場所から離れるのではなく、暮らし続けることを可能にするのもリノベーションの魅力ですね。
ご家族揃って取材にご協力いただき、ありがとうございました!
取材・文/ライター淺見良太
撮影/カメラマン清永洋