HARD & SOFT

この記事の見所ポイント
- 「好みの住空間にするにはリノベ」と実感して中古物件購入×リノベを選択
- ご主人の好みのインダストリアルなテイストを生かしつつ、奥さまの好みを加えハードすぎない雰囲気に
- 既存の洋室を取り込んで広くした明るいLDがお気に入り。一角に設けたWICのおかげで片付けもラクラク
- 水回り設備は、インテリアにこだわりつつ掃除のしやすいものをチョイス
躯体あらわしにした壁と天井が印象的な、浦安市にあるマンションの一室。2025年1月からこちらに暮らすNさまは、ご夫妻と5歳になる娘さんとの3人家族です。
以前は同じエリアの賃貸住宅にお住まいでしたが、娘さんの小学校入学を翌年に控えて、「しばらくこのエリアに住むことになりそう」と物件購入を検討するようになったとか。
あらわしの壁の内部はスタイリッシュなキッチン! アーチ開口は既存を生かしたもので、Nさま邸を象徴するシーンになりました。
物件探しの際は、娘さんが同じ保育園に通い続けられるエリア内というほかに、駅から近いなど、「売却のしやすさ」にもこだわったとか。将来、ご親族所有の戸建て住宅に引っ越す可能性があるそうで、ご家族のライフプランを長期的に見越して物件探しをされました。
「この部屋の購入を決める前に、リノベ済み物件として売りに出ていた同じマンションの別の部屋を内見したんです。この部屋は『大丈夫かな……』と心配になるくらいボロボロだったのですが、『リノベすればこんなにきれいになるんだ』とイメージが湧いて、購入を決意することができました」とご主人。
キッチンは「toolbox」の「オーダーキッチン天板」を使ったオリジナル。「長年使っていれば傷んだり汚れたりするものですが、ステンレス製ならそれが味になるんじゃないかなと思いました。天板下がオープンだと、物の出し入れもラクにできそうなので」と奥さま。
使いにくいと感じていた吊り戸棚は採用せず、出し入れのしやすさ重視でオープン棚に。奥さまの身長に合わせて、無理なく手が届く高さに設置しています。
キッチンの壁は同じく「toolbox」のタイル仕上げに。布を押し当てて布目をつけた、独特の表情のあるタイルを採用しました。シンク前のスパイスニッチは、「すごく活用しています! スパイス容器はここにぴったりハマるサイズのものを探しました」と奥さま。
既存のキッチンは奥の壁を向いた配置でしたが、左手の壁付けに変更。LDとのつながり感が高まり、家族とのコミュニケーションもスムーズです。
物件探しのときに新築マンションやリノベ済みマンションも内見して、「自分たちの好きなものだけで構成された住空間」を手に入れる難しさを感じたというおふたり。そこで中古マンション×リノベという方向性が決まったといいます。
希望を汲み取ったプランが決め手に
「(浦安の)やなぎ通りにおしゃれな会社があるなと思っていたのですが、依頼するリノベ会社を調べているうちにSHUKEN Reさんだったとわかりました(笑)」とご主人。
「コンタクトをとったリノベ会社はSHUKEN Reさんともう1社の合計2社。事前に自分たちのライフスタイルや好みをテキストにまとめてお渡ししたのですが、それらをきちんと汲み取って提案してくれたのがSHUKEN Reの担当プランナーさんでした。同じ言葉で伝えても出てくるものがこんなに違うんだ!と驚きました」(ありがとうございます!)
参考までにそのテキスト資料を見せていただいたところ、年齢、身長、職業といった基本的なことのほか、1日の平均的なタイムスケジュールや置く予定の家具など、プランニングの参考になりそうなことがとてもわかりやすくまとめられていました。
リノベに合わせて新調したダイニング家具は、栃木県の「仁平古家具店」でオーダーしたもの。和の古家具店として知られる同店ですが、古材を使ったオーダー家具にも対応しているそうで、Nさま邸の雰囲気にぴったりです。
実は今回の取材時に、ご主人と当社の担当プランナーが偶然、「廃墟好き」ということが判明! あらわしにした天井など、インダストリアルなテイストはご主人の好みを反映したものですが、「白」や「木目」など、奥さまの好みのやさしいテイストをプラスして、「やりすぎ」にならないようにバランスをとりました。
LDと洋室の2室が並んでいたバルコニー側。間仕切り壁を取り払って、広々としたLDに一新しました。ダイニング側はまだまだゆとりたっぷりで、娘さんの遊び場として活躍しています。
床材はラフなテイストのナラ材の無垢フローリングを採用。おふたりで何種類ものフローリングを実際に足で触れて、冷たさを感じないものを選んだそうです。
個室だったときのクローゼットのスペースも活用して、リビング横にはWICを新設。アールの壁は奥さまの当初からの希望を形にしました。
「WICは玄関側に設けることも考えたのですが、僕のリモートワーク用のデスクを置けるように玄関側の寝室を少し広く取りたいという希望もあり、この位置に落ち着きました」とご主人。
「窓辺には室内干し用のハンガーパイプもつけてもらったので、乾いた衣類をWICへ戻す作業がとってもスムーズ。思った以上に使いやすいです」と奥さま。
天井の配管はご主人の希望を生かしたもの。「これがやりたくて、わざわざ本数を増やしてもらいました(笑)。当初からあらわしにしたかった天井は、天井板をはがしてみるとパテ跡がたくさんあり、白く塗装するか天井を新たに組むという案も出たんです」
「でも、やはりあらわしにしたくて、職人さんにパテ跡をこそぎ落してもらうというご苦労をかけてしまいました。おかげ様で、要望の叶った家に暮らさせてもらっています」
窓側からLDを見るとこんな感じ。キッチン横の開口部の先にはリビングドアと廊下があり、手前にオープンな洗面台があります。
オープンな洗面台はプランナーからの提案。さっと手が洗えて、生活動線的にもよかったとおふたり。洗面台は「アイカ」、ミラーは「toolbox」のものを採用しました。
洗面コーナーの奥には、引き戸で閉め切れる脱衣室と浴室が続いています。洗濯機右手にはご夫妻で苦労して組み立てた「イケア」の棚を置いて、丸ごと目隠しできるロールスクリーンを設置。パジャマやインナーの収納場所として活用中で、乾燥後にあっという間に片づけられて便利だとか。
ユニットバスは「TOTO」の製品を採用しました。シンプルさ最優先で選び、掃除がしやすいようにミラーや棚などはなしに。
こちらは、玄関側からリビングドアの枠越しにLDを見たところ。リビングドアの右手前には廊下からもアクセスできるキッチンの出入り口があります。その手前に設けたオープン棚は、娘さんの絵本、工具、薬箱などの定位置に。
オープン棚の向かい側にはトイレがあります。白とグレーで貼り分けたクロスや、「toolbox」の「手編みロープ照明」がとっても素敵です♪
奥さまいわく、「タンクレストイレは価格が高めなのと、災害時に少し不便だと聞いてタンク付きに。掃除がラクなように手洗いがないものを選びました」
こちらは玄関近くにある2つの洋室のうちの1つ。今後、現在5歳の娘さんの部屋にする予定です。LD内のWICをファミリークローゼットとして使えるので、クローゼットはなしに。デスクとベッドが置ければOKと、シンプルな仕様にしました。
玄関もカッコよさ満点のインダストリアルな空間。おふたりからのリクエストで、玄関収納は扉なしのオープンなつくりにしました。
ほぼリモートワークというご主人に対して、奥さまは通勤されているため、玄関収納の一角には奥さまの身支度や外出グッズをまとめたコーナーが。ヘビロテしているというリュックも、帰宅後さっとここへかけるだけなのがいいですね♪
もう1回やりたいくらい楽しかったリノベ
ご入居から半年が経過して、住み心地は「めちゃめちゃいいです」とご主人。「昼間の明るいLDも気に入っていますし、夜、照明をつけてもいい感じなんです」
「リノベで大変だったことは特になくて、もう1軒分やりたいくらい(笑)。あえてあげれば、時間の制約があるなかでのショールームめぐりが大変だったかもしれないですね」
照明&電球選びにも少し苦労したそうで、その空間に必要な明るさを検討するのにChatGPT(生成AI)を活用したのだとか。広さや天井高などのデータを入力して、「〇ルーメン(=明るさの単位)にするには、電球1個あたりの明るさがどれだけ必要か」といった計算を手伝ってもらったそう。AIをこんなふうにリノベに活用できるなんて、勉強になりました!
奥さまも特にLDを気に入ってくださっていて、娘さんがのびのび遊べる広さがうれしいとか。「以前の賃貸住宅は日当たりが悪かったんです。光が入る部屋で過ごすとこんなに心持ちが違うんだと、ここへ引っ越して来て実感しています」
物件購入時にお世話になった不動産会社のかたに、お礼かたがたリノベ後の様子を見てもらう機会があったそうで、お部屋に案内するなり「SHUKEN Reさん、やばい」というホメ言葉!?が飛び出したとか。「SHUKEN Reさんを選んでよかったと思いますよと言ってもらえました」とのことで、我々スタッフもホッとしました~。
新居での暮らしがスタートしてからは、ご主人は趣味に「コーヒー豆の焙煎」が加わり、奥さまは部屋に花を飾る楽しみが増えたそう。「希望どおりになったこの住まいで、家族で食事をしたり、ゲームをしたりする時間が何より楽しいです」と、幸せたっぷりの「リノベのその後」を話してくださいました。
お忙しい中、取材・撮影にご協力いただき、ありがとうございました。
取材・文/ライター志賀朝子
撮影/カメラマン清永洋