Memorable

この記事の見所ポイント
- ゲストを想定した広々としたリビング・ダイニングや玄関
- 自社工場を持つ弊社のメリットを活かした造作家具
- 訪問者に印象付けるコーブ照明
- 2カ所の回遊で彩光と空気の循環を促す
- 夫婦で使い分ける2つのWIC
同い年のAさま夫婦のご自宅は横浜中華街や横浜スタジアムが徒歩圏という横浜の中心地にあります。駅近で商業施設と一体となったデザイナーズマンションで暮らしやすさの点でも一等地。「横浜市出身なのですが、横浜の中でも、“横浜といえば”という憧れがあったこのエリアを選びました」とご主人。都内に住まれていましたが、お二人の還暦を機に憧れの場所で暮らしたいという想いを実現されました。
元々はリノベーションをする予定ではなかったと奥さま。「前の持ち主が8年前にリフォームしていた物件だったので、水回りだけ工事すれば、そのまま住めるかなと思っていました。でも、水回り工事の見積もりをお願いした会社に築年数が20年以上ならフルリノベしないと長く使えないと言われて」。
数あるリノベ会社からSHUKEN Reを選んでいただいた理由は“個性を出せる”と思ったから。「僕も妻もこだわりが強いので、個性的な空間にしたいなと。色々見た中でデザインが良かったし、様々なパターンの事例があるから対応してくれそうだなと思って妻にSHUKEN Reを提案しました」。
奥さまからは「大手の会社に任せた方がいいと言う友人もいたのですが、大手だと標準的なつまらないものになりそうですし、じっくり打ち合わせができると感じてSHUKE Reに依頼しました。実際、とても時間をかけて丁寧に打ち合わせをしてくださったので満足しています」と嬉しいお言葉をいただきました!
訪問者の心に残る空間
Aさま邸のテーマは“記憶に残る空間”。
「自宅に来てくれた人が忘れないような個性のある家にして欲しいと伝えました」とご主人。
今後、仕事を引退されて時間ができた時に、友人たちを招いて集まる場所にしたいという想いからダイニング・リビングは広々とした空間にしました。
全体としてホワイトをベースにしているのは奥さまの提案。
「エレガントなイメージにしたかったのと、家具や小物を合わせやすい空間にしたくて」。
一方、カジュアルでインダストリアルな雰囲気がお好みのご主人の要望は随所に散りばめることにしました。例えば、リビング・ダイニングの一面はアクセントクロスとしてグレーを使用。2台のスポーツバイクを見せる収納が印象的です。
造作家具の工場を持っていることも弊社を選んだ理由だと話してくれたのは奥さま。「造作をやりたいというのがあって。リビング・ダイニングのテレビ周りにあるテレビボードや棚は全て造作です。収まりのいいサイズにして、色は床に合わせました」。テレビ右側の造作棚は梁に合わせて奥行きを決めるなど、造作だからこそできるこだわりを見ることができます。
リビング・ダイニングの天井には斜めに入ったコーブ照明が印象的。「換気ダクトなどの配管位置がバラバラで、これらを隠すために天井がデコボコしていたのが気になっていました。空調機を隠蔽するとなった時に、配管や空調機があるエリアの天井をまとめて下げることでフラットにしたんです。上げた部分と下げた部分の段差を利用して照明を入れました」と奥さま。斜めというのがオシャレで来た人の印象にも強く残りますね!
キッチンは「クリナップ」の「ステディア」。元々、セミクローズドキッチンだったものを奥さまの要望でオープンキッチンにしました。空間を広く見せるだけでなく、ゲストが来た際も料理を出したり片付けたりする時も便利。
背面のカップボードの上部は扉のある既製品と造作のオープンシェルフを組み合わせています。「全部収納だと面白くないと思って、小物を飾ったりして楽しめる場所を造作で作ってもらいました」と奥さま。一部をオープンシェルフにすることで、軽さを持たせ圧迫感のない空間になっています。
広い天板はキッチン機器を置くのに便利で、遊びに来た奥さまのお友達も「使いやすそう!」と言ってくれるそうです。
アクセントとして貼られたタイルはご主人の提案。「個性を出す一つの手段としてタイルを貼りたいと決めていました。いくつかショールームを見て気に入ったものを選んで採用しています」。
吊り戸棚の下に仕込まれた照明を点けると、タイルに生まれる陰影がホテルライクな雰囲気を演出!お友達との集まりでも活躍してくれそうです。
カップボードの左端には、朝お二人が洗面所でバッティングしないよう、ご主人が身支度で使うスペースを設けています。そこになぜかテレビをつなぐアンテナ端子が。
「2人ともテレビが好きなんです。観たい番組が違った時に、ここで僕が観られるように付けてもらいました」と笑顔で話すご主人。
「2台のテレビを別々で観るんですかってSHUKEN Reの担当者も驚いていたけど(笑)」。今の所、テレビは設置していないそうですが、別々の番組を観たいけど同じ空間にいたいって仲の良さの表れですね。
キッチンは洗面所を通して廊下と繋がっていて回遊できるようになっています。玄関からキッチンへのアプローチが良くなっただけでなく、直線で洗面所の先にある浴室まで繋がっているので光を奥まで取り入れる効果も。「どこにいても光を感じられることを意識しました」と奥さま。
洗面台にもご主人こだわりのタイルが貼られています。真っ白な空間のアクセントとして素敵ですね!ゲストが来た際は、洗面所とキッチンを仕切る扉を閉めることで生活感を隠すこともできます。
夫婦で使い分ける2つのウォークインクローゼット
写真の右奥に見える扉の先には、リビング・ダイニングと寝室を繋ぐウォークインクローゼットがあり、ここも回遊できるようになっています。開けておくと東西の窓が繋がり風が抜けるため空気の循環にも。
ご夫婦ともに服がお好きということで、2つのウォークインクローゼットがあり、寝室と繋がるこちらはご主人専用。奥さまのウォークインクローゼットは玄関近くに設けました。それぞれの持ち物を分けて収納できるのは何かと便利ですよね!
寝室にはご主人が選んだグリーンのアクセントクロスを使用。
奥に見えるウォークインクローゼットの入り口は開けっぱなしを想定し、開いたままでもスペースを取らないスライドドアに。枠なしのハイドアのため、閉めると壁との一体感があり、すっきりとした印象を持たせます。
玄関を広く快適な場所に
お友達を呼びたいというご夫婦の想いは玄関でも感じることができます。部屋の一部を玄関スペースに割き、広げることで一度に多くの人が靴を脱げるようにしました。さらに、座って脱ぎ履きができるようにと造作のベンチを設置。ゲストに対する思いやりが伝わってきます。「特にブーツを履いてきた人には好評ですね。人が座るだけじゃなくて、季節のものを飾ったりして楽しんでいます」と奥さま。
来た人が最初に見る玄関を広く見せたいという想いから壁一面を鏡にしています。姿見として使うことはもちろん、玄関を広く感じさせる効果も狙って設置しました。
また、ご夫婦のアイデアで玄関床から廊下まで同じ床材を使用し、玄関からリビング・ダイニングに延びる廊下に空間の連続性を持たせました。
「玄関が広いのはいいけど、靴の収納はどうするの?」と思われた方もいらっしゃるのでは?Aさま邸では浴室を奥に下げたことで廊下に生まれた空間をシューズクロークにしました。奥行きは取れないですが、天井いっぱいまで広さを確保できるスペースに着目したアイデアです。
トイレは「TOTO」の「ネオレスト」を採用。以前のお住まいではタンク式で、タンク上部にある手洗いで手を洗っていたそうですが、水汚れなどの見た目を解消するためタンクレスにし洗面台を独立させました。手洗いボウルが置かれ、タイル壁と丸鏡で飾られた空間がとってもオシャレ!鏡の背面にある間接照明が演出する雰囲気がとても落ち着きます。遊びに行ったお宅のトイレがこんなに素敵だったらテンションあがっちゃいますね。
引退後の楽しみの中心になる住まい
“来た人が忘れないような個性のある家に”とご自宅に友人たちを招くことを想定して始めたAさま夫婦のリノベーション。
奥さまは徒歩圏内にある中華街で買った品々を、せいろで蒸してお友達に振舞って大好評だったと教えてくれました。一方のご主人にはこれから楽しみなことがあるそうです。
「横浜ベイスターズファンの友人が多いので、野球を観て盛り上がったまま、みんなを家に連れてきたいと考えています。ちょうど野球のオフシーズンに引っ越してきたので試合はこれからなんですよ!」
広々とした玄関やダイニング・キッチンなど、招いたゲストに快適に楽しんでもらいたいというAさんご夫婦のホスピタリティと、要所要所に垣間見える個性を出したいという理想がうまく溶け合った空間がありました。
お忙しい中、取材にご協力いただき、ありがとうございました!
取材・文/ライター淺見良太
撮影/カメラマン清永洋