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"SHUKEN Re"

YOMIMONO
読み物

2020-11-17 

のんびりした空気が漂うリゾート地の住宅街。

M様邸は、そんなイメージの小高い丘の上にありました。

物件は築53年の団地です。

建物も玄関まわりも、日本人ならどこか懐かしさを感じてしまう雰囲気ですが、室内に入ると印象は一変。

NYに暮らすアーティストのアトリエのような、スタイリッシュな空間が広がっていました!

 

 

ご夫婦二人暮らしのM様。

以前は同じ外資系企業にお勤めで、お二人でアメリカに駐在していたこともあったとか。

その後、横浜の山下公園や中華街からほど近い新築マンションや、ご主人のご実家のある山口県での“古民家暮らし”を経て、この春に横浜へ戻ることにしたのだそう。

 

物件探しもリノベーションの打ち合わせも、山口県からのリモートで!

以前お勤めだった外資系企業で早い時期から日常的にウェブ会議をこなしていたこともあり、「距離はそんなに気にならなかったです。できちゃうものだなって(笑)」とリノベを主導した奥様。

リノベ会社として頼もしいお言葉です!

 

すべては愛犬のために!

M様は現在、3匹のワンちゃんと同居中。

写真に登場してくれた2匹のほか、里親探し中の預かっているワンちゃんが1匹います。

 

 

こちらは、ペット用品のCM撮影現場ではありません(笑)。

リビングの一角にもとからインナーテラス風のつくりになっている場所があり、「ここを利用して、犬がくつろげる場所をつくりたい」と希望したそう。

「結局、家じゅうでくつろいでいるんですが……(笑)」とご主人。

床材はフロアタイルで、ふだんここには犬用のトイレも置いているため、ワンちゃんたちがちょっと失敗してしまったときも掃除がラクで助かっているそうです。

 

 

M様邸の第一印象が「NYのアトリエみたい!」だったのは、リビング&ダイニングに使われている床材の影響も大きいかもしれません。

床材に採用したのは、建築現場で使われていた「足場板」。

床材としての加工や塗装がされていないラフな質感が特徴です。

当初M様は、山口県で暮らしていた古民家のリフォームに使う予定でこちらの足場板を入手。

山口を離れることになり、横浜のこの家の床材として足場板を活用することにしました。

「滑りにくくて傷や汚れが気にならない素材なので、犬たちとの暮らしにちょうどいいと思いました」。

ワンちゃんたちは毎日、ここを元気に走り回っているそう!

 

テラスの間仕切りに使ったガラス×アイアンのパーテーションは、M様が当社の施工事例で目にして、

「ぜひわが家にも」とリクエストしたもの。

 

 

LDKの入り口の引き戸も、同じデザインでオリジナル製作したものです。

 

床に足場板を使ったラフな空間が「黒」で引き締まり、「洗練」とはまさにこのこと!

海外のお宅のようと感じた私たちスタッフの気持ち、お分かりいただけますよね~。

 

リビングの一角には、やはりM様のリクエストで設けた造り付けの本棚があります。

 

 

「本を読むのはリビングが多いので」と、この場所に設けることにした本棚でしたが、リノベのプランニング中に先代ワンちゃんが亡くなり、写真や思い出の品を飾る場所にもできると気づいたそう。

M様邸、ワンちゃんへの愛があふれすぎています~!

本棚の左手の白いドアは、寝室へとつながっています。

 

間取りの核は「眺めのいいキッチン」

山口県からリモートで物件探しを進めていたとき、M様はスケルトンの状態で販売されていたこちらの物件の情報をキャッチ。

海外での暮らしや山口での古民家暮らしを経験して、すっかり「新築至上主義」ではなくなっていたため、築53年で、自分たちに合った間取りを一から構築できることに魅力を感じたそう。

内見はすぐ近くに住む奥様のお姉様が代行してくれ、室内の様子はお姉様がリアルタイムで送ってくれた動画で確認して購入を決めました。

 

 

当社による現場調査は、日程を合わせて上京されたM様立ち合いのもとおこないました。

「プランナーさんが、南側の窓からの景色がすごくいいですねって言ってくれたんです。この景色がいつでも眺められる場所にキッチンを配置してくれて、それに合わせて他のスペースが決まった感じでした。最終的に考えていただいた間取りは、シンプルなんですけど暮らしやすそうで気に入りました」。

 

 

キッチンはステンレス製が希望だったM様。サンワカンパニーのものをチョイスしました。

 

 

白い扉つきのパントリーは、山口から届く30キロの玄米も余裕でストックできて重宝しているとか。

南北に開口のある物件で、風通しは抜群です。

 

 

壁のアートは、もちろんワンちゃん!

まだ犬を飼っていなかったころにNYで見つけたものだとか。

 

 

M様邸の間取りがちょっとユニークなのは、キッチンと寝室がつながっていること!

数々のお宅を訪問しているスタッフですが、ガスコンロ&冷蔵庫越しにベッドという光景を目にするのは初体験です。

リビング側にも寝室につながる出入り口があり、キッチン→寝室→リビングダイニング→キッチンと、回遊できる間取りになっているため、まさに愛犬たちが走り「回れる」家なのです!

奥様いわく、「夜、のどが乾いたときに便利です(笑)。朝もさっとキッチンに移動できるのがいいですよ」。

 

寒さ対策も万全に

「山口で暮らした古民家が、とにかく寒くて」とご主人。横浜での住まいを探す際に、集合住宅限定で探したのは、一戸建ての寒さに懲りたからだそう。

 

 

北向きの寝室はもちろん、すべての窓にインナーサッシを追加して、寒さ対策を万全にしました。築年数が古く、既存のサッシの断熱性能が心配な場合は、インナーサッシの設置が効果的です。

 

 

寝室からリビングにつながる出入り口の手前には、ウォークインクローゼットがあります。

「衣類はできるだけハンガーに掛けて収納したい」と、ハンガーパイプを長めにつけてほしいとリクエストしたそう。

下段に収納ケースも置いて、上手にスペースを活用されています。

 

快適な書斎が長時間労働の原因!?

現在はフリーランス&自営でお仕事をされているご夫婦。

プランニング時にLDKのほかに個室は2室欲しいと伝え、寝室のほか、おもにご主人用の書斎も設けました。

 

 

デスクなどは手持ちのものがあったため、ごくシンプルな部屋に。

外部の事務所で仕事をすることもあるそうですが、「ここだとストレスがないんです。気がつくと朝から夜の10時まで仕事をしていたこともありましたが、この家が快適なので気にならないんです」とご主人。

うれしいような、申し訳ないような……(汗)。

無理だけはされないでくださいね!

 

水回りはシンプル&機能的に

洗面室&浴室&トイレは、玄関を入ってすぐの場所にまとまっています。

 

洗面室は、「病院用流し」や「実験用シンク」と呼ばれるシンクのみのシンプルな形に。

レトロな壁付け水栓も雰囲気にぴったりです。「洗面ボウルは大きめがいいと伝えたら、プランナーさんがバシッとこの形を提案してくれました」。

ミラーは奥様のお見立てで、「プランナーさんに相談して、いいと思います!とお墨付きをもらったので採用しました」。

 

 

システムバスは、ブラウン系の色味と掃除のしやすさが気に入って選んだものです。

「山口の古民家の浴室がものすごく寒くて、あたたかい浴室にしたかった」と奥様。

もともとこの浴室には窓がありましたが、断熱性アップのためつぶしています。

 

 

トイレは念願のタンクレスタイプに。

便器本体の掃除がしやすいことも選ぶ基準になりました。

 

大人リノベの醍醐味は……

M様ご夫婦はともに50代。

今、このタイミングでおこなったリノベーションはいかがでしたか?とお尋ねすると、「自分たちの好きなものや、自分たちに必要なものが分かっているので、やりやすかった」というお答え。

リノベーションの施主は、決めなくていけないことが山積みですから、「迷う場面」が少ないだけでスムーズに進められるのかもしれません。

「すでにでき上っている生活スタイルを心地よいものにしたいと考えたときに、既製品である新築物件は違う気がしたんです。海外暮らしや山口での古民家暮らしを経て、リノベーションで住まいを自分たちに寄り添う形に持ってくほうが自然でした」。

 

 

住み心地についてもうかがうと、「快適です。大満足です!」「なにより、犬たちがのびのびと快適そうに過ごしているのがうれしくて」と、ありがたいお答えが。

同じ横浜市内の絶好の立地の新築マンションに暮らしていた時期もあったM様ですが、今の住まいは、「生活の質(クオリティ・オブ・ライフ)が高いって、こういうことなのかもしれない」と気づかせてくれたといいます。

「外出は嫌いじゃないですけど、めっきり出かけなくなりました。犬たちもいるし、ここが落ち着くんです」。

 

 

実は奥様は、害獣として駆除された鹿やイノシシの肉で、ドッグフードをつくってネット販売しています。山口県でジビエの加工場のかたと知り合ったことをきっかけに、こんなかわいいパッケージの商品が生まれました。オーブンを備え、作業スペースにゆとりのあるキッチンは、このドッグフードづくりでも大活躍しているそう。

住み心地についても「犬たちがのびのびと快適そうに過ごしているのがうれしい」と答えてくれたM様。やはりこちらは、どこまでもDog First!なお宅ですね。

 

お忙しい中、取材・撮影にご協力いただき、ありがとうございました。

 

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取材・文/ライター志賀朝子